土地使用貸借契約書テンプレート・雛形|贈与税と相続の分かれ目
土地使用貸借契約書のWordテンプレートを無料ダウンロード(会員登録不要・メールアドレス不要)。親子・親族間や自社への無償の貸し借りで、贈与税がかからない根拠と相続時の自用地評価、無償返還届出書、借地借家法が及ばない理由、収入印紙が不要な理由まで解説します。
公開日: (更新: )
無料ダウンロード
土地使用貸借契約書テンプレート
- ファイル形式
- Word
- 料金
- 無料
- 更新日
- 2026-09-08
- 会員登録
- 不要
ダウンロードした時点で「契約書ひな形ダウンロード利用規約」に同意したものとみなします。
この土地使用貸借契約書、印刷・郵送・押印なしでそのまま送れます。
ムスビサインを無料で始める「息子が実家の隣に家を建てるので、土地はタダで使わせるつもりだ」 「社長個人の名義の土地を、自社の資材置場として無償で使わせている」 「相続した畑を、離れて暮らす弟に無償で貸すことになった」
いずれも、地代を取らずに土地を貸す使用貸借です。
この記事では、そのまま記入して使える土地使用貸借契約書のWordテンプレートを配布します。前文・16本の条文・別紙という構成で、会員登録もメールアドレス入力も不要です。
あわせて、条文を置いた理由と、贈与税・相続税・法人が絡むときの扱いを、国税庁の原文にあたって整理します。
この記事の結論
- 無償で貸すのが使用貸借、賃料を約束するのが賃貸借(民法601条)。受け取る額が公租公課に相当する金額を超えると、賃貸借に当たる可能性がある。
- 口約束でも成立するが、書面にしないと貸主は引渡し前にいつでも解除できる(民法593条の2)。
- 個人どうしの使用貸借なら、使用権の価額は零として扱われ、借主に贈与税は課されない(国税庁 No.4552)。
- その裏返しで、相続のときは貸宅地ではなく自用地として評価される。無償で貸しても相続税は圧縮されない。
- 当事者に法人がいるなら無償返還の条項が要る。ただし使用貸借だと貸宅地は自用地価額のまま(昭60直資2-58)。
- 貸主(親)が死亡しても使用貸借を終了させる規定は民法に無い。相続後は土地が兄弟の共有になり、「別段の合意」が無ければ使用の対価を求められうる(民法249条2項)。
- 借地借家法は及ばない。収入印紙は不要(不課税)。
目次
- 土地使用貸借契約書テンプレートの無料ダウンロード
- 使用貸借と賃貸借の違い|地代を受け取った時点で別の契約になる
- 口約束でも成立する。それでも書面にする理由(民法593条の2)
- テンプレートに入れた全条文と、それぞれを置いた理由
- 「いつ返してもらえるか」を決める3つの空欄
- 公租公課を借主に負担させるときの書き方
- 贈与税はかからない。ただし相続では自用地評価で満額課税される
- 当事者に法人がいる場合|無償返還条項と届出書
- 借地借家法は適用されない|30年も建物登記の対抗力も及ばない
- 収入印紙は貼らない|土地の使用貸借契約書は不課税
- 農地(田・畑)を無償で貸すときは農業委員会の許可が要る
- 電子で締結するときの注意点と、紙のままで足りる条件
- ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
1. 土地使用貸借契約書テンプレートの無料ダウンロード
配布しているのは、個人どうしの貸し借りにも、社長個人の土地を自社に貸す場面にも使える1枚です。
空欄は角かっこ、選ぶところは□にしてあるので、印刷して手書きで埋めることもできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書式 | Microsoft Word(.docx) |
| 構成 | 前文+16本の条文+別紙「本件土地の表示」 |
| 想定する場面 | 親子・親族間の土地の無償貸借、社長個人の土地を自社へ貸す場合 |
| 選択式の欄 | 使用目的、期間、公租公課の負担、借主の死亡、原状回復の範囲 |
| 収入印紙欄 | 無し(土地の使用貸借契約書は不課税のため) |
| 会員登録 | 不要 |
| メールアドレス入力 | 不要 |
| 電子契約 | 記名押印欄はそのまま電子署名にも対応 |
| 向かない場合 | 地代・権利金など対価を受け取る場合(賃貸借になります)/地目が田・畑で農業委員会の許可を受けていない場合/土地そのものを渡す場合(贈与契約書になります) |
2. 使用貸借と賃貸借の違い|地代を受け取った時点で別の契約になる
「親子だから家賃は要らない。ただ、固定資産税のぶんくらいは払ってもらおうか」。この一言を口にした瞬間に、契約の種類が変わるかどうかの分かれ目に立っています。
民法593条は、使用貸借を「無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約する」契約と定めています。
これに対して民法601条の賃貸借は、「賃料を支払うこと」を約束することで効力を生じる契約です。対価を受け取るかどうかが、両者を分ける唯一の要素です。
| 論点 | 使用貸借(無償) | 賃貸借(有償) |
|---|---|---|
| 根拠となる条文 | 民法593条 | 民法601条 |
| 対価 | 受け取らない | 賃料を支払う |
| 借地借家法 | 適用されない | 建物の所有が目的なら借地権として適用される |
| 第三者への対抗 | 使用借権は登記できない(不動産登記法3条) | 登記すれば対抗できる(民法605条) |
