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再委託契約書テンプレート・雛形|フリーランス法の30日特例・承諾書つき

再委託契約書テンプレート(全33条+別紙4本)を無料ダウンロード。会員登録不要でWord形式のまま使えます。フリーランス法4条3項の明示3事項を頭書に転記して支払期日を30日基準に切り替える書き方、元委託者の再委託承諾書の様式、個人データの監督、印紙税の判定まで解説します。

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再委託契約書テンプレート

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2026-09-10
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「受けた仕事が自分ひとりでは回らなくなり、知り合いの個人事業主に一部を出すことにした」 「元委託契約に『再委託は事前に書面で承諾を得ること』とあるが、何を出せば承諾になるのか分からない」 「相手への支払いは、元請から入金があったあとでいいのだろうか」

この3つは、契約書の書き方で先に片づけられます。受託していた自分が二次発注者に回った瞬間から、取引条件の明示・支払期日の設定・個人データの監督といった義務は、発注元だけの話ではなくなり、自分にも降りてきます。その義務を1通に書き下ろした全33条+別紙4本のWordテンプレートを、この記事で配布しています。

交わすのは、元委託者(元請)から受けた業務の一部を出す側(甲)と、それを受ける再委託先(乙)の2者です。本記事では、甲に業務を発注した相手を「元委託者」と呼びます。

この記事の結論

  • 配布するのは全33条+別紙4本。元委託者から受けた業務を出す側(甲)と再委託先(乙)が交わします。
  • 頭書に、再委託である旨・元委託者・元委託支払期日の3欄を置いてあります。
  • フリーランス法4条3項により、この3つを明示すれば支払期日を元委託支払期日から30日以内にできます。
  • 明示しないなら同条1項の受領日から60日以内。第12条で1行1択にしてあります。
  • 「元委託者から入金があったら払う」は書けません。第13条で切り離します。
  • 元委託者の承諾は別紙2の申請書と承諾書で残します。
  • 個人データを渡すなら別紙4。再々委託の事前承諾と監査を第24条に置いています。
  • 印紙は請負型・基本契約型・準委任型で分かれ、準委任型は不課税です。

目次

  1. 再委託契約書テンプレートの無料ダウンロード
  2. 再委託契約書は元委託契約の写しではない|今日決める4つのことと、この雛形が使えない取引
  3. 元委託者の承諾を取る|承諾条項の3類型と、別紙2の申請書・承諾書
  4. 再委託できる範囲を線引きする|主要な部分・付随的な業務・軽微な業務(第5条)
  5. 支払期日を決める|フリーランス法4条1項の60日と、同条3項の30日特例(第12条・頭書の3欄)
  6. 「元委託者に入金があったら払う」と書けない理由|協議と遅延利息(第13条・第14条)
  7. 自分に何の法律が降ってくるかを判定する|別紙3の4つの判定欄
  8. 個人データを渡す再委託|再々委託の事前承諾・報告・監査(第23条・第24条・別紙4)
  9. 成果物の権利を2段で通す|著作権法27条・28条の特掲(第19条)
  10. 人を出す形の再委託|指揮命令を誰が出すか(第8条)
  11. 空欄の埋め方|必ず決める欄と、使わないなら閉じてよい欄
  12. 印紙税|請負型・基本契約型・準委任型の3パターン判定表
  13. 紙で交わすか、電子で交わすか|紙のままで足りる条件
  14. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
  15. よくある質問(FAQ)
  16. まとめ:元委託契約と突き合わせた1通を、今週中に取り交わす

1. 再委託契約書テンプレートの無料ダウンロード

配布しているのは、Word形式の再委託契約書の雛形です(全33条+別紙4本)。「再委託契約書 ひな形」で探していた方も、ここで止めて構いません。

元委託者から受けた業務の一部を別の事業者へ出すときに、出す側(甲)と受ける側(乙)が1通を取り交わす形にしてあります。甲が法人でも個人事業主でも、そのまま使えます。

会員登録不要・メールアドレス入力不要・そのまま編集できるWord形式

頭書に元委託者と元委託支払期日の転記欄(フリーランス法4条3項の30日基準に切り替えるための欄)

別紙2に再委託承諾申請書と再委託承諾書の様式つき

別紙3は適用法令の判定シート(フリーランス法・取適法・子会社経由の再委託・建設工事の除外)

別紙4は個人データの特記事項(再々委託の可否・報告・監査・返却消去まで)

紙でも電子でも締結できる末尾書式と、電磁的措置の事前承諾欄つき

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自分が一次の発注者として業務を出すだけなら、業務委託契約書テンプレートのほうが合います。そちらは委託者の側から再委託を承諾するかどうかを決める契約書です。

2. 再委託契約書は元委託契約の写しではない|今日決める4つのことと、この雛形が使えない取引

元委託契約書を開いて、社名だけ入れ替えて使いたくなる場面です。ですが、それでは足りません。

電子契約の仕組みのイメージ

当サイトが配布している業務委託系のテンプレートは、どれも再委託の条項に「再委託先に対し、本契約に基づき乙が負うのと同等の義務を負わせる」と書いてあります。再委託契約書は、その「同等の義務」を実際に書き下ろす文書です。

配布テンプレートは、この突き合わせを第10条と別紙1に集めました。元委託契約のどの条を、乙のどの義務として及ぼすかを表に書き出す形です。書かなかった元委託契約の定めは乙を拘束しない、と第10条2項で明記してあります。

別紙1の遵守事項の表は3行あります。元委託契約の条項、乙に及ぼす内容、対応する本契約の条を、1行ずつ書きます。代表的な3行の書き方は次のとおりです。

  • 秘密保持|「元委託契約第◯条(秘密保持)」/「元委託者から受領した資料を第三者に開示しない。終了後の存続期間は元委託契約と同じとする」/「本契約第22条」
  • 知的財産|「元委託契約第◯条(知的財産権)」/「成果物の著作権を、著作権法27条・28条の権利を含めて甲に移転する」/「本契約第19条」
  • 納期|「元委託契約第◯条(納入及び検査)」/「元委託者への納入期日より前に甲へ納入し、甲が検査する時間を残す」/「本契約第17条・別紙1」

及ぼすかどうかの線引きは1つです。乙の作業に関係する義務だけを書き、甲が元委託者に対してだけ負う義務(月次の実施報告や請求の手続きなど)は書きません。

今日決める4つのこと

締結までに決めるのは、次の4つです。どれも配布テンプレートでは□の1行1択か、別紙の記入欄になっています。

決めること 対応する箇所 決め方
元委託者の承諾を取るか、元委託契約上不要か 第4条1項 元委託契約の再委託条項を読んで選ぶ
支払期日を受領日基準にするか、元委託支払期日基準にするか 頭書の3欄・第12条1項 元委託契約の支払条件から逆算する
乙に個人データを取り扱わせるか 別紙4の冒頭 取り扱わせないなら以下の欄は空でよい
再々委託を認めるか 第24条・別紙4 認めるなら承諾の手続きを先に決める

