販売委託契約書テンプレート・雛形|所有権・危険負担・問屋規定
販売委託契約書テンプレート(全34条+別紙3本)を無料ダウンロード。会員登録不要でWord形式のまま使えます。商品の所有権と危険負担、売上金の分別管理、商法の問屋規定を外すか残すかの選び方、販売価格を指示できる条件、印紙税の判定までを解説します。
公開日: (更新: )
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販売委託契約書テンプレート
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- 更新日
- 2026-09-11
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この販売委託契約書、印刷・郵送・押印なしでそのまま送れます。
ムスビサインを無料で始める「委託販売に出した商品が、返してほしいと言っても返ってこない」 「売れたと聞いているのに、売上金がいつまでも振り込まれない」 「店で商品が壊れたと言われた。代金をかぶるのはどちらなのか分からない」
この3つは、どれも「売れる前の商品と、売れたあとのお金が誰のものか」を紙に書いていないために起きます。
この記事では、委託者(甲)と受託者(乙)が取り交わす販売委託契約書のWordテンプレート(全34条+別紙3本)を、会員登録不要で配布しています。
この記事の結論
- 配布するのは全34条+別紙3本。委託者(甲)と受託者(乙)が1通を交わします。
- 販売委託は買取再販ではありません。所有権は売れるまで甲に残ります(第3条)。
- 壊れた・盗まれたは第7条、返ってこないは第21条、倒産は第3条第4項、振り込まれないは第17条で受けます。
- 受託者が自分の名前で売る形なら、商法の問屋の規定が書かなくても効きます。
- 買主が払わないときの肩代わりは商法553条、在庫の留置は同31条。どちらも第20条・第21条で外せます。
- 甲が販売価格を指示できるのは、乙に売れ残りや回収不能の危険を負わせない場合に限られます(第12条)。
- 継続して委託する基本契約を紙で作ると、第7号文書に当たり1通4,000円です。
- 契約期間が3か月以内で更新の定めがなければ、第7号文書から除かれます。
目次
- 販売委託契約書テンプレートの無料ダウンロード
- 買い取ってもらう契約ではない|販売店契約との違いと、第1条で先に決める受託者の地位
- 預けた商品が返ってこない理由|書かなくても効く商法の規定を、第20条と第21条で選ぶ
- 壊れた・盗まれた・倒産した・振り込まれない|事故ごとに効く条文といくら払うのか
- 公的機関のサンプルに入っていない条文|全12条と配布物を突き合わせる
- 販売価格を指示できるかは危険負担で決まる|第7条と第12条は1組で読む
- 売上計算書の締日と送付期限が、売上を立てる日を決める|第16条
- 買主への適格請求書は誰が出すか|媒介者交付特例と登録番号の記載(第18条)
- 印紙税は第7号文書で1通4,000円|施行令26条1号と2号、2つの経路(第34条)
- 取適法とフリーランス法のどちらが及ぶか|第26条の特則
- 受託者側の許認可と表示|中古品の古物商許可(第23条)とECでの表記(第11条)
- 紙で交わすか、電子で交わすか|紙のままで足りる条件
- ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:預ける前に、誰がかぶるかを決めた1通を交わす
1. 販売委託契約書テンプレートの無料ダウンロード
配布しているのは、Word形式の販売委託契約書の雛形です(全34条+別紙3本)。
商品を預ける側(甲)と、預かって売る側(乙)が1通を取り交わす形にしてあります。甲が個人の作り手でも、乙が個人商店でも、そのまま使えます。
✅ 会員登録不要・メールアドレス入力不要・そのまま編集できるWord形式
✅ 第3条で所有権を甲に留保し、第5条で分別保管と委託品である旨の表示を義務づけ
✅ 第7条第2項に危険負担の4区分(善管注意義務の違反・それ以外・売れ残り・契約不適合)
✅ 第20条と第21条は1行1択(買主の未払いの肩代わりと、在庫の留置を外すか残すか)
✅ 別紙2は納品書兼預り証、別紙3は売上計算書(何を預けたか、何が売れたかを残す様式)
✅ 紙でも電子でも締結できる末尾書式と、収入印紙の負担を選ぶ欄つき
商品を買い取ってもらい、相手の在庫として売ってもらう取引なら、販売店契約書テンプレートのほうが合います。所有権が相手に移るかどうかで、使う雛形が変わります。
2. 買い取ってもらう契約ではない|販売店契約との違いと、第1条で先に決める受託者の地位
最初に決めるのは、相手に「買ってもらう」のか「預かって売ってもらう」のかです。ここを取り違えると、以降の条文がすべて噛み合いません。

販売委託では、商品の所有権は売れるまで甲に残ります。配布テンプレートの第3条は、引き渡したあとも所有権が甲に留保され、乙が買主に販売した時に甲から買主へ直接移ると書いています。
だから在庫が売れ残っても、それは甲の在庫です。乙に買い取らせる約束は、第14条第5項で明確に外してあります。
| 販売委託(この雛形) | 販売店契約・特約店契約 | |
|---|---|---|
| 商品の所有権 | 売れるまで甲に残る | 引渡しの時点で相手へ移る |
| 売れ残りの負担 | 甲が引き揚げる | 相手の在庫として残る |
| 相手の収入 | 販売手数料 | 仕入値と売値の差額 |
| 相手への支払 | 甲が乙へ手数料を払う | 相手が甲へ仕入代金を払う |
買取りに切り替えるなら、取引基本契約書テンプレートのように、売買を前提とした基本契約を使ってください。独占販売権や最低取扱数量といった販売店契約の条件は、この雛形には入れていません。
第1条第2項で「誰の名前で売るか」を選ぶ
販売委託の中にも、さらに2つの形があります。配布テンプレートは第1条第2項で1行1択にしました。
- 乙が自己の名をもって、甲の計算において販売する(商法551条の問屋に当たる形)
- 乙が甲の名をもって、甲の代理人として販売する
選択肢に出てくる言葉を、先に日常の言葉に直します。「自己の名をもって」は、買主と売買契約を結ぶ相手が店(乙)になるという意味です。