| 修繕・必要費 | 借主が通常の必要費を負担(民法595条1項) | 貸主が修繕義務を負う(民法606条1項) |
| 原状回復 | 通常損耗・経年変化を除く文言が無い(民法599条3項) | 通常損耗・経年変化は除かれる(民法621条) |
| 収入印紙 | 不課税 | 第1号の2文書として課税 |
では、いくらまでなら受け取ってよいのか。
国税庁の通達(昭48直資2-189 記1)は、土地の借受者と所有者との間に、その土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは使用貸借に該当するとしています。
あわせて、地代の授受がなくても、権利金その他地代に代わるべき経済的利益の授受があるものは使用貸借に該当しない、とも書かれています。
ここで注意していただきたいことがあります。「固定資産税の何倍までなら使用貸借」という倍率は、この通達にも法令にも示されていません。
インターネット上には具体的な倍率を挙げる解説がありますが、国税庁の原文で確認できる線引きは「公租公課に相当する金額以下」までです。
テンプレートも、支払額が公租公課に相当する金額を超えないことを条文に書く形にしてあります。
固定資産税を明確に超える額を受け取ると決めたなら、その契約はもう賃貸借です。その場合、この記事のテンプレートは使えません。
賃貸借契約書の一般的な作りは賃貸借契約書テンプレートで確認できます。ただし配布物は事業用の建物を想定しているため、土地を貸す場合は地代・存続期間・借地借家法の適用を自分で書き足す必要があります。
3. 口約束でも成立する。それでも書面にする理由(民法593条の2)
民法593条は書面を成立の要件にしていません。「土地を使っていいよ」「ありがとう」で契約は成立します。
問題は、そのあとです。
民法593条の2は、貸主は借主が借用物を受け取るまで契約の解除をすることができると定め、ただし書で書面による使用貸借についてはこの限りでないとしています。
つまり、口約束のままだと、貸主は土地を引き渡す前ならいつでも解除できます。書面にしておけば、それができなくなります。
この条文は、借主と貸主で意味が正反対になります。
借主の側から見れば、家を建てる計画を立てて資金の手当てまで済ませたあとに「やっぱりやめた」と言われない担保です。
貸主の側から見れば、いったん書面にしたら引渡し前でも引き返せなくなるということです。
書面にしておくと決まる範囲は、解除の可否だけではありません。
民法594条1項は借主に用法に従って使用収益する義務を課し、同条2項は貸主の承諾なく第三者に使用収益させることを禁じています。これらに違反したときは、同条3項により貸主は契約を解除できます。
転貸の禁止は特約が無くても働きますが、テンプレートでは確認のために条文として置いてあります。
なお、更地のまま月極駐車場として貸すような場面で、利用者から料金を受け取るのであれば、それは使用貸借ではありません。
駐車場賃貸借契約書テンプレートのほうが実態に合います。
4. テンプレートに入れた全条文と、それぞれを置いた理由
配布物の条文は次の並びで、空欄は角かっこ、選択欄は□で示しています。
前文 甲(貸主)・乙(借主)と本件土地の特定
第1条 目的及び無償性 無償であることと、対価を一切授受しないことの確認
第2条 本件土地の表示 所在・地番・地目・地積・使用範囲
第3条 使用目的 □建物所有(居住)/□建物所有(事業)/□更地のまま/□その他
第4条 使用貸借の期間 □始期と終期/□期間を定めず目的の達成まで
第5条 引渡し 引渡日・現況有姿・貸主が知っている事項の告知
第6条 譲渡及び転貸の禁止 地位の譲渡・担保提供・第三者への使用収益の禁止と、乙が所有する建物を譲渡・賃貸するときの事前承諾
第7条 公租公課及び費用の負担 □支払わない/□公租公課に相当する金額を支払う
第8条 増改築及び工作物の設置 事前の書面承諾と、建物の所有権の帰属
第9条 無償返還 立退料・借地権相当額等を請求しないことの確認
第10条 乙の死亡 □死亡で終了/□相続人が地位を承継
第11条 反社会的勢力の排除及び解除
第12条 返還、収去及び原状回復 □通常損耗・経年変化を対象としない/□対象とする
第13条 損害賠償及び費用償還の請求期間
第14条 本件土地の譲渡等 貸主が売却・担保設定する前の事前通知
第15条 協議
第16条 合意管轄 貸主の住所地を管轄する地方裁判所
別紙 本件土地の表示(所在・地番・地目・地積・使用範囲)
無償性の条項を3つの項に分けたのには、理由があります。
1つ目の項で無償で使用収益させることを定め、2つ目の項で地代・賃料・権利金・更新料・名義書換料と名称を列挙して「一切授受しない」と打ち消し、3つ目の項で公租公課相当額の支払は対価ではないと確認しています。
第2章で見たとおり、対価の有無が使用貸借と賃貸借を分ける唯一の要素です。あとから「あれは地代だった」と言われない書き方にしてあります。
譲渡及び転貸を禁止する条項には、借主が自分の建てた建物を第三者に売ったり貸したりするときにも、貸主の書面による承諾を求める定めを置いています。
民法594条2項が禁じているのは、借りた土地を第三者に使わせることまでです。したがって、この定めは当事者の合意で加えた制限にあたります。
建物を将来売る可能性があるなら、署名の前にこの条項を残すかどうかを話し合ってください。
土地の特定は、住居表示(いわゆる住所)ではなく登記記録上の地番で書いてください。「○○市○○町1丁目2番3号」は住所、「○○市○○町一丁目2番3」は地番です。
