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外構工事請負契約書テンプレート・雛形|境界・塀の数値・カーポート

外構工事請負契約書テンプレート(全40条+別紙6本)を無料ダウンロード。会員登録不要のWord形式です。「外構工事一式」をやめる別紙1、複数業種にまたがる附帯工事、境界線上の塀と民法229条、塀と擁壁の寸法、カーポートの建ぺい率、印紙税まで解説します。

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外構工事請負契約書テンプレート

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2026-09-10
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「業者から渡された契約書に、工事の内容が『外構工事一式』としか書いていない」 「フェンスを立てる位置を隣の人から指摘され、工事が止まった」 「見積りに無かった残土の処分費を、着工後に請求された」

配布するのは、外構工事請負契約書のWordテンプレートです(全40条+別紙6本・会員登録不要)。発注者である施主(甲)と、その施主から直接工事を請け負う施工業者(乙)が、1件の外構工事について取り交わす形にしてあります。

この3つは、どれも契約書に何を書くかで先に片づきます。図面番号と品番と数量と寸法を別紙に書けば「一式」は消えます。塀を境界線の真上に積むかどうかは、着工前に決める事項です。

この記事の結論

  • 配布するのは全40条+別紙6本。工事の内容は別紙1に図面番号・品番・数量・寸法で書く。
  • 外構1件は建設業法別表第一の複数の業種にまたがる。1本の契約に収める根拠は附帯工事(建設業法4条)。
  • 境界線の真上に積んだ塀は相隣者の共有と推定される(民法229条)。撤去にも隣人の同意が要る。
  • 塀の高さ・厚さ・鉄筋・控壁・根入れは建築基準法施行令62条の8に数値がある。別紙1で検算できる。
  • カーポートは建築物。建築面積の1メートル緩和は平成5年建設省告示第1437号の4要件を満たしたときだけ。
  • 民法218条は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の工作物を禁じている。屋根の向きと水勾配の話。
  • 許認可の名義人が発注者(施主)になる手続がある。建築確認・盛土規制法・下水道法・建設リサイクル法の4つ。
  • 紙なら第2号文書。1万円未満は非課税、100万円以下は軽減の対象外で200円。

目次

  1. 外構工事請負契約書テンプレートの無料ダウンロード
  2. 署名前に確かめる7項目|業者の1枚のどこが空いているか
  3. 外構工事は1件で複数の業種にまたがる|附帯工事と軽微な建設工事の500万円・専門技術者(第3条・別紙2)
  4. 「一式」をやめる|別紙1に図面番号・品番・数量・寸法を書く(第2条)
  5. 境界|塀を境界線の真上に積むかを契約時に決める(第10条〜第13条・別紙4)
  6. 塀と擁壁の数値|施主があとから検算できる寸法と鉄筋(第14条・第20条)
  7. カーポートと物置|建築物に当たるか、建ぺい率に入るか(第15条)
  8. 雨水と隣地|水勾配の方向と排水先を決める(第16条)
  9. 許認可の名義人が施主になる手続|盛土規制法・下水道法・道路法(第17条・別紙5)
  10. 残土と、既存の塀を壊して出たがれき(第18条・第19条)
  11. 施主支給と施主の指図|どこまで自己責任になるか(第21条)
  12. 追加費用を止める|設計変更・追加工事・天候・価格変動(第22条〜第24条)
  13. 外構で抜けやすい4号・6号・10号|建設業法19条1項15事項と条番号の対照表
  14. 検収と保証|引渡しで何を確認し、外構に品確法の10年は及ぶのか(第27条〜第29条)
  15. 揉めたときに何ができるか|解除・違約金・建設工事紛争審査会(第30条〜第34条・第39条)
  16. 空欄の埋め方|必ず決める欄と、使わないなら閉じてよい欄
  17. 印紙税|第2号文書としていくら貼るか、甲と乙のどちらが貼るか(第40条)
  18. 100万円以下なら紙で足りる|電子を選ぶ意味がある4つの場合(第40条)
  19. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
  20. よくある質問(FAQ)
  21. まとめ:境界と別紙を埋めた契約書を1通、今週中に取り交わす

1. 外構工事請負契約書テンプレートの無料ダウンロード

配布しているのは、Word形式の外構工事請負契約書の雛形です(全40条+別紙6本)。既存の塀を壊して門扉とフェンスを入れ替える、駐車場を土間コンクリートで打ってカーポートを建てる、庭に植栽と園路を作る。そうした1件の工事について、発注する側と請け負う側が取り交わす形にしてあります。

甲が個人の施主でも、賃貸物件を持つ法人でも、そのまま使えます。

外構は、エクステリア工事とも呼ばれます。国土交通省の業種区分も、コンクリートブロックにより建築物を建設する工事について、エクステリア工事としてこれを行う場合を含むとしています。

呼び方が違っても、契約書のひな形として必要な項目は同じです。エクステリア工事の見積りを受け取った施主も、外構工事の見積りを出す業者も、このひな形をそのまま使えます。

以下、本文で「第◯条」「別紙◯」とあるのは、この配布テンプレートの条と別紙です。法令を指すときは「建設業法19条1項」のように法律名から書きます。

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建設業法19条1項1号〜15号に対応した全40条

別紙1 外構工事仕様書つき — 門扉・塀・擁壁・カーポート・土間コンクリート・舗装・植栽・配管・排水・仮設の14区分を、図面番号と品番と数量と寸法で特定できます

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ダウンロードしたら、まず別紙1と別紙4を開いてください。この2枚が埋まれば、「イメージと違う」という争いと、隣地との揉め事の火種は、着工前にほぼ消えます。

2. 署名前に確かめる7項目|業者の1枚のどこが空いているか

いま手元にある業者の契約書を開いて、上から突き合わせてください。7つの欄のどれが空いているかで、あとから何を請求されるかが決まります。

決める人と、書く人は別です。単価と品番を持っているのは乙なので、紙に文字を入れるのはほとんど乙です。ただし、何をどこに作るかを決めるのは甲です。表を2列に分けたのは、そのためです。

確かめる項目 決めるのは 書くのは 空いたまま署名すると起きること 本記事
工事の範囲と仕様が「一式」でないか 何が含まれ何が含まれないかが決まらない 第4章
塀を境界線の真上に積むか、敷地内に控えるか 将来の建替えと撤去に隣人の同意が要る 第5章
塀と擁壁の高さ・厚さ・鉄筋・水抜穴 完成後は埋まって見えず、検算できない 第6章
カーポートの確認申請と建築面積の扱い 建ぺい率の計算が変わる 第7章
水勾配の方向と排水先 雨水が隣地と道路へ流れる 第8章
許認可の名義人・申請者・費用の負担者 着工が止まり、費用の押し付け合いになる 第9章
残土とがれきの処分費が独立の項目か 諸経費に紛れて、増えたときに検算できない 第10章

決めるのが甲の行は4つです。塀の位置、カーポートの扱い、排水先、許認可の担当。残りの3行は、現場を見た乙が書き、甲が読んで確かめます。

相手の建設業許可を先に見ておきます。無いこともあります。

建設業法3条1項ただし書は、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者を、許可の対象から外しています。その軽微な建設工事を、建設業法施行令1条の2が、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事などと定めています。

住宅1件の外構しか請けない業者は、許可を持っていないことがあります。それ自体は違法ではありません。配布テンプレートは前文と末尾の署名欄に建設業許可の欄を置いてあるので、無いなら空欄にせず「なし」と書いて締結してください。

訪問してきた業者と契約するなら、書面が1通増えます。

特定商取引法2条1項1号は、営業所等以外の場所で役務提供契約の申込みを受け、または契約を締結して行う役務の提供を、訪問販売としています。自宅の玄関先で申込みを受けた工事は、ここに当たります。

該当する場合、特定商取引法5条1項は、契約の内容を明らかにする書面を、主務省令で定めるところにより交付することを義務づけています。記載事項が省令で決まっている書面なので、請負契約書がこれを兼ねることはできません。配布テンプレートの第37条は、該当するかどうかを3つの選択肢で確認し、交付と受領の年月日を書く欄まで置いてあります。

すでに署名してしまった読者のために、起算日だけ書いておきます。特定商取引法9条1項ただし書は、申込みの撤回等ができなくなる区切りを、契約書面を受領した日から起算して8日を経過した場合としています。それより前に申込書面を受け取っていれば、その書面を受領した日から数えます。

数えるのは契約した日ではなく、書面を受け取った日です。手元の書面に受領の年月日が入っていないなら、まずそこを確かめてください。

法定書面の記載事項と様式、不実告知があった場合の扱いは、外壁塗装工事請負契約書テンプレートに整理してあります。訪問販売に当たる取引を扱うなら、そちらの別紙4をそのまま使えます。

