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電子契約の導入・運用

契約書が返ってこないときの対処法|催促の伝え方と、待ち時間をなくす方法

契約書を郵送したのに返ってこない。催促してよいタイミングと具体的な文面、締結前に着手してよいかの考え方、そもそも待ち時間を作らない方法をまとめました。紙のころ3〜5営業日〜2週間かかっていた締結が、電子契約で当日〜2営業日になった実例も紹介します。

公開日: (更新:

契約書を郵送したのに、いつまで経っても返ってこない。催促していいものか迷い、そのあいだ作業に着手してよいかも決まらない——契約実務でもっとも消耗する場面のひとつです。この記事では、催促のタイミングと具体的な文面締結前に着手してよいかの考え方、そしてそもそも待ち時間を発生させない方法をまとめます。取材した会社では、紙のころ3〜5営業日から2週間かかっていた締結が、電子契約に変えて当日〜2営業日になっていました。


この記事の結論

  • 契約書が返ってこない原因の多くは、相手の社内プロセス単純な失念。悪意はほとんどない
  • 催促は送付から5営業日が目安。それより前に催促するより、送付時に期限を伝えておくほうが効く
  • 催促の文面は「督促」ではなく「確認とリマインド」の形にする。相手の手間を減らす提案を添えると動きやすい
  • 締結前の着手は、条件の証拠が残らないリスクを負う判断になる。着手せざるを得ないならメールで条件を確認しておく
  • 郵送の往復にかかる日数は、電子契約にすればまるごと消える。取材先では当日〜2営業日で締結できている

目次

  1. なぜ契約書は返ってこないのか
  2. 返ってこないと何が起きるか|取材先で起きていたこと
  3. 催促するときの伝え方【文面例つき】
  4. 契約書が返る前に、作業を始めてもいいのか
  5. そもそも待ち時間を作らない4つの方法
  6. 電子契約に切り替えた4社の締結日数
  7. それでも相手が紙を希望する場合
  8. 契約書が返ってこないときのよくある質問

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1. なぜ契約書は返ってこないのか

押印と郵送で契約書をやりとりするイメージ

契約書が返ってこないとき、相手が渋っていると考えがちですが、実際の原因はもっと単純なことが多いです。

① 相手の社内で押印手続きが止まっている 決裁者が不在、稟議が回っていない、押印担当者が別部署にいる。規模の大きい会社ほど、契約書は複数人の手を経由します。担当者は送ったつもりでも、社内のどこかで止まっているケースです。

② 単純に忘れられている 届いた封筒が机の上に置かれたまま、というのは珍しくありません。悪意ではなく、優先順位が下がっているだけです。契約書は「届いた側にとっては急ぎではない」という非対称が、そもそもの構造です。

③ 内容を確認中で止まっている 条項に疑問があるが、指摘するほどでもないと迷っている。相手が持ち帰って検討していると、こちらには「何も起きていない」ように見えます。

④ 返送の手間が面倒 押印して、封筒に入れて、切手を貼って、ポストに出す。この一連が相手にとっての負担になります。特に個人事業主や小規模な会社では、この工程だけで数日ずれることがあります。

⑤ 郵便事故・住所不備 頻度は低いものの、届いていない可能性はゼロではありません。5営業日を過ぎても反応がない場合は、まず到着確認から入るのが安全です。

原因の①〜④はいずれも相手を責めても解決しません。次章以降の対処は、この前提に立っています。


2. 返ってこないと何が起きるか|取材先で起きていたこと

契約書が返ってこないことの本当の問題は、待ち時間そのものではなく、その先の仕事が始められないことです。導入事例として取材した会社では、規模や業種を問わず同じ構造の困りごとが出ていました。

動画制作のフリーランス(福島県・個人事業主)

動画制作の依頼を受けた際、NDA(秘密保持契約)の締結が必要だったのですが、先方が郵送の手間を面倒がってなかなか返送してくれず、契約が完了しないために1週間以上も実際の作業(素材の受け渡しなど)に着手できず、納期がギリギリになってしまったことがありました。

NDAは制作物そのものではなく、制作を始めるための前提です。前提の締結が遅れると、納期だけがそのまま迫ってきます。詳しい経緯は動画クリエイターの導入事例にまとめています。