登記事項証明書をそのまま書き写すのが確実です。別紙にも、同じ内容を再掲しています。
引渡しの条項に「現況有姿」と入れてあるのは、条文の裏づけがあるからです。
民法596条は、贈与の民法551条を使用貸借に準用しています。準用される民法551条1項により、貸主は目的物を特定した時の状態で引き渡すことを約したものと推定されます。土地を整地したり測量したりしてから渡す義務は無い、という意味です。
ただし、境界や地中の埋設物について貸主が知っていることは、引渡しまでに借主へ伝える形にしました。あとで建物を建てるときに出てくる問題だからです。
返還と原状回復の条項には、賃貸借との重要な差があります。
民法621条の賃貸借では、原状回復の対象から「通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化」がかっこ書きで除かれています。ところが使用貸借の民法599条3項には、この除外の文言がありません。条文の文言だけを比べると、借主の原状回復義務は賃貸借より重く読めるということです。
テンプレートで通常損耗を除くかどうかを□の2択にしてあるのは、このためです。除きたいなら、書いておく必要があります。
原状回復の考え方そのものを詰めたい場合は、原状回復確認書テンプレートもあわせてご覧ください。
あわせて、民法599条1項は、借主に附属させた物の収去義務を課しています。民法600条1項は、契約の本旨に反する使用収益による損害賠償と借主が支出した費用の償還を、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないと定めています。
返還を受けたあと放置していると請求できなくなるので、テンプレートでは条文として明記しました。
💡 土地使用貸借契約書テンプレート(Word形式)を無料ダウンロード
会員登録もメールアドレス入力も不要。使用目的・期間・公租公課の負担・借主の死亡・原状回復の範囲を□で選ぶだけの構成で、Wordのまま自由に編集できます。ダウンロードしたら、まず登記事項証明書を手元に置いて土地の表示から埋めてください。
5. 「いつ返してもらえるか」を決める3つの空欄
貸主が本当に知りたいのは「いつ返してもらえるのか」で、借主が知りたいのは「いつまで使えるのか」です。
この1点を決めるのが、使用目的・期間・借主の死亡という3つの欄です。
民法597条1項は、期間を定めたときはその期間の満了によって使用貸借が終了すると定めています。
期間を定めず使用目的だけを定めたときは、借主がその目的に従い使用収益を終えることによって終了します(民法597条2項)。
そして、期間も使用目的も定めなかったときは、貸主はいつでも契約を解除することができます(民法598条2項)。
つまり、どちらも空欄のまま署名すると、借主は明日にでも「返してほしい」と言われうる立場に置かれます。借主が家を建てるのであれば、期間か使用目的のどちらかは必ず埋めてください。
逆に貸主の側は、使用目的を広く書きすぎると終了の時期が遠のきます。「乙が居住する建物の所有」と書けば、その建物に住み続けるかぎり終わらないという読み方が出てくるからです。
ただし、使用目的さえ書いておけば無期限に使える、という意味ではありません。
民法598条1項は、期間を定めず目的だけを定めた場合について、その目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は契約の解除をすることができると定めています。何をもって「足りる期間」とするかを、法律は日数でも年数でも定めていません。
返してもらう時期をはっきりさせたい貸主も、いつまで使えるかを確かめておきたい借主も、期間の欄に日付を入れるほうが確実です。
期間の欄は、次のどちらかを選んで記入します。
□ [YYYY年MM月DD日] から [YYYY年MM月DD日] まで
□ 期間は定めず、乙が第3条に定める使用目的に従い使用及び収益を終えるまで
3つ目の欄が、借主が亡くなったときの扱いです。民法597条3項は、使用貸借は借主の死亡によって終了すると定めています。
インターネット上には改正前の条文番号(599条)のまま解説しているページが残っていますが、現行の番号は597条3項です。
現行の599条は、第4章で見た収去義務と原状回復義務の条文であって、借主の死亡の規定ではありません。
もっとも、実務はこの原則どおりに割り切れません。建物の所有を目的とする土地の使用貸借について、借主が死亡しても契約が当然に終了するとはいえないとした裁判例があります(東京地裁 平成5年9月14日)。
争いになる論点だからこそ、テンプレートでは「死亡によって終了する」と「相続人が地位を承継する」の2択を置きました。
子が建てた家に孫が住み続ける可能性があるなら、承継する側を選んで、貸主の相続人にも分かる形で残しておいてください。
では、貸主が先に亡くなったらどうなるのか。親の土地に子が家を建てる場面では、順序としてこちらが先に起きます。
ところが、民法が終了事由として名前を挙げているのは借主の死亡だけです。使用貸借を定めた民法593条から600条までのどこにも、貸主の死亡によって使用貸借が終了するという規定は置かれていません。
あわせて民法896条は、相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています。
ここで書けるのは、終了させる規定が置かれていない、というところまでです。「貸主が死んでも契約は終わらない」と条文で言い切れるわけではありません。
