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解体工事請負契約書テンプレート・雛形|建設リサイクル法4事項・地中埋設物・残置物

解体工事請負契約書テンプレート(全34条+別紙3本)を無料ダウンロード。会員登録不要でWord形式のまま使えます。建設リサイクル法13条の4事項を書く別紙2、地中埋設物・石綿・残置物の費用負担、印紙税、電子契約の要件まで実務目線で解説します。

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解体工事請負契約書テンプレート

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2026-09-09
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この解体工事請負契約書、印刷・郵送・押印なしでそのまま送れます。

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「解体の見積りは取ったが、業者が持ってきた契約書が1枚だけで、これで足りているのか分からない」 「工事の途中で地中からコンクリートの塊が出たと言われ、追加費用を請求された」 「建設リサイクル法の届出は業者がやってくれるものだと思っていた」

この3つはどれも、契約書の書き方で先に片づけられます。一定規模以上の解体では、建設業法19条1項の15事項に建設リサイクル法13条1項の4事項が足されて19事項になります。都道府県知事への届出義務者は、業者ではなく発注者です。

この記事では、発注者(甲)と、その発注者から直接工事を請け負う元請業者(乙)が、1つの解体工事について取り交わす解体工事請負契約書のWordテンプレート(全34条+別紙3本)を、会員登録不要で配布しています。

この記事の結論

  • 配布するのは全34条+別紙3本。建設業法19条1項の15事項+建設リサイクル法13条1項の4事項=19事項。
  • 4事項に法定の様式はない。別紙2に、工程・2つの費用・搬入先の施設を書けば足りる。
  • 対象かどうかは、建築物の解体なら床面積の合計80平方メートル(建設リサイクル法施行令2条)。
  • 届出義務者は発注者。建設リサイクル法10条1項は着手の7日前まで。届出漏れは20万円以下の罰金。
  • 石綿の除去作業の届出も発注者。大気汚染防止法18条の17第1項により作業開始の14日前まで。
  • 追加費用の火種は3つ。地中埋設物は第9条・第10条、石綿は第11条、残置物は第12条で割り当てる。
  • 残置物の処理責任は建物の所有者。着工前に片づけるか、別紙3で有償委託にするかを決める。
  • 紙なら第2号文書。1万円以上100万円以下は200円、1万円未満は非課税。

目次

  1. 解体工事請負契約書テンプレートの無料ダウンロード
  2. この契約書を誰と、いつ交わすか|解体工事業の登録確認と、着工7日前からの逆算
  3. 解体工事だけに増える4つの記載事項|あなたの工事が対象かを先に判定する
  4. 業者の契約書に何が欠けているか|15事項+4事項と配布テンプレートの条番号
  5. 別紙2の埋め方|分別解体等の方法・2つの費用・搬入先の施設
  6. 地中埋設物が出たら追加費用を払うのか|第9条と第10条で判断する
  7. 石綿|調査・報告・届出・費用を、甲と乙のどちらに割り当てるか(第11条)
  8. 残置物と解体物|家具・家電は誰が捨てるのか(第12条・第13条)
  9. 引渡しで何を確認し、あとで何を受け取るか(第19条〜第22条)
  10. 空欄の埋め方|必ず決める欄と、使わないなら閉じてよい欄
  11. 印紙税|第2号文書としていくら貼るか、甲と乙のどちらが貼るか
  12. 個人の施主と交わすとき|クーリング・オフと、紙のままで足りる場合
  13. 電子で交わすか|19条3項・13条3項と、3つの技術的基準
  14. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
  15. よくある質問(FAQ)
  16. まとめ:19事項を満たした契約書を1通、今週中に取り交わす

1. 解体工事請負契約書テンプレートの無料ダウンロード

配布しているのは、Word形式の解体工事請負契約書の雛形です(全34条+別紙3本)。建物を1棟壊す、塀と物置だけを撤去する、といった1つの工事について、発注する側と請け負う側が1通を取り交わす形にしてあります。

甲が個人の施主でも、法人の発注担当でも、そのまま使えます。

会員登録不要・メールアドレス入力不要・そのまま編集できるWord形式

建設業法19条1項の15事項と、建設リサイクル法13条1項の4事項に対応

4事項を書き込む別紙2つき(対象かどうかの判定表つき)

地中埋設物・石綿・残置物の費用と届出の割り当てを条文化

取毀し証明書と再資源化等の完了報告を、乙の義務として明記

紙でも電子でも締結できる末尾書式と、電磁的措置の事前承諾欄つき

👉 解体工事請負契約書テンプレートを無料ダウンロード(会員登録不要)

解体ではない建築・土木の工事を発注する、あるいは受注するなら、工事請負契約書テンプレートのほうが合います。建設業法19条1項の15事項の逐条解説も、そちらに置いてあります。

元請として受けた解体工事の一部を下請に出すなら、工事下請基本契約書テンプレートを別に結びます。契約の前に出す見積りの様式は見積書テンプレートにあります。

2. この契約書を誰と、いつ交わすか|解体工事業の登録確認と、着工7日前からの逆算

解体は、依頼してから着工までの日数が短い工事です。相手を決めたその週に着工日を握ってしまうと、届出が間に合いません。

確かめるのは、許可ではなく登録です。

建設リサイクル法21条1項は、解体工事業を営もうとする者に、その区域を管轄する都道府県知事の登録を義務づけています。建設業法の土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可を受けた者だけが、この登録から除かれます。

建設業法3条1項ただし書は、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う者を許可の対象から外しています。その軽微な建設工事を、建設業法施行令1条の2が、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事などと定めています。

つまり、住宅1棟の解体しか請けない業者は建設業の許可を持っていないことがありますが、その場合でも解体工事業の登録は別に必要です。登録は5年ごとに更新しなければ効力を失います(建設リサイクル法21条2項)。

登録を受けないで解体工事業を営んだ者は、建設リサイクル法48条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。

配布テンプレートは、前文と末尾の署名欄に、建設業許可の欄と解体工事業登録の欄を別々に置いてあります。許可がないなら「なし」、登録が要らないならその理由を書く形です。

何を書くか 記入例
乙の建設業許可 許可行政庁と許可番号。許可がなければ「なし」 「東京都知事許可(般-00)第000000号」「なし」
乙の解体工事業登録 登録した都道府県と登録番号。要らないならその理由 「東京都知事登録(解体工事業)第000号」「解体工事業の許可があるため登録不要」

工事の一部を下請に出す相手についても、同じ確認が要ります。配布テンプレートの第28条は、乙が下請負人の登録または許可を確認する義務を置いています。

次に、着工日から契約日を逆算します。

建設リサイクル法10条1項は、対象建設工事の届出義務を発注者(自分で施工する場合は自主施工者)に課し、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出るよう求めています。届け出るのは業者ではありません。

さらに同法12条1項は、契約を締結する前に、受注しようとする建設業を営む者が発注者に対し、10条1項1号から5号までの事項を記載した書面を交付して説明することを義務づけています。

この事前説明の書面が、別紙2を埋めるときの最初の材料になります。国土交通省の質疑応答集が挙げている説明の項目は、解体する建築物等の構造、使用する特定建設資材の種類、工事着手の時期および工程の概要、分別解体等の計画、解体する建築物等に用いられた建設資材の量の見込みの5つです。

ただし、再資源化等をするための施設の名称および所在地は、この5つに含まれていません。見積りを受け取るときに、どの施設へ持ち込むのかを業者に別途聞いてください(第5章)。

順番は「業者からの説明 → 契約 → 届出 → 着工」です。届出には契約で決めた分別解体等の計画を書くので、契約が先になります。着工日が決まっているなら、その7日前の届出よりさらに前に契約を終える日程で動いてください。

石綿の除去が要る場合は、この7日前よりも早い期限が別に走ります(第7章)。着工日から逆算すると、順序はこうなります。

  1. 業者から事前説明の書面を受け取る(契約の前)
  2. 契約を締結する
  3. 石綿の除去作業をするなら、その作業の開始の日の14日前までに都道府県知事へ届け出る
  4. 建設リサイクル法の届出を、工事に着手する日の7日前までに出す
  5. 届出の受理から7日以内は、計画の変更その他の措置を命じられることがある
  6. 着工する

