肖像権使用同意書テンプレート・雛形|撮影の同意と公開の同意は別物
肖像権使用同意書テンプレート(全24条+別紙2本)を無料ダウンロード。会員登録不要でWord形式のまま使えます。撮影の同意と公開の同意を分けた条文、使用期間の3択、撤回の申出窓口、未成年の親権者欄、収入印紙の判定まで解説します。
公開日: (更新: )
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肖像権使用同意書テンプレート
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- Word
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- 無料
- 更新日
- 2026-09-08
- 会員登録
- 不要
ダウンロードした時点で「契約書ひな形ダウンロード利用規約」に同意したものとみなします。
この肖像権使用同意書、印刷・郵送・押印なしでそのまま送れます。
ムスビサインを無料で始める「明日の社員インタビューに間に合わせたいのに、そのまま使える同意書の雛形が見つからない」 「撮影のときに『撮っていいですよ』と言われた。それで採用サイトに載せてよいのか分からない」 「イベントの集合写真を載せたいが、写っている全員から書面をもらうのは無理だ」
撮影に応じてもらったことと、その写真を公開してよいことは別に確かめます。この記事は、その2つを分けて書面にする方法を、配布する条文に沿って説明します。
この記事では、撮影する側と、撮影される本人との間で交わす肖像権使用同意書のWordテンプレート(全24条+別紙2本)を、会員登録なしで配布しています。
この記事の結論
- 撮影に応じてもらっても、公開してよいことにはならない。配布テンプレートの第3条と第4条以下を分けて埋める。
- 利用目的は「広報のため」で止めない。個人情報保護法第17条第1項が特定を求めている。
- 同意書という書面で氏名や連絡先を受け取る以上、その書面に利用目的を明示する義務がある(個人情報保護法第21条第2項)。
- 写真が個人データに当たらない限り、個人情報保護法第27条第1項の同意までは要らないと解される(個人情報保護委員会)。必要なのは同法第21条第1項の利用目的の通知・公表。
- 使用期間は3択。期間を定めないと決めるなら、撤回の申出窓口を必ず埋める。
- 撤回の可否を定めた明文の規定はない。申出を受けたときの手順を先に決めておく。
- 18歳未満が被写体なら、親権者欄を使う(民法第5条第2項)。
- 出演を約束させない限り、印紙税法の課税物件表のどれにも当たらず不課税と考えられる。収入印紙は要らない。
目次
- 肖像権使用同意書テンプレートの無料ダウンロード
- 「撮っていいですよ」と言われただけでは載せられない|撮影の同意と公開の同意は別物
- 【条文一覧】配布テンプレート全24条は、どの揉め事に効くか
- 利用目的欄だけは空欄で配ってはいけない|同意書の第4条
- 媒体・地域・期間の3欄をどう埋めるか|第5条〜第7条(無期限にしていいのか)
- 撤回されたら消さないといけないのか|同意書の第16条・第17条と別紙2
- 社員が退職したら採用サイトの写真を下ろすのか|第18条
- 未成年が被写体のとき、誰が署名するのか|同意書の第20条
- 加工・第三者提供・生成AIの学習利用|第8条・第10条・第11条
- 謝礼を払うなら金額欄の前に決めること|同意書の第12条と源泉徴収
- 相手が事務所所属のタレントだったら|第14条とパブリシティ権
- イベント・集合写真・背景の写り込みはどうするか
- 肖像権使用同意書に収入印紙は要るか|不課税と、第2号文書になる例外
- 紙のままで足りる場合と、電子で取る場合
- ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:空欄を埋めて、撮影当日までに1通交わす
1. 肖像権使用同意書テンプレートの無料ダウンロード
配布しているのは、Word形式の肖像権使用同意書の雛形です(全24条+別紙2本)。社員、イベント参加者、起用するモデルなど、写真や動画に写ってもらう本人から、撮影当日までに1枚もらうための書面です。
✅ 会員登録不要・メールアドレス入力不要・そのまま編集できるWord形式
✅ 撮影の同意(第3条)と使用の同意(第4条〜第7条)を分けた構造 — 口頭の「撮っていいですよ」で載せてしまう事故を防げます
✅ 利用目的・媒体・地域・期間が選択式 — □にチェックを入れるだけで、使ってよい範囲が確定します
✅ 撤回の申出を受け付ける窓口欄と、別紙2の申出書式つき(第16条)
✅ 未成年の被写体に使う親権者欄つき(第20条)
✅ 生成AIの学習利用を含めるかどうかの選択欄(第11条)
撮影を外注する場合、この同意書の甲(使用者)を発注者と受注者のどちらの名前にするかを決めた法令やガイドラインは見当たりません。手続きを誰がやるかについてなら、公表されている文書があります。文化庁の著作権契約書作成支援システムは、映像制作を依頼する契約の前提として「制作する映像作品に第三者の著作物や肖像等を利用するときは、制作者の責任において権利処理(映像作品への利用につき、権利者の許諾を得ること)を行うものとします。」としています。
自治体の発注仕様書も同じ形です。各務原市の市政PR動画制作業務委託仕様書は「(3)制作にあたっては、肖像権、意匠権、著作権及びその他の権利等について、撮影前に発注者の承諾を得た上で、必要となる一切の手続きを、受注者において費用を負担し、受注者が行うこと。」とし、泉南市のプロモーション動画作成業務委託仕様書は「なお、撮影許可の手続き及び交渉については、原則受託者が行うものとする。」としています。手続きは受注者が担い、撮影前に発注者の承諾を得る、という分け方です。
写真を使うのは発注者なので、甲を発注者にするなら、受注者が発注者の名前で取る段取りを発注の契約書に書いておきます。逆に受注者を甲にするなら、発注者がその素材を使えるようにする条項が別に要ります。どちらにするかが撮影の当日までに決まらないなら、発注者と受注者の両方を甲の欄に併記し、使う者を漏れなく書いてしまうという解き方があります。
カメラマンや制作会社に撮影を発注する側の条件(料金、著作権の帰属、撮影の中止)は、この書面には入っていません。それは発注者と撮影者の間で決めることなので、撮影業務委託契約書テンプレートを使ってください。被写体から誰が同意書を受け取るかも、そちらの契約書で決めます。
2. 「撮っていいですよ」と言われただけでは載せられない|撮影の同意と公開の同意は別物

現場では、カメラを向けて「撮ってもいいですか」と聞き、「いいですよ」と返ってくるところまでは自然に進みます。問題はそのあとです。
その一言は、採用サイトに顔写真を載せてよいという意味だったのか、その場でシャッターを切られることを断らなかっただけなのか、どちらにも読めます。
デジタルアーカイブ学会の「肖像権ガイドライン ~自主的な公開判断の指針~」は、公開してよいかを判断する手順の中で、本人の同意があるかを問う欄にわざわざ「(撮影の同意だけでは足りない)」と書き添えています。撮影に応じてもらったことと、公開してよいこととを、別々に確かめるという整理です。