卸売業(静岡県・従業員11〜30名)

月末の忙しい時期に契約書を郵送したのですが、先方の押印がなかなか返ってこず、電話で何度か確認することがありました。結局1週間近くかかり、その間は発注を進めにくくて予定が少しずれたことがあります。

契約が締結できないと、その先の発注に進みにくくなる。催促の電話をかける手間まで発生していました。この会社の詳細は卸売業の導入事例にまとめています。

規模や業種が違っても、出てくる困りごとは同じでした。契約書のやりとりが業務の入り口にあり、そこが詰まると全体が止まる。個人事業主でも100名規模の会社でも、構造は変わりません。締結が確定しないまま開始日が近づくと、着手するかどうかの判断を受注側が背負うことにもなります。


3. 催促するときの伝え方【文面例つき】

契約書の返送が遅いとき、催促は気が引ける作業です。ただ遅れるほど言い出しにくくなるので、目安を決めておくのが実務的です。

タイミングの目安

経過日数 やること
送付〜3営業日 何もしない(相手の社内プロセスの時間)
5営業日 1回目の確認。到着確認とリマインドを兼ねる
7〜8営業日 2回目。期限を示して、代替手段を提案する
10営業日以降 電話で直接確認。別の連絡経路も検討する

3営業日以内の催促は、相手の社内プロセスが動いている最中に急かすことになり、心証を悪くしがちです。逆に10営業日を過ぎると「忘れられている」ことがほぼ確定するので、メールだけでは動かない可能性が高くなります。

1回目:到着確認とリマインドを兼ねる(送付から5営業日)

督促ではなく確認の形にすると、相手も返しやすくなります。

○○様

お世話になっております。□□の△△です。

先日お送りした業務委託契約書について、無事お手元に届いておりますでしょうか。郵便のこともありますので、念のため確認のご連絡をさせていただきました。

ご確認・ご返送のお手続きにお時間をいただいているようでしたら、こちらのスケジュールを調整いたしますので、目安の時期をお知らせいただけますと助かります。

お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

ポイントは「郵便のこともあるので」と理由を添えることです。相手を疑っている印象を避けつつ、状況を確認できます。「目安の時期を教えてください」と聞くことで、相手に返事の口実を渡す形にもなります。

2回目:期限を示し、代替手段を提案する(7〜8営業日)

1回目で反応がない場合は、こちらの都合を具体的に伝える段階に入ります。

○○様

お世話になっております。□□の△△です。度々のご連絡失礼いたします。

先日お送りした契約書の件ですが、△月△日から作業を開始する予定のため、恐れ入りますが△月△日までにご返送いただけますと幸いです。

もしご返送のお手間がかかるようでしたら、電子契約でのご締結もご用意できます。メールでお送りするリンクから、そのままご署名いただける形です。アカウントの登録などは不要ですので、郵送より手間なくお進めいただけるかと思います。ご希望でしたらお知らせください。

よろしくお願いいたします。

期限を伝えるときは理由とセットにするのが基本です。「△日から作業を開始するため」という背景があると、単なる催促には見えません。

あわせて代替手段を提案しておくと、返送そのものが面倒で止まっていた場合に一気に動きます。原因④のケースはこれで解決します。

3回目:電話に切り替える

メールを2回送って反応がない場合、メールが届いていない・見られていない可能性があります。別の経路に切り替える判断が必要です。担当者が不在なら、部署の代表番号にかけて状況を確認します。


4. 契約書が返る前に、作業を始めてもいいのか

実務でもっとも悩ましいのがここです。締結を待っていると納期に間に合わない、しかし着手して条件が変わったら困る。

考え方として押さえておきたいのは、契約書がなくても契約自体は成立しうるという点です。日本の法律では、多くの契約は当事者の合意があれば成立し、書面は必須ではありません(保証契約など、書面が要件とされているものもあります)。

問題は成立の有無ではなく、あとから条件を証明できるかどうかです。契約書がない状態で作業を進めて、報酬・納期・成果物の範囲について認識の食い違いが出たとき、証拠が残っていないと立場が弱くなります。