それでも、貸主の相続人(借主から見れば兄弟や叔父叔母)に対して、どういう約束だったのかを示せる紙があるかどうかで、話の出発点は変わります。
なお、借主はいつでも契約を解除できます(民法598条3項)。使わなくなったのに契約だけが残る事態は避けられます。
話し合いで途中終了させるときは、終了の日と土地の明渡し方法を書面に残しておくと後の争いが減ります。契約解除合意書テンプレートが使えます。
6. 公租公課を借主に負担させるときの書き方
出発点は納税義務者です。地方税法343条1項は、固定資産税を固定資産の所有者に課すと定めています。
土地を貸していても、市区町村から納税通知書が届くのは貸主です。
したがって条文は「乙が固定資産税を納付する」ではなく、「乙は甲に対して公租公課に相当する額を支払う」という当事者間の負担の合意として書く必要があります。テンプレートもその形にしています。
受け取れる金額の上限は、国税庁の通達(昭48直資2-189 記1)がいう「その土地の公租公課に相当する金額以下」までです。
テンプレートでは、支払額がいかなる場合も公租公課に相当する金額を超えないことを条文として置きました。記入は次の2択です。
□ 支払わない(甲がその全額を負担する)
□ 本件土地に係る公租公課に相当する金額を、甲の請求により支払う
固定資産税と都市計画税の額は、毎年届く納税通知書の課税明細書で確認できます。
土地の一部だけを貸しているときは、貸している部分の地積で按分した額にとどめてください。全体の税額をそのまま受け取ると、貸している部分から見れば公租公課を超える金額を受け取ったことになりかねません。
日々の費用の分担も決めておきます。
民法595条1項は、借主が借用物の通常の必要費を負担すると定めています。通常の必要費以外の費用については、同条2項により民法583条2項が準用されます。
テンプレートでは、除草・清掃・水道光熱費といった管理費用を借主の負担としました。更地を貸すときは草刈りが実際の争いの種になるので、書いておく価値があります。
7. 個人間の使用貸借|贈与税はかからないが、相続では自用地評価で満額課税される

この章は、貸主も借主も個人である場合の話です。
当事者の一方が法人であるときは、第8章の扱いに切り替わります。昭48直資2-189が、この取扱いは個人間の貸借関係の実情を踏まえて定めたものであり、当事者のいずれか一方が法人である場合のその一方の個人については、原則として法人税の取扱いに準拠して取り扱うと注意を促しているためです。
無償で土地を貸すと聞いて、まず心配になるのが贈与税です。借地権に相当する価値をタダでもらったことになるのではないか、という疑問です。
結論は、かかりません。
国税庁のタックスアンサー No.4552 は、使用貸借により土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われるため、子が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはないとしています。
根拠は昭48直資2-189 記1で、建物等の所有を目的とする使用貸借による土地の借受けについて、その使用権の価額は零として取り扱うと定めています。借地権の慣行がある地域でも同じです。
問題はその裏返しです。
同じ No.4552 は続けて、この使用貸借されている土地は、将来親から子供が相続する時に相続税の対象となると述べ、そのときの評価は貸宅地としての評価額ではなく自用地としての評価額になるとしています。
昭48直資2-189 記3も、使用貸借に係る土地の課税価格に算入すべき価額は、その土地が自用のものであるとした場合の価額とすると定めています。
「子に無償で貸せば相続税が安くなる」という理解は、ここで崩れます。
無償で貸すことの利点は税ではなく、親族の間で対価のやり取りをせずに土地を使えることにあります。
「お前だけ親の土地をタダで使ってきた」と言われたとき、何を根拠に話せばよいのか。
条文で追えるのは、次の順序です。
親が亡くなり相続人が数人いるときは、相続財産はその共有に属します(民法898条1項)。土地も、遺産分割が終わるまでは兄弟の共有です。
そして民法249条2項は、共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負うと定めています。親の土地に家を建てて住み続けている側は、他の相続人から使用の対価を求められうる立場になる、ということです。
効くのは「別段の合意がある場合を除き」という部分です。この記事で配っている契約書は、その合意を親の生前に紙で残しておくための1枚です。
無償で使わせるという約束が、貸主と借主の署名入りで、いつからのものかも含めて残っていれば、話し合いの出発点が「言った・言わない」ではなくなります。
ある書面が民法249条2項でいう「別段の合意」に当たるかどうかは個別の判断になりますので、相続まで見据えて内容を固めたいのであれば、弁護士にご確認ください。
なお、生前に土地を無償で使ってきたことが特別受益に当たるのではないか、という論点も持ち出されます。
民法903条1項が挙げているのは、遺贈と、婚姻もしくは養子縁組のための贈与と、生計の資本としての贈与です。条文に「無償使用」や「使用貸借」という語はありません。
当てはまるかどうかは個別の事情による判断になりますので、心当たりがあるならこちらも弁護士にご確認ください。