「甲の計算において」は、売れても売れ残っても損得が甲に帰属し、乙の取り分は手数料だけだという意味です。
商法551条は、問屋を「自己の名をもって他人のために物品の販売又は買入れをすることを業とする者」と定義しています。店が自分の店名でレシートを出し、買主とのやり取りも店が受け、それを続けて行っているなら、1つ目に当たります。
商法552条1項は、問屋が買主に対して自ら権利を取得し義務を負うと定めています。買主からのクレームは、まず乙に向かうということです。第19条は、この構造に合わせて乙を一次窓口にしています。
一方、商法552条2項は、問屋と委託者の関係には委任及び代理の規定を準用すると定めています。
甲の名前で売ってもらう形を選ぶ場面
2つ目の「甲の名をもって、甲の代理人として販売する」を選ぶのは、甲のブランドのまま買主に売ってほしいときです。領収書も適格請求書も甲の名前で出し、通信販売の表示にも甲が立ちます。
催事で店の一角を借りて甲の商品を並べる形や、甲の商品だけを扱う受託者に売り場を任せる形が、これに当たります。この形では買主との売買契約は甲と買主の間に成立し、買主に対する責任も甲が負います(第1条第3項)。
そのぶん、次章で挙げる商法553条は働きません。問屋についての規定だからです。配布テンプレートの第20条第2項も、乙が自己の名をもって販売する形を選んだときに限って、その選択が商法のただし書の意思表示になると書いています。
留置のほうは、どちらの形でも効きます。第21条第2項は、乙が法令上の留置権その他委託商品を留置する権利を主張しないという約定にしてあるので、代理人として売る形でも第21条第1項の選択には意味があります。
甲乙間が委任であることの意味は、委任契約書テンプレートの解説と合わせて読むと分かりやすくなります。
3. 預けた商品が返ってこない理由|書かなくても効く商法の規定を、第20条と第21条で選ぶ
第1条第2項で「乙が自己の名をもって販売する」を選ぶと、契約書に一行も書かなくても、商法の問屋の規定がそのまま働きます。
何もしないとどうなるかを、根拠と配布物の対応欄に並べます。このうち商法553条と商法31条は、知らないまま契約すると立場が反転します。どちらも条文にただし書があり、契約書で外せます。
| 何もしないとどうなるか | 根拠 | 配布物のどこで決めるか |
|---|---|---|
| 買主が代金を払わないと、乙が甲に肩代わりする | 商法553条 | 第20条第1項 |
| 手数料債権の弁済期が来ても払われないと、乙は在庫を留置できる | 商法557条により準用される同31条 | 第21条第1項 |
| 指値より安く売っても、差額を乙が負担すれば販売は有効 | 商法554条 | 第12条第4項 |
| 販売したら遅滞なく通知する義務がある | 商法557条により準用される同27条 | 第16条 |
| 手数料を書かなくても、乙は相当な報酬を請求できる | 商法512条 | 第15条第2項 |
買主が払わないときに誰がかぶるか(第20条)
商法553条は、買主が債務を履行しないときに問屋が自らその履行をする責任を負うと定めています。ただし書で、当事者の別段の意思表示があれば適用されないとしています。
つまり、契約書に何も書かなければ、掛け売りで焦げついた分は乙が甲へ払うことになります。第20条第1項は、この責任を負うか負わないかを1行1択にしました。
負わない側を選ぶと、その選択が商法553条ただし書の別段の意思表示になります。回収できない危険は甲が負い、乙は買主の情報と資料を甲へ引き渡します(第20条第2項)。そのうえで、その販売分の手数料を請求できるかどうかを第20条第3項でもう一度選びます。
「商品が返ってこない」の正体は留置権(第21条)
商法31条は、代理商が、取引の代理又は媒介をしたことによって生じた債権の弁済期が到来しているときは、その弁済を受けるまで、商人のために占有する物を留置できると定めています。ただし書で、当事者が別段の意思表示をしたときは留置できないとしています。この規定は、商法557条によって問屋にも準用されます。
留置できるのは、請求しただけの段階ではありません。支払期日が来ているのに払われていない状態が要ります。
手数料の精算でもめている最中に「商品を返して」と言っても返ってこないのは、これが理由です。相手が意地悪をしているのではなく、法律上の権利を使っている場合があります。
第21条第1項で「留置しない」を選ぶと、その選択がただし書の別段の意思表示になります。乙の側の手当てとして、甲が支払を遅滞したときに催告して解除し、損害賠償を請求できる道を第21条第4項に残しました。
第20条第1項と第21条第1項は、どちらの□にもチェックを入れないまま締結しないでください。別段の意思表示がないことになり、商法の原則がそのまま働きます。
💡 外すか残すかを、その場で選べる形にしてあります
会員登録もメールアドレスの入力も要りません。商法553条と同31条のただし書に対応する選択欄を、第20条と第21条にそのまま置いてあります。ダウンロードしたら、□にチェックを入れて相手に送るだけです。
4. 壊れた・盗まれた・倒産した・振り込まれない|事故ごとに効く条文といくら払うのか
委託販売でもめるのは、たいてい次の場面です。商品が返ってこないときの留置権は、前章の第21条で受けます。

預けた商品が壊れた・盗まれた(第7条・第8条)
民法400条は、特定物の引渡しまでの保存義務の水準を善良な管理者の注意と定めています。民法644条も、受任者が善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負うとしています。
乙がきちんと保管していたのに火事や盗難で失われた場合、誰が負担するかは決まっていません。
第7条第2項は、その分担を4つの区分に分けました。乙の善管注意義務の違反によるものは乙、それ以外は甲、売れ残りは甲、契約不適合は甲という並びです。
ここははっきり書きます。配布テンプレートのまま使うと、火災・水災・盗難・地震のように乙の責めに帰することができない事由で商品が失われた損は、預けた甲がかぶります。乙がかぶるのは、保管の仕方が悪かったときだけです。
これを動かしたい場合は、第7条第2項を書き換えます。ただし危険を乙に移すと、第12条の価格の決め方も一緒に見直すことになります。理由は第6章に書きます。