3. 外構工事は1件で複数の業種にまたがる|附帯工事と軽微な建設工事の500万円・専門技術者(第3条・別紙2)

同じ1件の工事なのに、掘削と、擁壁のブロック積みと、土間コンクリートと、植栽は、建設業法の上では別の工事です。ここを知らないまま契約すると、「この部分は許可の範囲外だった」という話が着工後に出てきます。

この章は、書くのが乙になる話です。施主が見るのは1点だけです。別紙2の附帯工事の行に、専門技術者の氏名または施工させる許可業者の商号が書かれているかどうかです。ここが空いていれば、乙に埋めさせてください。それ以外の列は、乙が現場と見積りから埋めます。

許可は、工事の種類ごとに与えられます。

建設業法2条1項は、建設工事を土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものと定義しています。そして建設業法3条2項は、許可を別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、下欄の建設業に分けて与えるとしています。

その別表第一に、外構という種類はありません。外構工事の中身は、次の6つに散らばります。国土交通省の業種区分が示す内容と例示から並べたものです。

外構工事の部分 建設工事の種類 国土交通省の業種区分での位置
掘削、根切り、盛土、締固め とび・土工・コンクリート工事 「その他基礎的ないしは準備的工事」の例示に外構工事が挙げられている
擁壁としてコンクリートブロックを積む工事 石工事 法面処理または擁壁としてコンクリートブロックを積む工事等を、石工事のコンクリートブロック積み(張り)工事としている
コンクリートブロックにより建築物を建設する工事 タイル・れんが・ブロツク工事 エクステリア工事としてこれを行う場合を含むとしている
土間コンクリート、インターロッキング 舗装工事 例示にコンクリート舗装工事・ブロック舗装工事・路盤築造工事が挙げられている
植栽、地被、園路、景石 造園工事 整地・樹木の植栽・景石のすえ付け等により苑地を築造する工事等
敷地内の配管 管工事 家屋その他の施設の敷地内の配管工事を管工事としている

とび・土工・コンクリート工事の例示に、外構工事という語がそのまま出てきます。掘削・根切り・盛土・締固めは、この区分の工事です。

区分は排他的ではありません。建設業許可事務ガイドラインは、各工事の内容はそれぞれ他の工事の内容と重複する場合もあることに留意することとしています。同ガイドラインは、別表第一の上欄に掲げる建設工事の内容を昭和47年3月8日建設省告示第350号で示し、その具体的な例を別表に掲げているとしています。

なお、門扉やアルミフェンスやカーポートの設置が別表第一のどの種類に当たるかは、配布テンプレートでは断定していません。別表と業種区分の例示から一義的に決まるものではないので、別紙2の記入欄で当事者に確認させる形にしてあります。

複数の種類にまたがる工事を1本の契約に収める根拠が、附帯工事です。

建設業法4条は、建設業者が許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合に、その建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができるとしています。

その附帯工事を、建設業許可事務ガイドラインは、主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事等であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものとしています。判断は、注文者の利便や請負契約の慣行等を基準に、一連または一体の工事として施工することが必要または相当と認められるかで総合的に検討します。

駐車場の土間コンクリートを打つために既存の塀を壊し、掘削して路盤を作る。この一連の流れは、独立して使うためのものではありません。配布テンプレートの第3条第1項は、本工事が2以上の建設工事の種類にまたがるときも本契約は1本の請負契約とすると書き、第3条第2項で内訳を別紙2に落としています。

附帯工事が500万円に届くなら、二択になります。

建設業法26条の2第2項は、軽微な建設工事を除く附帯工事を施工する場合に、建設業法7条2号イロハに該当する専門技術者を置いて自ら施工するか、その建設業の許可を受けた建設業者に施工させなければならないとしています。

ここでいう軽微な建設工事は、建設業法施行令1条の2が定める、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事などです。分ければよいという話にもなりません。建設業法施行令1条の2は、同一の建設業を営む者が2以上の契約に分割して請け負うときに、各契約の請負代金の額を合計するとしています(同令1条の2第2項)。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りではありません(同項ただし書)。

配布テンプレートの第3条第4項は、この二択をそのまま条文にし、どちらによるかを別紙2に書かせています。別紙2の末尾には、専門技術者の氏名と有する資格を書く行があります。

別紙2は、6列の表です。

記載する列 記入例
本工事を構成する工事の内容 「既存ブロック塀の撤去、掘削及び整地」
建設工事の種類 「とび・土工・コンクリート工事」
主たる工事/附帯工事 「附帯工事」
請負代金の額 別紙3の内訳から拾った額
施工者 「乙」または下請負人の商号
専門技術者又は許可の状況 「専門技術者 ○○(1級土木施工管理技士)」

丸ごと他人に投げることは、できません。

建設業法22条1項は、請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせてはならないとしています。同条3項は、政令で定める重要な建設工事以外の場合について、元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは適用しないとしています。配布テンプレートの第3条第7項は、承諾するかしないかを甲が選ぶ形にしてあります。

一部を下請に出すのは、これとは別です。第3条第8項は、下請負人の商号・所在地・許可の有無・請け負わせる工事の内容を、あらかじめ甲に通知して別紙2に書かせています。乙の立場で継続的に同じ相手へ出すなら、工事ごとの書面が軽くなるように工事下請基本契約書テンプレートで共通条件を先に決めておく手があります。

4. 「一式」をやめる|別紙1に図面番号・品番・数量・寸法を書く(第2条)

「外構工事一式」と書かれた1行に金額だけを添えた1枚に署名すると、フェンスの高さが何ミリで、砂利が何センチ厚で、植栽が何本なのかが、どこにも決まっていない状態で工事が始まります。あとで「思っていたのと違う」と言っても、比べる先がありません。

配布テンプレートは、その書き方を禁じています。

第2条第3項は、本工事の内容を「外構工事一式」その他工事の範囲及び仕様が特定されない記載によることができない、としています。そのうえで第2条第2項が、工事の内容を別紙1 外構工事仕様書に落としています。

別紙1に書くのは、第2条第4項の5項目です。

  1. 図面番号及び図面の名称
  2. 製品の製造所名及び品番
  3. 数量
  4. 寸法(高さ、長さ、幅及び厚さ)
  5. 仕上げ(色、表面の仕上げの方法及び目地の割り付け)

数値ではなく、この5項目で特定します。外構には、塗装工事のような公的な数値の基準が全ての工種にあるわけではありません。だから別紙1は、図面番号と品番と数量と寸法と仕上げで内容を決める形にしてあります。

数値の欄を置いているのは、建築基準法施行令または告示が数値を定めている塀・擁壁・カーポートの部分だけです(第6章・第7章)。土間コンクリートの伸縮目地の間隔、補強材の呼び径、路盤の厚さは、図面または記入欄で特定します。

外構では、借りてこられる公的な基準がありません。だから契約書に自分で書く、という順番になります。第28条第6項は、判断の基準を別紙1の仕上げの記載と別紙6の確認の項目に置くことを条文に書いてあります。

別紙1は14区分あります。記入例を1行ずつ挙げます。

別紙1の区分 埋め方の例
1 図面 「平面図 A-01/立面図 A-02/排水計画図 A-03、第2版、○○年○月○日作成」
2 既存外構物の撤去 「既存の塀 延長12メートル 撤去する/既存の植栽 3本 残す」
4 門扉及び門柱 「○○社 品番XX-0000、両開き、幅1.2メートル×高さ1.4メートル、色はブラック」
5 塀及びフェンス 「補強コンクリートブロック造、高さ1.2メートル、厚さ12センチメートル」
7 カーポート 「1台用、間口2.7メートル×奥行5.4メートル、屋根の勾配は道路側へ」
8 土間コンクリート 「面積28平方メートル、刷毛引き仕上げ、水勾配は道路側、排水先は道路側溝」
10 植栽及び園路 「シマトネリコ 高さ2.5メートル 3本、支柱あり、防草シート品番○○」
13 仮設及び施工条件 「前面道路の幅員4メートル、進入は南側、甲の車両は工事期間中○○に駐車」

図面が出てこないこともあります。

個人住宅の外構では、平面図はあっても排水計画図が作られていないことがあります。その場合は、別紙1の図面番号の欄に「図面なし」と書いて、同じ欄に文章で内容を書いてください。

記入例です。「排水計画図なし。土間コンクリートの水勾配は道路側へ、排水先は前面道路の道路側溝。雨水枡は駐車場の南東の隅に1か所」。図面番号がなくても、これだけ書けば工事の内容は特定できます。

書いていない工種は、含まれません。

第2条第6項は、別紙1に記載のない工種・部位・製品は本工事に含まないと書いています。含めることになったときは、第22条の手続で処理します(第12章)。これは施主に不利な条項ではありません。含まれるかどうかが宙に浮かないので、追加費用の請求が「合意した書面」の形でしか出てこなくなります。