そもそも「肖像権」という名前の条文はありません。最高裁判所大法廷 昭和44年12月24日判決(京都府学連事件)は、承諾なしにみだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由が憲法13条の趣旨から導かれるとしたうえで、判決理由では「これを肖像権と称するかどうかは別として」と留保しています。
根拠となる条文が無い以上、どこまで使ってよいかは書面で特定するほかありません。配布テンプレートは、この分かれ目をそのまま構造にしました。
第3条が「撮影に応じること」への同意で、第4条から第7条までが「できあがった素材をどう使うか」への同意です。第3条には、撮影に同意したことをもって素材の使用に同意したものとはしない、と明記してあります。
動画に出てもらう場合も、書面は2枚に分かれます。制作会社との契約は動画制作業務委託契約書テンプレートが受け持ち、出演した本人からもらう1枚がこの記事の配布物です。
3. 【条文一覧】配布テンプレート全24条は、どの揉め事に効くか
条文の並びは、撮影の段取りの順です。何を対象にするか(第1条・第2条)を決め、撮影に同意をもらい(第3条)、使ってよい範囲を確定し(第4条〜第7条)、使い方の作法を決め(第8条〜第15条)、あとから申出があったときの動き方を書く(第16条〜第20条)という順に読めます。
| 配布テンプレートの条 | 条の見出し | どの揉め事に効くか |
|---|---|---|
| 第1条 | 目的 | 「出演を頼まれたつもりはない」という食い違い |
| 第2条 | 定義 | 写真だけのつもりが音声や氏名まで使われる |
| 第3条 | 撮影に対する同意 | 撮影の日時・場所・撮影者が当日変わる |
| 第4条 | 利用目的 | 採用で使うはずの写真が商品広告に回る |
| 第5条 | 使用媒体 | 社内報のつもりがSNSに投稿される |
| 第6条 | 使用地域 | 国内限定と言いながらウェブで世界に出る |
| 第7条 | 使用期間 | いつまで載るのかが誰にも分からない |
| 第8条 | 改変、編集及び合成 | 意図と違う切り取り、他の画像との合成 |
| 第9条 | 氏名、所属等の表示 | 実名を出すつもりがなかった |
| 第10条 | 第三者への提供及び再許諾 | 取引先や素材集に写真が渡る |
| 第11条 | 生成AIの学習利用 | 学習データに使われていたと後から分かる |
| 第12条 | 対価及び支払 | 謝礼の金額・支払日・源泉徴収が決まらない |
| 第13条 | 乙の保証 | 他社と専属の取決めがあった、私物の権利が絡む |
| 第14条 | パブリシティ権及び所属事務所 | 事務所の許諾を取らずに公開してしまう |
| 第15条 | 甲の遵守事項及び禁止する使用 | 政治広告や成人向け商品に転用される |
| 第16条 | 同意の撤回の申出及び甲の対応 | 申出の宛先も期限も決まっていない |
| 第17条 | 個人情報の取扱い及び利用停止等の請求窓口 | 開示や利用停止の請求先が分からない |
| 第18条 | 在籍又は所属の関係が終了した場合の取扱い | 退職者の写真が採用サイトに残る |
| 第19条 | 撮影データの保管及び削除 | 誰がどこに保管しているか誰も知らない |
| 第20条 | 未成年者の場合の親権者の同意 | 本人だけの署名で取り消される |
| 第21条 | 違反時の措置及び損害賠償 | 範囲外の使用が見つかったときの動き方 |
| 第22条 | 有効期間及び本書の変更 | 口約束で範囲が広がっていく |
| 第23条 | 協議 | 条文に書いていない事項の扱い |
| 第24条 | 合意管轄 | 遠方の裁判所に呼ばれる |
別紙は2本です。別紙1が撮影・素材の特定表で、撮影日・場所・素材の内容・使う媒体・使用期間を1行ずつ書きます。別紙2は、被写体があとから撤回や使用の停止を申し出るときの様式です。
💡 全24条+別紙2本を、Word形式のままダウンロード
会員登録もメールアドレスの入力も要りません。選択式の条文は□の1行1択なので、選ばない行を消すだけで整います。自社に不要な条を削るときは、他の条から参照されていないかだけ確かめてください(第16条は第7条・第17条・第18条・第19条・第20条・第22条と別紙2から参照されています)。
4. 利用目的欄だけは空欄で配ってはいけない|同意書の第4条
「広報のため」とだけ書いた同意書は、使い道が増えたときに答えを出せません。採用サイトに載せるつもりで撮った写真を、翌年の商品広告に使いたくなったとき、その1行で足りるかどうかを誰も判断できないからです。
個人情報保護法第17条第1項は、「個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定しなければならない。」としています。「できる限り」と書いてある以上、「広報」は特定したことになりません。
義務の置き場所も確かめておきます。同意書は、被写体本人から氏名・住所・連絡先を直接書いてもらう書面です。この形で個人情報を取るときは、同法第21条第2項により、あらかじめ本人に対して利用目的を明示しなければなりません。
つまり利用目的は、社内の方針としてどこかに書いてあれば足りるものではなく、被写体が受け取る書面の上に書く必要があります。配布テンプレートが第4条を本文の前半に置いているのはこのためです。
一方で、写真を載せること自体に個人情報保護法上の同意が要るかというと、そこは分けて考えます。個人情報保護委員会は、会社の行事で撮影された写真を社内で展示する場合についてのFAQで、本人を判別可能な写真の画像は個人情報に該当するとしつつ、「個人データ(個人情報データベース等を構成する個人情報)ではないと解される」と回答しています。
そのうえで同じ回答は、あらかじめ本人の同意を得ずに展示等を行っても「法第27条第1項に違反するおそれはないと解されます」としたうえで、「利用目的を通知又は公表することは必要です(法第21条第1項)」と続けています。ここは社内展示の設問に対する回答であり、写真を個人情報データベース等に組み込んだ場合まで同じとは書かれていません。
同意書を取る理由は、個人情報保護法上の同意義務ではありません。理由は肖像権の側にあり、個人情報保護法の側で求められているのは利用目的の明示です。この2つを混ぜると、条文の当てはめを間違えます。
なお、第21条第1項の「通知又は公表」の受け皿になるのは、自社のプライバシーポリシーです。同意書に書く目的と、公表している目的とがずれていると説明できなくなるので、プライバシーポリシーテンプレートの記載と突き合わせてください。
先に書き切っておくべき理由はもうひとつあります。IoT推進コンソーシアム・総務省・経済産業省の「カメラ画像利活用ガイドブック ver3.0」は、既設のカメラで撮影・保存済みの画像データを新たな目的で利活用する場合について、「写る生活者から改めて同意を取得する必要がある」ため基本的に利用できない点に留意が必要である、としています。同意書を交わす撮影とは前提が違いますが、後から目的を足せないという事情は同じです。
あとから使い道が増えると、連絡が取れる相手なら取り直し、取れない相手なら撮り直しになります。第4条の□は、見込みのあるものをこの段階ですべて選んでおくのが安全です。