保険をどちらが掛けるかは第8条で選びます。保険金が出たときは、第7条の分担に従って精算する形にしました。
壊れたとき、いくら払うのか(第7条・第30条・別紙2)
「乙が負担する」と書いてあっても、金額までは決まりません。販売価格の全額なのか、材料費なのかは、法律を読んでも出てきません。
民法416条1項が定めているのは、賠償の範囲を「通常生ずべき損害」とするところまでです。
商法576条1項は、運送品の滅失・損傷の賠償額を引渡地・引渡時の市場価格によると定めていますが、これは運送についての規定です。寄託や委託販売にこれを持ってくる準用の規定はありません。
参考になるのは、国が定めた標準倉庫寄託約款です。同約款43条は、賠償金額を損害発生当時の時価で算定するとしたうえで、時価が火災保険金額または寄託価額を超えるときは、その額によるとしています。
時価と、あらかじめ申告した金額のいずれか低いほうが上限になる形です。同約款11条は、価額が明示されないときや不相当と認めるときは、預かった側が相当と認められる額を価額と定めて通知するとしています。
同じやり方を、預ける前に当事者どうしでやっておきます。別紙2の納品書兼預り証に評価額の欄を足し、品番ごとにいくらで見るかを書いてから渡してください。
記入例は次のとおりです。「評価額は、別紙1に記載した販売価格による」と書けば販売価格が基準になり、「評価額は、1点あたり材料費相当額とする」と書けば材料費が基準になります。空欄のまま預けると、壊れてからこの話を始めることになります。
もう1か所、第30条第3項の上限も効きます。賠償の額に上限を置く選択肢を選ぶと、第7条の負担にもその上限がかかります。第30条第5項が上限の適用を外しているのは第9条・第17条・第24条・第31条の違反で、第7条は入っていません。
第三者に渡ってしまった(第3条・第5条・第9条)
所有権を甲に留保すると書くだけでは足りません。民法192条は、取引行為によって平穏かつ公然と動産の占有を始めた者が善意無過失であれば、即時にその動産について権利を取得すると定めているためです。
乙が委託商品を自分の在庫と混ぜて置き、それを第三者に売ってしまえば、買った側が所有権を取得してしまうことがあります。
だから第5条で、乙の商品や他人から預かる商品と場所を分けて保管し、棚札や管理ラベルで委託品である旨を表示させます。第9条では、譲渡・質入れ・担保設定・自己の債務の弁済への充当を禁止しました。
相手が倒産した(第3条第4項・第5条・第6条)
破産法62条は、破産手続の開始が、破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利に影響を及ぼさないと定めています。乙が倒産しても、甲の商品は取り戻せるということです。
ただし、取り戻すには「これは甲の商品だ」と示せなければなりません。分別保管と表示、そして第6条の在庫の記録が、その場で効いてきます。第3条第4項は、倒産手続の申立てがあったときに乙が破産管財人へ甲の所有であることを明らかにする義務を置いています。
売上金が振り込まれない(第17条)
民法646条1項は、受任者が委任事務の処理に当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならないと定めています。売上金は、回収した時点で甲のものです。
民法647条は、受任者が委任者に引き渡すべき金額を自己のために消費したときは、消費した日以後の利息を支払い、なお損害があれば賠償する責任を負うと定めています。
第17条は、この2つを契約書の言葉に落としました。回収した販売代金を乙の固有の財産と区分して管理させ、自己のために消費しないと明記しています。
送金先の口座は第17条第3項の表に書きます。金融機関名、支店名、預金の種別、口座番号、口座名義、振込手数料の負担までを埋める欄です。送金が遅れたときの遅延損害金の年率は、第17条第4項に記入します。
締日と送金期限だけ決めて口座を書かずに送ると、期日が来ても送りようがありません。第13章の手順にも、この2つを回収するステップを入れてあります。
5. 公的機関のサンプルに入っていない条文|全12条と配布物を突き合わせる
「公的機関が出しているひな形を使えば安心」と考えて探すと、中小企業基盤整備機構が配布している販売委託契約書のサンプルに行き当たります。全12条の短い書式で、末尾に「最終内容確認 2011年2月」と記載されています。
このサンプルには、前章で挙げた4つの事故に答える条文が入っていません。
| サンプルの状態 | 配布テンプレートでの扱い |
|---|---|
| 所有権の帰属を定めた条がない | 第3条で甲に留保し、買主へ直接移ると明記 |
| 危険負担の分担がない。第6条は「管理者の注意」まで | 第7条第2項で4区分に分けて分担 |
| 分別保管・表示・転売禁止・在庫報告がない | 第5条・第6条・第9条 |
| サンプルの第7条が「瑕疵」という改正前の用語のまま | 第22条を契約不適合の用語で構成 |
| 送金の締日と計算書の締日がずれている | 第16条と第17条の締日・期限をそろえる欄 |
| サンプルの第12条が東京地方裁判所を固定で記載 | 第33条は甲または乙の所在地から選ぶ形 |
締日のずれは、実務で効いてきます。サンプルの第5条は、毎月末日までの販売代金から手数料を差し引いた額を翌月末日までに送金するとしながら、計算書だけは毎月15日締めで翌月15日までに送付する形です。
報告の対象期間と送金の対象期間が違うと、届いた書類と入金額が突き合わせられません。配布テンプレートでは、第16条第1項の締日と第17条第3項の送金期限を隣り合わせに置き、同じ締日で運用できるようにしました。
手数料の「相場」は書けません
サンプルの第4条は、販売手数料を販売価格の20%と記入した例になっています。ただし、これは1つの記入例であって、相場を示したものではありません。
手数料率の相場を示した公的な統計は見つかりません。第15条第2項の料率は記入欄にしてあります。
決める順番だけは決まっています。先に第13条の費用分担を埋めて、そのあとに料率を決めてください。逆にすると、料率で合意したあとに費用の押し付け合いが残ります。