次に、その届出をどこの窓口に出すかです。

届出の宛先は都道府県知事ですが、受け付ける窓口は知事とは限りません。建設リサイクル法施行令9条1項は、建築主事を置く市町村または特別区の区域内で施工される対象建設工事について、10条の届出の受理を市区町村長が行うとしています。工事場所の市区町村に建築主事が置かれているかどうかで、持ち込む先が変わります。配布テンプレートの第6条6項は、この確認を甲乙双方の作業として書いてあります。

義務者は発注者のままですが、手続そのものは受注者に頼めます。質疑応答集は、行政書士・建築士以外の受注者等でも、業として行わないのであれば届出の代理・代行を行えるとしています。第6条7項が、この扱いを条文にしてあります。

委任状には、全国共通の様式がありません。同質疑応答集は、委任状が必要かどうかは都道府県・市区町村ごとに取扱いが異なるため、届出の窓口に確認することとしています。乙に代行を頼むと決めたら、まず窓口へ「委任状は要るか、様式はあるか」を聞いてください。

変更命令が無いという連絡は来ません。質疑応答集は、変更命令がないという連絡は行わないとしたうえで、届出の受理から7日以内に変更命令がなければ、変更命令はないものと理解してよいとしています。連絡が来ないことを、通っていない印だと読まないでください。

受注側にも、契約後まで続く義務があります。解体工事業に係る登録等に関する省令9条は、解体工事業者の帳簿を解体工事ごとに作成し、建設業法19条1項・2項の書面またはその写しを添付するよう求め、その帳簿と添付書類を閉鎖後5年間保存するよう求めています。契約書を1通きちんと作ることは、この保存義務にそのまま効いてきます。

3. 解体工事だけに増える4つの記載事項|あなたの工事が対象かを先に判定する

電子契約の法的有効性のイメージ

手元にある工事請負契約書の雛形をそのまま解体に使うと、書面としては足りません。解体では、書く事項が4つ増えるからです。

建設リサイクル法13条1項は、対象建設工事の請負契約の当事者に対し、建設業法19条1項の事項に加えて、分別解体等の方法・解体工事に要する費用その他の主務省令で定める事項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付することを義務づけています。

この「主務省令で定める事項」を定めているのは、建設リサイクル法施行規則ではなく、特定建設資材に係る分別解体等に関する省令7条です。中身は次の4つです。

  1. 分別解体等の方法(同条1号)
  2. 解体工事に要する費用(同条2号)
  3. 再資源化等をするための施設の名称および所在地(同条3号)
  4. 再資源化等に要する費用(同条4号)

国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、一定規模以上の解体工事等の契約書面について、建設業法19条1項の15事項に加えてこの4事項の記載が必要になると整理しています。合わせて19事項という数え方です。

では、自分の工事は対象なのか。判定は床面積か請負代金で決まります。

建設リサイクル法9条1項は、特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事のうち、規模の基準以上のものを「対象建設工事」としています。特定建設資材は、施行令1条がコンクリート、コンクリートおよび鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4つを挙げています。木造住宅もコンクリート基礎の建物も、まず特定建設資材を使っています。

規模の基準は建設リサイクル法施行令2条です。解体に関係するのは次の2つです。

工事の種類 規模の基準
建築物に係る解体工事 床面積の合計80平方メートル
建築物以外のもの(塀・擁壁・土間コンクリート等)に係る解体工事 請負代金の額500万円

迷ったら、まず登記事項証明書か固定資産税の課税明細で床面積の合計を確かめてください。塀や擁壁だけを壊すなら、請負代金の額で判定します。

分けて発注すれば逃げられる、という話にはなりません。建設リサイクル法施行令2条2項は、同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合には、1つの契約で請け負ったものとみなして基準を適用するとしています。

ただし、同項にはただし書があります。正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りでないとされています。何が正当な理由に当たるかは事案によるので、分割して発注するなら、その理由を説明できる状態にしておいてください。

対象にならない工事でも、別紙2は外さないでください。配布テンプレートの第5条は、対象建設工事に該当しない場合や、書くべき内容がない欄について「該当なし」と記載したうえで別紙2を添付する形にしてあります。あとから対象だったと分かったときに、判定した記録が残っているほうが早く片づきます。

罰則の有無は、事項ごとに違います。建設リサイクル法の罰則が対象としているのは21条1項の無登録営業などで、13条の書面義務の違反そのものは罰則の対象として挙げられていません。建設業法19条1項の違反も、直ちに罰金が科されるのではなく、同法28条による監督処分の対象になります。

一方で、大気汚染防止法の届出と報告(第7章)、建設リサイクル法18条の記録の保存(第9章)には、罰則や過料が置かれています。

発注者自身の届出も、忘れると罰金の対象です。建設リサイクル法51条1号は、10条1項の届出をせず、または虚偽の届出をした者を20万円以下の罰金の対象としています。書面の不備には罰則がなく、届出の不履行にはある、という差です。

4. 業者の契約書に何が欠けているか|15事項+4事項と配布テンプレートの条番号

業者から渡された契約書が1枚だけでも、それで足りているかどうかは自分で確かめられます。左に記載事項、右に配布テンプレートのどの条が対応するかを並べたので、渡された1枚を上から突き合わせてください。無い行が、そのまま欠けている事項です。

自社で契約書を作っている場合も、作り直す必要はありません。欠けているものだけを移植すれば済みます。

まず、建設業法19条1項の15事項です。

記載事項 根拠 配布テンプレートの条
工事内容 19条1項1号 第2条(工事の概要)
請負代金の額 19条1項2号 第4条(請負代金の額及びその内訳)
工事着手の時期及び工事完成の時期 19条1項3号 第3条(工期及び工事を施工しない日又は時間帯)
工事を施工しない日又は時間帯 19条1項4号 第3条(同上)
前金払・出来形部分に対する支払の定め 19条1項5号 第7条(前金払及び出来形部分に対する支払)
設計変更・工事着手の延期・工事の中止 19条1項6号 第14条(設計変更、工事の中止等)
不可抗力による工期の変更・損害の負担 19条1項7号 第15条(不可抗力による工期の変更及び損害の負担)
価格等の変動に基づく請負代金の額の変更 19条1項8号 第16条(価格等の変動に基づく請負代金の額の変更)
第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担 19条1項9号 第17条(近隣対策及び第三者に及ぼした損害)
注文者が資材を提供・機械を貸与する場合の定め 19条1項10号 第18条(甲の提供する資材、電気及び水道)
検査の時期・方法と引渡しの時期 19条1項11号 第19条(完成の確認及び引渡し)
工事完成後の請負代金の支払の時期・方法 19条1項12号 第8条(工事完成後の請負代金の支払)
契約不適合責任の内容 19条1項13号 第22条(契約不適合責任)
履行遅滞・債務不履行の場合の遅延利息と違約金 19条1項14号 第23条(履行遅滞、遅延利息及び違約金)
紛争の解決方法 19条1項15号 第33条(紛争の解決)・第34条(合意管轄)

次に、解体で増える4事項です。

記載事項 根拠 配布テンプレートの書き場所
分別解体等の方法 分別解体等省令7条1号 別紙2の1
解体工事に要する費用 同条2号 第4条/別紙2の2
再資源化等をするための施設の名称及び所在地 同条3号 別紙2の3
再資源化等に要する費用 同条4号 第4条/別紙2の4

記載事項の数が資料によって食い違って見えるのは、数え方の違いです。建設業法19条1項の法文には第16号として「その他国土交通省令で定める事項」が置かれていますが、ガイドラインは15の事項として整理しています。実務で数え上げるのは15事項です。

💡 19事項を満たした解体工事の契約書がWordで手に入ります

会員登録もメールアドレスの入力も要りません。上の対照表どおりに条を並べてあるので、自社の既存の契約書と1行ずつ突き合わせて、欠けている事項だけを移植する使い方もできます。ダウンロードしたら、まず別紙2の判定欄に印を付けてください。

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5. 別紙2の埋め方|分別解体等の方法・2つの費用・搬入先の施設