生前贈与でも同じです。国税庁 No.4553 は、使用貸借されている土地の贈与を受けたときは、貸家建付地ではなく自用地の贈与を受けたことになるとしています。
土地そのものを渡すつもりなら、使用貸借ではなく贈与の契約書が要ります。贈与税の税率や基礎控除は贈与契約書テンプレートの記事で扱っています。
8. 当事者に法人がいる場合|無償返還条項と届出書
社長個人の土地を自社の事務所や資材置場として使っている、という形で土地を使っている会社があります。
法人が所有する土地を他人に賃貸して建物を建てさせた場合、通常、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときは、権利金の認定課税が行われます(国税庁 No.5730)。
これを避ける仕組みが「土地の無償返還に関する届出」です。国税庁 C1-63 は、この届出を行っている場合には権利金の認定課税は行われないとしています。
そして、その届出には契約書が要ります。
法人税基本通達13-1-7は、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められており、かつその旨を連名の書面により所轄税務署長に届け出たときの取扱いを定めたうえで、使用貸借契約により他人に土地を使用させた場合についても同様とするとしています。つまり、無償で貸しているからといって届出が不要になるわけではありません。
C1-63の添付書類は「契約書の写し」とされているので、この記事で配っているテンプレートが、そのまま届出書の添付物になります。当事者に法人がいる場合は、無償返還の条項を削除せずに残してください。
なお、届出は土地所有者が個人である場合でも提出できます。
一方で、届出そのものが要らない場合もあります。
法人税基本通達13-1-5は、その土地の使用の目的が単に物品置場、駐車場等として土地を更地のまま使用し、又は仮営業所、仮店舗等の簡易な建物の敷地として使用するものであるなど、通常権利金の授受を伴わないと認められるときは、権利金の認定を行わないとしています。
テンプレートの使用目的の欄でどれを選ぶかが、届出の要否に直結するということです。
ここからが、この書類でいちばん見落とされている分岐です。
昭60直資2-58 記8は、借地権が設定されている土地について無償返還届出書が提出されている場合、その貸宅地の価額を自用地としての価額の100分の80に相当する金額で評価すると定めています。相続税の計算で、貸宅地の評価が自用地価額より圧縮されるということです。
ところが、同じ記8の(注)はこう続けます。使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の貸宅地の価額は、その土地の自用地としての価額によって評価する。
届出を出していても、貸し方が使用貸借であれば80%評価は使えず、自用地価額のままです。
以上を、相続税の財産評価(昭60直資2-58 記8および同(注))として整理すると次のとおりです。
| 会社への貸し方 | 無償返還届出書 | 相続税評価上の貸宅地の価額 |
|---|---|---|
| 賃貸借(地代の授受があり借地権が設定されている) | 提出あり | 自用地としての価額の100分の80(昭60直資2-58 記8) |
| 使用貸借(無償) | 提出あり | 自用地としての価額のまま(同 記8の注) |
これとは別の制度として、小規模宅地等の特例にも同じ方向の分岐があります。
租税特別措置法施行令40条の2第1項は、貸付事業用宅地等でいう準事業を「相当の対価を得て継続的に行う」不動産の貸付け等としており、国税庁 No.4124 も同じ定義を示しています。貸付事業用宅地等(限度面積200㎡・減額割合50%)は対価を得ていることが前提なので、無償の使用貸借では要件を満たしません。
ここでいう50%は減額される割合で、前段の100分の80は評価額そのものの水準です。両者は別の話です。
ここで「だから賃貸借にすべきだ」と言うつもりはありません。
地代を受け取れば法人側の損金と個人側の不動産所得が動き、相続財産の構成も変わります。有利不利は土地の評価額と会社の状況で逆転します。
分岐があること自体を知ったうえで、届出の要否と貸し方の選択は税理士にご確認ください。
💡 無償返還届出書の添付書類になる契約書を無料ダウンロード
会員登録不要。無償返還の条項と使用目的の選択欄を備えているので、法人が当事者になる場合もそのまま使えます。ダウンロード後、当事者に法人がいるなら無償返還の条項を残したまま記入してください。
9. 借地借家法は適用されない|30年も建物登記の対抗力も及ばない

「土地を借りて家を建てたら30年は住めるのだろう」。借地の解説を読むとそう思えますが、無償で借りている場合には当てはまりません。
借地借家法2条1号は、借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定義しています。使用借権は、この定義に入っていません。したがって、次の保護はいずれも及びません。
- 借地借家法3条は借地権の存続期間を30年としていますが、使用貸借の期間は当事者が決めた期間か、目的に従った使用収益の終了までです(民法597条1項・2項)。
- 借地借家法9条は、この法律の規定に反する特約で借地権者に不利なものを無効とします。使用貸借には、この守りがありません。
- 借地借家法10条1項は、借地権はその登記がなくても、借地権者が登記されている建物を所有していれば第三者に対抗できるとしています。子が親の土地に家を建てて建物を自分名義で登記しても、使用貸借ならこの保護は受けられません。