料率を空欄のままにするのは避けてください。商法512条は、商人が営業の範囲内で他人のために行為をしたときは相当な報酬を請求できると定めています。率を書かないと、いくらが相当かで争いになります。
6. 販売価格を指示できるかは危険負担で決まる|第7条と第12条は1組で読む
「値段はこちらで決めたい」という要望は、委託する側からよく出てきます。販売店契約の記事では再販売価格の拘束が原則として問題になると書いていますが、販売委託では結論が反転します。
理由は2つあります。1つ目は条文の文言です。独占禁止法2条9項4号は、再販売価格の拘束の相手方を「自己の供給する商品を購入する相手方」と定めています。乙は商品を買っていないので、文言のうえでは4号の対象から外れます。
ただし、4号に当たらないことが、そのまま独占禁止法上問題がないという意味にはなりません。
2つ目は公正取引委員会の考え方です。流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針は、取引先が単なる取次ぎとして機能し実質的に当該事業者が販売していると認められる場合、価格を指示しても通常違法とはならないとしています。
「通常、違法とはならない」という書き方です。無条件ではありません。
同指針は、受託者が善管注意義務の範囲を超える滅失・毀損や売れ残りの危険負担を負わず、委託者の危険負担と計算において行われている委託販売を挙げています。
危険を甲が負っているという事実が、甲が価格を決められることの根拠になっています。乙に売れ残りを買い取らせながら価格まで指示すると、この前提が崩れます。
指針が挙げる危険と費用の一覧を、条文に割り当てる
同指針は、ユーザーへの販売に至るまでに生じる危険及び費用として、売れ残り・契約不適合・善管注意義務を超える滅失毀損・代金回収不能の各危険と、在庫保管費用や輸送費用等の費用を挙げています。配布テンプレートは、これを次のように分けました。
| 指針が挙げる項目 | 配布物のどこで決めるか |
|---|---|
| 売れ残った場合の危険 | 第7条第2項・第14条 |
| 契約不適合があった場合の危険 | 第7条第2項・第22条 |
| 善管注意義務を超える滅失・毀損の危険 | 第7条第2項 |
| 代金回収が不能となった場合の危険 | 第20条 |
| 在庫保管費用・輸送費用・広告宣伝費用 | 第13条の費用分担表 |
第12条第5項は、この関係を契約書の中に書き込んであります。甲が価格を定められるのは、第7条・第13条・第20条により乙が売れ残り・滅失毀損・代金回収不能の危険を負わず、販売が甲の危険負担と計算において行われることを前提とする、という一文です。
第20条が入っているのは、第20条第1項で「乙が買主の未払いを肩代わりする」を選ぶと、代金を回収できない危険が乙に移るからです。
第7条第2項の分担を書き換えて乙に危険を移すなら、価格の定め方も併せて緩めてください。第12条第1項には、乙が価格を定め、甲は参考となる希望小売価格を示すにとどめる選択肢を置いてあります。
上限と下限を決めて乙に選ばせる真ん中の選択肢には、下限の拘束が残ります。危険を乙に移したうえで下限まで縛る組み合わせは、指針が挙げる前提からいちばん遠くなります。両方を甲に有利にしないことが、この雛形の使い方です。
保険料を乙に持たせると、前提は崩れるか
第8条で「乙が自己の費用で委託商品に保険を付す」を選びたくなる場面があります。危険の分担は動かさないまま、費用だけを乙に持たせる形です。
これで第12条の前提が崩れるかどうかは、断定できません。指針は、保険料をどちらが負担するかまでは書いていないためです。
手がかりになるのは、公正取引委員会の相談事例集です。代金回収のリスクを小売業者が負う建て付けの相談について、公正取引委員会は、消費者への販売では通常現金やクレジットカードによる決済が用いられることから「実質的なリスクの負担とまではいえない」と評価しました。
そのうえで、小売業者は単なる取次ぎとして機能しており、実質的にみて相談者が販売していると認められ、独占禁止法上問題となるものではないと回答しています。
形式ではなく実質で見るということです。保険料を乙に負わせたうえで価格も指示するなら、第13条の費用分担と合わせて、乙が実質的に危険を負う形になっていないかを確かめてください。個別の当てはめは、弁護士にご確認ください。
7. 売上計算書の締日と送付期限が、売上を立てる日を決める|第16条
締日と送付期限は、事務の都合で決める欄に見えます。実際には、甲がいつ売上を立てるかを決める欄です。
法人税基本通達2-1-3は、棚卸資産の委託販売に係る収益を、受託者が販売をした日の属する事業年度の益金に算入すると定めています。原則は、乙が買主に売った日です。
ただし、同通達は例外を置いています。売上計算書が売上の都度作成・送付され、法人が継続して到達した日に収益計上しているときは、到達した日を引渡しの日に近接する日として、法人税法22条の2第2項を適用できるとしています。
さらに、受託者が週・旬・月を単位に一括して売上計算書を作成していても、それが継続して行われていれば「売上の都度作成され送付されている場合」に当たるとしています。
つまり、月次の売上計算書を毎月同じ締日で送ってもらい、甲がその到達した日に継続して収益計上していれば、到達日基準を使えます。
契約書の締日と送付期限を空欄にしたまま運用すると、この基準に乗れません。
記入例
第16条第1項と第17条第3項は、次のように埋めます。
- 売上計算書の締日 … 毎月末日
- 売上計算書の送付期限 … 翌月10日
- 販売代金の送金期限 … 翌月末日
第16条第3項は、同一の締日と同一の送付期限で継続して作成・送付し、変えるときは書面で合意すると定めています。継続していることが到達日基準の条件なので、この項を消さないでください。
商法27条は、代理商が取引の代理・媒介をしたときは遅滞なく通知を発しなければならないと定めており、商法557条により問屋にも準用されます。ただし「遅滞なく」では日付が決まりません。だから契約書で締日を決めます。
総額で立てるか、手数料を引いた額で立てるか
消費税法基本通達10-1-12は、委託者の資産の譲渡等の金額を原則として販売価格の総額とし、課税期間中の委託販売等の全てについて手数料控除後の純額とすることも認めています。受託者にとっては、委託者から受ける販売手数料が役務の提供の対価になります。