この雛形を使わない取引

建設工事の下請負には使えません。公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、建設工事に係る下請負には取適法が適用されないと説明しています。建設業法に同種の規定が置かれているためです。

この場合は工事下請基本契約書テンプレートを使ってください。別紙3の4番目の欄は、この振り分けのために置いてあります。

労働者派遣も別です。乙の要員を甲や元委託者の指揮命令下で働かせる形は、再委託ではありません。

3. 元委託者の承諾を取る|承諾条項の3類型と、別紙2の申請書・承諾書

先に確かめるのは、自分の側の契約書ではなく元委託契約です。相手に契約書を送る前に、出してよい相手なのかが決まります。

民法644条の2第1項は、受任者が復受任者を選任できるのは、委任者の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときに限るとしています。民法656条により、この規定は法律行為でない事務の委託にも準用されます。業務委託の多くはこちらに当たります。

一方、請負を定めた民法632条には、これに相当する再委託の制限が置かれていません。印紙税の取扱いを説明した国税庁の質疑応答事例も、請負の性質について、仕事が完成されるならば下請負に出してもよい、と述べています。

つまり、準委任か請負かで出発点が変わります。ただし実務では、元委託契約の再委託条項がこのデフォルトを上書きしています。

元委託契約の再委託条項は3類型に分かれる

当サイトの業務委託テンプレートを見比べると、文言は次の3つに整理できます。手元の元委託契約がどれに当たるかを確かめてください。

類型 元委託契約の文言 甲が先にすること
禁止形 承諾を得ることなく再委託してはならない 承諾を取る。取れなければ出さない
承諾要件形 再委託しようとする場合、事前に承諾を得るものとする 承諾を取る。条件が付くかを確認する
許可形 承諾を得た場合に限り再委託することができる 承諾を取る。範囲を書面で特定する

どの類型でも、まず承諾を取ります。承諾を取らずに出せるのは、元委託契約の仕様書等であらかじめ軽微な部分として指定されている業務だけです。

条項ごとの読み方は業務委託契約書の書き方にまとめてあります。

元委託契約に再委託の定めがまったく無いときは、第4条1項で「承諾を要しない」の側を選べません。乙に示す根拠条項が無いからです。迷うなら元委託者から承諾を取り、「承諾を得ている」の側を選びます。

承諾を書面で残す理由

民法644条の2第1項は許諾を求めていますが、その方法を書面に限ってはいません。書面による承諾を法律が明文で求めているのは、建設業法22条3項の一括下請負の場合です。

同条1項が請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせることを禁じ、3項が、一定の建設工事について元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときはこれを適用しないとしています。4項は、その承諾を情報通信の技術を利用する方法で通知することも認めています。

裏返せば、建設以外の再委託で書面の承諾を残すかどうかは、法律ではなく契約と運用の問題です。残す仕組みを自分で作るしかありません。

別紙2の申請書と承諾書に何を書くか

配布テンプレートの別紙2は、印西市が業務委託契約について定めた再委託ガイドラインの様式を下敷きにしています。記載項目は、公的機関が実際の業務委託で運用しているものです。

別紙2の1(再委託承諾申請書)に書くのは、委託業務の名称、再委託の業務内容、再委託の相手方の所在地・商号・代表者氏名、業務責任者の職と氏名、電話番号、再委託予定金額です。添付するのは、見積書等の業務内容と予定金額を示す書類と、同種業務の実績を示す書類です。

別紙2の2(再委託承諾書 様式)は、元委託者が承諾を返すときに使う書面です。ここには承諾の条件を並べてあります。再委託の相手方の履行により損害を与えたときは甲が賠償の責めを負うこと、相手方に対する対価の支払等について適正な取扱いを行うこと、相手方がさらに第三者に委託する場合も一括して委託できないこと。この3つは、同ガイドラインが承諾の条件として挙げているものです。

第4条は、この承諾を甲の表明保証にしています。承諾を得ている旨を選んだ場合、甲は別紙2の2の写しを乙に交付します(第4条2項)。承諾に条件が付いているときは、乙に義務を負わせる条件を別紙1の遵守事項の欄に書かなければ乙を拘束しません(第4条3項)。

無断で出したときに何が起きるか

民法が、無断で第三者に働かせたことを理由とする解除を明文で定めているのは、雇用の場合だけです。民法625条3項は、労働者が使用者の承諾なく第三者を労働に従事させたときに、使用者が契約を解除できるとしています。委任と請負には同じ条文が置かれていません。

つまり、乙が黙って第三者へ流したときに契約を切れるかどうかは、契約書の書き方で決まります。第28条2項は、甲の承諾を得ずに第三者へ委託したとき、第24条1項の承諾を得ずに再々委託したときなどを、催告なしの解除事由として並べています。

💡 元委託者への申請書と、乙へ渡す契約書が1つのファイルで揃います

会員登録もメールアドレスの入力も要りません。別紙2の1をそのまま元委託者へ出し、承諾を得たら別紙2の2の写しを乙に渡す、という順序で使えます。ダウンロードしたら、まず手元の元委託契約の再委託条項がどの類型かを確かめてください。

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4. 再委託できる範囲を線引きする|主要な部分・付随的な業務・軽微な業務(第5条)

承諾が取れても、何でも出せるわけではありません。範囲を決めずに丸ごと投げると、一括再委託になります。

出せる範囲の線引きは、公的機関が発注する業務委託で共通しています。国土交通省の公共土木設計業務等標準委託契約約款7条1項は、業務の全部の一括再委託と、設計図書で指定した主たる部分の再委託を禁じています。同7条3項は、業務の一部の再委託にあらかじめ発注者の承諾を求め、承諾が要らないのは設計図書で指定した軽微な部分だけとしています。

自治体の指針も同じ形です。印西市の再委託ガイドラインは、一括再委託を、履行の全部または指定した主要な部分、もしくは概ね契約金額の2分の1以上に相当する業務を第三者に委任または請け負わせることと定義し、これを原則禁止としています。大津市のガイドラインも同じ3つで一括再委託を定義し、大田区のガイドラインは、この禁止の目的を丸投げの禁止と責任の所在の明確化としています。

国の委託事業でも扱いは変わりません。経済産業省の委託事業事務処理マニュアルは、事業全体の企画及び立案と根幹に関わる執行管理を受託者自身が行う業務とし、軽微な再委託を契約金額100万円未満の再委託と定義しています。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務事務処理マニュアルは、必要性を認める場合に限って業務の一部の再委託を認め、再々委託を認めていません。

ただし、これらは法令ではありません。会計法にも予算決算及び会計令にも再委託という語はなく、公的機関の取扱いは契約約款と内部の指針によって運用されています。配布テンプレートの第5条2項は、そこで共通している3分類を、民間の契約条項の形に置いたものです。