使用借権は、そもそも登記ができません。
民法605条は、不動産の賃貸借は登記をすれば第三者に対抗できると定めています。これに対して不動産登記法3条が登記できる権利として掲げているのは、所有権・地上権・永小作権・地役権・先取特権・質権・抵当権・賃借権・配偶者居住権・採石権です。使用借権は、この列挙に入っていません。
具体的には、こういう場面が起きます。
親が土地を第三者に売った、あるいは借金の担保に入れて競売になった。新しい所有者が「出ていってほしい」と言ってきたとき、借主は「使用貸借で借りている」と主張して対抗することが難しくなります。
打てる手は、貸主が売却や担保設定をする前に借主へ知らせてもらうことしかありません。テンプレートに、貸主が譲渡・担保設定をしようとするときは事前に書面で通知するという条項と、登記ができないことを相互に確認する条項を置いたのは、そのためです。
土地を売る側・買う側の書面が必要になったときは、土地売買契約書テンプレートをご覧ください。
10. 収入印紙は貼らない|土地の使用貸借契約書は不課税
契約書を作ると、次に気になるのが収入印紙です。この書類については、貼る必要がありません。
印紙税法基本通達の別表第一 第1号の2文書の取扱いは、土地の使用貸借権の設定に関する契約書は第1号の2文書(土地の賃借権の設定に関する契約書)には該当せず、使用貸借に関する契約書に該当するのであるから課税文書に当たらないとしています。
国税庁の質疑応答事例も、土地の使用貸借権の設定または譲渡に関する契約書は第1号の2文書にならないとしています。
ここは「非課税」ではなく「不課税」です。
非課税は、印紙税の対象ではあるが税額がかからないもの。不課税は、そもそも印紙税の対象に含まれないものを指します。
土地の使用貸借契約書は後者なので、金額の記載があっても印紙は不要です。
地代を受け取る内容に変えた場合は、扱いが変わります。
印紙税法上の「土地の賃借権」は、民法601条に規定する賃貸借契約に基づき賃借人が土地を使用収益できる権利をいい、その設定に関する契約書は第1号の2文書として課税されます。金額ごとの税額は印紙税額一覧表の解説記事でご確認ください。
11. 農地(田・畑)を無償で貸すときは農業委員会の許可が要る
相続した畑を親族に使ってもらう、という場面では、契約書を交わすだけでは足りません。
農地法3条1項は、農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定・移転する場合には、当事者が農業委員会の許可を受けなければならないと定めています。
条文に「使用貸借による権利」が名指しで書かれているので、無償だから対象外という理屈は通りません。
判断の起点は、テンプレートの土地の表示欄に書く地目です。登記事項証明書の地目が「田」「畑」であれば、農地に当たる可能性があります。
現況が耕作されていない場合の扱いや、農地以外に転用したうえで貸す場合の手続は、市区町村によって運用が異なります。
順序を逆にできない理由は、条文にはっきり書かれています。
農地法3条6項は、農地法3条1項の許可を受けないでした行為は、その効力を生じないと定めています。許可を取る前に契約書だけを交わしても、その約束は効力を持たないということです。
まず農業委員会、次に署名という順番になります。
返してもらうときはどうか。ここは条文の書きぶりを見比べてください。
農地法18条1項は、農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は更新をしない旨の通知をしてはならないと定めています。
主語は「賃貸借の当事者」で、条文に使用貸借の語は出てきません。権利を設定する側の農地法3条1項が「使用貸借による権利」を名指ししているのと対照的です。
ただし、ここから「使用貸借なら返してもらうときの許可は要らない」と決めてかからないでください。
使用貸借の終了について許可が要らないと明示した国の文書は確認できておらず、自治体によっては使用貸借の合意解約についても届出の様式を用意しています。
貸すときも、返してもらうときも、動く前に農業委員会にご確認ください。
💡 地目と使用目的から書ける土地使用貸借契約書テンプレート
会員登録不要のWord形式。土地の表示欄に地目を書く欄があり、使用目的は建物所有・更地のままなど□で選べます。ダウンロードしたら、まず登記事項証明書で地目を確認してから記入を始めてください。
12. 電子で締結するときの注意点と、紙のままで足りる条件

先に、この書類について私たちに不利な事実を2つお伝えします。
1つ目は、印紙代の節約という利点がこの書類には無いことです。
土地の使用貸借契約書はそもそも不課税なので、「電子契約なら印紙代が浮く」という常套句が、この契約書に限っては使えません。使えるのは、地代を受け取る賃貸借に切り替えたときだけです。
2つ目は、条文の作りです。民法593条の2ただし書は「書面による使用貸借」であれば引渡し前の解除ができないとしています。
この「書面」に電磁的記録が含まれるかについて、民法は次のような作りになっています。
| 契約類型 | 電磁的記録を書面とみなす規定 |
|---|---|
| 消費貸借 | 民法587条の2第4項に置かれている |
| 保証 | 民法446条3項に置かれている |
| 使用貸借 | 民法593条の2には対応する規定が置かれていない |
分かっているのは、条文の有無です。消費貸借と保証には電磁的記録を書面とみなす規定が置かれていて、使用貸借には置かれていません。