ただし、純額で計上する扱いには条件が付きます。同通達の注は、委託販売に係る課税資産の譲渡が軽減税率の適用対象となる場合には、適用税率ごとに区分して計算することになるため、純額による取扱いの適用はないとしています。
食品のように軽減税率の対象となる商品を委託するときは、総額で立てることになります。
第16条第2項は、販売価格・消費税額・販売手数料・控除する費用・送金すべき金額を分けて書かせる形にしました。どちらの処理を選んでも、必要な数字が売上計算書から拾えます。
なお、商品の販売が軽減税率の対象であっても、受託者の販売手数料は標準税率の対象になります。第15条第4項に、この一文を入れてあります。
8. 買主への適格請求書は誰が出すか|媒介者交付特例と登録番号の記載(第18条)
乙が自分の名前で売っている以上、レジで領収書を出すのも乙です。ではインボイスは誰の名前と登録番号で出すのか、という問題が残ります。
消費税法施行令70条の12第1項は、媒介者等が課税資産の譲渡等の時までに委託者から登録を受けている旨の通知を受けていることを、特例の要件としています。
消費税法基本通達1-8-10は、通知の方法として、基本契約書等に委託者の登録番号を記載する方法を挙げています。取引のたびに書面を出す必要はありません。
配布テンプレートの第18条第1項は、これに合わせました。甲と乙の登録番号を契約書末尾の当事者欄に記入し、甲の登録番号の記載をもって乙への通知とする、という書き方です。当事者欄に登録番号の行を置いてあるのは、このためです。
選ぶのは第18条第2項の2択
- 乙が、甲の氏名又は名称及び甲の登録番号を記載した適格請求書等を、甲に代わって買主へ交付する
- 乙が、乙の氏名又は名称及び乙の登録番号を記載した適格請求書等を、甲に代わって買主へ交付する
2つ目を選んだときは、消費税法施行令70条の12第3項により、乙は交付した適格請求書等の写しを速やかに甲へ交付または提供しなければなりません。第18条第3項がこれに当たります。
複数の委託者の分をまとめて出していると、写しをそのまま渡せません。写しの交付が困難な場合は、当該事業者に係る事項を記載した精算書等の交付で差し支えないとされています。第18条第4項は、第16条の売上計算書にその事項を書いて渡す方法も認める形にしました。
この精算書等には、税抜価額または税込価額を税率ごとに区分して合計した金額、適用税率、税率ごとに区分した消費税額など、甲の売上税額の計算に必要な事項を書きます。別紙3の売上計算書の金額表に、この3行を入れてあるのはそのためです。
写しの保存も要ります。第18条第6項は、甲が交付を受けた写しを保存し、乙が買主へ交付した適格請求書等の写しと精算書等の写しを保存すると定めています。
甲が登録をやめたときの手当ても要ります。消費税法施行令70条の12第4項は、委託者が適格請求書発行事業者でなくなった場合に、速やかにその旨を媒介者等へ通知しなければならないと定めています。第18条第5項がこの通知です。
甲が登録を受けていないなら、乙の登録番号で買主へ交付する方法は選べません。第18条第7項に、その旨を書いてあります。
甲が免税事業者のときは、第18条第2項をどちらも選ばない
ハンドメイドや副業で作品を預ける甲は、登録番号を持っていないことがあります。この場合、第18条第2項の□は、どちらにもチェックを入れません。
理由は条文にあります。消費税法施行令70条の12第1項は、委託者にも受託者にも「適格請求書発行事業者に限る」という括弧書きを付けています。甲が登録していなければ、媒介者交付特例は入口で使えません。
国税庁のインボイスQ&Aの問48も、媒介者交付特例の1つ目の要件として「委託者及び受託者が適格請求書発行事業者であること」を挙げています。もう一方の代理交付も、委託者の氏名又は名称及び登録番号を記載した委託者の適格請求書を交付する方法なので、書くべき登録番号がありません。
では買主に何も渡せないのかというと、そうではありません。同Q&Aの問26-2は、適格請求書発行事業者以外の者でも、適格請求書に該当しない請求書や領収書の交付は、これまでと同様に可能だとしています。
やってはいけないのは、適格請求書と誤認されるおそれのある表示をすることです。同問26-2は、そうした書類の交付を禁じ、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象になるとしています。自身のものではない登録番号を自らの登録番号として記載した書類が、その例に挙げられています。
買主の側は、経過措置で受けます。同Q&Aの問113は、免税事業者等からの課税仕入れについて、原則として仕入税額控除を行うことができないとしたうえで、次の割合を仕入税額とみなして控除できるとしています。
| 課税仕入れの時期 | 控除できる割合 |
|---|---|
| 令和5年10月1日から令和8年9月30日まで | 仕入税額相当額の80% |
| 令和8年10月1日から令和10年9月30日まで | 仕入税額相当額の70% |
| 令和10年10月1日から令和12年9月30日まで | 仕入税額相当額の50% |
| 令和12年10月1日から令和13年9月30日まで | 仕入税額相当額の30% |
割合は時期で下がっていくので、いまがどの行かを表で確かめてください。買主が経過措置を受けるために保存する請求書等の記載事項は、作成者の氏名又は名称、課税資産の譲渡等を行った年月日、資産又は役務の内容、税率ごとに合計した税込価額、交付を受ける事業者の氏名又は名称です。
乙が買主へ渡す書面にこれらが入っていれば、買主の側の保存はまかなえます。甲が登録を受けた後は、当事者欄に登録番号を書き足して第18条第2項を選び直してください。
9. 印紙税は第7号文書で1通4,000円|施行令26条1号と2号、2つの経路(第34条)
「販売委託は委任だから印紙は要らない」という説明を見かけます。紙で作る場合、この理解のままだと貼り忘れます。
印紙税が課されるかどうかは、文書の名称ではなく、そこに書かれた内容で決まります。判定の入口は、印紙税法施行令26条です。