記入例で言えば、採用で使うなら「採用活動(採用サイト、求人広告、会社説明会の資料)」にチェックを入れ、その他欄に「翌年度入社向けの採用パンフレット及び学内説明会での投影」まで書きます。ここまで書けば、広告部門から「あの写真を商品ページに使いたい」と言われたときに、目的の追加として本人に確認すべきだと即断できます。
5. 媒体・地域・期間の3欄をどう埋めるか|第5条〜第7条(無期限にしていいのか)
利用目的を決めたら、次は「どこに」「どこまで」「いつまで」です。この3つは配布テンプレートの第5条・第6条・第7条に分かれています。
第5条の媒体は、自社サイト、印刷物、SNSアカウント、動画配信、店頭や館内の掲示、報道機関の媒体などから選ぶ形です。
第5条には、掲載した素材が第三者に転載・複製される場合があることを説明した、という確認も入れてあります。SNSを選ぶときは、この行を読み上げてから署名をもらってください。
第6条の地域は、日本国内に限るか、制限を設けないかの2択です。国内に限ると定めても、ウェブサイトとSNSの掲載は国外から閲覧できます。第6条には、甲乙がこの点を相互に確認する条項が入っています。地域欄は、掲示や印刷物の配布範囲を縛るときに効きます。
第7条の期間は、締結の日から何年、媒体ごとに定める、期間を定めない、の3択です。「期間を定めない」を選ぶこと自体は禁じられていません。ただし、選ぶなら説明と受け皿がセットになります。
判断材料として、個人情報保護委員会のFAQは、肖像権の側について「なお、プライバシーの権利や肖像権の侵害に当たる場合もあるため、例えば展示期間を限定したり、不特定多数の者への提供に際しては自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと考えられます。」と述べています。期間の限定は、望ましい取組として挙げられている側です。
実際に使われている書式にも、媒体ごとに期間を分けた例があります。宮城県が公開している「肖像権使用同意書」は、「使用期間:使用媒体①については,期間を定めない。②については,配信日のみ」とする、と書き分けています。ホームページや印刷物は期間を定めず、動画配信は配信日だけ、という分け方です。
配布テンプレートで同じことをするなら、第7条で「使用媒体ごとに定める」□を選び、別紙1の使用期間欄に媒体ごとの期間を書きます。記入例としては、採用サイトに「期間を定めない」、会社案内の印刷物に「在庫がなくなるまで(増刷しない)」、動画配信に「配信日のみ」と書く形です。
期間が満了したあとどうするかも第7条で決めます。掲載を取り下げるのか、素材そのものを消すのかを書いておかないと、満了日に誰も動きません。そして「期間を定めない」を選ぶ場合は、次の章の申出窓口が唯一の出口になります。
6. 撤回されたら消さないといけないのか|同意書の第16条・第17条と別紙2

掲載から数年後に、「あの写真を下ろしてほしい」という電話が入ることがあります。担当者は異動していて、誰が受けるのかも、いつまでに返事をするのかも決まっていません。ここで固まってしまうのが一番まずい状態です。
先に事実関係をはっきりさせます。肖像の使用に一度同意した人が、あとからその同意を撤回できるかどうかを正面から定めた法律の条文は見当たりません。撤回の可否を断定できる公的な資料は、この記事の調査では確認できませんでした。
書けるのはここまでです。デジタルアーカイブ学会の肖像権ガイドラインは、同意を得た場合でも、将来、本人から同意の撤回要請があった場合を想定して、事後的に本人からの申出を受けて「公開範囲の限定や、マスキング、公開取下げ等を行うこと」を検討することが望ましい、としています。
つまり実務の到達点は、「撤回できるか」を法律論で決めることではなく、「申出が来たときにどう動くかを先に決めておく」ことです。配布テンプレートの第16条は、この手順をそのまま条文にしました。
第16条で埋めるのは3つです。申出の受付先(部署・担当者名・住所・電話・メール)、申出を受けてから回答するまでの期限、そして掲載中のものをいつまでに取り下げるかの期限です。配布物ではどれも空欄にしてあるので、締結前に自社の運用に合わせて記入します。
申出を受けたあとの取扱いは、媒体ごとに書き分けてあります。新たな使用は止める、自社サイト・SNS・館内掲示は取下げか差替えか本人が特定されない加工を行う、既に配った印刷物は増刷と新たな頒布をやめる、第三者に渡した素材は提供先へ通知して同じ対応を求める、という並びです。
回収できない媒体まで「必ず回収する」と書いてしまうと、履行できない約束になります。第16条は、回収の要否と方法は協議して定める形にしてあります。ここは配布物が意図的に断定を避けている箇所です。
逆に「申出を受けた後は新たに使用しない」の1行は、法令が求めているものではなく、この書面で甲が引き受ける約束です。撤回の可否を定めた条文が無い以上、どこまで引き受けるかは自社で決める話になります。配る前に一度読み合わせてください。
個人情報の側の窓口は、第17条に別に置きました。個人情報保護法第35条第5項は、本人が「当該保有個人データの利用停止等又は第三者への提供の停止を請求することができる。」と定めています。撤回そのものを定めた条文ではありませんが、申出を受けたときの受け皿になります。第35条の請求を受けたときの社内手順は、個人情報取扱同意書テンプレートの側で整理しています。
第16条の申出と第17条の請求は別に行えるようにし、一方の手続を理由に他方の対応を留保しない、と書いてあります。窓口をひとつにまとめると、社内で「これは個人情報の請求だから別部署だ」と押し付け合いが起きます。
なお、申出を放置して押し切れる話でもありません。カメラ画像利活用ガイドブックは、「私法上、生活者のプライバシーや肖像権の侵害に対しては、損害賠償請求」や差止請求が認められている、としています。差止めが視野に入る以上、あとで払えば済むという整理は成り立ちません。
別紙2は、この申出を受け付けるための様式です。対象の素材、対象の媒体、求める対応、希望する期限を書く欄と、受け付けた日・担当者・対応内容・回答日を書く受付欄が入っています。申出が来てから様式を作り始めると、回答が遅れます。
7. 社員が退職したら採用サイトの写真を下ろすのか|第18条
退職したあとになって、本人から「採用ページの写真をそのままにしないでほしい」と連絡が来ます。人事は「同意はもらっている」と考え、本人は「あの会社の社員だった前提の写真だ」と考えています。どちらの言い分にも理屈があります。
この論点について、公的な出所は見つかりませんでした。退職・卒業・退会によって同意の効力が切れるかどうかを示した法令も、当てはめのできる公的資料も確認できていません。この記事では法的な結論を出しません。
結論が出せない論点は、同意書の側で先に決めておくのが現実的な対処です。配布テンプレートの第18条は、在籍や所属の関係が終了したときの扱いを3択にしました。
1つ目は、関係が終了した日をもって新たな使用を行わず、既に使っている媒体は第16条に準じて扱う形です。退職者の写真を残さない運用にするなら、これを既定にします。採用サイトの入替えが前提になるので、撮影のローテーションを組める会社向けです。