4事項を書けと求められて最初に詰まるのは、「どの様式に、どこまで細かく書くのか」です。ここは公式に答えが出ています。

国土交通省の建設リサイクル法質疑応答集は、契約書面の様式は定められていないとしたうえで、建設業法19条1項の事項と4事項が記載されていればよいとしています。つまり自作の別紙で構いません。配布テンプレートの別紙2は、この4事項を上から順に埋めるだけの形にしてあります。

中央建設業審議会の民間建設工事標準請負契約約款(乙)の契約書様式も、対象建設工事の場合にこの4項目をそれぞれ記入する形をとっています。

1つめ|分別解体等の方法。

工程ごとに「手作業」か「手作業及び機械による作業」かを記載すれば足ります。質疑応答集がそう答えています。文章で工法を説明する必要はありません。

別紙2は、次の5工程にチェック欄を置いてあります。

工程 記入例
建築設備、内装材等の取り外し 手作業
屋根ふき材の取り外し 手作業
外装材及び上部構造部分の解体 手作業及び機械による作業
基礎及び基礎ぐいの解体 手作業及び機械による作業
その他の工作物の解体 手作業及び機械による作業

内装材と屋根を手作業で外し、躯体から重機を入れる段取りなら、上の例のようになります。実際の順序は業者に確認して、そのとおりに印を付けてください。

工程そのものが無いときの書き方も、決まっています。塀だけを壊す工事のように、屋根ふき材の工程が存在しない現場があります。

国土交通省の届出の記載例は、屋根ふき材の工程が無い建物について、その工程の作業内容を「無」とし、分別解体等の方法の欄は空欄のままとし、工程の順序は「その他」を選んでその理由に「屋根ふき材が無いため」と記載する例を示しています。「該当なし」でも斜線でもありません。

配布テンプレートの別紙2も、存在しない工程についてはいずれのチェックも付けず、特記事項の欄にその工程が無い旨と理由を書く形にしてあります。

2つめ|解体工事に要する費用。

ここは、甲が自分で積算する欄ではありません。業者に見積りを2つの額に割ってもらい、それを書き写す欄です。

質疑応答集は、当該工事のうち解体工事に要する費用について、発注者と受注者が合意した金額を記載すればよいとしています。相場や積算根拠を突き合わせる必要はなく、合意した額をそのまま書きます

費用の範囲も、当事者で決めてよいことになっています。質疑応答集は、直接工事費のみとするか間接費も含めるのかについて、当事者間で合意していれば特段の定めはないとしています。配布テンプレートの第4条3項は、この範囲を3つの選択肢から選ぶ形にしてあります。

  • 直接工事費のみとする
  • 直接工事費のほか、共通仮設費、現場管理費その他の間接費を含む
  • 自分たちで決めた範囲を書く

見積書が「解体工事費」「廃材処分費」「諸経費」のような行で来ているなら、その各行をどちらの費用に入れたのかを業者に確かめ、2つの額として出してもらってください。3行をどう割るかを示した公的な資料はありません。割り方を決めるのは発注者ではなく、見積りを作った業者です。この欄でやることは、引き出した額を第4条2項と別紙2の同じ場所に書くことだけです。

3つめ|再資源化等をするための施設の名称及び所在地。

質疑応答集は、法の趣旨を踏まえると特定建設資材について記載すれば十分としています。特定建設資材以外の廃材について、搬入先の施設まで書き出す必要はありません。ただし、特定建設資材廃棄物ごとに搬入先が異なる場合は、すべての施設の名称と所在地を記載する必要があります。

別紙2は、特定建設資材ごとに1行ずつ用意してあります。

特定建設資材 施設の名称 所在地
コンクリート ○○リサイクルセンター ○○県○○市○○1-2-3
コンクリート及び鉄から成る建設資材 ○○リサイクルセンター ○○県○○市○○1-2-3
木材 ○○木材リサイクル工場 ○○県○○市○○4-5-6
アスファルト・コンクリート 該当なし 該当なし

駐車場の土間アスファルトを壊さない工事なら、アスファルト・コンクリートは出ません。出ないものは空欄にせず「該当なし」と書きます。配布テンプレートの別紙2は、記載すべき内容がない欄に「該当なし」と書く決まりにしてあります。

この欄だけは、手元の書類から写せません。契約前に業者から受け取る事前説明の書面には、施設の名称および所在地が含まれていないからです(第2章)。見積りを受け取る段階で、「コンクリートと木材はどこへ持ち込みますか」と聞いてください。施設名と所在地を口頭で聞いたら、そのまま別紙2に書き写します。

4つめ|再資源化等に要する費用。

2つめと同じ考え方で、合意した額を書きます。ただし、中身には手がかりがあります。質疑応答集は、この費用について、運搬費や受入費など再資源化等を適正に実施するために必要な金額であることを前提としています。廃材を施設まで運ぶ費用と、施設に受け入れてもらう費用は、こちら側の額です。

2つの費用は、どちらも「当該工事のうち」の費用です。合計を請負代金の総額に一致させなければならない、という決まりはありません。

一致させる相手は別のところにあります。配布テンプレートは、この2つの金額を第4条(請負代金の額及びその内訳)にも書かせ、別紙2の額と一致させる決まりにしてあります。片方だけ直すと、内訳と別紙2が食い違います。金額を動かしたら、必ず両方を直してください。

埋め終わったら、別紙2の先頭にある「対象建設工事に該当する/しない」のどちらかに印を付けます。ここが埋まっていれば、届出のときに書き写す材料もそろっています。

6. 地中埋設物が出たら追加費用を払うのか|第9条と第10条で判断する

電子契約で注意すべき点のイメージ

解体で追加費用の話になりやすいのは、掘ってみたら出てきた、という費用です。前の建物の基礎、古い浄化槽、井戸、埋めたガラ。請求書を見てから「聞いていない」と言い合っても片づきません。契約の時点で、どちらが情報を出す義務を負っていたのかで切ります

建設業法20条の2第1項は、注文者に対し、工期や請負代金の額に影響を及ぼす省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに建設業者へ通知することを義務づけています。

その事象を、建設業法施行規則13条の16第1項が2つ挙げています。1つめが地盤の沈下・地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象、2つめが騒音・振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象です。同規則13条の17は、この通知を書面の交付で行わなければならないとしています。

国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、発注者が地下埋設物による土壌汚染を知りながら情報提供せずに見積りを行わせ契約した場合を、建設業法上違反となる行為事例として挙げ、これが20条の2第1項に違反すると明記しています。

20条の2には、資材の高騰などを受注者の側から通知する第2項もありますが、そちらは元請と下請のあいだの話です。

配布テンプレートの第9条は、この通知を甲の義務として書いたうえで、締結時にどちらだったかをチェックで固定します。

  • 甲は、乙が見積りを行う前に通知を書面で行い、乙はこれを受領した(通知の年月日を記入)
  • 甲は、締結の時点で、そのような事情を認識していない

このチェックの結果が、追加費用を協議するときの出発点になります。認識していないと確認した場合でも、締結後に情報を得たときは直ちに通知する義務が残り、甲が持っている過去の建築・増改築・埋設の記録を乙へ提供する義務も置いてあります。

出てきたあとの手続は第10条です。乙は、別紙1に記載のない基礎・基礎ぐい・地下室・井戸・浄化槽などを発見したときは、直ちに書面で甲に通知します。通知を受けた甲は乙と協議して処理の方法を定め、乙は指示があるまでその部分の施工を止めます。危険の防止など緊急やむを得ない場合だけが例外です。

そのうえで、甲または乙は、必要と認められる工期の変更または請負代金の額の変更を求めることができます。民間建設工事標準請負契約約款(乙)も、土壌汚染・地中障害物の発見・埋蔵文化財の発掘その他予期することのできない事態を受注者が発注者へ直ちに書面で通知すべき事由とし、その場合に工期または請負代金額の変更を求めることができるとしています。配布テンプレートはこの形に寄せてあります。

契約後に発生した事象にも、道が用意されています。建設業法20条の2は、その3項で、建設業者から注文者への協議の申出を認めています。同条4項は、申出を受けた注文者に、申出が根拠を欠く場合などを除いて誠実に協議に応ずる努力義務を課しています。