完成予想図は、内容を特定しません。

別紙1には完成予想図の有無を書く欄がありますが、そのすぐ下に、完成予想図は本工事の内容を特定するものではなく、数量・寸法・品番はこの別紙の記載によると書いてあります。パースの絵に写っている木や照明が工事に入っていると思い込まないために置いた1行です。

図面そのものも版で特定します。第2条第7項は、図面の名称と図面番号、作成者、版と作成の年月日を書かせています。打合せのたびに図面が差し替わる工事では、この版の欄が効きます。

契約の前に出す見積りの様式は見積書テンプレートにあります。別紙1で決めた品番と数量を、そのまま見積りの明細に写す使い方ができます。

💡 「一式」をやめた外構の契約書が、Wordのまま手に入ります

会員登録は不要です。別紙1は門扉から排水までの14区分に分かれていて、図面番号・製造所名・品番・数量・寸法・仕上げの欄が並んでいます。業者の1枚が「一式」で止まっているなら、この別紙だけを印刷して埋めてもらう使い方もできます。

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5. 境界|塀を境界線の真上に積むかを契約時に決める(第10条〜第13条・別紙4)

電子契約の法的有効性のイメージ

ブロックを積み始めてから隣の人が出てきて、「そこは自分の土地だ」と言われる。外構工事でいちばん金額の大きい紛争は、ここから始まります。塀は動かせないので、積み直しになれば費用は工事1件分に近づきます。

別紙4を埋める前に、手元に用意するものがあります。

1つは、何が境界標なのかという線引きです。不動産登記規則77条1項9号は、境界標を、筆界点にある永続性のある石杭または金属標その他これに類する標識としています。木の杭や、ブロックに書いたペンキ印は、これに当たりません。

別紙4の「境界標の種類」の欄には、コンクリート杭・金属標・刻印のように、現地にある物を書きます。「たぶんこのあたり」は書けません。

もう1つは、地積測量図です。不動産登記規則77条3項は、地積測量図に境界標の表示を記録する方法を、境界標の存する筆界点に符号を付し、その符号と境界標の種類を記録する方法としています。つまり、図面のほうに境界標の種類が書いてあります。

この図面は、誰でも取れます。不動産登記法121条1項は、何人も手数料を納付して、政令で定める図面の写しの交付を請求できるとしており、不動産登記令21条1項がその図面に地積測量図を含めています。

探すより先に、法務局で図面を取ってください。何個の境界標がどの種類でどこにあるはずかが分かってから現地に出れば、「無い」のか「埋まっているだけ」なのかを切り分けられます。

見つけた境界標は、動かせません。

刑法262条の2は、境界標を損壊し、移動し、もしくは除去し、またはその他の方法により土地の境界を認識することができないようにした者を、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処するとしています。

外構工事で現実に起きるのは、基礎を掘るときと、土間コンクリートを打つときです。邪魔だから抜いておく、コンクリートで埋めてしまう、はこの条文に当たります。

配布テンプレートの第10条第7項は、乙が施工中に境界標を移動させ、または損傷させてはならないと書いています。やむを得ず一時的に取り外すときは、あらかじめ甲の承諾を得て位置を測量により記録し、工事の完成後に原位置に復します。

先に決めるのは、境界線の真上に積むかどうかです。

民法229条は、境界線上に設けた境界標・囲障・障壁・溝および堀を、相隣者の共有に属するものと推定しています。共有になると、将来その塀を建て替えるにも撤去するにも、隣人との協議が必要になります。

配布テンプレートの第11条第1項は、ここを2択にしてあります。境界線上に設けるか、甲の敷地内に境界線から何ミリ控えて設けるかです。控えるほうを選んだ場合は、第11条第3項により、乙が別紙1に書いた控える距離のとおりに施工し、第20条の写真で距離を記録します。

隣人と一緒に作るなら、民法の既定が効いてきます。

民法225条1項は、二棟の建物が所有者を異にし、その間に空地があるときに、各所有者が他の所有者と共同の費用でその境界に囲障を設けることができるとしています。

協議が調わないときの中身も決まっています。民法225条2項は、その囲障を板塀または竹垣その他これらに類する材料のもので、かつ高さ2メートルのものでなければならないとしています。設置および保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担します(民法226条)。

それより良いものにしたいなら、差額は言い出した側が持ちます。民法227条は、相隣者の一人が225条2項の材料より良好なものを用い、または高さを増して囲障を設けることができるとしつつ、これによって生ずる費用の増加額を負担しなければならないとしています。

化粧ブロックにしたい、アルミフェンスを載せたい、といった希望は、この増加額の側の話になります。第11条第6項は、増加額の負担者を書く欄にしてあります。地域に異なる慣習があるときはその慣習に従うので(民法228条)、第11条第7項は甲が慣習の有無を確認して乙に伝えると書いてあります。

既存の共有塀に載せるときは、条文が変わります。

民法231条1項は、相隣者の一人が共有の障壁の高さを増すことができるとし、その障壁がその工事に耐えないときは自己の費用で必要な工作を加え、または改築しなければならないとしています。高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有になります(同条2項)。この場合に隣人が損害を受けたときは、償金を請求することができます(民法232条)。

配布テンプレートの第12条第2項は、着工前に既存の塀を点検して結果を甲に報告することを乙の義務にしています。点検の項目は別紙4にあり、国土交通省のブロック塀等の点検のチェックポイントをそのまま使っています。第12条第6項は、耐えないと認めるときは着工せず甲に通知すると書いてあります。

境界標の費用は、設置と測量で分担の考え方が違います。

民法223条は、土地の所有者が隣地の所有者と共同の費用で境界標を設けることができるとしています。そして民法224条は、境界標の設置および保存の費用を相隣者が等しい割合で負担し、測量の費用はその土地の広狭に応じて分担するとしています。等分ではありません。第10条第2項は、この取扱いを書く欄にしてあります。

なお、境界協定書や境界確定協議書に法定の様式はありません。民法223条は境界標を共同の費用で設けることができると定めるだけです。売買のときの境界明示は土地売買契約書テンプレートの担当なので、本記事は工事で塀を積むときの扱いに絞ります。

境界標が無いときは、着工を止めるか、施主が責任を持つかです。

第10条第3項は、境界標がないときや位置について隣地の所有者と認識の相違があるときの取扱いを、3択にしてあります。

第10条第3項の選択 内容
立会いで確認するまで着工しない 甲が隣地の所有者の立会いを得て境界の位置を確認するまで、乙は当該部分に着工しない
筆界特定の結果が出るまで着工しない 甲が筆界特定の申請を行い、その結果が出るまで、乙は当該部分に着工しない
甲の責任で位置を指示する 甲が境界の位置を指示し、隣地の所有者との紛争が生じたときの処理は甲が行う

3つとも、動くのは甲です。筆界特定とは、一筆の土地とこれに隣接する他の土地について筆界の現地における位置を特定することです(不動産登記法123条2号)。そして不動産登記法131条1項は、申請をすることができる者を土地の所有権登記名義人等としています。手数料は申請人が納付します(同条4項)。

つまり施工業者は申請人になれません。工期にも影響します。第5条第4項は、境界が確定しないため着工できない期間を工期に算入しないと書いてあります。

筆界特定を選ぶなら、出す先と、かかるものを先に知っておいてください。

出す先は本局です。不動産登記法124条は、筆界特定の事務を、対象土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局がつかさどるとしています。法務省は、管轄するのがその本局であるとしています。支局や出張所ではありません。

費用の本体は、手数料ではなく測量です。不動産登記法146条1項は、筆界特定の手続における測量に要する費用その他の費用を、筆界特定の申請人の負担としています。東京法務局は、測量を専門家に委託して行う場合の委託費用について、同局では概ね50万円から80万円くらいの間のものが多いとしています。

隣地の所有者と一緒に申請すれば、負担は等分になります。不動産登記法146条2項は、対象土地の双方の所有権登記名義人等が申請人となる場合について、各申請人が等しい割合で手続費用を負担するとしています。

期間は、局ごとに違います。不動産登記法130条は、法務局または地方法務局の長に、標準処理期間を定めて公にしておくことを求めています。東京法務局はこれを9か月としており、関係者の数や事案の複雑性・困難性により、これを超える手続もあるとしています。

引渡し日が決まっているなら、3択はこう分かれます。

施主の置かれている状況 選ぶ枝
隣人と話ができ、立会いの日を取れる 1つめ。立会いで確認するまで着工しない
隣人と争いがあり、着工を9か月止められる 2つめ。筆界特定の結果が出るまで着工しない
隣人と争いがあり、工期も費用も止められない 3つめ。甲の責任で位置を指示する。紛争が生じたときの処理も甲が行う