区分 中身 再委託の可否
主要な部分 業務の目的を達成するために必要不可欠な業務、基本的または中心的な業務 再委託できない
付随的な業務 必要ではあるが付随的な業務、基本的・中心的なものに対して補助的な業務 承諾を得て再委託できる
軽微な業務 資料の収集・整理、単純な集計その他の簡易な業務 元委託契約の仕様書等で軽微と指定されているときに限り、承諾を要せず再委託できる

別紙1には、この3区分の記入欄があります。書き方は次のとおりです。

  • 主要な部分の欄には、元委託契約で指定された業務を写します。指定が無いときは「指定なし」と書きます
  • 付随的な業務の欄に、乙へ出す業務を具体的に書きます。ここが再委託の中身です
  • 軽微な業務の欄には、元委託契約の仕様書等で軽微と指定されている業務を書きます。指定の有無もここに書きます

たとえばWebサイトの制作を受託し、コーディングだけを外に出すなら、付随的な業務の欄に「トップページおよび下層5ページのHTML・CSSコーディング(デザインデータは甲が支給)」のように書きます。「制作業務の一部」では、承諾の範囲がどこまでかを後から確かめられません。

第5条3項は、元委託業務の全部・主要な部分・元委託契約の契約金額の概ね2分の1以上に相当する業務を、一括して乙に再委託しないと定めています。第5条4項は、乙が本件業務を一括して第三者に委託することを、甲の承諾があるかどうかにかかわらず禁じています。一部を出すときの手続きは第24条です。

軽微な業務でも、指定が無ければ承諾を取る

「これくらいは軽微だから承諾は要らない」と自分で判断できるわけではありません。第5条6項は、承諾が要らないのを、元委託契約の仕様書その他の書面であらかじめ軽微な部分として指定されている場合に限りました。

大田区のガイドラインも、承諾を得ずに再委託できるのを、仕様書に軽微な部分として明示された業務等に限っています。指定が無ければ、資料の整理を頼むだけでも元委託者の承諾を取ってください。

法令が再委託を制限している業務

分野によっては、元委託者が承諾しても出せません。建築士法24条の3第1項は、委託者の許諾を得た場合においても、委託を受けた設計または工事監理の業務を建築士事務所の開設者以外の者に委託してはならないとしています。

廃棄物処理法14条16項は、産業廃棄物収集運搬業者と産業廃棄物処分業者が、収集運搬または処分を他人に委託することを原則として禁じています。第5条7項は、この2つを締結前に確かめるために置いた条文です。

5. 支払期日を決める|フリーランス法4条1項の60日と、同条3項の30日特例(第12条・頭書の3欄)

再委託で資金繰りに影響するのが、支払期日の決め方です。元委託者から入るのが翌々月なのに、乙への支払いが今月末では、間の差額を自分で立て替えることになります。

この差を法律の側で埋める仕組みが用意されています

その前に、この章が誰の話かをはっきりさせます。以下の支払期日の定めが及ぶのは、乙がフリーランス法2条1項の特定受託事業者に当たり、かつ甲が同条6項の特定業務委託事業者に当たる場合です。甲が従業員を1人も使っていない個人事業主なら、支払期日の定めは及びません。

ただし、取引条件の明示のほうは、その場合でも甲に及びます。この判定は「自分に何の法律が降ってくるかを判定する|別紙3の4つの判定欄」で先に済ませられます。

フリーランス法4条1項は、報酬の支払期日を、給付を受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間内に定めなければならないとしています。同条2項は、支払期日を定めなかったときは受領日が、60日を超える期日を定めたときは受領日から60日を経過する日が、支払期日とみなされると定めています。

頭書の3欄が30日基準への切符になる

フリーランス法4条3項は、再委託の場合に一定の明示をしたときに限り、報酬の支払期日を元委託支払期日から起算して30日以内の、できる限り短い期間内に定めることとしています。

その「一定の明示」の中身を定めているのが公正取引委員会規則4条です。規則4条1号が再委託である旨、2号が元委託者の商号・氏名・名称または元委託者を識別できる符号、3号が元委託業務の対価の支払期日。この3つです。

配布テンプレートの頭書は、この3つに1対1で対応する表になっています。元委託契約から転記するだけで、法定の明示が済む形にしました。

明示事項 頭書の記入例
再委託である旨 印刷済み(甲が元委託業務の全部または一部を乙に再委託する契約である旨)
元委託者 株式会社◯◯/取引先名を伏せるときは「取引先番号 A-◯◯◯」
元委託業務の対価の支払期日 毎月末日締切、翌々月末日払い

元委託者の欄は、商号でなくても構いません。規則4条2号は、事業者別に付された番号・記号その他の符号であって元委託者を識別できるものでもよいとしています。元委託者の社名を再委託先に知られたくない取引では、この符号を使ってください。

第12条は1行1択にしてある

第12条1項は、次の2つから選ぶ形です。

  • 乙から役務の提供を受けた日(成果物を受け取る業務では受領した日)から起算して60日以内
  • 頭書に記載した元委託支払期日から起算して30日以内

上の例で元委託支払期日が「毎月末日締切、翌々月末日払い」なら、下を選び、支払期日の欄には「元委託支払期日の属する月の翌月10日」のように書きます。元委託者の入金より前に払う形にしても構いませんが、30日を超える日は書けません。

どちらが自分の立て替えを短くするかは、元委託者からの入金がいつ来るかで決まります。入金が受領日から60日より後に来る取引なら、下の選択肢のほうが立て替えの期間は短くなります。入金が先に来る取引なら、どちらを選んでも立て替えは生じません。

第12条2項は、下の選択肢を選べるのは甲が第3条1項の明示をした場合に限る、と釘を刺しています。頭書を埋めずに30日基準だけ書くことはできません。

明示をするかどうかは選べます。同規則1条2項は、再委託をする場合にこの3事項の明示を「することができる」と定めています。使わないと決めたら、頭書の元委託支払期日の欄に「該当なし」と書き、第12条は60日の側を選びます(第3条3項)。

期日を書き損ねたときの扱いも決まっています。フリーランス法4条4項は、特例を使う場合に支払期日を定めなかったときは元委託支払期日が、30日を超えて定めたときは元委託支払期日から30日を経過する日が、支払期日とみなされると定めています。空欄のままにしても、期日は勝手に決まります。

なお、取適法にはこの特例が置かれていません。取適法3条1項は、代金の支払期日を給付を受領した日から起算して60日以内としており、元委託支払期日を基準にする定めはありません。

取適法が適用される取引では、頭書の元委託支払期日の欄に「該当なし」と書いて明示をせず、第12条は60日の側を選びます。頭書を埋めて明示をすると30日の枠がかかり、取適法の期日と食い違うことがあります。