払うか断るかは、次の順で判断できます。

状況 判断
甲が埋設物の存在を知っていて、見積り前に伝えていなかった 甲の側に通知義務の不履行がある。増額を断りにくい
別紙1に記載があり、撤去が工事の範囲に入っていた 請負代金に含まれている。追加の支払は不要
甲も知らず、別紙1にも記載がない 第10条の協議事項。工期と金額を協議して決める
増額の根拠が示されない 協議は誠実に応じるが、金額の合意なしに支払義務は生じない

協議で工期や金額を変えたときは、口頭で終わらせないでください。配布テンプレートは、変更の内容を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付する形にしてあります(建設業法19条2項)。

対象建設工事で、解体工事に要する費用や再資源化等に要する費用が動くときは、建設リサイクル法13条2項が同じく変更内容の書面と相互交付を求めています。書式は契約変更覚書テンプレートが使えます。

7. 石綿|調査・報告・届出・費用を、甲と乙のどちらに割り当てるか(第11条)

石綿がやっかいなのは、義務の主体が途中で入れ替わることです。調査は乙、調査費は甲、知事への報告は乙、除去の届出は甲。ここを取り違えたまま着工すると、届出漏れのまま作業を始めることになります。

まず、調査は元請の義務です。

大気汚染防止法18条の15第1項は、解体等工事の元請業者に、その工事が特定工事に該当するか否かの事前調査を義務づけています。元請業者は、その結果について発注者に書面を交付して説明しなければなりません。説明の時期は、同法施行規則16条の6により、解体等工事の開始の日まで(届出対象特定工事に該当し、その作業を開始の日から14日以内に始めるときは、その作業の開始の日の14日前まで)とされています。

労働安全衛生の側にも同じ調査があります。石綿障害予防規則3条1項は、事業者に対し、解体等の作業を行うときはあらかじめ石綿等の使用の有無を調査することを義務づけています。ここでいう事業者は作業を行う側、つまり乙であって、甲ではありません。

同条4項は、その調査を、適切に調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならないとしています。調査の記録は3年間保存するものとされています(同条7項)。

次に、調査の費用は発注者が負担します。

大気汚染防止法18条の15は、その2項で、発注者に対し、事前調査に要する費用を適正に負担することなどにより調査に協力することを求めています。「見積りに入っていないから払わない」とは言えない費用です。

配布テンプレートの第11条は、この費用の扱いを2択にしてあります。請負代金の額に含めるか、請負代金とは別に金額を決めて甲が支払うか。見積書を受け取った時点で、どちらなのかを業者に聞いてください。

報告と届出は、宛先も期限も主体も違います。

やること 誰が どこへ いつ 根拠
事前調査 乙(元請) 甲へ書面で説明 解体等工事の開始の日まで(届出対象特定工事で作業を14日以内に始めるときは、作業開始の14日前まで) 大気汚染防止法18条の15第1項・同法施行規則16条の6
調査結果の報告 乙(元請) 都道府県知事 調査を行ったら遅滞なく。対象は床面積の合計80平方メートル以上の解体、または請負代金100万円以上の改造・補修 大気汚染防止法18条の15第6項・同法施行規則16条の11
調査結果等の報告 乙(元請) 所轄労働基準監督署長 あらかじめ(電子情報処理組織を使用) 石綿障害予防規則4条の2第1項
除去作業の届出 甲(発注者) 都道府県知事 作業開始の日の14日前まで 大気汚染防止法18条の17第1項

大気汚染防止法18条の15第6項が、調査を行ったときは遅滞なくその結果を都道府県知事に報告しなければならないとしています。報告の対象は、同法施行規則16条の11第1項1号が建築物の解体で作業対象の床面積の合計が80平方メートル以上のもの、同項2号が建築物の改造・補修について請負代金の合計額100万円以上のものとしています。同条3項により、2以上の契約に分割して請け負う場合は1つの契約で請け負ったものとみなして適用されます。

ここで出てくる80平方メートルは、第3章の80平方メートルとは別の判定です。第3章は建設リサイクル法施行令2条の基準で、契約書に4事項を書くかどうかを決めます。こちらは大気汚染防止法施行規則16条の11の基準で、都道府県知事へ調査結果を報告するかどうかを決めます。数字が同じでも、根拠法も届出先も違います。

労働基準監督署長への報告は、石綿障害予防規則4条の2第1項が、一定の工事についてあらかじめ電子情報処理組織を使用して行うことを義務づけています。窓口が2つある点に注意してください。

そして、除去作業の届出です。大気汚染防止法18条の17第1項は、届出対象特定工事の届出義務を発注者(または自主施工者)に課し、特定粉じん排出等作業の開始の日の14日前までに都道府県知事へ届け出るよう求めています。建設リサイクル法の7日前より前に来る期限です。

ここは罰則もあります。大気汚染防止法34条は、18条の17第1項の届出をせず、または虚偽の届出をしたときの法定刑を3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金としています。大気汚染防止法35条は、18条の15第6項の報告をせず、または虚偽の報告をしたときを30万円以下の罰金の対象としています。

配布テンプレートの第11条は、この届出を甲が自ら行うか、委任状を交付して乙に代理させるかを選ぶ形にしてあります。代理させる場合でも、義務者は甲のままです。

除去の費用と工期は、第10条の協議の仕組みに乗せてあります。ここで、別紙2にどう書くかが問題になります。

石綿は、分別解体等の計画では「工程」ではなく「付着物」として扱います。建設リサイクル法施行規則2条1項1号が、吹付け石綿その他の特定建設資材に付着したものを「付着物」と定義し、その有無の調査を分別解体等の施工方法の基準に含めているためです。同項3号は、付着物の除去その他の措置を工事着手前に講ずることを求めています。

したがって、別紙2の工程チェックに石綿の行を作る必要はありません。石綿を書く場所は、届出に記載する分別解体等の計画のうち、調査の結果の欄と、工事着手前に実施する措置の内容の欄の2つです。国土交通省の記載例は、措置の内容の欄に、石綿の有無、関係法令の届出が済んでいること、石綿作業主任者を選任済みであることを記載する例を示しています。

配布テンプレートの第11条6項には、除去の作業を別紙2の分別解体等の方法に含めている場合を除く、というただし書があります。措置の欄に除去まで書き込み、その費用を請負代金に見込んであるなら、あらためて協議はしません。書いていないなら、第10条の協議に乗ります。

発注者側にも配慮の義務があります。大気汚染防止法18条の16は、特定工事の発注者に作業基準の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮する義務を課し、石綿障害予防規則9条も、注文者に対し、事前調査や作業方法・費用・工期について法令の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮する義務を課しています。「調査は要らないから安くして」は、この配慮義務に反します。

甲が使用状況を知っているなら、黙っていないでください。石綿障害予防規則8条は、解体等の作業を行う仕事の発注者に、石綿等の使用状況等を請負人へ通知する努力義務を課しています。図面や過去の改修記録が手元にあるなら、見積りの前に渡すのがいちばん安く済みます。

8. 残置物と解体物|家具・家電は誰が捨てるのか(第12条・第13条)

「家の中のものは、そのまま壊してもらえますか」。解体でよく出る質問ですが、中のものを片づけてから引き渡すのが原則です。建物と一緒に出る廃棄物と、中に残っている家具・家電では、処理責任を負う人が違います。

環境省の通知は、この2つを分けています。建築物の解体に伴い生じた廃棄物(解体物)の処理責任は、発注者から直接解体工事を請け負った元請業者にあります。一方、建築物の解体時に所有者等が残置した廃棄物(残置物)の処理責任は、その建築物の所有者等にあります。同通知は、解体を行う際には、解体前に所有者等が残置物を適正に処理する必要があるとしています。

環境省の建設廃棄物処理指針も、建設工事等における排出事業者には原則として元請業者が該当するとし、発注者の責務として、解体予定建築物中に残置された家具等の廃棄物を適正に処理することを挙げています。

区分も違います。解体物は木くずやがれき類などの産業廃棄物であることが基本ですが、残置物は、一般家庭から排出される場合は一般廃棄物、事業活動を行う者から排出される場合は種類と性状により一般廃棄物または産業廃棄物になります。タンス1棹でも、住まいから出るか事務所から出るかで扱いが変わります。