3つめを選ぶ前に、部分を切り分ける手もあります。第10条第6項は、境界の位置が確定していない範囲に塀・フェンス・擁壁その他の工作物を設けないと書いてあります。塀だけを後回しにして、土間コンクリートと植栽を先に施工する形が取れます。工期の延長と費用の増加は、第22条で処理します。

筆界特定は確定判決に負けます。不動産登記法148条は、筆界確定を求める訴えの判決が確定したときに、筆界特定が判決と抵触する範囲でその効力を失うとしています。

隣地に足を入れる場面が、外構では3つあります。

民法209条1項は、土地の所有者が同項に掲げる目的のため必要な範囲内で隣地を使用することができるとしています。ただし住家については、居住者の承諾がなければ立ち入ることはできません(同項ただし書)。

外構で使うのは、1号・2号と、越境した枝を切るときの3号です。1号は境界またはその付近における障壁その他の工作物の築造・収去・修繕、2号は境界標の調査または境界に関する測量、3号は民法233条3項の規定による枝の切取りです。塀の背面の型枠を外す作業も、境界標を探す作業も、条文の側に根拠があります。

使い方は縛られます。民法209条2項は、使用の日時・場所・方法を、隣地の所有者および隣地使用者のために損害が最も少ないものを選ばなければならないとしています。同条3項は、あらかじめ目的・日時・場所・方法を隣地の所有者および隣地使用者に通知しなければならないとしています。損害を受けたときは償金を請求できます(同条4項)。

第13条第2項は、隣地を使用できるのは土地の所有者である甲であり、乙は甲の求めにより現場での作業に当たる者だと書いています。第13条第4項で、通知を甲が行うか、乙が甲の名において行うかを選びます。通知の名義人を決めておかないと、誰も通知しないまま隣地に入ることになります。

越境した枝と根も、切る人が違います。

民法233条1項は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときに、その竹木の所有者に枝を切除させることができるとしています。催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しないときは、土地の所有者が枝を切り取ることができます(同条3項1号)。根が越えているときは、その根を切り取ることができます(同条4項)。

第13条第7項は、催告と申入れを甲が行い、乙は甲の指示がない限り枝を切除しないと書いてあります。根の切取りは別紙1に書いた範囲で行います。

なお、民法234条1項は、建物を築造するには境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならないとしています。第13条第9項は、これが建物を築造する場合の定めであることを書き、本工事の目的物が適用を受けるかどうかは工作物の構造によるため、着工前に確認すると整理してあります。

別紙4は、この章の全部を1枚に落とす紙です。境界標の有無を境界点ごとに書く表、工作物の設置位置と隣地の了解、越境物の有無、既存の塀の点検、写真の記録が並んでいます。確認の年月日と、甲乙それぞれの立会者の氏名を書く欄もあります。

6. 塀と擁壁の数値|施主があとから検算できる寸法と鉄筋(第14条・第20条)

塀の中の鉄筋は、完成した日から誰にも見えません。基礎の根入れも、控壁の突出も、土に埋まって終わります。ここは信用の話ではなく、契約書に数値を書いて写真で残すかどうかの話です。

補強コンクリートブロック造の塀は、政令に数値があります。

建築基準法施行令62条の8は、補強コンクリートブロック造の塀が同条各号に定めるところによらなければならないとしています。配布テンプレートの第14条第1項は、その各号をそのまま並べてあります。

建築基準法施行令62条の8 数値
1号 高さ 2.2メートル以下
2号 壁の厚さ 15センチメートル以上(高さ2メートル以下の塀は10センチメートル以上)
3号 壁頂・基礎・端部・隅角部の鉄筋 径9ミリメートル以上
4号 壁内の鉄筋 径9ミリメートル以上を縦横80センチメートル以下の間隔で
5号 控壁 長さ3.4メートル以下ごとに、基礎の部分で壁面から高さの5分の1以上突出
6号 鉄筋の末端 かぎ状に折り曲げて定着
7号 基礎 丈35センチメートル以上、根入れの深さ30センチメートル以上

低い塀では、2つの号が外れます。建築基準法施行令62条の8は、高さ1.2メートル以下の塀について5号および7号を除くとしています。5号は控壁、7号は基礎の丈と根入れです。

このかっこ書きを落とすと、低い塀に控壁が無いことを不適合だと誤って判断してしまいます。ただし配布テンプレートの別紙1は、高さにかかわらず控壁と基礎の欄を書かせています。第14条第3項が、その理由を条文に書いてあります。政令の適用の有無と、契約で何を約束したかは別だからです。

鉄筋の入らない塀は、もっと低く抑えられます。建築基準法施行令61条1号は、組積造のへいの高さを1.2メートル以下とすることとしています。壁の厚さは、その部分から壁頂までの垂直距離の10分の1以上(同条2号)、控壁は長さ4メートル以下ごとに壁の厚さの1.5倍以上突出したもの(同条3号)、基礎の根入れの深さは20センチメートル以上(同条4号)です。

3号には、ただし書があります。その部分における壁の厚さが2号の規定による壁の厚さの1.5倍以上ある場合においては、この限りでないとしています。厚く積んだ組積造の塀に、控壁を義務として書き込むことはできません。

擁壁は、高さで手続が変わります。

建築基準法施行令138条1項5号は、高さが2メートルを超える擁壁を、確認申請等の規定を準用する工作物として指定しています。建築基準法88条1項が、その準用の根拠です。

二重には掛かりません。建築基準法88条4項は、盛土規制法12条1項などの規定による許可を受けなければならない場合の擁壁について、確認申請等の準用を適用しないとしています。どちらの手続になるかは第9章の判定によります。

擁壁の中身も政令が決めています。建築基準法施行令142条1項は、高さが2メートルを超える擁壁について、各号に掲げる基準に適合する構造方法、またはこれと同等以上に擁壁の破壊および転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるとしています。

建築基準法施行令142条1項 基準
1号 材料 鉄筋コンクリート造・石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること
2号 石造の裏込め 石造の擁壁は、コンクリートを用いて裏込めし、石と石とを十分に結合すること
3号 水抜穴 擁壁の裏面の排水を良くするため水抜穴を設け、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること

2号を落とさないでください。別紙1は擁壁の構造の種別に石造を選べる形にしてあります。石造を選ぶなら、裏込めのコンクリートと、石と石との結合の方法も別紙1に書きます。

水抜穴は、完成後に施主が目で数えられる数少ない部分です。第14条第6項は、擁壁の高さにかかわらず3号の水抜穴と裏込めを施工するとし、石造とする場合は高さにかかわらず2号の裏込めと結合を行うとしています。

第14条第7項は、別紙1に構造の種別・高さ・水抜穴の位置と数量・裏込めの材料・石と石との結合の方法を書かせ、施工の状況を第20条の写真で記録させています。別紙6の検査項目にも、水抜穴の口径・位置・数量と、裏込めの写真が入っています。

店舗の外構でサインポールを立てる場合も、同じ枠に入ります。建築基準法施行令138条1項3号は、高さが4メートルを超える広告塔・広告板・装飾塔等を指定しています。手続の担当は第17条と別紙5に書きます。

見えなくなる部分は、写真で残します。

建築基準法施行令62条の6第1項は、コンクリートブロツクの目地塗面の全部にモルタルが行きわたるように組積し、鉄筋を入れた空胴部および縦目地に接する空胴部をモルタルまたはコンクリートで埋めなければならないとしています。同条2項は、補強コンクリートブロック造の門またはへいの縦筋を、コンクリートブロックの空胴部内で継いではならないとしています。

モルタルが空胴部に入っているかどうかは、積み終わったら永久に確認できません。だから第20条第2項は、11の時点の写真を撮って第27条の検査の日までに甲へ提出することを、乙の義務にしてあります。

  1. 着手前の状態(既存外構物、境界標、隣地との関係が分かるもの)
  2. 掘削および根切りの完了時(基礎の根入れの深さが分かるもの)
  3. 基礎の配筋の完了時(鉄筋の径および間隔が分かるもの)
  4. 塀の縦筋および横筋の配置の完了時
  5. 空胴部および縦目地への充填の状況
  6. 控壁の位置、間隔および突出の状況
  7. 擁壁の水抜穴および裏込めの施工の状況
  8. 路盤の施工の完了時
  9. 土間コンクリートおよび舗装の配筋または下地の完了時
  10. 打設または敷設の完了時
  11. 完成時の状態(水勾配の方向および排水先が分かるもの)

第20条第3項は、撮影の日時と場所が分かるようにし、寸法が確認できるよう箱尺その他の器具を添えて撮影すると書いてあります。寄りで撮った鉄筋の写真は、径も間隔も読み取れません。箱尺が一緒に写っていれば、あとから写真の上で寸法を読めます。