💡 元委託契約から3つ写すだけで、支払期日を30日基準に切り替えられます

会員登録は不要です。配布テンプレートは、頭書の3欄と第12条1項の選択肢を対応させてあるので、写した内容と選んだ期日が食い違わない作りになっています。ダウンロードしたら、元委託契約書の支払条項を開いて、頭書の3欄目に転記してください。

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6. 「元委託者に入金があったら払う」と書けない理由|協議と遅延利息(第13条・第14条)

期日を決めても、契約書に「元委託者からの入金後に支払う」と書けば意味がなくなります。この書き方は使えません。

公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、違反行為事例のひとつに「取引先の都合を理由とした支払遅延」を挙げています。発注元からの入金が遅れていることを理由に、あらかじめ定めた支払期日に代金を支払っていなかった事例です。

取適法5条1項2号も、代金を支払期日の経過後なお支払わないことを禁じています。支払期日は、入金の有無とは切り離して守るものとして設計されています。

配布テンプレートの第13条は、この点を正面から書いています。1項が、報酬の支払義務は元委託者から対価の支払を受けたかどうかにかかわらず生じること。2項が、入金の有無・時期・額を支払の条件としないこと。3項が、元委託者の遅延を理由に期日の延期・減額・留保をしないことです。

例外は1つだけです。フリーランス法4条5項ただし書は、特定受託事業者の責めに帰すべき事由で支払えなかったときに、その事由が消滅した日から起算して60日(30日特例を使う場合は30日)以内に報酬を支払わなければならないとしています。

配布テンプレートの第13条4項は、これをそのまま条文にしたものです。

費用が動いたときは協議する

金額そのものについても、置いておくべき条項があります。取適法5条2項4号は、費用の変動などが生じた場合に、協議に応じず一方的に代金の額を決定することを禁じています。

第14条1項は、労務費・原材料費・エネルギーコストその他の費用が変動したときに、甲乙どちらからでも報酬の額の変更を申し入れられるとしました。第14条2項で、甲は協議に応じ、協議に応じないまま一方的に額を決めないことを約束します。

業務の内容・数量・履行期限が変わったときも同じ扱いです(第14条3項)。協議が調ったら、その内容を書面か電磁的記録で残します(第14条4項)。

遅らせたときは利息が付く

第15条1項は、支払期日までに払わなかったときの遅延利息を定めています。年率の欄は空欄なので、締結時に埋めてください。

取適法6条1項は、支払期日までに代金を支払わなかったときに、受領日から60日を経過した日から支払日までの遅延利息を支払わなければならないと定めています。法令に定めがあるときはその定めによる、というのが第15条2項です。

前払金の扱いもあります。フリーランス法4条6項は、元委託者から前払金の支払を受けたときに、再委託先へ着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならないとしています。第16条は、この配慮を条文にして、額と支払期日の記入欄を付けたものです。

7. 自分に何の法律が降ってくるかを判定する|別紙3の4つの判定欄

ここまで読んで「うちは小さい会社だから関係ない」と思ったなら、その判断はいったん保留してください。

別紙3の判定欄は4つです。フリーランス法・取適法・子会社経由の再委託・建設工事の除外の順に確認します。

フリーランス法は従業員の有無で決まる

フリーランス法2条1項1号は、個人であって従業員を使用しないものを特定受託事業者としています。相手が個人でも法人でも、この形に当たれば保護の対象です。

自分の側は同条6項で決まります。同項1号が従業員を使用する個人、2号が2以上の役員があるか従業員を使用する法人です。フリーランス法が「特定業務委託事業者」と呼ぶのは、この甲のことです。

資本金の額は要件になっていません。従業員を1人でも雇っていれば、個人事業主でも特定業務委託事業者に当たります。

この場合、甲にはフリーランス法4条の支払期日の定めが及びます。

一方、3条1項の明示義務は、もっと広く及びます。同項の主語は「業務委託事業者」で、特定業務委託事業者に限られていません。公正取引委員会も、従業員を使用していない発注事業者であっても、業務委託事業者として3条通知による明示を行う必要があるとしています。

従業員を1人も使っていない個人事業主の甲が、同じく従業員のいない個人事業主へ再委託する場合でも、明示義務は甲に降りてきます。公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省の説明資料も、個人に業務委託をする者には従業員の有無を問わず取引条件の明示の義務を課している、としています。

別紙1の各欄を空欄のままにできない、というのはこの意味です。そのかわり、この甲は特定業務委託事業者としての義務までは負いません。期日における報酬支払・募集情報の的確表示・ハラスメント対策は、特定業務委託事業者に課されるものです。

同法5条の禁止行為は、契約期間が1か月以上の業務委託に適用されます。フリーランス法施行令1条が、その期間を一月と定めています。

取適法は資本金と従業員数で決まる

もう1つの判定が取適法です。公正取引委員会は、この法律の略称を中小受託取引適正化法、通称を取適法としています。令和8年1月1日に施行され、すでに適用されています。

別紙3の2番目の欄は、甲と乙の区分を表にしてあります。取適法2条8項の各号がこの区分です。取適法が「委託事業者」と呼ぶのが発注する側、「中小受託事業者」と呼ぶのが受ける側で、この契約では甲と乙が当たります。

委託の類型(取適法2条8項) 甲=委託事業者 乙=中小受託事業者
製造委託等(1号) 資本金3億円を超える法人 個人または資本金3億円以下の法人
製造委託等(2号) 資本金1,000万円超3億円以下の法人 個人または資本金1,000万円以下の法人
情報成果物作成委託・役務提供委託(3号) 資本金5,000万円を超える法人 個人または資本金5,000万円以下の法人
情報成果物作成委託・役務提供委託(4号) 資本金1,000万円超5,000万円以下の法人 個人または資本金1,000万円以下の法人
製造委託等(5号) 常時使用する従業員300人を超える法人 従業員300人以下の個人または法人
情報成果物作成委託・役務提供委託(6号) 常時使用する従業員100人を超える法人 従業員100人以下の個人または法人

当てはまると、取適法4条1項の明示義務、5条の遵守事項、6条の遅延利息が甲に及びます。資本金区分そのものの解説は製造委託契約書テンプレートにあります。

役務提供委託の判定には注意点があります。公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、請け負った作業を他の事業者に再委託する場合はこれに該当するとし、一方で自ら用いる役務を委託する場合は該当しないとしています。他者に提供する役務かどうかが分かれ目です。

子会社を経由した再委託

別紙3の3番目は、条文に「再委託」と書かれている珍しい規定です。取適法2条10項は、支配を受ける法人が受託した業務の全部または相当部分を再委託する場合に、再委託をする事業者を委託事業者、再委託を受ける事業者を中小受託事業者とみなすとしています。