同条2号は、名称を問わず、売買に関する業務を継続して委託するために作成され、委託される業務の範囲又は対価の支払方法を定める契約書を、第7号文書の範囲としています。販売委託契約書は、まさにこの形です。
施行令26条1号は「営業者の間において」という限定を置いていますが、2号にはその限定がありません。国税庁も、2号に当たる契約書について「(営業者には限りません。)」と明記しています。
つまり、甲が個人の作り手で営業者に当たらない場合でも、2号に当たるときは第7号文書になり得ます。
国税庁の質疑応答事例が同じ形を扱っている
国税庁は、問屋営業者と委託者の関係が売買の委託(委任)に該当するとしています。そのうえで、問屋に販売を継続的に委託する契約書で、目的物の種類・取扱数量・対価の支払方法を定めるものは第7号文書に該当するとしています。
この当てはめは、施行令26条1号の要件に沿ったものです。1号は、売買の委託に関する2以上の取引を継続して行うために作成され、目的物の種類・取扱数量・単価・対価の支払方法等を定める契約書を挙げています。
1号と2号は択一ではありません。販売委託契約書は、どちらの経路でも第7号文書に当たり得ます。
税額は1通につき4,000円です。紙で2通作れば、2通分が必要になります。
印紙が要らなくなるのは、期間が短いときだけ
契約期間が3か月以内であり、かつ更新の定めのないものは、第7号文書から除かれます。配布テンプレートは、第27条第3項でこの連動を明示し、第34条第2項でただし書として書いてあります。
第34条第2項は、条件を付けた書き方にしてあります。本書が継続して販売を委託するための基本となる契約書に当たるときに、第7号文書に当たるという形です。
第7号文書は、個々の取引についてその都度作成される個別契約書とは区別されるためです。1点だけを一度預けるような契約は、継続的取引の基本となる契約書に当たりません。
3か月ごとに結び直せば印紙を避けられるのか
紙で1年の契約を結んで4,000円を貼るのと、3か月以内で結び直すのと、どちらがよいかは一概に言えません。
判定の軸は、文書に書かれた契約期間です。印紙税法基本通達は、除外されるものを「当該文書に契約期間が具体的に記載されていて、かつ、当該期間が3か月以内であるもの」としています。
期間を書かずに済ませる回避は、逆に働きます。国税庁の質疑応答事例は、第7号文書に当たる期間的要件を、契約期間の定めのないもの、3か月を超える契約期間の定めのあるもの、3か月以内だが更新の定めが併せて記載されているものの3類型に整理しています。契約期間を書かない文書は、1つ目に入ります。
課税は文書ごとに見ます。同じ質疑応答事例は、印紙税の税率が課税文書1通又は1冊につき定められており、原則として一の文書に対して1個の課税であると述べています。
決め手になるのは印紙ではなく取引の実態です。短い催事に出すだけなら期間はそのとおりに書き、続けて置いてもらうなら期間を1年などにして更新の定めを置きます。印紙を避けるために実態と合わない短い期間を書かないでください。
第7号文書に当たらない場合の呼び方にも注意してください。課税物件表に掲げられていない文書は、そもそも印紙税の課税対象になりません。これは「非課税」ではなく不課税です。
別紙3に「受け取りました」と書き足さない
配布テンプレートの別紙3は売上計算書です。第16条第6項と別紙3の柱書に、金銭の受領の事実を証する書面ではないと書いてあります。
理由があります。国税庁は、売上代金の受取事実を併せて記載した文書で、その金額が100万円を超えるものは第17号の1文書に所属が決定されるとしています。報告書に受領の文言を足すと、文書の性格が変わります。
印紙の貼り方や、貼り忘れたときの取扱いは業務委託契約書に収入印紙は必要?にまとめてあります。
💡 印紙の要否を、契約期間の欄とつなげて確認できます
会員登録もメールアドレスの入力も要りません。第27条で期間と更新の定めを選ぶと、第34条第2項の印紙の要否がそのまま決まる作りにしてあります。収入印紙の負担をどちらがするかの選択欄も入っています。
10. 取適法とフリーランス法のどちらが及ぶか|第26条の特則
個人商店や個人の作り手に販売を委託するとき、どの法律が自分に降ってくるのかは先に確かめておきます。販売委託では、2つの法律で結論が分かれます。
中小受託取引適正化法(旧下請法)2条4項は、役務提供委託を、事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供行為の全部又は一部を他の事業者に委託することと定義しています。他者へ提供するための役務を外に出す形が対象です。
公正取引委員会は、委託者が自ら用いる役務は役務提供委託に該当せず、同法の対象にならないとしています。
自社の商品を売ってもらう販売委託は、他者へ提供する役務を外に出すものではありません。したがって、通常は役務提供委託に当たらず、取適法の対象にはなりません。
ただし、同じ相手に商品の製造や販促物の作成も出しているなら、その部分は別に判定が要ります。
一方、フリーランス法は入口が違います。同法2条3項2号は、業務委託に「他の事業者をして自らに役務の提供をさせることを含む」と定めています。自分のために役務を提供させる形も、業務委託に入ります。
同法2条1項は、特定受託事業者として、1号の「個人であって、従業員を使用しないもの」と、2号の「法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないもの」を挙げています。
従業員のいない一人会社も入るということです。配布テンプレートの第26条第1項は、この2つを書いた定義にしてあります。
第26条は1行1択から始まる
配布テンプレートの第26条第1項は、乙が特定受託事業者に当たるかどうかを選ぶ欄です。当たらないなら、この条は適用しません。当たる場合は、以下の項が効きます。
明示(第26条第2項)。フリーランス法3条1項は、業務委託をした場合は直ちに給付の内容・報酬の額・支払期日等を書面又は電磁的方法で明示しなければならないと定めています。第26条第2項は、本契約書と別紙1の交付をもってこの明示に充てられる形にしました。
明示の義務は、甲の側の規模を問いません。フリーランス法3条1項の名宛人は業務委託事業者で、公正取引委員会と厚生労働省の「考え方」も、本条は特定業務委託事業者のみならず全ての業務委託事業者に適用されると明記しています。