解体物の側は、廃棄物処理法21条の3第1項が、建設工事が数次の請負によって行われる場合に、注文者から直接請け負った元請業者を廃棄物処理法上の事業者とすると定めています。配布テンプレートの第13条は、これを前提に、乙が自己の責任で運搬・処分し、他人に委託するときは許可を有する者に委託して産業廃棄物管理票を交付する、という形にしてあります。

下請に運搬させたい場合、解体工事ではこの例外が使えません。廃棄物処理法21条の3第3項の例外は、書面による請負契約で定めることに加えて、対象が「環境省令で定める廃棄物」であることを要件としています。その環境省令(廃棄物処理法施行規則18条の2第1項1号イ)が、建築物等の全部または一部を解体する工事に伴い生じる廃棄物を、対象から外しているためです。

解体工事で下請に運ばせるなら、その下請が廃棄物の収集運搬の許可を持っていることを確認したうえで、乙が委託する形になります。配布テンプレートの第13条4項は、この確認を条文にしてあります。

残置物の側は第12条です。発注者が着工前にやることを、期限つきで書きます。

  1. 残置物の処理責任は所有者等である甲が負うことを確認する
  2. 甲が撤去を完了する期限を書く(着手日より前の日付にする)
  3. 乙に委託するかどうかを選ぶ。委託するなら別紙3に品目・数量・区分・費用を書く
  4. 委託費用を請負代金に含めるか、別に支払うかを選ぶ

期限を書かずに進めると、着手の日に片づいていないという事故が起きます。第12条は、委託しないとした場合に着手日に残置物が残っていたときの扱いも決めてあります。処理の方法と費用を協議し、協議が調うまで乙は施工を中止でき、それによる工期の延長と費用の増加は甲の負担になります。

乙に委託するときは、許可の確認が要ります。第12条は、残置物の区分に応じ、法令に定める許可を有する者に運搬と処分を委託する、と明記してあります。建設業の許可や解体工事業の登録は、一般廃棄物の収集運搬の許可とは別物です。冷蔵庫・テレビ・エアコン・洗濯機のように別の法律が絡む品目もあるので、別紙3の品目欄に書き出して業者に確認してください。

判断の目安は単純です。自分で運べる量で、自治体の受け入れが使えるなら、着工前に片づけたほうが安く済みます。量が多い、あるいは遠方の実家で自分が動けないなら、別紙3で有償委託にして見積りに載せるほうが、当日の中断より安全です。

💡 残置物と地中埋設物の扱いを、契約書の側で先に決められます

会員登録は不要です。配布テンプレートは、残置物の撤去期限・委託の有無・費用の負担を別紙3で表にし、地中埋設物が出たときの通知と協議の手順を第10条に置いてあります。ダウンロードしたら、別紙3の期限欄に着手日より前の日付を入れてください。

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9. 引渡しで何を確認し、あとで何を受け取るか(第19条〜第22条)

更地になったから終わり、ではありません。解体は、引渡しの日に見るものと、後日に受け取る書類が分かれます。

引渡し当日に見るのは、地面と撤去漏れです。

配布テンプレートの第19条は、乙が完成を書面または電磁的記録で通知し、甲がその通知を受けた日から決めた日数以内に、乙の立会いのうえ検査を行い、結果を通知する形にしてあります。建設業法19条1項11号が求める検査の時期・方法と引渡しの時期を、ここで埋めます。

当日の確認は4点です。

  1. 整地の程度が、選んだ選択肢のとおりか(地面を平らにならす/転圧まで行う/自分たちで決めた程度)
  2. 別紙1に挙げた工作物と、契約で本工事に含めた附帯工作物が、すべて撤去されているか
  3. 仮設物・建設機械器具・残材・解体物が現場から撤去され、清掃されているか
  4. 地中に残存させてよいとした構造物が、別紙1に書いたとおりの範囲に収まっているか

検査に合格しなかったときは、乙が甲の指定する期間内に自己の費用で手直しをして、もう一度完成の通知をします。引渡しを受けてしまうと、あとは契約不適合の話になります

引渡しの時にもらうのは、登記のための書類です。

第20条は、乙が引渡しの時に取毀し証明書を交付する義務を置いています。取り毀した建物の表示、取り毀した年月日、乙の商号・本店所在地・代表者の氏名を記載したものです。甲が滅失の登記に必要とする場合は、乙の登記事項証明書または印鑑証明書も交付します。

急ぐ理由があります。不動産登記法57条は、建物が滅失したときに、表題部所有者または所有権の登記名義人が滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければならないとしています。書類が届かないと、この期間に間に合いません。

後日に受け取るのは、再資源化等の完了報告です。

建設リサイクル法18条1項は、元請業者に対し、再資源化等が完了したときに発注者へ書面で報告し、実施状況の記録を作成・保存することを義務づけています。配布テンプレートの第21条は、報告に書く内容を3つに固定してあります。

  • 再資源化等が完了した年月日
  • 再資源化等をした施設の名称および所在地
  • 再資源化等に要した費用

建設リサイクル法53条は、18条1項に違反して記録を作成せず、または保存しなかった者を10万円以下の過料の対象としています。過料の対象になるのは、記録の不作成・虚偽作成・不保存です。

報告は、情報通信の技術を利用する方法でも行えます。国土交通省の質疑応答集も、13条の契約書面と18条の完了報告について情報通信の技術を利用できるとしています。

解体物の行き先が気になるなら、第13条を使ってください。乙は、甲の求めがあるときに、産業廃棄物管理票の写しと、処分を行った施設の名称・所在地・処理の結果を記載した書面を提出する義務を負っています。

あとから出てきたものは、第22条で処理します。

契約不適合責任の内容は建設業法19条1項13号の記載事項です。第22条は、解体でよく問題になる4つを不適合として書き出してあります。

不適合として挙げてあるもの
施工に起因する近接する工作物・隣家の損傷 重機の振動で隣家の外壁にひびが入った
別紙1の工作物や、本工事に含めた附帯工作物の撤去漏れ 庭石が1つ残っている
引渡し後に地中から発見された解体物・基礎・埋設物 掘ったら旧基礎のガラが出た
整地の程度に達していないこと 転圧まで行うとしたのに沈む

通知の期間は、引渡しの日から何年以内とするかを記入して決めます。隣家の損傷については、別に年数を決められる形にしてあります。ただし、地中の埋設物について、甲がその存在をあらかじめ知りながら第9条の通知をしなかったために乙が知り得なかったときは、乙は責任を負いません。第9条の通知のチェック欄が、契約不適合責任の範囲にも効いてきます。

10. 空欄の埋め方|必ず決める欄と、使わないなら閉じてよい欄

配布テンプレートには、角括弧の記入欄と、どれかを選ぶチェックボックスが入っています。全部を埋めなければ締結できないわけではありません。性質が3つに分かれるので、その順に片づけてください。

(1)必ず決める欄。空欄のままでは契約が動きません。

決める場所 何を決めるか 記入例
前文・署名欄 甲乙の氏名または商号、建設業許可、解体工事業登録 「東京都知事登録(解体工事業)第000号」
第2条(工事の概要) 工事名・工事場所・工事の範囲と、附帯工作物のチェック 「解体、廃棄物の運搬及び処分並びに整地までを含む」
第3条(工期) 工事着手の時期と工事完成の時期 着手日は届出の受理後に置く
第4条(請負代金の額及びその内訳) 総額と消費税額、解体工事に要する費用、再資源化等に要する費用 別紙2と同じ額にする
別紙1 解体する建物の地番・家屋番号・構造・床面積の合計 登記事項証明書のとおりに書く
別紙2 対象建設工事かどうかの判定と、4事項 第5章のとおり
別紙3 残置物の有無と、甲が撤去を完了する期限 着手日より前の日付
第19条 検査を完了するまでの日数と、整地の程度 「転圧まで行う」。日数は現地に行ける日程から決める
第34条 合意管轄の裁判所 3つの選択肢から1つに印
末尾 紙で交わすか、電磁的記録1通にするか どちらかに印