分かっていないのは、民法593条の2ただし書の「書面」に電磁的記録が含まれるかどうかです。公的な見解は見当たりません。そのため、「電子契約では593条の2ただし書が働かない」と断定することもできません。
決めるのは順序だけです。
引渡し前の解除を確実に封じておきたい事情がある(借主が建築資金を借り入れる、造成の工事契約を先に結ぶなど)なら、紙で2通作って記名押印するか、先に土地を引き渡してから電子で交わすかのどちらかにしてください。引渡しが済んでしまえば、民法593条の2の解除権はもともと働きません。
逆に、更地を親族に使わせるだけで引渡しと締結がほぼ同時に済むのであれば、この論点は起きません。
一方で、電子で交わす利点がはっきりしている場面もあります。借主が遠方に住んでいる、親が高齢で郵送のやり取りが負担になる、といった事情です。
ムスビサインは立会人型(事業者署名型)の電子署名で、電子署名法3条に対応しています。受領者はアカウント登録が不要で、メール1通から署名できるので、相手に新しいサービスを覚えてもらう必要がありません。
締結時にはPDF全体へAATL証明書による電子署名と総務大臣認定タイムスタンプを付与し、あとから内容が書き換えられていないことを検出できる形(PAdES B-LTA)で残します。なお、タイムスタンプは締結時刻の証明であって、公証役場の確定日付ではありません。
1点、保管の段取りだけは先に決めておいてください。
この書類は、無償返還届出書の添付として、また相続が起きたときに経緯を説明する材料として、何年も後に見返すことになる紙です。
ムスビサインは契約書をサーバーに残さない設計で、フリー/スタータープランでは締結後1週間で契約書PDFを自動削除します(ビジネスプランは7年保管を選べます)。締結が終わったらPDFをダウンロードし、登記事項証明書や納税通知書と同じ場所に保存してください。ダウンロードしたPDFには、電子署名と認定タイムスタンプがそのまま付いています。
不動産に関する書面をどこまで電子でやり取りできるかは、不動産取引の電子契約の解説記事で整理しています。
13. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
ダウンロードしたら、次の順番で進めると迷いません。
用意するものは、その土地の登記事項証明書と、直近の固定資産税の納税通知書です。証明書が手元に無い場合は、手順1から始めてください。
- 登記事項証明書を取って、土地を特定する。不動産登記法119条1項は、何人も、登記官に対し手数料を納付して登記事項証明書の交付を請求することができると定めています。親名義の土地でも、子が自分で請求できるということです。証明書が手元に届いたら、所在・地番・地目・地積を書き写します。住所ではなく地番です。一部だけを貸すなら、使用範囲の欄で図面表示の部分を選び、図面を別紙として添えます。
- 地目を確認する。「田」「畑」であれば、記入を進める前に農業委員会へ相談してください(第11章)。
- 使用目的を選ぶ。建物の所有か、更地のままの使用かで、終了の時期も、法人が絡むときの届出の要否も変わります(第8章)。
- 期間と、借主が死亡したときの扱いを決める。どちらの欄も空欄のままにしないでください。空欄だと貸主はいつでも解除できます。
- 公租公課の負担を決める。支払ってもらうなら、納税通知書の課税明細で額を確認し、公租公課に相当する金額を超えないようにします。
- 返すときの条件を決める。返還と原状回復の条項には、契約が終了してから明渡しまでの期間を書く空欄があります。法律がこの日数を定めていないので、当事者で決める欄です。建物を収去して更地に戻すのか、そのまま返すのかで必要な時間が変わるので、実際に動かせる長さを話し合って入れてください。あわせて、通常損耗・経年変化を原状回復の対象に含めるかどうかの□も選びます(第4章)。
- 当事者に法人がいるかを確認する。いる場合は無償返還の条項を残し、契約書の写しを添えて「土地の無償返還に関する届出書」の提出を検討します。
- 締結する。紙なら本書2通を作成し、貸主・借主が記名押印して各1通を保有します。電子で交わすなら、同じ文面のまま署名欄を電子署名に置き換えて締結できます。
押す印鑑は実印でなければならないのか、という点は、この書式の側では決められません。
内閣府・法務省・経済産業省の「押印についてのQ&A」は、私法上、契約は当事者の意思の合致により成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き必要な要件とはされていないとしています。同じQ&Aは、文書の成立の真正が争われたときのいわゆる二段の推定について、印鑑登録されている実印のみではなく認印にも適用され得るとも述べています。
実印でなければ効力が生じない、という決まりは無いということです。そのうえで、税務署や他の相続人に見せる可能性を考えて、どちらで押すかは当事者で決めてください。
14. よくある質問(FAQ)
Q1. 親子の間でも契約書は必要ですか?
A. 法律上は口約束でも成立します。ただし、書面にしていない使用貸借は、貸主が土地を引き渡すまでいつでも解除できます(民法593条の2)。
借主が建物を建てる計画なら、書面にしておく意味は大きいといえます。相続が起きたあと、当事者以外の相続人に経緯を説明する材料にもなります。
Q2. 何十年も前からの口約束です。今の民法と昔の民法のどちらが適用されますか?