どうしても着手せざるを得ないときは、最低限メールで条件を確認しておくのが現実的です。

○○様

契約書のご返送を待っているあいだ、納期の都合上、先に着手させていただきます。

認識に相違がないか、下記のとおり確認させてください。 ・業務内容:〇〇 ・報酬:〇〇円(税込) ・納期:△月△日 ・支払期日:△月末日

相違がございましたらご指摘ください。特にご連絡がなければ、この内容で進めさせていただきます。

メールのやりとりも、条件を示した記録として機能します。契約書に代わるものではありませんが、何も残っていない状態よりは大きく違います

なお、この判断そのものを不要にするのが電子契約です。締結が当日〜2営業日で完了すれば、「待つか、見切り発車するか」という二択が発生しません。


5. そもそも待ち時間を作らない4つの方法

紙・郵送の契約から電子契約に切り替えるイメージ

催促の技術より、催促が必要な状態を作らないほうが確実です。

① 送付時に期限を伝えておく あとから催促するより、最初に「△月△日までにご返送ください」と書いておくほうが圧倒的に効きます。期限がない書類は、相手の優先順位で後ろに回ります。送付状に1行入れるだけです。

② 返信用封筒を同封する 相手の手間を減らすと返送率が上がります。切手を貼った返信用封筒を入れておくだけで、「封筒を用意する」「切手を買う」という工程が消えます。郵送でのやりとりの基本は契約書の郵送方法にまとめています。

③ 送付したことをメールで伝える 郵送しただけでは、いつ届いたか相手も把握していません。「本日、契約書を発送しました。△日ごろ到着予定です」と一報を入れておくと、相手の側でも予定に組み込まれます。

④ 郵送そのものをやめる ①〜③はいずれも郵送を前提にした改善で、往復の日数自体は縮みません。押印して封入して投函する工程が残る限り、相手の手間もなくなりません。

電子契約に切り替えると、この工程がまるごと消えます。受け取る側はメールのリンクを開いて署名するだけになり、押印も封入も投函も発生しません。返送の手間が原因で止まっていたケース(原因④)は、これで構造的に解消します。


6. 電子契約に切り替えた4社の締結日数

ムスビサインの導入事例として取材した4社の、締結までの日数をまとめます。

事例 規模 紙・郵送のころ 電子契約に切り替えたあと
動画クリエイター(福島県) 個人事業主1名 1〜2週間 当日 ※1
ライター(兵庫県) 個人事業主1名 3〜5営業日 1〜2営業日
IT企業(東京都) 従業員101名以上 3〜4営業日 1〜2営業日
卸売業(静岡県) 従業員11〜30名 3〜5営業日 当日

※いずれもご本人の申告による概算です。 ※1 動画クリエイターの「当日」は、この方が最初に導入した他社サービスを使っていたときの値です。ムスビサイン利用時の測定値は取材していません。

この表から読み取れることが2つあります。

規模を問わず、紙のころは3〜5営業日以上かかっていた。個人事業主でも従業員101名以上の会社でも、郵送の往復にかかる時間は変わりません。押印と投函と配達という工程が同じだからです。

電子契約後の日数は、相手の社内プロセスで決まる。当日締結になった2社は、取引先が個人事業主や従業員10名以下の会社が中心です。一方1〜2営業日かかった2社は、取引先に中堅・大企業を含んでいます。電子契約にしても、相手の社内での確認・承認の時間までは短縮されません。それでも郵送の往復にかかっていた日数はまるごと消えます。


7. それでも相手が紙を希望する場合

取引先とオンラインで契約を締結するイメージ

電子契約を提案しても、相手が紙を希望することはあります。取材した卸売業の会社も、一度は「紙のほうが安心」と言われて見送っていました。

ただしその会社があらためて導入したところ、取引先の反応は「最初は戸惑いがあったが問題なかった」でした。取引先に年配の方が多く、しかも毎回違う相手という条件下での結果です。断られた記憶と、実際に運用してみた結果は違うことがあります。

相手が難色を示す理由の多くは「新しいツールを導入させられるのでは」という警戒です。ムスビサインは受け取る側にアカウント登録もアプリのインストールも求めないため、お願いするのは「届いたメールのリンクから署名する」ことだけです。伝え方は取引先への電子契約の説明方法にまとめています。

それでも紙を希望される場合は、無理に押し切らず郵送で進めるのが現実的です。すべての取引先を一度に切り替える必要はありません。応じてくれる相手から順に電子契約にしていけば、その分の待ち時間は確実になくなります。


8. 契約書が返ってこないときのよくある質問

Q1. 契約書を送ってから何日待つのが普通ですか?