(2)取引実態に合わせて決める欄。見積りの中身や現場の条件が固まってから埋めます。

決める場所 何を決めるか 記入例
第6条 建設リサイクル法の届出を甲が自ら行うか、乙に委任するか。委任するなら手続費用の負担者 「甲は乙に委任状を交付して委任する」
第11条 石綿の事前調査費を請負代金に含めるか、別に支払うか。除去の届出を誰が出すか 「請負代金の額に含む」
第7条 前金払・出来形払を行うか。行うなら割合と支払期日 「定めを置かない」
第8条(工事完成後の請負代金の支払) 支払日と支払方法、振込手数料の負担者 「引渡しの日の翌月末日払い」
第17条(近隣対策及び第三者に及ぼした損害) 近隣説明を誰が行うか、家屋調査を行うか 「乙が行う。甲は必要に応じて同行する」
第18条 電気・水道をどちらが手配し、料金を誰が負担するか 「甲が既存の設備を乙に使用させ、料金は甲の負担とする」
第22条 契約不適合責任の通知期間と、隣家の損傷に係る期間 年数を記入する
第23条(履行遅滞、遅延利息及び違約金) 違約金の率と遅延利息の率 年率で記入する

(3)使わないなら「使わない」側に印を付けて閉じる欄。消し込むのではなく、選択肢のうち使わない側を選びます。

決める場所 使わない場合
別紙2 対象建設工事に該当しないなら「該当しない」に印を付け、各欄に「該当なし」と書いて添付する
第3条 工事を施工しない日や時間帯を決めないなら「定めを置かない」に印
第27条(一括下請負の禁止) 承諾しないなら「承諾しない」に印。相手方の商号欄は書かない
第31条(電磁的措置による契約の締結) 紙のまま交わすなら、サービス名・ファイル形式・電子署名の方式の欄を埋めない
第30条(訪問販売に該当する場合の申込みの撤回等) 事業者間の契約なら「該当しない」に印(第12章)
別紙3 残置物がないなら「残置物はない」に印

(4)乙が記入し、甲が内容を確かめる欄。現場を見ないと決まらないので、書くのは乙です。読むのが甲の仕事になります。

別紙1の後半に、仮設・養生・施工条件の7つの欄を置いてあります。

別紙1の欄 何を書くか 記入例
仮囲い 高さと範囲 「道路に面する側の全面に設置する」
養生 防音シート・防炎シート・散水設備の有無 「防音シートを張り、散水設備を設ける」
乗入れ経路 前面道路の幅員と進入経路 「南側道路から進入する。前面道路が狭いため小型車のみ」
使用する建設機械 入れる重機の種類 「小旋回のバックホウを使用する」
資材及び解体物の仮置場 仮置きする場所 「敷地内の北側に仮置きする」
近隣で配慮を要する事項 通学路・狭い道路・隣接建物との離隔 「東側の通路が通学路。登校の時間帯は搬出しない」
地中に残存させてよい構造物 残してよいものの有無と範囲 「無し」/「東側擁壁の基礎(別図の範囲)」

甲は、書かれた内容が近隣への説明と食い違っていないかを見れば足ります。

いちばん下の「地中に残存させてよい構造物」だけは、甲が意味を分かって確かめる欄です。第22条2項は、引渡し後に地中から発見された解体物・基礎・埋設物を契約不適合として挙げたうえで、その3号で、第19条5項により地中に残存させることとしたものをそこから除いています。

つまり、この欄に書いたものは、あとから出てきても契約不適合になりません。空欄のままなら、残してよいものは無いという前提で第19条の検査と第22条の責任が動きます。残すことを認めるなら、何をどの範囲で残すのかを必ず書き出してください。

角括弧の欄は、書き方に迷いやすいものだけ配布ファイルの末尾に説明を付けてあります。工事場所は、登記上の地番と、郵便物が届く住居表示の両方を書いてください。解体では地番だけでは現地が特定できないことがあります。

11. 印紙税|第2号文書としていくら貼るか、甲と乙のどちらが貼るか

紙で締結するなら、印紙が要ります。金額は契約金額で決まり、負担は当事者の取決めで決まります。

まず、この契約書がどの号に当たるかです。

国税庁は、請負についての契約書が第2号文書「請負に関する契約書」に該当するとし、その具体例として工事請負契約書・工事注文請書などを挙げています。解体工事の請負契約書も、仕事の完成を目的とする請負の契約書なので、ここに入ります。

軽減措置が使えるかどうかは、2段で確かめます。租税特別措置法91条2項の軽減措置は、印紙税法別表第一第2号の請負に関する契約書のうち、建設業法2条1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるものを対象としています。そして建設業法2条1項は「建設工事」を別表第一の上欄に掲げるものと定義し、その別表第一は上欄に「解体工事」、下欄に「解体工事業」を掲げています。

したがって、解体工事の請負契約書も、契約金額が100万円を超えるなら軽減措置の対象になります。

国税庁は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される契約書について税額が軽減されるとしています。軽減の対象は、建設工事の請負に関する契約書のうち契約金額が100万円を超えるものです。

判定に使う金額にも注意が要ります。国税庁は、消費税額等が区分記載されているときは、その消費税額等を印紙税の記載金額に含めないとしており、この取扱いの適用がある課税文書は第1号文書・第2号文書・第17号文書の3つに限られるとしています。

配布テンプレートの第4条第1項は「うち取引に係る消費税及び地方消費税の額」を書かせる形なので、税額は消費税額等を除いた額で判定します。

契約書に記載された契約金額 軽減後の印紙税額
100万円を超え200万円以下のもの 200円
200万円を超え300万円以下のもの 500円
300万円を超え500万円以下のもの 1千円
500万円を超え1,000万円以下のもの 5千円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 1万円

契約金額がどの区分に入るかは、見積書の総額をこの表に当てはめて確かめてください。契約金額が100万円以下のものは軽減措置の対象にならず、税額は200円です。本則でも1万円以上100万円以下は200円なので、小さい工事では、軽減されるかどうかで金額が変わりません。契約金額が10,000円未満のものは非課税です。

税額の一覧は印紙税額一覧表にまとめてあります。

次に、どちらが貼るかです。

印紙税法3条2項は、1つの課税文書を2以上の者が共同して作成した場合、その者が連帯して印紙税を納める義務を負うと定めています。法律は「甲が貼る」「乙が貼る」を決めていません。連帯して納める義務があるだけです。

甲乙が1通ずつ保有する形にすると、課税文書は2つになります。慣行としては、各自が保有する1通分をそれぞれ負担する形か、乙がまとめて負担して見積りに計上する形のどちらかです。どちらにするかを、締結の前に口頭で確認しておいてください。

なお、印紙税法2条は、別表第一の課税物件の欄に掲げる文書に印紙税を課すると定めています。課税されるのは文書です。電磁的記録として作成する場合の扱いは、第13章に書きます。

💡 印紙の金額を判定してから、紙か電子かを決められます

会員登録は不要です。配布テンプレートは、末尾で「紙を作成して記名押印する」か「電磁的記録1通を作成して電子署名を付す」かを選ぶ形にしてあり、電磁的措置を選ぶときに相手へ示す事項の記入欄も用意してあります。まず請負代金の額を入れて、上の表で税額を確かめてください。

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12. 個人の施主と交わすとき|クーリング・オフと、紙のままで足りる場合

相手が会社なら気にしなくてよいことが、個人の施主だと一気に増えます。空き家の解体は、業者が訪ねてきて話が始まることも珍しくありません。その入り口によっては、契約のあとに撤回できる期間が付きます。

特定商取引法26条1項1号は、申込者や役務の提供を受ける者が営業のために、または営業として締結する契約を適用除外としています。事業者同士の解体工事の契約には、同法の訪問販売等に関する規定は適用されません。

これに当たらない場合、つまり甲が個人で、訪問による勧誘を受けて契約したときは、訪問販売になります。同法9条1項は、訪問販売について、申込みの撤回等を書面または電磁的記録により行うことができるとし、法定の書面を受領した日から起算して8日を経過した場合はこの限りでないとしています。

配布テンプレートは、この判定を3択にしてあります。

  • 該当しない。甲は営業のために、または営業として締結する者である
  • 該当しない。甲は個人だが、訪問による勧誘を受けて締結したものではない
  • 該当する。甲は個人であり、訪問による勧誘を受けて締結した