公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、この規定を、子会社経由の再委託で規制を免れる脱法的行為をさせないためのものと説明しています。条文に数値の基準はなく、同テキストが「相当部分」の目安として、親会社から受けた委託の額または量の50%以上を再委託している場合を挙げているだけです。

親会社から受けた仕事を、資本金の小さい子会社が右から左へ流している形なら、ここに当たります。

判定を後回しにすると何が起きるか

守らなかったときに来るものは、順番が決まっています。フリーランス法22条は、公正取引委員会・中小企業庁長官・厚生労働大臣が業務委託事業者に指導及び助言をすることができるとしています。ここが入口です。

是正されなければ8条の勧告に進みます。8条1項は、3条違反の勧告の相手方を業務委託事業者としています。従業員のいない甲にも、勧告は届きます。

勧告に従わないと9条1項の命令、命令をしたときは9条2項によりその旨が公表されます。24条の50万円以下の罰金がかかるのは、24条1号が挙げる命令違反の場合です。25条は両罰規定で、行為者のほか法人にも同じ刑が科されます。

明示義務違反そのものに罰金はありません。そのかわり、勧告の段階で名前が出ます。公正取引委員会は勧告を行った事業者を公表しており、そこには法人番号・名称・本店所在地といった事業者を特定する情報が実名で並びます。

取適法はここが違います。取適法14条1号は、明示すべき事項を明示しなかったこと自体を罰則の対象にしており、同条の罰金は50万円以下です。勧告した場合は原則として事業者名・違反事実の概要・勧告の概要等を公表することとされ、勧告に従わないときは独占禁止法に基づく排除措置命令や課徴金納付命令が行われることもあります。

実際に動いている件数も見ておきます。公正取引委員会によれば、令和7年度のフリーランス法に基づく勧告件数は10件で、その内訳は取引条件の明示義務違反が10件、期日における報酬支払義務違反が9件などとなっています。

措置件数を類型別にみると、期日における報酬の支払義務違反が1,135件(41.6%)、取引条件の明示義務違反が1,126件(41.3%)です。ここでいう措置件数とは、勧告または指導を行った事件の件数を指します。勧告より桁が大きいのは指導が含まれるためで、同年度の指導件数は1,542件でした。

上位2つは、どちらも別紙1と第12条で片づく話です

取適法とフリーランス法の全体像は、コラム側にまとめてあります。

👉 取引適正化と電子契約

8. 個人データを渡す再委託|再々委託の事前承諾・報告・監査(第23条・第24条・別紙4)

顧客名簿やアンケートの回答を乙に渡す場面です。ここは、甲が監督を怠ると甲自身の違反になる領域です。

個人情報保護法25条は、個人データの取扱いを委託する場合に、委託先への必要かつ適切な監督を義務づけています。同法27条5項1号は、利用目的の達成に必要な範囲内で委託に伴い個人データが提供される場合、提供を受ける者は第三者に該当しないとしています。同意を取り直さずに渡せるのは、この規定があるからです。

条文に「再委託」の語はありません。そこを埋めているのが個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)です。

電子契約で注意すべき点のイメージ

同ガイドラインは、委託先が再委託を行おうとする場合に、再委託先・業務内容・取扱方法等について事前報告を受けるか承認を行うことが望ましいとしています。委託先を通じて、または必要に応じて自ら定期的に監査を実施することも挙げています。そして、再々委託以降も同様であるとしています。

同ガイドラインの注は、委託元が必要かつ適切な監督を行っていない場合に、再委託先の不適切な取扱いが元の委託元による法違反と判断され得るとしています。乙が出した再々委託先で起きたことが、甲自身の違反になり得るということです。

事例も挙がっています。再委託の条件に関する指示を行わず取扱状況の確認も怠った結果、再委託先が漏えいした場合。契約に再委託の実施状況を把握することが盛り込まれていても、報告を求めるなどの措置を行わなかった場合。どちらも、委託先の監督を行っていない事例です。

契約書のどこに落としたか

第23条は、この監督を実行できる形にした条文です。項ごとの中身は次のとおりです。

決めていること
第23条2項 乙が安全管理のために必要かつ適切な措置を講じること
第23条3項 本件業務の遂行に必要な範囲を超えて取り扱わないこと
第23条4項 取扱状況を別紙4に定める頻度で報告し、甲はいつでも報告を求められること
第23条5項 甲が事前通知のうえ監査でき、乙はこれを受け入れること
第23条6項 事故またはそのおそれを知ったときに直ちに甲へ報告すること
第23条7項 業務終了時に返却または消去し、結果を報告すること

第24条は再々委託です。1項で甲の事前の書面または電磁的記録による承諾を要件にし、2項で承諾を求めるときに示す事項(相手方の商号・所在地・代表者・業務責任者・業務の内容・範囲・個人データを取り扱わせるか)を並べました。

4項では、承諾を得て委託するときに、乙が本契約と同等の義務を第三者に負わせ、その履行について甲に責任を負うと定めています。

別紙4の埋め方

別紙4は、冒頭で「取り扱わせない/取り扱わせる」を選びます。取り扱わせないなら、以下の欄は記入不要です。

取り扱わせる場合は、項目・件数の目安・目的・期間・場所・システム・保管方法・個人情報取扱責任者・報告の頻度・監査の方法・再々委託の可否・終了時の措置・事故時の連絡先を埋めます。記入例で言えば、報告の頻度は「毎月末」、監査の方法は「書面による報告の確認。年に一度は実地監査」、終了時の措置は「消去。消去の方法は復元不能な方式とし、業務終了後2週間までに結果を報告」のように書きます。

再々委託の欄を「不可」にすれば、第24条6項により個人データを扱う再々委託は止まります。認めるなら、相手方の商号と所在地まで書いてください。

9. 成果物の権利を2段で通す|著作権法27条・28条の特掲(第19条)

納品したデザインやプログラムを、甲がそのまま元委託者へ引き渡す取引です。ここで権利が途中で止まると、元委託契約の側で約束した譲渡ができなくなります。

著作権法61条2項は、27条・28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないとき、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定すると定めています。27条が翻訳・翻案等の権利、28条が二次的著作物の利用に関する原著作者の権利です。

乙から甲、甲から元委託者へと2段で流れる取引では、両方の契約に特掲が要ります。元委託契約に特掲があって再委託契約に無ければ、甲は自分が持っていない権利を元委託者に渡す約束をしたことになります。

第19条1項は、成果物に係る著作権について、著作権法27条・28条に規定する権利を含むと書いたうえで、検査に合格した時に乙から甲へ移転する形にしました。第19条2項では、甲がその権利を元委託者その他の第三者へ譲渡し、または利用を許諾することに、乙があらかじめ同意します。

乙の側の取り分も残してあります。第19条4項は、契約前から乙が有していた知的財産権と、本件業務によらず独自に開発した汎用的な技術・手法・ライブラリを乙に留保し、甲と元委託者が成果物を利用するために必要な範囲で無償の利用許諾を与える形です。