支払期日(第26条第3項)。ここからは、甲の側にも条件が付きます。支払期日と減額の禁止が及ぶのは、甲が特定業務委託事業者に当たる場合です。
同法2条6項は、特定業務委託事業者を、従業員を使用する個人か、2以上の役員があるか従業員を使用する法人と定義しています。従業員のいない個人の作り手が委託する側に立つときは、これに当たりません。
配布テンプレートの第26条第3項と第5項の冒頭に「甲が特定業務委託事業者に当たるときは」と付けてあるのは、このためです。
フリーランス法4条1項は、報酬の支払期日を、役務の提供を受けた日から起算して60日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定めなければならないとしています。販売委託では、乙が売るという役務を提供した日が起算点になります。
控除の扱い(第26条第4項)。販売委託では、乙が販売代金から手数料を差し引いて残りを送金します。第26条第4項は、この控除の時に手数料が支払われたものとすると書いてあります。
減額の禁止(第26条第5項)。フリーランス法5条1項2号は、特定受託事業者の責めに帰すべき事由がないのに報酬の額を減ずることを禁じています。同条の禁止行為は継続的業務委託が対象で、その期間はフリーランス法施行令1条により1月と定められています。
手数料率を後から引き下げると、乙が受け取る報酬は減ります。販売手数料は、甲が乙へ支払う対価だからです(第15条第1項)。第15条第7項が料率の変更を書面での合意に限っているのは、この確認を挟むためです。
甲が特定業務委託事業者に当たらないときも、減額の歯止めは残してあります。第15条第6項が、既に発生した販売手数料を乙の責めに帰すべき事由なく減じないことを、契約上の義務として定めています。
両法の要件そのものは業務委託契約書テンプレートに詳しく書いてあります。
11. 受託者側の許認可と表示|中古品の古物商許可(第23条)とECでの表記(第11条)
預かる側にも、事前に確かめることがあります。ここを飛ばすと、契約は有効でも営業のほうが違法になります。
古物営業法2条1項は、古物を「一度使用された物品」等と定義しています。未使用の物品でも、使用のために取引されたものは古物に含まれます。新品未開封の転売品も入るということです。
そして同法2条2項1号は、古物営業に「委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」を含めています。条文に「委託を受けて」と書いてあります。同法3条は、古物営業を営もうとする者に都道府県公安委員会の許可を義務づけています。
中古品を預かって売る側は、古物商の許可が要ります。配布テンプレートの第23条第2項は、乙が有する許認可を□で選び、番号を記入する欄にしました。古物商許可・酒類販売業免許・医薬品等の販売に係る許可のほか、「本契約の履行に必要な許認可等はない」という選択肢も置いてあります。
第23条第3項は、委託商品が古物に当たるときに、許可を受けずに販売しないことを乙の義務として書いています。
ECで売ってもらうときの表記(第11条第3項)
乙が自社サイトやモールで売る場合、特定商取引法に基づく表示を出すのは乙です。第11条第3項は、その表示を乙が自己の責任で行うとしたうえで、販売業者として表示する者を第1条第2項の選択に結び付けました。
乙が自己の名をもって販売するなら乙、甲の名をもって販売するなら甲が、販売業者として表示に立ちます。誰が立つかは買主と売買契約を結ぶ当事者で決まるので、協議で入れ替える事柄ではありません。
何を書く必要があるかは特定商取引法に基づく表記テンプレートにまとめてあります。
12. 紙で交わすか、電子で交わすか|紙のままで足りる条件
先に、紙のままで問題のない場合を挙げます。次の条件に当てはまるなら、無理に電子化する理由はありません。
- 契約期間が3か月以内で更新の定めを置かず、第7号文書から除かれる
- 今回1点だけを預ける個別の契約で、以後は続かない
- 相手が近くにいて、押印して手渡しできる

逆に、電子で交わす価値が出るのは、期間を1年などで置いて自動更新にする場合です。この形は第7号文書に当たります。
福岡国税局の文書回答事例では、電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合は課税文書の作成に当たらず、印紙税の課税原因は発生しないとする照会者の見解が示されました。回答年月日は平成20年10月24日、回答者は福岡国税局審理官で、「貴見のとおりで差し支えありません。」と回答されています。
ただし、同じ照会に条件が付いています。電子で送った後に現物を別途交付した場合は、課税文書の作成に該当し、現物に印紙税が課されます。
電子で締結したなら、控えを紙で渡す運用を残さないでください。配布テンプレートの第34条第4項は、この点を契約書の中に明記してあります。
第34条第1項は、書面と電磁的記録のどちらでも締結できる形です。電磁的記録を選ぶと、甲乙が電子署名を行い、各自その電磁的記録を保有します。
13. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
ファイルを開いてから締結までを、順番に書きます。
- 第1条第2項を選ぶ。乙が自分の名前で売るのか、甲の代理人として売るのかを決めます。ここで以降の条文の効き方が変わります
- 別紙1を埋める。品名・品番・数量・販売価格・料率・納品場所・委託の開始日を書きます。ここが委託商品の特定になります
- 第7条第2項の4区分を確認する。乙に危険を移すなら、第12条第1項と第13条も併せて見直します
- 第8条の保険を選ぶ。甲が付す・乙が付す・付さないの3択です。付すなら保険の種類と保険金額も書きます
- 別紙2に評価額の欄を足す。壊れたときにいくらで見るかを、預ける前に決めておきます
- 第11条の販売方法と販売区域を埋める。店頭・自社サイト・モール・催事から選び、区域を書きます
- 第13条の費用分担表を埋める。輸送費・保管費・広告宣伝費・決済手数料の欄を、甲か乙で埋めます
- 第12条第1項を選ぶ。甲が定める、上限と下限の範囲で乙が定める、乙が定めて甲は参考価格を示すの3択です