A. 郵送の場合、3〜5営業日が目安です。本記事で紹介した取材事例4社でも、紙のころの締結までの日数は3〜5営業日から1〜2週間でした。到着に1〜2日、相手の社内での確認・押印に1〜2日、返送に1〜2日かかるため、往復で1週間近くになるのが一般的です。

Q2. 催促していいのはいつからですか?

A. 送付から5営業日が目安です。3営業日以内は相手の社内プロセスが動いている最中の可能性が高く、急かすと心証を悪くしがちです。逆に10営業日を過ぎるとメールだけでは動かないことが多いため、電話への切り替えを検討してください。

Q3. 催促の文面はどう書けばいいですか?

A. 1回目は「督促」ではなく「到着確認」の形にします。「郵便のこともありますので念のため確認のご連絡をさせていただきました」と理由を添えると、相手を疑っている印象を避けられます。2回目は期限とその理由(△日から作業を開始するため)をセットで伝え、あわせて電子契約という代替手段を提案すると、返送の手間が原因で止まっていた場合に動きやすくなります。文面例は本記事の3章に掲載しています。

Q4. 契約書が返ってこないまま、作業を始めてもいいですか?

A. 多くの契約は当事者の合意があれば成立し、書面は必須ではありません(保証契約など書面が要件とされるものもあります)。問題は成立の有無ではなく、あとから条件を証明できるかです。どうしても着手が必要なときは、業務内容・報酬・納期・支払期日をメールで確認し、記録を残しておいてください。個別の判断に迷う場合は、弁護士等の専門家にご相談ください。

Q5. 相手が押印を忘れているだけのようです。どう伝えれば角が立ちませんか?

A. 「ご確認・ご返送のお手続きにお時間をいただいているようでしたら、こちらのスケジュールを調整いたしますので、目安の時期をお知らせいただけますと助かります」のように、相手に返事の口実を渡す形にすると角が立ちません。忘れていた側も「確認しておきます」と答えやすくなります。

Q6. 電子契約にすると、本当に締結が早くなりますか?

A. 郵送の往復にかかっていた日数はなくなります。取材した4社では、紙のころ3〜5営業日から1〜2週間かかっていた締結が、電子契約で当日〜2営業日になっています。ただし相手の社内での確認・承認の時間までは短縮されません。取引先に中堅・大企業が多い場合は1〜2営業日、個人事業主や小規模な会社が中心の場合は当日、という差が出ています。

Q7. 取引先が電子契約に応じてくれない場合はどうすればいいですか?

A. すべての取引先を一度に切り替える必要はありません。応じてくれる相手から順に電子契約にしていけば、その分の待ち時間は確実になくなります。ムスビサインは受け取る側にアカウント登録もアプリのインストールも求めないため、相手にお願いするのは「届いたメールのリンクから署名する」ことだけです。


まとめ|催促の技術より、待ち時間をなくすほうが早い

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契約書が返ってこない原因の多くは、相手の社内プロセスか単純な失念です。悪意はほとんどありません。だからこそ、催促は「督促」ではなく「確認とリマインド」の形にし、相手の手間を減らす提案を添えるのが有効です。

ただし、送付時に期限を伝える・返信用封筒を入れるといった工夫は、いずれも郵送を前提にした改善で、往復の日数自体は縮みません。押印して封入して投函する工程が残る限り、相手の手間もなくなりません。

取材した4社では、紙のころ3〜5営業日から1〜2週間かかっていた締結が、電子契約に切り替えて当日〜2営業日になっています。ムスビサインは受け取る相手にアカウント登録を求めないので、お願いするのは「メールのリンクから署名する」ことだけです。月3件まで無料で試せるので、まず1通、応じてくれそうな相手から送ってみてください。

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