照合の仕組みも入れてあります。第20条第4項は、甲が写真と別紙1の記載を照合できるとし、異なる施工が判明したときは第28条または第31条によるとしています。施工の途中でも提示を求められます(同条5項)。

既存の塀を残すなら、点検の項目は国が示しています。

別紙4の点検の項目は、国土交通省のブロック塀等の点検のチェックポイントによるものです。同チェックポイントは、掲げた項目を点検し、ひとつでも不適合があれば危険なので改善するよう求めています。

別紙4の点検項目(補強コンクリートブロック造) 判定
塀の高さは地盤から2.2メートル以下か 適合/不適合/該当しない
塀の厚さは10センチメートル以上か(高さ2メートル超2.2メートル以下は15センチメートル以上か) 適合/不適合/該当しない
塀の高さが1.2メートルを超える場合、長さ3.4メートル以下ごとに、高さの5分の1以上突出した控え壁があるか 適合/不適合/該当しない
コンクリートの基礎があるか 適合/不適合/不明
塀に傾き、ひび割れはないか 適合/不適合
塀の中に直径9ミリメートル以上の鉄筋が縦横とも80センチメートル間隔以下で配筋されているか。縦筋は壁頂および基礎の横筋に、横筋は縦筋にかぎ掛けされているか 適合/不適合/不明
塀の高さが1.2メートルを超える場合、基礎の根入れ深さは30センチメートル以上か 適合/不適合/該当しない

控え壁と根入れの2項目には、高さの条件が付いています。高さ1.2メートル以下の塀は、この2項目を「該当しない」と判定します。

条件を落として読むと、低い塀に控え壁が無いことだけを理由に「不適合」と判定してしまいます。そこから、撤去して基礎からやり直す方向へ話が進みます。別紙4の注記も、控え壁がないことのみを理由として第12条第3項の撤去を選ばないと書いてあります。

組積造(れんが造・石造・鉄筋のないブロック造)の塀は、6項目です。

別紙4の点検項目(組積造) 判定
塀の高さは地盤から1.2メートル以下か 適合/不適合/該当しない
各部分の壁の厚さは、その部分から壁頂までの垂直距離の10分の1以上か 適合/不適合/不明
長さ4メートル以下ごとに、壁面から壁の厚さの1.5倍以上突出した控え壁があるか 適合/不適合/該当しない
コンクリートの基礎があるか 適合/不適合/不明
塀に傾き、ひび割れはないか 適合/不適合
基礎の根入れ深さは20センチメートル以上か 適合/不適合/不明

健全度を点数で判定する表ではありません。既存の擁壁についても、別紙4には目視で確認した状態を書く欄だけを置いてあります。構造上の判断を要するときは、甲乙が協議して専門家の確認を受けます。

7. カーポートと物置|建築物に当たるか、建ぺい率に入るか(第15条)

「カーポートくらいなら申請はいらない」と説明されて建てたあと、増築のときに建ぺい率で引っかかる。これは、法律の言葉を1段だけ短くしたことから起きます。

カーポートも物置も門も塀も、建築物に当たることがあります。

建築基準法2条1号は、土地に定着する工作物のうち屋根および柱もしくは壁を有するもの、これに附属する門もしくは塀を建築物としています。柱と屋根があるカーポートは前段、門と塀は後段です。

そして建築基準法6条1項3号は、1号・2号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域もしくは準都市計画区域内における建築物について確認の申請を要するとしています。

「10平方メートル以下なら申請不要」は、条文のとおりに読む必要があります。

建築基準法6条2項は、防火地域および準防火地域外において建築物を増築・改築・移転しようとする場合で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるときは、6条1項を適用しないとしています。

条件が2つ入っています。

条文の条件 外れる場面
防火地域および準防火地域であること 施工場所が防火地域または準防火地域内なら、10平方メートル以内でも6条1項の適用がある
増築・改築・移転であること 更地に新築で建てる場合は、この項に当たらない

配布テンプレートの第15条第3項は、この2つを条文に書いてあります。第15条第4項で、確認の申請を要するかどうかを着工前に確認し、申請の名義人・申請者・費用の負担を別紙5に書くこととし、確認を要する場合に確認を受けないで着工しないことを乙の義務にしています

建ぺい率の1メートル緩和は、4要件を全部満たしたときだけです。

建築基準法施行令2条1項2号ただし書は、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物等について、その端から水平距離1メートル以内の部分の水平投影面積を建築面積に算入しないとしています。

その「指定する構造」を定めているのが平成5年建設省告示第1437号です。要件は4つです。

  1. 外壁を有しない部分が連続して4メートル以上であること(同告示1号)
  2. 柱の間隔が2メートル以上であること(同告示2号)
  3. 天井の高さが2.1メートル以上であること(同告示3号)
  4. 地階を除く階数が一であること(同告示4号)

1つでも欠けたら、緩和は使えません。その場合は水平投影面積の全部が建築面積に算入されます。側面にパネルを張ったカーポートや、物置と一体になった屋根は、1号の「外壁を有しない部分が連続して4メートル以上」を確かめるところから始まります。

配布テンプレートの第15条第6項は、この4要件をそのままチェック欄にしてあります。4つに印が付かないなら、第15条第7項により建ぺい率を着工前に確認します。第15条第8項には、確認の申請の要否、確認済証の番号、建築面積に算入しない部分の取扱いを書く欄を置いてあります。

別紙1の7の欄が、この章の記録先です。カーポートの製造所名と品番、台数、間口と奥行、柱の位置と柱の間隔、屋根の材料と色、屋根の勾配の向きと雨水の排水先、積雪と風圧に対する仕様、基礎の仕様、そして建築面積の算入に係る判定を書きます。

柱の間隔の欄があるのは、2号の要件をあとから確かめるためです。製造所のカタログの型番だけでは、緩和の対象かどうかは決まりません。

8. 雨水と隣地|水勾配の方向と排水先を決める(第16条)

土間コンクリートが仕上がった翌週の雨で、隣の駐車場に水が流れ込む。カーポートの屋根から落ちた雨が、そのまま隣の敷地に落ちている。どちらも、水勾配の方向と排水先を契約書に書いていなかったことから起きます。

民法に、そのままの条文があります。

民法218条は、土地の所有者が直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならないとしています。カーポートの屋根の向きも、テラス屋根の樋の出口も、この条文の射程です。

配布テンプレートの第16条第1項は、カーポートその他の屋根の勾配の向き、雨水の受け方、排水先を別紙1のとおりとし、直接に雨水を隣地に注ぐ構造としないと書いています。

逆向きの条文もあります。民法214条は、土地の所有者が隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならないとしています。塀の基礎や擁壁で、上の敷地から流れてくる水路を塞ぐこともできません。第16条第5項が、この点を乙の施工の義務にしてあります。

数値は契約書に書かず、別紙1に書きます。

第16条第3項は、水勾配の数値を別紙1に記載した勾配のとおりとし、本契約書では数値を定めないと書いてあります。外構の水勾配に公的な数値の基準を借りてくることができないので、当事者が決めた勾配を書く欄にしてあります(第4章)。

書く場所は別紙1の8と12です。土間コンクリートの欄には水勾配の方向と勾配、排水先を書きます。排水の欄には、雨水枡の位置・数量・口径、側溝の位置と延長、浸透枡の有無、排水管の口径と勾配、敷地内の雨水の最終の排水先、隣地への雨水の流出を防ぐ措置を書きます。

記入例です。「水勾配は道路側へ、勾配は別紙図面のとおり。排水先は前面道路の道路側溝。隣地側は立上りを設けて流出を防ぐ」。ここまで書いてあれば、完成検査で通水して確かめられます。

排水設備を設置する義務は、施主にあります。

下水道法10条1項は、公共下水道の排水区域内の土地の所有者・使用者・占有者が、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水設備を設置しなければならないとしています。そして同項1号は、建築物の敷地である土地については当該建築物の所有者を設置義務者としています。

つまり義務者は甲であり、乙は甲のために工事をする者です。第16条第6項は、この関係を条文に書いてあります。設置した後の扱いも分かれます。下水道法10条2項は、排水設備の改築または修繕を設置すべき者が行い、清掃その他の維持を当該土地の占有者が行うとしています。設置または構造は政令で定める技術上の基準によります(同条3項)。