2つ目は、関係が終了した日から何年間かは使用を継続できる形です。年数は空欄なので、印刷物の在庫が捌ける期間や、採用サイトの改定周期に合わせて埋めます。退職後も在庫のある印刷物を配り続ける会社は、この形を選びます。
3つ目は、関係の終了は許諾に影響しないと決める形です。ここを選ぶなら、被写体にその意味を口頭で説明したうえで署名をもらってください。説明なしにこの行だけ残すと、退職時に本人が何に同意したのかを示せません。
3つのどれを選んでも、第16条の申出まで封じられるわけではありません。第18条には、その旨を確認する条項を入れてあります。退職後に連絡が取れないと申出も対応もできないので、関係が終了するときに本人から連絡先を知らせてもらう条項も置きました。
自社の既定をどれにするかは、書式を配る前に決めます。撮影の当日に人事担当者が3択の前で悩み始めると、その場が止まります。
8. 未成年が被写体のとき、誰が署名するのか|同意書の第20条
園児や生徒、高校生アルバイトを撮るときに毎回迷うのが、本人の署名で足りるかどうかです。ここは配布テンプレートでは民法の基準で割り切りました。
民法第4条は「年齢十八歳をもって、成年とする。」と定めています。そして同法第5条第1項は「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」とし、同条第2項は「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」としています。
取り消される可能性がある書面を根拠に写真を公開し続けるのは、実務として無理があります。そこで配布テンプレートの第20条は、被写体が18歳未満のときは末尾の親権者等の欄に記名押印または電子署名を得ることとし、それまで素材を使用しないと定めました。
親権者が二人いるときは、どちらからも同意を得るよう努める形にしてあります。一方だけの同意で進める場合は、その親権者が他方の同意を得ていることを表明する欄を使ってください。
個人情報保護法の側には、別の目安があります。個人情報保護委員会はFAQで、「法定代理人等から同意を得る必要がある子どもの具体的な年齢は、対象となる個人情報の項目や事業の性質等によって、個別具体的に判断されるべきですが、一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子どもについて、法定代理人等から同意を得る必要があると考えられます。」としています。
これは個人情報の取扱いについての目安であり、民法の基準とは別物です。配布テンプレートは厳しい側の民法基準(18歳未満は親権者欄)で作ってあるので、両方の目安を満たします。
個人情報保護委員会の通則編ガイドラインも、「個人情報の取扱いに関して同意したことによって生ずる結果について、未成年者、」成年被後見人、被保佐人及び被補助人が判断できる能力を有していないなどの場合は、親権者や法定代理人等から同意を得る必要がある、としています。年齢だけでなく、判断できる状態かどうかも見る、という趣旨です。
学校や保育園のように、撮影の場に親権者がいない現場では、いつ回収するかが問題になります。文部科学省委託事業として作成された「専修学校における情報公開実践の手引き」(平成29年3月・発行元は株式会社三菱総合研究所)は、「写真を撮影する前に、撮影する写真の利用目的、利用範囲を本人と保護者に説明し、同意を得た上で撮影することが望まれます」としています。撮影の後に求める形にすると、断られたときに撮り直しがきかなくなります。
撮影のたびに配り直す必要まではありません。山口県教育委員会の「学校における個人情報の適切な管理について」(令和6年3月改訂)は、同意を得る場合は「年間の予定等を考慮し、大会のたびに同意を得ることのないよう、計画的に行うことが大切です」としています。入学時や年度当初にまとめて取る形が想定されています。
ただし一括で取れる範囲には線があります。大田区が公開している区立保育園の重要事項説明書は、園内での利用について「そのため、保護者の方に事前に確認し、同意書(別紙1)をいただいております。」としたうえで、「また、これらを外部提供する場合には、その都度お知らせし、確認を取らせていただいております。」と分けています。中で使う分は最初に一度、外へ出す分はそのつど、という二段構えです。
変更の受け口も書面に書いておきます。赤穂市立赤穂小学校の承諾書は「年度途中での承諾変更については、担任までご連絡ください。」としています。配布テンプレートでは、第16条の受付先がこの役割を果たします。
先を見ておくと、令和8年7月17日に公布された改正個人情報保護法は、本記事の更新時点でまだ施行されていません。その改正法は、16歳未満の者が本人である場合に、同意取得や通知等について当該本人の法定代理人を対象とすることを明文化し、保有個人データの利用停止等請求の要件を緩和する、としています。
施行期日も、公表されている資料では「原則として公布の日から起算して2年を超えない範囲内」とされているだけで、確定した日付は示されていません。今から親権者欄のある書式に揃えておけば、施行を待って書式を作り直す必要はありません。
第20条には、18歳未満の被写体について、通学先や住所など所在を推知させる情報と組み合わせた使用を行わない、という条項も入れてあります。園名と園児の顔写真を並べて投稿する運用は、この条項に反します。
9. 加工・第三者提供・生成AIの学習利用|第8条・第10条・第11条
同意をもらった写真でも、加工の仕方と渡し先で揉めます。配布テンプレートは、この2つを第8条と第10条に、そして学習利用を第11条に分けました。
第8条の編集・加工は3択です。編集と加工を認める、トリミングや明るさの調整など軽微な編集に限る、加工のたびに事前の承諾を要する、から選びます。
どれを選んでも外れない歯止めも置きました。社会的評価を低下させる編集、他の画像との合成、生成技術による改変など、人格的利益を害するおそれのある改変は行わない、という条項です。発言の趣旨と違う内容になる字幕や音声の付加も禁じています。
第10条の第三者提供と再許諾は2択です。認めないか、提供先・再許諾先の範囲を書いて認めるかを選びます。認める場合は、提供先にも同じ使用範囲と義務を守らせ、その遵守について自社が責任を負う形にしました。
素材集や画像販売サービスへの登録は、明記して選んだ場合を除いて禁止しています。「不特定の誰でも使える状態」に置かれると、被写体からの申出を受けても止められなくなるからです。
なお、写真をデータベースにして検索できる状態にすると、個人データとして扱われる場面が出てきます。個人情報保護法第27条第1項は、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」としています。撮影素材を社内の検索可能な台帳に載せて外部に渡すなら、第10条だけでなくこの条文の側も確かめてください。
第11条の生成AIの学習利用は、迷ったら「学習利用を含まない」を選んでください。理由は2つあります。
1つ目は、学習利用を含めると被写体が受ける説明の量が一気に増えることです。どのモデルに、どの範囲で、いつまで使うのかを書けないなら、範囲を確定できたことになりません。