- 第15条第2項の料率を記入する。第13条で乙の負担にした費用を回収できる水準から積み上げます。第15条第3項で、計算の基礎が税抜か税込かも選びます
- 第16条の締日と送付期限、第17条の送金期限をそろえる。決めたら継続して同じ運用にします
- 第17条第3項の振込口座を埋める。金融機関名・支店名・預金の種別・口座番号・口座名義・振込手数料の負担まで書きます。ここが空欄だと、売上金の送り先が決まりません
- 第17条第4項の遅延損害金の年率を書く。送金が遅れたときに請求する根拠になります
- 第20条第1項と第21条第1項を選ぶ。買主の未払いの肩代わりと、在庫の留置を外すか残すかです。どちらも空欄のままにしないでください
- 当事者欄に登録番号を記入し、第18条第2項を選ぶ。甲が登録を受けていないなら、どちらも選ばずに第8章の扱いにします
- 第23条第2項で許認可を選ぶ。中古品を扱うなら古物商許可の番号を書きます
- 第26条第1項を選ぶ。乙が従業員を使用しない個人か、役員1人で従業員のいない法人なら、以下の項が適用されます
- 第27条と第34条を決める。契約期間と更新の定めが、収入印紙の要否につながります。締結の方法と印紙の負担者も選びます
- 残っている欄をまとめて埋める。第4条・第14条・第19条・第22条・第28条の日数、第24条第3項の購入者情報、第30条第2項と第3項の賠償の範囲と上限、第33条の管轄が残っています。ここまで埋めれば空欄がなくなります
商品を先に預けてから契約書を作ると、預けた分の条件だけが決まらないまま残ります。別紙2の納品書兼預り証は、契約書の締結と同時に運用を始めてください。
14. よくある質問(FAQ)
Q1. ハンドメイド作品を店に置いてもらうだけでも、販売委託契約書は必要ですか?
A. 作品が売れる前に壊れたり盗まれたりしたときに誰が負担するかは、契約書がなければ決まりません。民法400条と民法644条が定めるのは善良な管理者の注意までで、それを超える滅失や毀損の分担は当事者が決める事柄です。少額でも、第7条第2項の4つの区分と別紙2の預り証だけは残してください。
Q2. 店で商品が壊れた場合、代金を全額弁償してもらえますか?
A. 誰が負担するかは第7条第2項で決まります。乙の善管注意義務の違反によるものは乙、それ以外は甲です。展示や試着で生じた軽微な劣化は、第7条第5項で乙が責任を負いません。金額のほうは、販売価格の全額か材料費かを決めた法律の規定がありません。民法416条1項は、賠償の範囲を「通常生ずべき損害」と定めているだけです。別紙2の預り証に評価額を書いて上限を先に決め、第30条第3項の上限の選択と合わせて確認してください。
Q3. 販売価格をこちらで指定しても問題ありませんか?
A. 販売委託であれば、通常は指定できます。独占禁止法2条9項4号は相手方を「自己の供給する商品を購入する相手方」と定めており、買っていない受託者は文言の外にあります。ただし、流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針は、委託者の危険負担と計算において行われている場合を条件として挙げています。売れ残りを乙に買い取らせながら価格を指示する形は、この条件から外れます。
Q4. 収入印紙はいくら貼りますか?
A. 紙で作る場合、継続して販売を委託する基本契約として作成するものは、印紙税法別表第一の第7号文書に当たり、1通につき4,000円です。売買に関する業務を継続して委託し、業務の範囲や対価の支払方法を定めているためです。1点だけを一度預けるような、その都度作成する個別の契約書は、これに当たりません。契約期間が3か月以内で更新の定めがないものも、第7号文書から除かれます。電磁的記録で締結し現物を交付しなければ、課税原因は発生しません。
Q5. 販売手数料の相場は何割ですか?
A. 相場を示した公的な統計は見つかりません。中小企業基盤整備機構が配布している販売委託契約書のサンプルは、販売手数料を販売価格の20%と記入した例になっていますが、これは1つの記入例であって相場ではありません。第13条でどちらが在庫の保管費用や広告宣伝費用を負担するかによって、妥当な水準は変わります。先に第13条の費用分担を決め、乙の負担にした費用を回収できる額から料率を積み上げてください。
15. まとめ:預ける前に、誰がかぶるかを決めた1通を交わす
商品を渡してしまう前に、次の順で決めてください。決まった順に空欄が埋まります。
- 第1条第2項で、乙が自分の名前で売るか、甲の代理人として売るかを先に決める
- いくら払うかは法律が決めていない。別紙2の預り証に評価額を書いて、上限を先に決める
- 第16条の締日と送付期限は空欄にしない。甲が到達した日に継続して計上すれば到達日基準を使える
1通を締結してしまえば、次の商品は別紙1に追記して別紙2を交わすだけで回せます。
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✅ 会員登録不要・メールアドレス入力不要 — ダウンロードしてそのままWordで編集できます
✅ 第1条第2項で受託者の地位を選択 — 自己の名で売る形と、甲の代理人として売る形の2択です
✅ 第12条第1項は価格の決め方が3択 — 第5項に価格を指示できる前提を書いてあるので、どこが崩れるか分かります
✅ 第13条は費用分担表 — 輸送費・保管費・広告宣伝費・決済手数料を、甲乙どちらの負担か埋めるだけです
✅ 第16条と第17条で締日・送付期限・送金期限をそろえる — 報告と入金がずれません
✅ 第18条は媒介者交付特例に対応 — 当事者欄の登録番号の記載が通知を兼ね、精算書等の記載事項と写しの保存まで入っています
✅ 第23条第2項に許認可の表明欄 — 中古品なら古物商許可の番号を書く形にしてあります
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本記事および配布テンプレートは一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な事案の適法性や、印紙税の判定については、弁護士・税理士にご確認ください。
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