完成検査では、水を流します。

第16条第9項は、第27条の検査において通水により水勾配の方向と排水先を確認すると書いています。別紙6の1には、次の項目が並んでいます。

別紙6の確認項目 合格の基準
水勾配の方向 通水により、水が別紙1に記載した方向に流れること
排水先への流入 通水した水が別紙1に記載した排水先に流入し、滞水しないこと
隣地への流出 通水した水が隣地および道路に流出しないこと
カーポート等の屋根の雨水 屋根の雨水が別紙1の排水先に導かれ、直接に隣地に注ぐ構造となっていないこと
自然の水流 隣地から自然に流れて来る水を、塀の基礎・擁壁・土間コンクリートで妨げていないこと
雨水枡および側溝 別紙1の位置と数量に設置され、蓋の高さが仕上げ面と合っていること

引渡しの日に立会いで水を流せば、雨を待たずに済みます。ホースで流すだけで、勾配の向きと滞水は目で分かります。

9. 許認可の名義人が施主になる手続|盛土規制法・下水道法・道路法(第17条・別紙5)

「役所の手続は業者がやってくれる」と思っていたら、申請書に施主の名前を書く欄があって着工が1週間止まる。外構の許認可は、名義人が発注者側になるものが並んでいます。

名義人と申請者は、別のものです。

別紙5は、この2つを列で分けてあります。名義人は法令が定める者で、申請者は実際に書類を作って窓口に出す者です。名義人が甲であっても、甲が乙に委任して乙が申請できます。その場合は甲が乙に委任状を交付します。

手続 名義人(甲=施主/乙=施工業者) 根拠
建築物(カーポート、物置、門、塀)の確認の申請 甲(建築主) 建築基準法6条1項・2条16号
高さが2メートルを超える擁壁の工作物の確認の申請 甲(建築主) 建築基準法88条1項・6条1項
宅地造成等に関する工事の許可 甲(工事主) 盛土規制法2条7号・12条1項
排水設備の設置に係る下水道の手続 甲(建築物の所有者) 下水道法10条1項1号
道路法24条の承認(歩道の切下げ、乗入れ口の造成) 甲または乙(記入) 道路法24条
道路交通法77条の道路使用の許可 道路交通法77条1項1号
建設リサイクル法の対象建設工事の届出 甲(発注者) 建設リサイクル法10条1項

建築確認の名義人は、法令が固定しています。

建築基準法6条1項は、確認の申請をすべき者を建築主としています。そして建築基準法2条16号は、建築主を、建築物に関する工事の請負契約の注文者または請負契約によらないで自らその工事をする者と定義しています。注文者は甲です。乙が申請の手続を行うときは、甲の委任によります。

高さが2メートルを超える擁壁の工作物の確認も、建築基準法88条1項が6条を準用するので、名義人は同じく建築主です。「築造主」という語は、建築基準法88条にはありません。実務での呼称なので、別紙5には建築主と書きます。

建設リサイクル法の届出も、施主の名義です。建設リサイクル法10条1項は、対象建設工事の届出義務者を発注者または自主施工者とし、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出ることとしています。届け出るのは受注者ではありません。

盛土規制法の工事主は、注文者です。

宅地造成及び特定盛土等規制法2条7号は、工事主を、工事の請負契約の注文者または請負契約によらないで自らその工事をする者と定義しています。同条8号は、工事施行者を工事の請負人等としています。配布テンプレートの第17条第2項は、本契約では工事主が甲、工事施行者が乙であると書いてあります。

そして同法12条1項は、宅地造成等工事規制区域内で行われる宅地造成等に関する工事について、工事主が着手する前に都道府県知事の許可を受けなければならないとしています。許可の基準には、工事をしようとする土地の区域内の土地について権利を有する者の全ての同意を得ていることが含まれます(同条2項4号)。

該当するかどうかは、崖の高さと面積で決まります。

同法施行令3条が定める土地の形質の変更は、次のとおりです。第17条第4項は、これに該当するかどうかを着工前に確認すると書いています。

盛土規制法施行令3条 内容
1号 盛土であって、高さが1メートルを超える崖を生ずることとなるもの
2号 切土であって、高さが2メートルを超える崖を生ずることとなるもの
3号 盛土と切土とを同時にする場合において、高さが2メートルを超える崖を生ずることとなるときの当該盛土及び切土(1号・2号に該当するものを除く)
4号 1号または3号に該当しない盛土であって、高さが2メートルを超えるもの
5号 前各号のいずれにも該当しない盛土または切土であって、面積が500平方メートルを超えるもの

3号を落とさないでください。敷地の高低差を片側で削って反対側に盛る、外構でいちばん起きる形がこれです。盛土だけなら1メートル、切土だけなら2メートルで数えますが、同時にするときは合わせた崖の高さが2メートルを超えるかで判定します。

3号が無いものとして「該当しない」と判定すると、許可を受けないまま着工することになります。斜面地の敷地で駐車場を平らにする工事は、まずここを確かめてください。

第17条第5項は、該当しないなら「該当しない」に印を付け、該当するなら甲が工事主として申請を行い、書類の作成を誰が行い費用を誰が負担するかを書く形にしてあります。

名義人が甲になる手続は、施主が用意するものがあります。

盛土規制法の許可は、様式が決まっています。盛土規制法施行規則7条1項は、12条1項の許可の申請について、別記様式第二の申請書の正本と副本に書類を添付して都道府県知事へ提出するとしています。指定都市または中核市の区域内の土地は、それぞれの市長が提出先です。住宅の外構は、この市長あてになることがあります。

同項は、許可を受けようとする者が個人であるときに、住民票の写しまたは個人番号カードの写し等の添付を求めています。この書類は、乙が代わりに用意できません。甲が乙に申請を委任する場合でも、甲が取ってきて渡すものです。

排水設備の手続は、全国共通の様式がありません。下水道法25条は、公共下水道の設置その他の管理に関し必要な事項を、公共下水道管理者である地方公共団体の条例で定めるとしています。申請の名称も様式も、お住まいの市町村の下水道条例を見ることになります。

道路の手続は、2つあって主体が違います。

道路法24条は、道路管理者以外の者が、道路に関する工事の設計および実施計画について道路管理者の承認を受けて道路に関する工事を行うことができるとしています。歩道の切下げや乗入れ口の造成は、これによります。道路管理者以外の者ですから、施主が名義人になりえます。

道路法24条の承認にも、様式の定めがありません。道路管理者が定めるので、窓口で確認します。窓口がどこかは、その道路の管理者で決まります。道路法16条1項は、市町村道の管理をその路線の存する市町村が行うとしているので、前面道路が市町村道であれば市町村の道路担当が窓口です。

一方、道路交通法77条1項1号は、道路において工事もしくは作業をしようとする者、または当該工事もしくは作業の請負人を、所轄警察署長の許可を受けなければならない者としています。生コンクリート車やダンプトラックや重機の据付けのための道路使用は、条文に請負人が明示されているので、第17条第8項で乙が申請すると決めてあります。

期限を書かないと、工期が崩れます。

第17条第9項は、手続に要する期間が工期に影響するため、別紙5に取得の期限を書くとしています。そして手続が完了する前に当該手続に係る部分を施工しないことを乙の義務にしています。第5条第4項により、許可や承認を待つ期間は工期に算入しません。

得られなかったときの出口も決めてあります。第17条第10項は、工事内容の変更・工期の変更・請負代金の額の変更について協議し、目的を達することができないときは第31条または第32条によるとしています。別紙5の末尾にも、変更して施工する・当該部分を工事から除く・契約を解除する、の3択を置いてあります。

別紙5には、委任する手続の名称、委任状の交付の年月日、手続に要する費用の合計、その費用を請負代金の額に含めるかどうかを書く欄もあります。費用を含めるかどうかを決めていない見積りは、あとから増えます。

10. 残土と、既存の塀を壊して出たがれき(第18条・第19条)

電子契約で注意すべき点のイメージ

掘った土をどこへ持って行くのか、壊したブロックを誰が処分するのか。この2つは同じ「産廃」の話ではありません。法律の扱いが違うので、契約書でも条を分けてあります。

土は、廃棄物ではありません。

環境省の通知は、土砂およびもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるものが、廃棄物処理法の対象となる廃棄物から除外されているとしています。配布テンプレートの第19条第4項は、この点を書いて、建設発生土の取扱いを第18条に送っています。

建設発生土は、規模の下限なく見積りが要ります。

指定副産物に係る省令3条の2は、建設工事事業者が請負契約を締結するに際して指定副産物を搬出する予定があるときは、その運搬費その他の処理に要する経費の見積りを適切に行うよう努めるものとしています。この定めに工事の規模の下限はありません。住宅1件の外構でも当てはまります。

だから第18条第3項は、建設発生土の運搬および処分に要する費用を別紙3の独立の項目として書かせ、諸経費その他の項目に含めて書かないことを乙の義務にしています。ここが独立していれば、体積が増えたときに単価×数量で検算できます。

第18条第2項に書くのは4つです。搬出の有無、搬出する体積(立方メートル)、搬出先の名称と所在地、場内での利用の有無と範囲です。記入例です。「搬出する/体積8立方メートル/搬出先は○○(△△市)/場内での利用は花壇の盛土に2立方メートル」。