2つ目は、入力側の注意点が公的に示されていることです。個人情報保護委員会は生成AIサービスの利用について、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを含むプロンプトを入力する場合には、そのサービスを提供する事業者が「当該個人データを機械学習に利用しないこと等」を十分に確認することを求めています。
ただしこれは肖像権の話ではなく、個人情報の観点からの注意喚起で、個人データであることが前提になっています。学習利用と肖像権を直接つないだ政府の文書は確認できませんでした。第11条は、法令の要求ではなく、範囲を書面で確定するための欄だと理解してください。
第11条には、素材から顔の特徴を抽出したデータを作って本人確認や入退場管理に使わない、という条項も入れました。ここは誤解が多いところなので、区別を書いておきます。
個人情報保護法第2条第2項第1号がいう個人識別符号は、「特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの」です。同法施行令第1条第1号は、その身体の特徴のひとつとして「顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌」を挙げています。容貌そのものが個人識別符号なのではなく、それを変換した符号が該当します。
つまり個人識別符号は、認証のために変換したデータであって、顔写真そのものではありません。令和8年に公布された改正個人情報保護法(本記事の更新時点で未施行)が新たに規律する顔特徴データについても、公表資料は「単なる顔写真ではなく、個人識別符号のうち顔特徴データを想定(具体的な範囲は政令以下で定めることを想定)。」と注記しています。
同改正は「顔特徴データ等について、その取扱いに関する一定の事項の周知を義務化し、利用停止等請求の要件を緩和するとともに、オプトアウト制度に基づく第三者提供を禁止する。」としています。施行後に顔認証や画像解析を使用範囲へ含めるなら、この同意書とは別の検討が要ります。
10. 謝礼を払うなら金額欄の前に決めること|同意書の第12条と源泉徴収
社員やイベント参加者に無償で協力してもらうなら、配布テンプレートの第12条は「無償とする」で終わります。迷うのは、商品券や記念品を渡すときです。
第12条は、謝礼・記念品・商品券その他名称のいかんを問わず経済的な利益を提供するときは、有償を選んでその内容を書く、という形にしました。金銭でないから無償だ、という整理は取っていません。
その理由は税務の側にあります。国税庁は、「3 金銭ではなく、物品その他の経済的利益で支払う場合も報酬・料金等に含まれます。」としています。名目についても、「2 謝礼、研究費、取材費、車代などの名目で支払われていても、その実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になります。」と示しています。
では、写真に写ってもらって支払う報酬は源泉徴収の対象になるのか。所得税法第204条第1項第4号は、源泉徴収の対象として「職業野球の選手、職業拳けん闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金」を挙げています。
ここでいう「モデル」の範囲は施行令が広げています。所得税法施行令第320条第3項は、同号に規定するモデルには「雑誌、広告その他の印刷物にその容姿を掲載させて報酬を受ける者を含むものとする。」としています。
プロのモデルでなくても、広告や印刷物に容姿を載せる対価として報酬を受け取るなら、この定義に触れる可能性があります。だからこそ、第12条には源泉徴収税額を控除して支払う旨の条項を置きました。
徴収した所得税の納付期限は、所得税法第204条第1項の柱書が「その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。」と定めています。撮影の翌月10日までに動く必要があるので、支払期日は経理と共有してください。
税率と、自社のケースが源泉徴収の対象に当たるかどうかは、この記事では扱いません。相手の属性と支払の実態で結論が変わるため、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
交通費の扱いも第12条で決めます。国税庁は、「報酬・料金等の支払者が、直接交通機関、ホテル、旅館等へ通常必要な範囲の交通費や宿泊費などを支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。」としています。第12条の交通費欄で、自社が直接支払うのか、本人に精算するのかを書き分けてください。
11. 相手が事務所所属のタレントだったら|第14条とパブリシティ権
同じ「写真に写ってもらう」でも、相手が芸能事務所やマネジメント会社に所属している場合は、本人の署名だけでは足りません。配布テンプレートの第14条は、その見分けをつけるための条文です。
第14条は、所属していないか、所属しているか(名称を書く)の2択です。所属していると書いた場合は、その事務所等の許諾を別に得るまで素材を使用しない、と定めてあります。撮影が終わってから気づくと、公開日が動きます。
なぜ別扱いになるのかは、判例が示しています。最高裁判所第一小法廷 平成24年2月2日判決(ピンク・レディー事件)は、氏名や肖像を「専ら氏名,肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に,当該顧客吸引力を排他的に利用する権利(いわゆるパブリシティ権)を侵害するものとして,不法行為法上違法となる。」としています。
同判決が挙げるのは、氏名や肖像それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使う場合、商品等の差別化を図る目的で付す場合、商品等の広告として使う場合の3つです。3つ目は、一般的な会社の広告にそのまま当てはまります。
顧客吸引力のある人物を広告に使うなら、この同意書だけでは設計が足りません。第14条には、専ら広告として利用する場合は本書とは別に条件を定めた契約を締結する、という条項を入れてあります。
タレントの起用条件(専属期間、独占の範囲、報酬の配分)は芸能専属契約書テンプレートの守備範囲です。SNSでの発信を伴う起用なら、報酬と表示のルールが絡むのでアンバサダー・インフルエンサー契約書テンプレートを見てください。
第13条も併せて確認します。他社との間に本書と抵触する取決めがないことを被写体に保証してもらう条項で、事務所との専属関係を見落としたときの手当てになります。
12. イベント・集合写真・背景の写り込みはどうするか

来場者が数百人いる会場で、全員から同意書をもらうのは現実的ではありません。そこで「本イベントは撮影します」という掲示を出すことになりますが、掲示は同意書の代わりにはなりません。
会場での事前の告知と、写り込んだ人からの申出を受け付ける窓口を、同意書とは別に用意する、という組み立てになります。
事前告知に何を書くかは、カメラ画像利活用ガイドブックが示しています。同ガイドブックは、事前告知に記載する内容の例として「カメラ画像の内容及び利用目的」を挙げています。「撮影します」だけでは、告知として足りません。