乙が法人のときは、誰から譲り受けるのかも整理しておきます。著作権法15条2項は、法人等の発意に基づき業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者を、別段の定めがない限りその法人等としています。第19条6項は、この場合でも第19条1項の移転ができるよう、乙が必要な措置を執ると定めたものです。

第20条は著作者人格権の不行使です。甲だけでなく、甲が指定する者(元委託者を含む)に対しても行使しない形にしてあります。ここを甲に限ると、元委託者に対しては行使できることになってしまいます。

秘密情報の流れも同じ構造です。第22条2項は、甲が元委託者から開示を受けた情報のうち乙に提供するものを秘密情報に含め、甲が元委託契約上その情報を乙に提供できることを確認したうえで提供する、としています。乙とのNDAを別に巻きたいときは秘密保持契約書テンプレートを併用してください。

10. 人を出す形の再委託|指揮命令を誰が出すか(第8条)

常駐や準常駐で人を出す再委託では、契約書の型よりも運用のほうが問われます。甲や元委託者が乙の要員へ直接指示を出した時点で、契約書の表題は意味を失います。

職業安定法44条は、労働者供給事業を行うことと、供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させることを禁じています。同法4条は、労働者供給を、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることと定義しています。

再委託では、指揮命令の経路が甲・乙・元委託者の3者に伸びます。元委託者の担当者から乙の要員への直接指示は、甲乙間の契約書だけでは止まりません。

第8条は、この経路を1本にするための条文です。1項で乙が自己の裁量と責任において業務を遂行すること、2項で乙の要員への指示・労務管理・安全衛生管理を乙が自ら行うこと、3項で甲が乙の要員へ直接に指揮命令を行わず、要請・確認・連絡は第9条の業務責任者を通じて行うことを定めています。

見落としやすいのが4項です。甲は、元委託者が乙の要員に直接指揮命令を行わないよう、元委託者に対して必要な申入れを行います。元委託者の担当者が現場で直接指示を出す形は、甲が止めなければ止まりません。

第9条では甲乙それぞれの業務責任者を記名し、進捗報告の頻度を書きます。「毎週金曜日」のように、いつ報告するかまで書いてください。

元委託者が直接指示を出してしまったら

止め方は決まっています。甲から元委託者へ、以後の要請・確認・連絡を乙の業務責任者を通じて行うよう申し入れます(第8条4項)。申入れは口頭で終わらせず、メールなど記録の残る形で出してください。

乙の側では、受けた指示を業務責任者がいったん引き取り、乙の判断として要員へ伝え直します。この形が崩れたまま常駐が続くと、職業安定法4条にいう「他人の指揮命令を受けて労働に従事させる」状態に近づきます。

元委託者が申入れに応じないときは、常駐そのものをやめるか、労働者派遣の枠組みで契約を組み直すかの判断になります。本テンプレートは派遣の契約書ではありません。

要員を出す形の契約そのものの作り方は、SES契約書テンプレートに詳しくまとめてあります。

11. 空欄の埋め方|必ず決める欄と、使わないなら閉じてよい欄

ダウンロードしたファイルには、角括弧の空欄と□の選択肢が並んでいます。全部を埋める必要はありません。閉じ方を決めておけば、空欄のまま送ってしまう事故を防げます。

必ず決める欄

記入欄 何を書くか
頭書の元委託者 商号または元委託者を識別できる符号。伏せるなら取引先番号
頭書の元委託支払期日 元委託契約の支払条件。30日基準を使わないなら「該当なし」
第11条の報酬 金額。書けないやむを得ない事情があるときだけ算定方法
第12条の支払期日 選んだ起算日から60日または30日の範囲で、できる限り短い日
別紙1の検査を完了する期日 受領から検査を終える期日。フリーランス法に基づく公正取引委員会規則1条1項6号の明示事項
別紙1の給付の内容 成果物の仕様まで。「制作業務一式」で止めない
第9条の業務責任者 甲乙それぞれの所属と氏名
第15条の遅延利息の年率 年率で書く
第22条の秘密保持義務の存続期間 契約終了後に何年続けるか
頭書の元委託契約の名称・締結日 元委託契約書の表題と締結日。どの契約の再委託かを特定する欄
第11条2項の報酬に含まれる費用・含まれない費用 交通費・資材費などをどちらが持つか。含まれない費用は甲の負担
第12条4項の振込先・振込手数料の負担者 乙の口座と手数料の負担者。手順から漏れやすい欄
第18条の通知期間・存続期間 契約不適合を通知する期間と、引渡しから権利行使ができる期限
第30条の中途解約の予告期間 甲が解約を通知してから効力が生じるまでの期間

この表に載っていない角括弧も、そのまま送らないでください。前半の9欄だけを埋めて満足すると、振込先が空のまま乙に届きます。

振込手数料の欄は、負担者を書いたうえで運用に注意が要ります。令和8年1月1日以降になされた1か月以上の業務委託では、合意の有無にかかわらず、振込手数料を報酬の額から差し引くことが報酬の減額に当たるとされています。

管轄裁判所は書かなくて構いません。第33条は甲の本店所在地を管轄する地方裁判所と書いてあり、地名を埋め込んでいないので、移転しても直す必要がありません。

使わないなら閉じてよい欄

  • 別紙1の未定事項の欄は、無ければ「該当なし」と書きます
  • 別紙1の主要な部分の欄は、元委託契約に指定が無ければ「指定なし」と書きます
  • 第16条の前払金は、元委託者から前払金を受けない取引では空欄のままで構いません

未定事項の欄を空白で飛ばさないでください。フリーランス法に基づく公正取引委員会規則1条1項12号は、明示しない未定事項がある場合に、その理由と内容を定める予定期日を明示すべきものとしています。「まだ決まっていない」ことも書く対象です。

報酬の額を金額で書けないときの逃げ道も用意されています。同規則1条3項は、具体的な金額の明示が困難なやむを得ない事情がある場合に、算定方法の明示で足りるとしています。第11条1項の2つ目の選択肢がこれに当たります。ただし、単に見積りが面倒なだけでは「やむを得ない事情」になりません。

第27条の□をどう選ぶか

損害賠償に上限を定めるかどうかは、第27条2項の1行1択です。上限を定める側を選ぶと、賠償の額は損害の原因となった業務に係る報酬の額までとなり、通常生ずべき損害に限られます。

上限を選んでも外れる場合があります。第27条3項は、故意または重大な過失、第22条・第23条・第24条の違反、第三者の権利侵害、第25条違反を、上限の対象外にしました。個人データの漏えいや秘密情報の持ち出しは、ここで上限が外れます。