A. 債権法改正は、一部の規定を除き2020年4月1日から施行されました(法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」)。改正民法の附則34条1項は、施行日前に締結された使用貸借契約等については、なお従前の例によるとしています。
古い口約束の扱いは個別の判断になりますので、内容を確定させたいのであれば、いま改めて書面を交わすほうが確実です。
Q3. 固定資産税を受け取ると賃貸借になりますか?
A. 国税庁の通達(昭48直資2-189 記1)は、公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは使用貸借に該当するとしています。これを明確に超える金額を受け取る場合は、賃貸借と評価される可能性があります。
なお、「固定資産税の何倍まで」という倍率は通達にも法令にも示されていません。金額の設定は税理士にご確認ください。
Q4. 無償で貸せば相続税が安くなりますか?
A. なりません。使用貸借されている土地は、相続のときに貸宅地ではなく自用地として評価されます(国税庁 No.4552)。
生前贈与の場合も、貸家建付地ではなく自用地の贈与を受けたことになります(国税庁 No.4553)。
Q5. 借主が亡くなったら、家族は住み続けられますか?
A. 民法597条3項は、使用貸借は借主の死亡によって終了すると定めています。一方で、建物の所有を目的とする土地の使用貸借について、借主の死亡で当然に終了するとはいえないとした裁判例もあります(東京地裁 平成5年9月14日)。
争いを避けるため、テンプレートでは終了させるか相続人が承継するかを選べるようにしています。
Q6. 土地を貸している親が亡くなったら、子は出ていかなければなりませんか?
A. 民法597条3項が終了事由として挙げているのは借主の死亡だけで、貸主の死亡によって使用貸借が終了するという規定は民法に置かれていません。また、相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。
もっとも、「貸主が死んでも契約は終わらない」と条文で言い切れるわけではありません。個別の判断は弁護士にご確認ください。
Q7. 収入印紙は必要ですか?
A. 不要です。土地の使用貸借権の設定に関する契約書は第1号の2文書に該当せず、課税文書に当たりません(不課税)。
ただし、地代を受け取る内容に変更すると課税対象になります。
Q8. ダウンロードに会員登録は必要ですか?
A. 不要です。会員登録もメールアドレスの入力もなく、ボタンを押すとWordファイルが保存されます。
編集も再配布も自由にお使いいただけます。
15. まとめ
まずはテンプレートをダウンロードして、登記事項証明書を見ながら土地の表示と使用目的の欄から埋めてみてください。
書きながら、決めていなかった論点が浮かび上がります。
- 対価を受け取らないのが使用貸借、賃料を約束するのが賃貸借(民法593条・601条)。受け取る額は公租公課に相当する金額以下にとどめる。
- 書面にすれば、貸主は引渡し前の解除ができなくなる(民法593条の2)。これが契約書を交わす最大の実益。
- 使用目的・期間・借主の死亡の3つの欄を空欄にしない。どちらも定めないと貸主はいつでも解除できる(民法598条2項)。
- 貸主の死亡で使用貸借が終了するという規定は民法に置かれていない。一方で相続後は土地が兄弟の共有になり、使い続ける相続人は「別段の合意」が無ければ使用の対価を求められうる(民法249条2項)。その合意を親の生前に残す紙が、この契約書。
- 贈与税はかからないが、相続では自用地評価になる。節税を目的に使用貸借を選ぶ理由は無い。
- 当事者に法人がいるなら無償返還の条項と届出書。ただし使用貸借だと貸宅地は自用地価額のままで、80%評価は使えない。
- 借地借家法は及ばず、使用借権は登記もできない。土地が売られたときに備えて事前通知の条項を残す。
- 地目が田・畑なら、締結の前に農業委員会の許可が要る。
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✅ 会員登録・メールアドレス入力が不要 — ボタンを押すとWordファイルがすぐ保存されます
✅ Word形式(.docx)でそのまま編集できる — 条文の削除・追加も自由です
✅ 無償であることを名称ごとに打ち消す条項 — 地代・権利金・更新料などを列挙して確認します
✅ 使用目的が□の4択 — 居住用の建物所有・事業用の建物所有・更地のままの使用・その他から選べます
✅ 期間の欄が□の2択 — 始期と終期を書くか、目的の達成までとするかを選べます
✅ 公租公課の負担が□の2択 — 支払わない場合と、公租公課に相当する金額を支払う場合を用意しました
✅ 支払額の上限を条文で固定 — 公租公課に相当する金額を超えないことを明記しています
✅ 借主が死亡したときの扱いが□の2択 — 終了させるか、相続人が承継するかを当事者で決められます
✅ 無償返還の条項つき — 当事者に法人がいる場合、届出書の添付書類としてそのまま使えます
✅ 原状回復の範囲が□の2択 — 通常損耗・経年変化を対象に含めるかどうかを選べます
✅ 収入印紙の貼付欄なし — 土地の使用貸借契約書は不課税のため、貼る必要がありません
✅ 別紙「本件土地の表示」つき — 登記事項証明書の記載をそのまま転記できます
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