代表者がまとめて同意する形も実物にはあります。宮城県が公開している同意書には、「私以外の方の肖像等が写っている場合でも,私を代表者として下記に定める使用範囲」において使用することに同意する、という条項があります。ただし、この書き方が集合写真に写った他の人にまで効くかどうかを述べた法令・判例・公的なガイドラインは見当たりません。効くとも効かないとも、この記事では判定しません。
同じ書式は「本同意書に基づく使用について,私または第三者からクレーム等の異議申し立て」が一切なされないことを保証する、という包括的な保証まで代表者に負わせています。配布テンプレートには、この型の包括的な保証条項は入れていません。自社の書式をどこまで包括にするかは、相手との関係の濃さで決めてください。
実務の線引きは、写り方で分けるのが分かりやすい形です。
| 写り方 | 何をするか |
|---|---|
| 主役として写る(インタビュー、モデル、ステージ上の登壇者) | 配布テンプレートで個別に同意をもらう |
| 名前や所属とともに載せる集合写真 | 個別に同意をもらう。難しければ氏名を表示しない選択肢(第9条)を使う |
| 会場の様子として写り込む来場者 | 入口と会場内に告知を掲示し、申出窓口を書く。個人が特定できる大きさで載せない |
| 通行人・背景の第三者 | 掲載前にぼかしや構図で対応する |
掲示に書く窓口は、第16条に書いた受付先と同じにしてください。同意書をもらった人と、掲示だけで撮った人とで窓口が別だと、申出を受けた担当者が対応を切り分けられません。
撮影に同伴者がいる場合の手当ては、第13条に入れてあります。同伴者の肖像が素材に記録されないよう配慮するか、その人から必要な同意を得ることを、被写体側に求める条項です。
保育所、学校、医療機関、介護施設のように、被写体が申出をしにくい立場にある場面では、利用目的をさらに細かく特定し、親権者等の同意を必ず得てください。医療・介護の分野については、個人情報保護委員会がFAQで「写真についても、個人を識別できるものであれば個人情報に当たります。したがって、ホームページや機関誌への掲載、施設内への展示等を通じ、当該写真を第三者の閲覧に供するに際しては、本人の同意を得る必要があります。」としています。
13. 肖像権使用同意書に収入印紙は要るか|不課税と、第2号文書になる例外
先に結論を書きます。配布テンプレートのように、被写体が自分の肖像の使用を許諾する内容にとどまる書面には、収入印紙を貼る必要がありません。
ただし、国税庁がこの書類名について直接そう回答した資料は見当たりません。以下は、本記事の更新時点の印紙税法と、国税庁の一般的な説明を当てはめた結論です。
出発点は、課税される文書が限られていることです。国税庁は、「印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。」としたうえで、課税文書の要件として「(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。」を挙げています。
そして国税庁の質疑応答事例は、「したがって、課税物件表の物件名欄に掲げられていない文書は、印紙税の課税対象になりません。」としています。課税物件表に載っていない文書は、課税文書ではないので不課税です。
書き分けにも注意してください。非課税は、課税物件表には載っているものの、印紙税法の定めにより印紙税を課さないとされている文書を指します。この同意書はそもそも課税物件表に載っていないので、不課税の側です。
「一方が差し出す同意書だから契約書ではなく、だから印紙は要らない」という説明は誤りです。
課税物件表の適用に関する通則5は、契約書について「念書、請書その他契約の当事者の一方のみが作成する文書又は契約の当事者の全部若しくは一部の署名を欠く文書で、当事者間の了解又は商慣習に基づき契約の成立等を証することとされているものを含むものとする。」としています。片面の書面でも契約書に含まれ得ます。印紙が要らない理由は、片面だからではなく、課税物件表に載っていないからです。
課税物件表の中で近そうに見えるのは第1号です。第1号は不動産や無体財産権などの譲渡に関する契約書ですが、その定義欄は「無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいう。」としており、肖像権は入っていません。加えて第1号は譲渡に関する契約書なので、使用の許諾は対象外です。
課否は書類の名称ではなく中身で決まります。国税庁は「課税文書に該当するかどうかの判断は、文書に記載されている内容に基づいて判断します。」としており、文書の名称や形式的な記載文言ではなく、実質的な意味を汲み取って行うとしています。
そこで問題になるのが、出演の約束を書き足した場合です。課税物件表の第2号(請負に関する契約書)の定義欄は、「請負には、職業野球の選手、映画の俳優その他これらに類する者で政令で定めるものの役務の提供を約することを内容とする契約を含むものとする。」としています。
この「政令で定めるもの」は限定列挙です。印紙税法施行令第21条は、対象となる者を列挙したうえで、第2号に当たる契約を「職業野球の選手、映画の俳優又は前項に掲げる者のこれらの者としての役務の提供を約することを内容とする契約に限るものとする。」としています。列挙されているのはプロボクサーやプロレスラー、演劇の俳優、音楽家、舞踊家、映画や演劇の監督、「テレビジョン放送の演技者、演出家又はプロジューサー」などです。
社員、イベント参加者、園児はここに入りません。相手がこれらの職業でなければ、謝礼の金額を書いただけでこの拡張規定に取り込まれることはありません。ただし第2号文書はもともと請負に関する契約書なので、職業にかかわらず、撮影物の完成や納品を約する内容を書き足せば別の判断になり得ます。
一方で、相手が俳優などで、出演を約束させる内容にすると扱いが変わります。国税庁の印紙税法基本通達は、「映画会社等と俳優等との間において作成される映画の専属契約書又は出演契約書は、第2号文書(請負に関する契約書)として取り扱う。」としています。第2号文書になった場合の税額は、印紙税法別表第一の第2号の税率欄が定めており、契約金額の記載がある場合はその金額の区分に応じて決まります。契約金額の記載がない契約書は、一通につき200円です。
だからこそ配布テンプレートの第1条には、本書は肖像等の使用の許諾を内容とするもので、乙が出演その他の役務の提供を約するものではない、と書いてあります。出演を依頼するなら、この同意書に書き足すのではなく、出演契約書を別に作ってください。
号ごとの税額を確かめたいときは、印紙税額の一覧表を見てください。自社のケースが不課税で足りるかどうかの最終判断は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
💡 出演を約束させない建て付けなので、印紙を貼らずに使えます
会員登録もメールアドレスの入力も不要で、ダウンロードしたら第4条の利用目的から埋めてください。
14. 紙のままで足りる場合と、電子で取る場合
同意書は、紙で足りる場面がはっきりしている書類です。無理に電子化する必要はありません。
紙のままで足りるのは、次のような場合です。