決め方は、元委託契約と揃えることです。甲が元委託者に対して上限なしで負っているのに乙との間だけ報酬額を上限にすると、その差額は甲がかぶります。逆に、乙が個人事業主で、報酬に見合わない賠償を負わせない設計にしたいなら、上限を定める側を選びます。

第6条で決めた形が印紙に効く

第6条は、都度発注型か基本契約型かの選択です。1件だけの再委託なら1つ目、注文書と注文請書を繰り返すなら2つ目を選びます。この選択で、印紙が第2号文書と第7号文書のどちらになるかが分かれます。

12. 印紙税|請負型・基本契約型・準委任型の3パターン判定表

「再委託契約書」という文書の種類は、印紙税法別表第一の課税物件表に置かれていません。国税庁のタックスアンサーにも質疑応答事例にも、この名前の項目はありません。

つまり、表題では決まりません。第6条と第11条をどう選んだかで、次の3つに分かれます。

判定の手がかり 該当する文書 1通あたりの税額
請負型 仕事の完成を約し、その結果に対して報酬を払う形。第11条の報酬を成果物の完成引渡しの対価とし、別紙1の給付の内容を成果物の仕様として書いた場合 第2号文書(請負に関する契約書) 契約金額に応じ200円から60万円。金額の記載がなければ200円
基本契約型 第6条で基本契約と個別契約を選び、営業者間で請負に関する2以上の取引を継続して行うために単価や支払方法を定めた形 第7号文書(継続的取引の基本となる契約書) 4,000円。契約期間が3か月以内で更新の定めがなければ第7号文書から除かれる
準委任型 仕事の完成を約さず、委託した事務の処理そのものに対して報酬を払う形 課税物件表のいずれにも当たらない 不課税(非課税ではない)

判定の軸は2つです。国税庁は、請負を、当事者の一方がある仕事の完成を約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約するものとしています。ここでいう仕事には、講演・演奏・建物の清掃・機械の保守のような無形的な結果も含まれます。

検査の条項があるかどうかでは決まりません。準委任型にしたいときに直すのは、第17条の検査でも第18条の契約不適合責任でもなく、第11条の報酬の書き方と、別紙1の給付の内容です。報酬を成果物の完成引渡しの対価とせず、事務の処理そのものへの対価として書き、給付の内容も成果物の仕様ではなく行う作業として書きます。

国税庁は、仕事の完成の有無にかかわらず報酬が支払われるものは請負契約にならないものが多いとし、支援業務等のみについて定めている契約書は課税文書に該当しないとしています。

請負型に当たる場合の税額は、契約金額に応じて、100万円以下の200円から、50億円を超えるものの60万円までの段階で定められています。契約金額の記載のないものは1通につき200円、契約金額が1万円未満のものは非課税物件です。

基本契約型は1通につき4,000円です。ただし、契約期間が3か月以内で更新に関する定めのないものは第7号文書から除かれます。第7条で「3か月以内・更新の定めなし」の選択肢を選ぶと、この除外に当たります。

準委任型は不課税です。「非課税」ではありません。非課税は課税文書だが税額がかからないもので、準委任型はそもそも課税物件表に掲げられた文書に当たりません。

印紙税法基本通達は、監査報告書の作成までを約するものではない契約書について、委任に関する契約書に該当するから課税文書に当たらないとしています。税理士委嘱契約書についても同じ扱いです。ただし、税務書類等の作成を目的とし、これに対して一定の金額を支払うことを約した契約書は第2号文書に該当するとしています。

準委任型の基本契約も第7号文書になりません。印紙税法施行令26条1号が第7号文書の範囲として挙げているのは、売買・売買の委託・運送・運送取扱い・請負に関する取引で、委任は挙げられていないからです。

請負と準委任を1通に混ぜた場合の扱いも決まっています。国税庁の質疑応答事例は、請負の事項が併記された契約書や、請負とその他の事項が混然一体として記載された契約書は、民法上は委任に近い混合契約であっても印紙税法上は請負契約になるとしています。準委任のつもりで作った契約書に、成果物の完成と検査の条項を足すと請負として扱われます。

請負か委任かの判定そのものは、業務委託契約書の印紙で詳しく扱っています。最終的な判定は、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

💡 印紙の型を決めてから、紙か電子かを選べます

会員登録は不要です。配布テンプレートは、末尾に3パターンの判定表と第2号文書の税額表を載せてあるので、第6条と第11条をどう選んだかを見ながら税額を確かめられます。ダウンロードしたら、まず都度発注型か基本契約型かを決めてください。

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13. 紙で交わすか、電子で交わすか|紙のままで足りる条件

次の3つが揃う取引なら、無理に電子化する理由はありません。

  • 準委任型で不課税に当たり、印紙を貼らずに済む
  • 再委託が今回1件だけで、以後は続かない
  • 相手が近くにいて、押印して郵送しても支払期日に間に合う

紙の契約から電子契約への移行イメージ

逆に、電子で交わす価値が出るのは次のような場合です。

請負型に当たり、契約金額が大きい取引。第2号文書の税額は契約金額に応じて200円から60万円まで上がり、紙で2通作ればその2通分が要ります。電磁的記録として作成した場合の印紙税の取扱いは、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

元委託支払期日から30日以内で払うと決めた取引。契約書の往復に1週間かかると、そのぶん検査と支払の準備の時間が削られます。第12条1項が求める「できる限り短い期間」を、往復の日数が食います。

再委託先が遠方の個人事業主である取引。押印して返送してもらう手間は、そのまま着手の遅れになります。

第31条は、紙と電子のどちらでも締結できる形にしてあります。電磁的記録で締結するときは、利用する電子契約サービスの名称と、電子署名の方式・タイムスタンプの種類をあらかじめ相手に示します(第31条2項)。この欄は、乙から「何のサービスで署名するのか」と聞かれる前に埋めておくためのものです。

ムスビサインは、PDFをアップロードしてメールで送るだけで締結できるクラウド型の電子契約サービスです。立会人型(事業者署名型)の電子署名で、電子署名法3条に対応しています。締結済みPDFにはAATL証明書による電子署名と総務大臣認定タイムスタンプが付与されます。

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14. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順