計画の作成が要る規模は、別に決まっています。指定副産物に係る省令8条1項1号は、体積が500立方メートル以上である建設発生土を搬出する建設工事について、あらかじめ再生資源利用促進計画を作成するものとしています。同項2号は、コンクリート塊・アスファルト・コンクリート塊または建設発生木材であって重量の合計が200トン以上であるものを挙げています。

第18条第5項は、この基準に達するかどうかを2択にしてあります。該当する場合、乙は計画を作成し、作成後速やかに甲に提出して内容を説明します(同条5項)。計画とその実施状況の記録は、完成日から5年を経過する日まで保存します(同条11項)。搬出先から受け取った受領書も、記載事項が計画と一致することを確認して完成日から5年を経過する日まで保存します(同省令6条2項)。

がれきは、元請が事業者になります。

廃棄物処理法21条の3第1項は、建設工事が数次の請負によって行われる場合に、注文者から直接請け負った元請業者を廃棄物処理法上の事業者とすると定めています。既存の塀や土間コンクリートの撤去で出るコンクリート塊は、ここに入ります。

第19条第2項は、乙が自己の責任で適正に運搬または処分し、他人に委託するときは許可を有する者に委託して、産業廃棄物の引渡しと同時に産業廃棄物管理票を交付すると書いてあります。廃棄物処理法12条の3第1項が根拠です。第19条第3項で、甲は管理票の写しと処分を行った施設の名称・所在地・処理の結果の書面を求められます。

建設リサイクル法に当たるかは、規模で判定します。

建設リサイクル法9条1項は、特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事等であって規模の基準以上のものを対象建設工事とし、その受注者等が分別解体等をしなければならないとしています。特定建設資材には、コンクリートとアスファルト・コンクリートが入っています(同法施行令1条)。

規模の基準は2つの入口があります。

建設リサイクル法施行令2条1項 規模の基準
1号 建築物に係る解体工事 床面積の合計が80平方メートル
4号 建築物以外のものに係る解体工事または新築工事等 請負代金の額が500万円

分けても逃げられません。建設リサイクル法施行令2条2項は、同一の者が2以上の契約に分割して請け負う場合に、これを1の契約で請け負ったものとみなして規模の基準を適用するとしています。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りではありません(同項ただし書)。

ここで第7章が戻ってきます。建築基準法2条1号が門および塀を建築物としているため、既存の門や塀の撤去は床面積による基準で判定されることがあります。第19条第7項は、この点を書いて、着工前に対象建設工事に該当するかどうかを確認する2択を置いてあります。

該当するとした場合、増える書面は3つです。

1つめは、契約の前の説明です。建設リサイクル法12条1項は、対象建設工事を発注しようとする者から直接請け負おうとする者に対し、同法10条1項1号から5号までに掲げる事項を記載した書面を交付して説明することを義務づけています。契約を結ぶ前に、乙から書面が1通出てきます。

2つめは、契約と一緒に交わす書面です。建設リサイクル法13条1項は、分別解体等の方法、解体工事に要する費用その他主務省令で定める事項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付することを求めています。この書面は、本契約書とは別に作ります。

3つめは、届出です。建設リサイクル法10条1項により、工事に着手する日の7日前までに、発注者である甲が都道府県知事へ届け出ます。第19条第7項は、この届出に係る書類の作成と提出を乙に委任するかどうかを、別紙5に送っています。

掘ったら出てきたものは、この章の外です。古い基礎、埋められたコンクリートの塊、以前の建物の残骸。地中障害物の費用と工期の扱いは解体工事請負契約書テンプレートに整理してあります。外構の掘削でも、判断の枠組みは同じものが使えます。

11. 施主支給と施主の指図|どこまで自己責任になるか(第21条)

ネットで買ったフェンスを持ち込む、宅配ボックスは自分で買って付けてもらう、タイルの色を自分で指名する。外構では、施主が物と仕様を持ち込む場面があります。そこには、責任の切り替わりが1つあります。

支給した材料と与えた指図には、追完を請求できません。

民法636条は、注文者が供した材料の性質または注文者が与えた指図によって生じた不適合について、注文者が履行の追完・報酬の減額・損害賠償の請求および契約の解除をすることができないとしています。ただし、請負人が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りではありません。

配布テンプレートの第21条第3項が、この条文をそのまま置いてあります。あわせて第21条第4項で、甲が提供した資材や甲が指定した製品が施工場所の地盤・既存の構造物・工事の他の部分に適合しないおそれがあると認めるときは、直ちに甲に通知することを乙の義務にしています

品番を自分で指名するなら、乙に一度確認させてください。

支給するかどうか、指定するかどうかは、別の欄です。

第21条第1項は、甲が資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するかどうかを2択にし、行う場合は品名・数量・引渡しの時期と場所を書かせています(建設業法19条1項10号)。第21条第2項は、甲が製品の製造所・品番・色を指定するかどうかを2択にし、指定する場合は別紙1にもそれを書かせています。

別紙1の14には、甲が支給する資材と甲が指定した製品を書く欄があります。無いときは「なし」と書きます。空欄と「なし」は違います。空欄は、あとから「支給の約束があった」と言える状態を残します。

施主支給は、許可の判定額を押し上げます。

ここが見落とされる点です。建設業法施行令1条の2は、注文者が材料を提供する場合について、その市場価格または市場価格および運送賃を請負代金の額に加えたものを請負代金の額とするとしています(同令1条の2第3項)。

許可が要るかどうかの境目である、工事1件の請負代金の額500万円(建築一式工事は1,500万円)は、この加算後の額で判定します。施主が門扉とカーポートを自分で買って支給すると、乙が受け取る金額は下がっても、判定に使う額は上がります。

第21条第5項は、加算する市場価格の額を書く欄を置き、別紙2の請負代金の額の欄にも書かせています。別紙2の末尾に「甲が提供する資材の市場価格の額」という行があるのは、このためです。

残った材料と借りた機械の扱いも決めてあります。第21条第6項は、甲が提供した資材の残余と貸与を受けた機械について、乙が善良な管理者の注意をもって管理し、完成後直ちに甲に返還するとしています。

12. 追加費用を止める|設計変更・追加工事・天候・価格変動(第22条〜第24条)

「ここも直しておきますね」と現場で言われ、引渡しのときに請求書が増えている。外構の追加費用は、口約束のまま工事が進むところから生まれます。

書面か電磁的記録の合意が無ければ、請求できません。

第22条第6項は、乙は書面または電磁的記録により甲乙が合意した場合を除き、追加の工事に係る代金を請求することができないと書いてあります。そして、現場において口頭で指示し、または指示を受けたことをもって合意があったものとしないと続けています。

これは業者に不利な条項ではありません。言った言わないを、双方が同じ紙で止められます。乙の側にも、「頼まれたのに払ってもらえない」を防ぐ効き目があります。

合意の中身も決めてあります。第22条第7項は、変更する工事の内容、変更後の工期、増減する額とその算定の根拠を記載して行うとし、書面に記載して署名または記名押印をして相互に交付するとしています。建設業法19条2項が、記載事項の変更にも書面の相互交付を求めているからです。

第22条第8項は、その合意で別紙1や別紙3の記載を変更するときに、変更後の別紙を作成して契約書に添付するとしています。別紙が最新かどうかが、あとから追える形になります。変更の書面の形式は契約変更覚書テンプレートが使えます。

増減額の計算のしかたも、先に書いてあります。

建設業法19条1項6号は、設計変更や工事の中止の申出があった場合における工期の変更・請負代金の額の変更・損害の負担とそれらの額の算定方法に関する定めを、書面に記載する事項としています。「協議する」だけでは、算定方法を書いたことになりません。

第22条第5項は、変更または中止に係る部分の直接工事費(材料費、労務費および直接経費)の増減額に、請負代金の額に含まれる共通仮設費・現場管理費・一般管理費の率を乗じた額を加減した額を基礎とすると書いてあります。そこに、建設発生土の運搬および処分に要する費用の増減額、重機の再手配に要する費用、工事現場の維持に要する費用を加減します。

外構では、この3つが実際の増額の中身になります。残土が増えれば処分費が動き、境界の確認待ちで重機を帰せば再手配が要ります。工期の変更は、変更後の工事内容を施工するために通常必要と認められる日数を基礎に算定します(第22条第4項)。

天候の損害は、負担を選んでおきます。

建設業法19条1項7号は、天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担とその額の算定方法に関する定めを挙げています。第23条第1項は、不可抗力を天災その他甲乙いずれの責めにも帰することができない事由と定義しています。