- 撮影現場でその場で書いてもらう。用紙とペンを持って行けば、待ち時間なしで1枚できあがる
- 被写体が高齢で、メールでのやり取りに慣れていない
- 相手が電子での署名に応じない。同意書は断られたら撮影自体が止まるので、方式で押し切る場面ではない
- 印紙を貼らない書面なので、印紙代を節約するために電子にする動機がない
電子で取るほうが早いのは、撮影が終わってから同意をもらう場合と、被写体が遠方にいる場合です。イベントの翌日に登壇者へ送る、リモート取材の相手に送る、といった場面では、郵送の往復がなくなる分だけ公開日が早まります。
被写体が18歳未満で、撮影の場に親権者がいない場合も電子が向きます。紙だと、本人に持ち帰らせて、翌日以降に回収するまで素材を使えません。親権者のメールアドレスに直接送れば、その日のうちに揃うことがあります。
個人情報保護委員会の通則編ガイドラインは、本人の同意を得ている事例として「本人からの同意する旨の書面」の受領を挙げており、この書面には電磁的記録を含むと明記しています。同意書を電磁的記録で受け取ること自体は、この事例に沿った形です。電子契約そのものの有効性は、電子契約の法的効力で解説しています。
ムスビサインで送る場合、被写体側にアカウント登録は要りません。メールのリンクを開いて署名するだけです。取引先ではなく一般の個人に送る書面では、この点が効きます。
紙と電子のどちらで取っても、第16条の受付先を埋めておくことは変わりません。撤回の申出は、書面でも電磁的記録でも受け付ける形にしてあります。
15. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順

上から順に埋めれば、撮影当日までに1枚仕上がります。社内で決めるべきことが決まっていれば、あとは選択式の□にチェックを入れる作業だけです。
先に、どこを印刷前に確定させ、どこを当日その場で書いてもらうかを決めておきます。
| いつ埋めるか | どこを埋めるか |
|---|---|
| 印刷する前に、社内で(Wordで選ばない行を消す) | 甲の表示、第4条から第7条まで、第8条から第11条まで、第12条、第16条の受付先と期限、第17条の窓口、第18条、第19条、第24条 |
| 撮影の当日、その場で本人に(ペンで記入) | 乙の氏名、ふりがな、住所、生年月日、連絡先、甲との関係、署名または記名押印。18歳未満なら親権者欄 |
| 撮影の後でよい | 別紙1の素材の内容(撮った後でないと書けないため、追記して本人の確認を得る) |
□は、印刷する前にWordで不要な行を消す使い方を想定しています。現場でペンでチェックを入れる運用もできますが、その場合は選ばなかった行に必ず斜線を引いてください。空欄のままの□は、あとから足されたのか元からなかったのかを示せません。
手順1|甲乙の表示を埋める
甲(使用者)は、氏名または商号、住所、担当部署と担当者名、連絡先を書きます。乙(被写体)は、氏名、ふりがな、住所、生年月日、連絡先、甲との関係(従業員/取引先/イベント参加者/モデル)を書きます。生年月日は、18歳未満かどうかを判定するために使うので省略しないでください。
手順2|第2条で対象を選ぶ
写真、動画、音声、氏名、所属や肩書のうち、許諾の対象にするものにチェックを入れます。選ばなかったものは対象外になります。インタビュー動画なら、写真・動画・音声・氏名・所属まで入ることが多くなります。
手順3|第3条に撮影の予定を書く
撮影日、時間帯、場所、撮影者、撮影の内容を書きます。撮影者の欄には、外部のカメラマンに頼むならその名称を書いてください。
手順4|第4条から第7条までを埋める(ここが本体)
利用目的、媒体、地域、期間の4つを決めます。第4条は1つも選ばないまま締結しない箇所です。第7条で「期間を定めない」を選ぶなら、その旨を口頭で説明してから署名をもらってください。「この写真は、掲載をやめるまで期限を決めずに使わせてもらいます。やめてほしくなったら、この連絡先に言ってください」と、第16条の受付先を指しながら伝えるだけで足ります。
手順5|第8条から第11条までの既定を決める
編集の範囲、氏名の表示、第三者提供の可否、生成AIの学習利用を選びます。社内で既定を決めておけば、撮影のたびに悩まずに済みます。
手順6|第12条で対価を決める
無償なら1行選ぶだけです。有償にするなら、支払期日と振込先、源泉徴収と振込手数料の扱いまで書きます。記念品や商品券を渡す場合も有償の側で書いてください。
手順7|第16条の受付先と期限を埋める
部署または担当者名、住所、電話番号、メールアドレス、回答の期限、掲載を取り下げる期限を書きます。担当者名まで書いておくと、異動があっても引き継げます。ここが空欄の同意書は、申出が来た日に機能しません。
手順8|第18条・第20条・第24条を選ぶ
在籍関係が終わったときの扱い(3択)、被写体が18歳未満なら親権者欄の使用、合意管轄の裁判所(3択)を決めます。
手順9|別紙1を書く
撮影日、場所、素材の内容、使う媒体、使用期間を1行ずつ書きます。媒体ごとに期間を分けるときは、ここが本体になります。撮影後に素材を追加したら、追記して本人の確認を得てください。
手順10|署名をもらい、控えを渡す
同じものを2部作り、甲乙が各自1部を持ちます。被写体が複数いる日は、1人につき1枚ずつ作ります。別紙1は素材を並べる表であって、複数人が連名で署名する様式ではありません。電子で交わす場合は、締結後のPDFを被写体にも渡してください。別紙2の様式も一緒に渡しておくと、申出が来たときに様式の説明から始めずに済みます。
手順11|残った空欄の扱いを確かめる
- 締結前に埋める:第4条の利用目的、第7条の使用期間、第16条の受付先と対応の期限、第20条の親権者欄(被写体が18歳未満の場合)。この4つは、空欄のままだと何に同意したのかが定まりません。
- 自社の運用が決まっていれば埋める:第17条の個人情報の窓口、第19条の保管場所・管理責任者・保管期間・消去の時期。決まっていない状態で数字だけ入れると守れない約束になるので、社内で決めてから埋めてください。
16. よくある質問(FAQ)
Q1. 撮影のときに口頭で「撮っていいですよ」と言われました。書面は要りませんか?
A. 撮影に応じてもらったことと、公開してよいこととは別です。デジタルアーカイブ学会の肖像権ガイドラインは、公開の判断で本人の同意を問う際に「(撮影の同意だけでは足りない)」と明記しています。
配布テンプレートも同じ考えで、第3条(撮影)と第4条以下(使用)を分けています。第3条には、撮影に同意したことをもって素材の使用に同意したものとはしない、と書いてあります。
Q2. 使用期間を「期間を定めない」にしてよいですか?
A. 選べます。配布テンプレートの第7条(使用期間)に置いた3つの選択肢のうち1つです。ただし、個人情報保護委員会は肖像権の側について、展示期間を限定したり自主的に本人の同意を得る等の取組が望ましいと述べています。
期間を定めないと決めるなら、配布テンプレートの第16条(同意の撤回の申出)の受付先と対応期限を必ず埋めてください。期間の定めがない書面では、申出の窓口が唯一の出口になります。
Q3. 一度もらった同意を、あとから撤回されたら削除しないといけませんか?