上から順に進めれば、空欄が残りません。

  1. 元委託契約書を横に開く。再委託条項・支払条項・知的財産権条項・秘密保持条項の4つに付箋を貼ります
  2. 別紙3を先に埋める。フリーランス法・取適法・子会社経由・建設工事の4欄を順に見ます。乙の資本金や従業員数は、見積りを頼むときに一緒に聞いておきます
  3. 第4条1項を選ぶ。承諾が要るなら、別紙2の1のページだけを新しいファイルにコピーして元委託者へ提出します
  4. 頭書を転記する。再委託である旨・元委託者・元委託支払期日と、元委託契約の名称・締結日を写します。30日基準を使わないなら元委託支払期日の欄に「該当なし」と書きます
  5. 別紙1の明示事項の表を埋める。給付の内容・受領の期日・受領の場所・検査を完了する期日・報酬の額と支払期日を書きます
  6. 別紙1の残り2つの表を埋める。元委託契約に由来する遵守事項を3行で書き、未定事項が無ければ「該当なし」と書きます
  7. 第5条2項の3区分を別紙1の表に落とす。主要な部分の指定と、軽微な業務の指定の有無を写します
  8. 別紙4の冒頭を選ぶ。個人データを渡さないなら「取り扱わせない」で以下は空欄です
  9. 第6条・第7条・第11条・第12条・第27条の□を選ぶ。各1つずつ、選ばなかった側の行は削除します
  10. 残った角括弧を埋める。振込先・振込手数料の負担者・契約不適合の通知期間と存続期間・中途解約の予告期間が残りやすい欄です
  11. 末尾の締結方法を選ぶ。紙なら2通、電子なら電磁的記録1通です

承諾を待つ工程は、自分では短くできません。手順3を初日に走らせ、返事を待っているあいだに手順4以降を進めてください。

15. よくある質問(FAQ)

Q1. 再委託と下請けは違うものですか?

A. 同じことを指す呼び方の違いです。ただし建設工事の下請負は別扱いで、公正取引委員会と中小企業庁のテキストは、建設工事に係る下請負には取適法が適用されないとしています。この場合は本テンプレートではなく、建設工事の下請契約の書式を使ってください。

Q2. 元委託契約に再委託の定めが無いときは、承諾を取らずに出していいですか?

A. 準委任に当たるなら、承諾を取らずに出すことはできません。判断がつかないときは、承諾を書面で取っておくのが安全です。

Q3. 再委託承諾書に印紙は要りますか?

A. 印紙の要否は文書の名称ではなく記載された内容で決まります。別紙2の2は、元委託者が承諾の事実と条件を伝える様式として作ってあります。個別の文書について課税されるかどうかは、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

Q4. 再委託先が個人事業主のときは、何が変わりますか?

A. 再委託先がフリーランス法2条1項1号の特定受託事業者に当たれば、再委託する側(甲)に同法3条1項の明示義務が及びます。甲が従業員を使う個人や2以上の役員がある法人などの特定業務委託事業者であれば、これに加えて4条の支払期日の定めも及びます。いずれにしても別紙1の各欄を空欄にできません。個人へ発注する契約書そのものの作り方は個人向け業務委託契約書テンプレートにあります。

Q5. 再々委託を認めるときは、何をすればいいですか?

A. 第24条1項の承諾を書面か電磁的記録で行い、2項の事項を乙から示してもらいます。個人データを扱わせるなら、別紙4の再々委託欄を「可」にし、相手方の商号と所在地まで書きます。個人情報保護委員会のガイドラインは、再々委託以降も同様であるとしています。

Q6. 中抜きの割合に上限はありますか?

A. 割合の上限を定めた法令はありません。報酬が低すぎる場合は、フリーランス法5条1項4号の「通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額を不当に定めること」や、同条2項1号の経済上の利益の提供要請の禁止で判断されます。第11条3項と4項は、この2つを確認するために置いた条文です。

Q7. 元委託契約が終わったら、乙への報酬はどうなりますか?

A. 既に発生した報酬は消えません。第29条4項は、元委託契約が終了したことを理由に、既に発生した報酬の支払を拒み、または減額できないと定めています。第29条3項は、解約の日までに乙が履行した部分について出来高に応じた報酬を支払う形です。

Q8. 乙のミスで元委託者に損害が出たら、甲が責任を負いますか?

A. 条文だけでは、甲が当然に責任を負うことにはなりません。民法715条1項は他人を使用する者の責任を定めていますが、これは使用者と被用者の関係についての規定で、独立した事業者である再委託先には原則として当てはまらないためです。だからこそ、別紙2の2の承諾条件と第18条・第21条・第27条で、誰がどこまで負うかを先に決めておきます。個別の事案は弁護士にご確認ください。

16. まとめ:元委託契約と突き合わせた1通を、今週中に取り交わす

着手日が決まっているなら、承諾を取る時間から逆算してください。

  • 配布する再委託契約書は全33条+別紙4本。元委託契約と突き合わせる欄を別紙1に集めてある
  • 元委託契約の再委託条項を先に読む。禁止形・承諾要件形・許可形のどれでも、承諾は書面で残す
  • 別紙2の1を元委託者へ出し、返ってきた承諾書の写しを乙に渡す(第4条2項)
  • 頭書の3欄を転記すれば、フリーランス法4条3項により支払期日を元委託支払期日から30日以内に切り替えられる
  • 転記しないなら「該当なし」と書き、第12条は同条1項の受領日から60日以内の側を選ぶ
  • 「元委託者から入金があったら払う」は書かない。第13条で入金と支払を切り離す
  • 個人データを渡すなら別紙4を埋め、再々委託の可否・報告の頻度・監査の方法を決める
  • 成果物の権利は、元委託契約と再委託契約の両方に著作権法27条・28条の特掲が要る
  • 印紙は請負型・基本契約型・準委任型で分かれる。準委任型は不課税

1通を締結してしまえば、次の案件は頭書と別紙1を差し替えるだけで済みます。

再委託契約書テンプレートを無料ダウンロード

本記事で解説した再委託契約書テンプレート(全33条+別紙4本)を、Word形式で配布しています。

会員登録不要・メールアドレス入力不要 — ダウンロードしてそのままWordで編集できます

頭書に明示3事項の転記欄 — 再委託である旨・元委託者・元委託支払期日を、元委託契約から写すだけです

第12条は1行1択 — フリーランス法4条1項の受領日から60日以内か、同条3項の元委託支払期日から30日以内かを選ぶ形にしてあります

第13条で入金と支払を切り離し — 「元委託者から入金があったら払う」と書かずに済みます

別紙2に申請書と承諾書の様式 — 元委託者へ出す書面と、乙へ渡す写しが同じファイルに入っています

第5条は主要な部分・付随的な業務・軽微な業務の3分類 — 一括再委託の禁止と、法令が再委託を制限する業務の確認まで入っています

別紙3は適用法令の判定シート — フリーランス法・取適法・子会社経由・建設工事の除外を順に確認できます

第23条・第24条・別紙4で個人データの監督 — 事前承諾・報告・監査・返却消去まで条文化してあります

第19条は著作権法27条・28条を特掲 — 権利が乙から甲、甲から元委託者へと2段で通ります

第8条で指揮命令の経路を一本化 — 元委託者への申入れまで甲の義務にしてあります

末尾に印紙税の3パターン判定表 — 請負型・基本契約型・準委任型を選んでから税額を確かめられます

紙でも電子でも締結できる末尾書式 — 記名押印と電子署名を選べます

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本記事および配布テンプレートは一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な事案の適法性や、印紙税の判定については、弁護士・税理士にご確認ください。

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