3つめに印を付けた場合、乙は契約書とは別に、特定商取引法に定める法定の書面を交付します。配布する契約書は、この法定書面を兼ねません。訪問して勧誘する営業をしている業者は、法定書面の様式を別に用意しておいてください。撤回があったときは、乙は損害賠償や違約金を請求できません。

紙のままで足りる場合もあります。次のいずれかに当てはまるなら、無理に電子へ切り替える必要はありません。

  • 契約金額が1万円以上100万円以下。軽減措置の対象にならず、税額は200円です。電子にして浮くのは200円なので、金銭的な理由だけで切り替える意味は薄くなります
  • 相手が電子契約を承諾しない。建設リサイクル法13条3項も建設業法19条3項も、相手方の承諾を前提にしています。承諾するかどうかは相手の判断で、こちらから強制できません
  • 個人の施主で、訪問による勧誘に当たる。法定書面の交付が別に要るので、契約書だけを電子にしても書類が2系統に分かれます。運用が固まるまでは紙で揃えるほうが単純です

逆に、遠方の実家を相続して解体する、相続人が複数いて全員の署名がいる、着工日が迫っていて郵送の往復が入らない、という場合は、第13章の3つの技術的基準(見読性・原本性・本人性)と事前承諾の手順を確かめる価値があります。

13. 電子で交わすか|19条3項・13条3項と、3つの技術的基準

紙の契約から電子契約への移行イメージ

解体の契約を電子で交わす根拠は、2本立てになります。建設業法の側と、建設リサイクル法の側の両方を満たす必要があります。

建設リサイクル法13条3項は、書面の交付に代えて、相手方の承諾を得たうえで電子情報処理組織を使用する方法などを講じることができるとしています。建設業法19条3項も同じ構造で、書面の交付に代えて電磁的措置を講じることを認めています。

技術的基準も同じ3つです。建設リサイクル法13条3項の主務省令である分別解体等省令8条2項と、建設業法施行規則13条の4第2項が、どちらも次の3つを求めています。

  1. 相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成できること
  2. 記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認できる措置を講じていること
  3. 相手方が本人であることを確認できる措置を講じていること

国土交通省の電磁的措置のガイドラインは、この3つを見読性・原本性・本人性の3要件と呼んでいます。同ガイドラインは令和7年9月30日から施行されています。

相手に承諾を求めるとき、何を示すのか。

承諾を求める根拠は、建設業法施行令5条の5第1項です。同項は、電磁的措置を講じようとするときは、あらかじめ相手方に電磁的措置の種類および内容を示して承諾を得なければならないとしています。

その「示す事項」の中身は、建設業法施行規則13条の5にあります。挙げられているのは、講じる電磁的措置の種類と、ファイルへの記録の方式の2つです。同ガイドラインも、電磁的措置の種類と内容を示したうえで、書面または電磁的方法による相手方の事前承諾を得る必要があるとしています。

配布テンプレートの第31条(電磁的措置による契約の締結)は、この2つに、相手が確認したい1つを足して記入欄にしてあります。相手に渡す前に、次の3つを自分で決めておいてください。

示す事項/決めておく事項 決める内容 記入例
電磁的措置の種類 電子契約サービスを使うか、電子メールか、記録媒体の交付か 「電子情報処理組織を使用する方法(サービス名を記入)」
ファイルへの記録の方式 契約書の電子データのファイル形式 「PDF形式」
電子署名・タイムスタンプの形式(法定の示す事項ではないが、相手の確認のために決めておく) どの方式の電子署名を、どのタイムスタンプで固めるか 使うサービスの仕様をそのまま書く

方式の選び方にも記載があります。同ガイドラインは、電子署名の方式の1つとして事業者署名型(立会人型)方式を挙げ、この方式を使う場合には2要素認証等の利用が望ましいとしています。

電子にしても、書く事項は減りません。ガイドラインは、電子契約の場合でも15事項を記載しなければならないとしています。配布テンプレートも、電磁的措置を講じる場合であっても請負代金の内訳と別紙2の記載は省略できない、と明記してあります。

受注側の帳簿も電子で足ります。解体工事業に係る登録等に関する省令9条は、建設業法19条3項または建設リサイクル法13条3項の措置が講じられた場合には、その電磁的記録をもって添付書類に代えることができるとしています。紙の契約書を印刷して綴じ直す必要はありません。

印紙税の面では、扱いが分かれます。国税庁は、印紙税の課税対象は課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれないとしています。この回答は、建設工事を請け負う事業者からの照会に対するものです。紙で作れば第2号文書として課税され、電磁的記録として作成・保存するなら、課税文書の作成には当たりません。詳しい整理は電子契約と印紙税にまとめてあります。

ムスビサインは立会人型(事業者署名型)の電子契約サービスです。上に並べた3要件と事前承諾の手順に照らして、自社の運用に合うかどうかを判断してください。

建設業での電子契約の進め方は建設業の電子契約に、電子署名の法的な位置づけは電子契約の法的効力に書いてあります。

14. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順

A:自分で作って相手に渡す場合

ステップ1:相手の登録と許可を確かめて、前文と署名欄を埋める

解体工事業登録の登録番号か、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を、書面で見せてもらいます。どちらも無い相手とは契約しないでください。確かめた内容を、前文と末尾の署名欄の2か所に書き写します。

ステップ2:別紙1で壊すものを特定する

登記事項証明書を見ながら、地番・家屋番号・構造・階数・床面積の合計を書きます。基礎、土間コンクリート、ブロック塀、樹木、浄化槽といった附帯工作物は、含めるものだけにチェックを付け、別紙1の表と一致させます。ここでチェックを付けなかったものは工事に含まれません。あとで含めるなら、第14条(設計変更、工事の中止等)による処理になります。

ステップ3:別紙2で対象工事かを判定し、別紙3で残置物を決める

特定建設資材を用いた建築物の解体で、床面積の合計が80平方メートル以上なら、建設リサイクル法の対象建設工事に当たります。別紙2の4欄を埋め、金額を請負代金の内訳と一致させます(第5章)。別紙3には、残置物の有無と、甲が撤去を完了する期限を書きます。期限は着手日より前の日付にしてください。

ステップ4:必ず決める欄・取引実態に合わせる欄・閉じてよい欄の順に埋め、紙か電子かを決めて締結する

分類と記入例は第10章の表にあります。最後に、末尾の締結方法をどちらかに印を付けます。電子を選ぶなら、相手の事前承諾を先に取ってから送ってください。

B:業者が持ってきた1枚を検算する場合

ステップ1:第4章の対照表を開き、1行ずつ突き合わせる

15事項と4事項を上から順に見て、渡された契約書に見当たらない行に印を付けます。印が付いた行が、そのまま足りない事項です。

ステップ2:足りない事項を、配布テンプレートの条から拾う

対照表の右列の条番号を開き、その条文を渡された契約書に足してもらいます。乙に直しを頼むときは、「第◯条が抜けている」ではなく「建設業法19条1項◯号の事項が抜けている」と伝えると話が早く済みます。

ステップ3:解体だけの3つの火種が入っているかを見る

地中埋設物の通知と協議(第9条・第10条)、石綿の主体の割り当て(第11条)、残置物の期限と費用(第12条・別紙3)。この3つは、一般の工事請負契約書の雛形には入っていないので、渡された1枚にも無いことが起こります。

ステップ4:別紙2と別紙3を添付してもらい、着工日から逆算する

別紙2の4欄が埋まっていること、別紙3に甲の撤去期限が入っていることを確かめます。そのうえで、第2章の時系列に当てはめて、届出が着工に間に合うかを見ます。

締結後に工期や金額を変えるときは、契約書を作り直さず、契約変更覚書で変更の内容を書面にして相互に交付します。

15. よくある質問(FAQ)

Q1. 相見積りを取ったら、ある業者に「小さい工事なので許可も登録も要らない」と言われました。本当ですか?

A. 許可は要らないことがありますが、登録は要ります。

建設業法3条1項ただし書と建設業法施行令1条の2により、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事だけを請け負う業者は、建設業の許可を受けなくても営業できます。

一方、建設リサイクル法21条1項は、解体工事業を営もうとする者に都道府県知事の登録を義務づけており、除かれるのは土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可を受けた者だけです。登録を受けないで解体工事業を営んだ者は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。

Q2. 床面積が80平方メートルに満たない小屋の解体です。別紙2は消してよいですか?