A. 削除しなければならないと決めた法令の条文は見当たりません。撤回できるかどうかも断定できないため、実務で用意するのは削除の可否ではなく、申出を受けたときの手順です。
デジタルアーカイブ学会の肖像権ガイドラインは、将来の撤回要請を想定して、事後的に本人からの申出を受けて公開範囲の限定やマスキング、公開取下げ等を行うフローを検討することが望ましいとしています。配布テンプレートの第16条と別紙2が、その受け皿です。
個人情報の側では、個人情報保護法第35条第5項により、本人が保有個人データの利用停止等を請求できます。第17条にその窓口を置いてあります。
Q4. 社員が退職したら、採用サイトの写真は下ろす必要がありますか?
A. 下ろす義務があるかどうかを示した公的な出所は見つかりませんでした。法律で決着していない論点なので、同意書の側で先に決めておきます。
配布テンプレートの第18条は、終了日から新たな使用をしない、終了日から一定年数は継続できる、終了は許諾に影響しない、の3択にしてあります。どれを選んでも、同じ書面の第16条による撤回の申出はできる形にしました。
Q5. 18歳未満の被写体は、本人と親のどちらが署名しますか?
A. 両方です。民法第4条は18歳をもって成年とし、同法第5条第1項は未成年者の法律行為に法定代理人の同意を要するとしています。同意がない法律行為は、同条第2項により取り消される可能性があります。
配布テンプレートの第20条は、18歳未満のときは末尾の親権者等の欄に署名を得るまで素材を使用しない形にしてあります。親権者が二人いるときは、どちらからも同意を得るよう努めてください。
Q6. 謝礼として商品券を渡す場合、無償でよいですか?
A. 有償として書きます。国税庁は、金銭ではなく物品その他の経済的利益で支払う場合も報酬・料金等に含まれるとし、謝礼や車代の名目でも実態が報酬なら源泉徴収の対象になるとしています。
第12条で有償を選び、内容を書いてください。源泉徴収した所得税の納付期限は、所得税法第204条第1項により翌月10日までです。自社のケースが対象になるかどうかは、税理士にご確認ください。
Q7. イベントで「撮影します」と掲示すれば、同意書は不要ですか?
A. 掲示は同意書に代わりません。カメラ画像利活用ガイドブックは、事前告知に「カメラ画像の内容及び利用目的」を記載する例を挙げています。「撮影します」だけでは足りません。
主役として写る人からは個別に同意をもらい、写り込む人については掲示と申出窓口で受けるのが現実的な線です。窓口は、配布テンプレートの第16条に書いた受付先と揃えてください。
Q8. メールで同意書を送って、返信で同意してもらう形でも有効ですか?
A. その形でも同意は取れます。個人情報保護委員会の通則編ガイドラインは、本人の同意を得ている事例として、電磁的記録を含む書面の受領やメールの受信を挙げています。
ただし、誰がいつ同意したかを後から示せる形にしておく必要があります。返信メールだけで済ませるより、署名の記録が残る形で交わすほうが確実です。
Q9. 相手が芸能事務所に所属している場合も、この同意書で足りますか?
A. 足りません。配布テンプレートの第14条で所属していると書いた場合は、事務所等の許諾を別に得るまで素材を使用しない建て付けにしてあります。
最高裁判所第一小法廷 平成24年2月2日判決は、氏名や肖像を商品等の広告として使うなど、専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合にパブリシティ権の侵害となり得るとしています。起用条件は、専属契約や起用契約の側で決めてください。
17. まとめ:空欄を埋めて、撮影当日までに1通交わす
撮影の当日に迷わないよう、締結までに決めることを順に確かめてください。
- 撮影の同意(第3条)と使用の同意(第4条〜第7条)は別物として埋める
- 第4条は空欄のまま配らない。「広報のため」で止めず、掲載先を列挙する(個人情報保護法第17条第1項)
- 同意書という書面で氏名と連絡先を受け取る以上、その書面に利用目的を明示する(個人情報保護法第21条第2項)
- 期間は媒体ごとに分けられる。第7条で「使用媒体ごとに定める」を選び、別紙1に書く
- 第16条の受付先と対応期限を埋める。期間を定めないなら、ここが唯一の出口になる
- 第18条に置いた3つの選択肢は、書式を配る前に自社の既定を決めておく
- 18歳未満なら親権者欄を使う(民法第5条第1項・第5条第2項)
- 撮影を外注するなら、同意書の甲を発注者と受注者のどちらにするかを、発注の契約書と揃えて決める
- 第11条は「学習利用を含まない」を既定にする
- 謝礼や商品券を渡すなら第12条で有償を選ぶ。名目では判断しない
- 出演を約束させない限り不課税と考えられる。印紙は貼らない(最終判断は所轄の税務署か税理士へ)
決めるのは10か所です。撮影日から逆算して、第4条と第16条だけは先に埋めておいてください。
肖像権使用同意書テンプレートを無料ダウンロード
本記事で解説した肖像権使用同意書テンプレート(全24条+別紙2本)を、Word形式で配布しています。
✅ 会員登録不要・メールアドレス入力不要 — ダウンロードしてそのまま編集できます
✅ 利用目的が7つの選択式(第4条) — 採用、広報、SNS、広告、社内利用、報道機関への提供、その他から選べます
✅ 氏名の表示を選べる(第9条) — 実名、イニシャルや仮名、表示しないから選びます
✅ 撤回の申出窓口と対応期限の欄+別紙2の申出書式(第16条) — 申出が来た日に動けます
✅ 未成年の親権者欄(第20条) — 18歳未満の被写体にそのまま使えます
✅ 紙・電子のどちらでも締結できる末尾書式 — 記名押印と電子署名を選べます
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まずは月3件、無料で電子契約を試してみませんか?
ムスビサインは、PDFをアップロードしてメールで送るだけで締結できるクラウド型の電子契約サービスです。撮影が終わってから同意をもらう場合や、被写体が遠方にいる場合に向いています。
✅ 受領者はアカウント登録が不要 — 被写体はメールのリンクを開いて署名するだけです
✅ 立会人型(事業者署名型) — 相手に電子証明書を用意してもらう必要がありません
✅ 電子署名法第3条に対応 — 締結時にAATL証明書の電子署名と総務大臣認定タイムスタンプを付与します
✅ 締結後のPDFは手元に保存 — フリー/スタータープランでは締結後1週間でサーバーから自動削除されるので、ダウンロードして保管してください
本記事および配布テンプレートは一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な事案の適法性や、印紙税・源泉徴収の判定については、弁護士・税理士にご確認ください。
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