A. 消さずに、「該当しない」に印を付けて添付してください。

配布テンプレートの第5条は、対象建設工事に該当しない場合や記載すべき内容がない欄について、「該当なし」と書いたうえで別紙2を添付する決まりにしてあります。判定した事実が契約書に残るので、あとから対象だったと分かったときに経緯を説明できます。

Q3. 建設リサイクル法の届出は、業者がやってくれるのではないのですか?

A. 義務者は発注者です。建設リサイクル法10条1項は、対象建設工事の届出を発注者(または自主施工者)に課し、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出るよう求めています。実務では業者が代行することが普通ですが、それは委任であって、義務の所在が移るわけではありません。配布テンプレートの第6条は、甲が自ら行うか、委任状を交付して乙に代理させるかを選ぶ形にしてあり、代理させる場合の手続費用の負担者も書けます。

Q4. 地中から古い基礎が出てきたと言われ、追加費用を請求されました。払う必要がありますか?

A. 別紙1に記載がなく、甲も知らなかったのであれば、金額の合意なしに支払義務は生じません。

配布テンプレートの第10条は、乙が別紙1に記載のない基礎や埋設物を発見したときに直ちに書面で甲へ通知し、甲が乙と協議して処理の方法を定める形にしてあります。工期と請負代金の額の変更も、この協議で決めます。協議には誠実に応じることになりますが、金額が決まらないまま支払義務が発生するわけではありません。

逆に、甲が埋設物の存在を知りながら見積り前に伝えていなかった場合は、建設業法20条の2第1項の通知義務の問題になります。国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインは、発注者が地下埋設物による土壌汚染を知りながら情報提供せずに見積りを行わせ契約した場合を、違反となる行為事例として挙げています。

個別の事案でどちらが負担すべきかは、弁護士にご確認ください。

Q5. 石綿の調査費まで発注者が持つのですか?

A. 調査に要する費用は発注者が負担します。大気汚染防止法18条の15は、その2項で、発注者に対し、事前調査に要する費用を適正に負担することなどにより調査に協力することを求めています。調査そのものを行うのは元請業者です(同条1項)。除去や封じ込めの費用は別で、配布テンプレートでは第10条の協議に乗せてあります。ただし第11条6項にただし書があり、除去の作業を別紙2の分別解体等の方法に含めているなら、あらためて協議はしません(第7章)。

Q6. 家具や家電を残したまま解体を頼めますか?

A. 頼めますが、無償ではありません。環境省の通知は、解体物の処理責任は元請業者、所有者等が残置した廃棄物の処理責任は建築物の所有者等にあるとし、解体前に所有者等が残置物を適正に処理する必要があるとしています。乙に頼むなら、別紙3に品目・数量・区分・費用を書いて有償で委託します。残置物は、一般家庭から排出される場合は一般廃棄物、事業活動を行う者から排出される場合は種類と性状により一般廃棄物または産業廃棄物になるので、区分に応じた許可を持つ業者に委託することになります。

Q7. 印紙は甲と乙のどちらが貼るのですか?

A. 法律はどちらとも決めていません。印紙税法3条2項は、1つの課税文書を2以上の者が共同して作成した場合、その者が連帯して印紙税を納める義務を負うと定めているだけです。甲乙が1通ずつ保有すれば課税文書は2つになるので、各自が1通分を負担するか、乙がまとめて負担して見積りに載せるかを、締結の前に決めてください。契約金額が100万円を超えるなら軽減措置の対象で、100万円以下は200円、10,000円未満は非課税です。判定に迷うときは税理士または所轄の税務署にご確認ください。

Q8. 建物を壊したあとの登記は、いつまでにやるのですか?

A. 滅失の日から1か月以内です。不動産登記法57条は、建物が滅失したときに、表題部所有者または所有権の登記名義人が滅失の日から1か月以内に滅失の登記を申請しなければならないとしています。申請には取毀し証明書が要るので、配布テンプレートの第20条で、乙が引渡しの時にこれを交付する義務にしてあります。甲が必要とする場合は、乙の登記事項証明書または印鑑証明書も一緒に受け取ります。

Q9. 元請として受けた解体工事を、下請に出すときも同じ書類が要りますか?

A. 下請契約にも4事項が要ります。建設リサイクル法13条1項は、対象建設工事の請負契約について、下請契約が締結されている場合の各下請契約を含めて、4事項の記載を義務づけています。継続的に同じ相手へ出すなら、工事下請基本契約書で共通条件を先に決めておくと、工事ごとの書面が軽くなります。

Q10. 見積書に印鑑をもらっただけで着工しました。契約書はいらないのでは?

A. 順番が逆になっています。解体は「業者からの説明 → 契約 → 届出 → 着工」の順で進みます。

建設リサイクル法12条1項は、契約を締結する前に、受注しようとする建設業を営む者が発注者へ10条1項1号から5号までの事項を記載した書面を交付して説明することを義務づけています。説明が先で、契約はその次です。

そのうえで建設業法19条1項は、請負契約の当事者に対し、契約の締結に際して各号の事項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付することを求めています。対象建設工事なら、建設リサイクル法13条1項の4事項が加わります。見積書への押印は、この書面の代わりにはなりません。

届出の面でも困ります。対象建設工事の届出は工事に着手する日の7日前までに発注者が出すもので、そこに書く分別解体等の計画は、契約で決めた内容だからです。すでに着工しているなら、まず業者に連絡して、契約書と別紙2を取り交わし、届出がどうなっているかを確かめてください。

16. まとめ:19事項を満たした契約書を1通、今週中に取り交わす

着工日が決まっているなら、逆算するとあまり時間がありません。順に確かめてください。

  • 配布する解体工事請負契約書は全34条+別紙3本。建設業法19条1項の15事項に、建設リサイクル法13条1項の4事項を足した19事項を満たす形にしてある
  • 契約の前に、相手の解体工事業登録か、土木工事業・建築工事業・解体工事業の許可を書面で確かめる
  • 対象建設工事かどうかは、建築物の解体なら床面積の合計80平方メートルで判定する。分割しても合算される
  • 4事項に法定の様式はない。別紙2に、工程ごとのチェック・2つの費用・搬入先の施設を書く
  • 都道府県知事への届出義務者は発注者。建設リサイクル法は着手の7日前まで、石綿の除去は14日前まで
  • 地中埋設物は第9条の通知の有無で切る。石綿は調査が乙・調査費が甲・知事への報告が乙・除去の届出が甲
  • 残置物は着工前に甲が片づけるか、別紙3で有償委託にする。期限は着手日より前の日付にする
  • 引渡しの日に整地と撤去漏れを見る。取毀し証明書はその場で、再資源化等の完了報告は後日受け取る
  • 紙なら第2号文書。契約金額が100万円を超えるなら軽減措置の対象、100万円以下は200円

まず1通を締結してしまえば、届出も見積りの確認も、この契約書の欄をなぞるだけで進みます。

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19事項に対応 — 建設業法19条1項の15事項と、建設リサイクル法13条1項の4事項を1通に収めてあります

別紙2は判定表つき — 対象建設工事かどうかを床面積か請負代金で判定してから、4欄を埋められます

分別解体等の方法はチェック式 — 工程ごとに手作業か機械併用かを選ぶだけで埋まります

地中埋設物の通知と協議を条文化 — 見積り前に情報を出したかどうかを、締結時にチェックで固定できます

石綿の主体を割り当て済み — 調査・調査費・知事への報告・除去の届出の担当を、契約書の中で決められます

残置物は別紙3で表に — 品目・数量・区分・費用と、甲が撤去を完了する期限を書けます

取毀し証明書と完了報告を乙の義務に — 滅失の登記と再資源化等の確認まで、契約書1通でつながります

紙・電子のどちらでも締結できる末尾書式 — 記名押印と電子署名を選べ、電磁的措置の事前承諾欄もあります

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本記事および配布テンプレートは一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な事案の適法性や、印紙税の判定については、弁護士・税理士にご確認ください。

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