外構に固有なのが第23条第7項です。打設したコンクリートが硬化する前に降雨・降雪・凍結で損害を受けたときの扱いを、明示してあります。損害の額は原状に復するために通常要する費用の額とし、甲乙が立会いのうえ確認して定めます(同条4項)。

負担は第23条第5項の2択です。乙が善良な管理者の注意を怠ったことに基づく部分を除いて甲が負担するか、甲と乙が割合で分けるかです。保険その他損害を填補するものがあるときは、その額を損害の額から控除します(同条6項)。

資材の値上がりは、第24条で扱います。

建設業法19条1項8号は、価格等の変動または変更に基づく工事内容の変更・請負代金の額の変更とその額の算定方法に関する定めを挙げています。第24条第1項は、工期内に賃金または物価の変動により請負代金の額が不適当となったときに協議して変更するとしています。

第24条第2項は、変更の対象を変動が生じた時点で施工していない部分に係る材料費および処分費としています。すでに施工した部分の値上がりを、あとから請求されることはありません。

計算は、別紙1と別紙3に書いた数量に、締結の時の単価と変動後の単価との差額を乗じた額です(同条3項)。建設発生土やがれき類の処分費は、搬出先の受入単価の差額を乗じます。変動後の単価は、製造所・販売店・搬出先が発行する価格の改定の通知その他の書面で確認します(同条4項)。口頭の「上がりました」では動きません。

近隣への事前周知も、追加費用と工期に関わります。第25条第1項は、周知を乙が行うか、甲乙が共同して行うか、甲が行うかの3択です。周知する事項には、生コンクリート車・ダンプトラック・重機が通行または据付けを行う予定の日、前面道路の通行が制限される時間帯と範囲が入っています。

13. 外構で抜けやすい4号・6号・10号|建設業法19条1項15事項と条番号の対照表

土間コンクリートの養生中に、車をどこへ置くか。残土が増えたときの増額を、どう計算するか。施主が自分で買ってきたカーポートを、どう扱うか。外構の契約書で欄が空くのは、たいていこの3つです。

建設業法19条1項は、請負契約の当事者に対し、契約の締結に際して各号の事項を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付することを求めています。上の3つは、順に4号(工事を施工しない日または時間帯)・6号(設計変更の算定方法)・10号(甲の支給材料と指定)に当たります。

渡された1枚を上から突き合わせて、見当たらない行に印を付けてください。この対照表は、1号から15号までを対象にしています。

記載事項 建設業法の根拠 配布テンプレートの条
工事内容 19条1項1号 第2条(工事の内容及び施工場所)/別紙1
請負代金の額 19条1項2号 第4条(請負代金の額)/別紙3
工事着手の時期および工事完成の時期 19条1項3号 第5条(工期)
工事を施工しない日または時間帯の定め 19条1項4号 第6条(工事を施工しない日又は時間帯)
前金払・出来形部分に対する支払の定め 19条1項5号 第7条(前払金及び出来形部分に対する支払)
設計変更・工事の中止と、工期・代金・損害の算定方法 19条1項6号 第22条(設計変更及び追加工事)
不可抗力による工期の変更・損害の負担 19条1項7号 第23条(天災その他不可抗力)
価格等の変動に基づく工事内容・請負代金の額の変更 19条1項8号 第24条(価格等の変動に基づく請負代金の変更)
第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担 19条1項9号 第26条(第三者に及ぼした損害)
注文者が資材を提供し、または機械を貸与するときの定め 19条1項10号 第21条(甲の支給材料及び甲の指定)
検査の時期・方法と引渡しの時期 19条1項11号 第27条(完成検査及び引渡し)/別紙6
工事完成後の請負代金の支払の時期・方法 19条1項12号 第8条(工事完成後の請負代金の支払)
契約不適合責任、または保証保険等の措置の定め 19条1項13号 第28条(契約不適合責任)/第29条(保証及び保証書の交付)
履行の遅滞その他債務不履行の場合の遅延利息・違約金 19条1項14号 第30条(履行遅滞・遅延利息及び違約金)
契約に関する紛争の解決方法 19条1項15号 第39条(紛争の解決及び合意管轄)

4号は、土間コンクリートの養生中に車をどこへ置くかです。

工事を施工しない日または時間帯は、生活に直結します。第6条第2項は、甲または近隣の居住者の在宅の状況と通学路の状況、土間コンクリートの打設および養生の期間中の駐車場所を考慮すべき事情として挙げてあります。

打設した土間には、養生の間は車を入れられません。記入例です。「日曜日は施工しない。打設から養生の終わりまでは、甲が近隣の月極駐車場を手配する」。どこに停めるかを書いていないと、着工の当日に路上駐車を探すことになります。

6号は、残土が増えたときの増額の計算です。

外構の増額は、掘ってみたら土が多かった、境界の確認待ちで重機を一度帰した、というところから出てきます。第22条第5項に算定方法を書いてあります(第12章)。「協議する」だけの1枚は、6号を満たしていません。

10号は、施主が自分で買ってきたカーポートです。

通販でカーポートを買って持ち込む、宅配ボックスだけ自分で用意する。この扱いは第21条に書きます。詳しくは第11章です。

見積書の内訳は、建設業法19条1項の記載事項とは別の条にあります。建設業法20条1項は、請負契約を締結するに際して工事内容に応じ工事の種別ごとの材料費・労務費等の内訳と、工事の工程ごとの作業およびその準備に必要な日数を記載した見積書を作成するよう努めなければならないとしています。

同条2項は、注文者から請求があったときに、契約が成立するまでにこれを交付しなければならないとしています。請求すれば、内訳のある見積書は出てきます。日数の欄があるので、養生に何日かかるのかも見積書から読めます。

現場代理人の通知も、建設業法19条1項の外です。建設業法19条の2第1項は、工事現場に現場代理人を置く場合に、その権限に関する事項と意見の申出の方法を書面により注文者に通知しなければならないとしています。第9条第3項は、現場代理人が請負代金の額の変更・工期の変更・契約の解除に関する権限を有しないと書いてあります。現場で言われた増額は、その場では決まりません。

19条1項の逐条解説そのものは、工事請負契約書テンプレートに置いてあります。外構以外の工事を発注する、あるいは受注するなら、そちらの雛形のほうが合います。

💡 4号・6号・10号の欄が最初から立っている外構の契約書です

会員登録は不要です。第6条に養生中の駐車場所を書く欄、第22条第5項に残土の処分費と重機の再手配を含む算定方法、第21条に施主支給と製品の指定の欄があります。渡された1枚に足りない号だけを、この雛形から抜いて移植する使い方もできます。

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14. 検収と保証|引渡しで何を確認し、外構に品確法の10年は及ぶのか(第27条〜第29条)

工事が終わった日に現場を一周して「きれいですね」で終わると、確かめるべきものが確かめられません。外構の完成検査は、目で見るだけでは足りず、実測と通水と写真の照合が要ります。

検査は、3つの方法で行います。

第27条第2項は、乙の完成の通知を受けた日から決めた日数以内に、乙の立会いのうえ検査を行い、結果を乙に通知するとしています(建設業法19条1項11号)。第27条第3項は、検査を目視・寸法の実測・通水により行うと書いてあります。そして第27条第4項で、第20条の写真と別紙1の記載を照合します。

別紙6は、その項目を5つのまとまりに分けてあります。

別紙6のまとまり 何を確かめるか
1 排水および水勾配 通水して、方向・排水先・隣地への流出・屋根の雨水・自然の水流・雨水枡を確かめる
2 塀、擁壁および基礎 高さと厚さを実測し、控壁・配筋・充填・基礎の丈と根入れ・水抜穴・裏込めを写真で確かめる
3 設置位置および境界 設置位置と控える距離、境界標の現存、隣地への越境を確かめる
4 寸法、品番および数量 製造所名と品番、数量、寸法、仕上げ、植栽、立水栓の通水を確かめる
5 片付けおよび書面 敷地と隣地の清掃、前面道路、工程写真の照合、交付する書面を確かめる

合格しなかったときの手順もあります。第27条第6項は、甲が指定する期間内に自己の費用で手直しをしたうえで、再度完成の通知を行うとしています。別紙6の末尾に、要手直しとされた項目、手直しを完了する期限、再検査の年月日を書く欄があります。

引渡しのときに受け取る書面は、5つです。

第27条第7項が挙げているのは、別紙6の記録、第20条第2項の写真、製品の取扱説明書と製造所の保証書、確認を受けた場合の確認済証と検査済証の写し、再生資源利用促進計画を作成した場合はその写しです。

カーポートの確認を受けたかどうかは、確認済証と検査済証の写しが手元に無いと、あとから確かめられません。引渡しの日に受け取っておけば、家を増築するときに探し回らずに済みます。第27条第8項では、仮設物・建設機械器具・残材・がれき類を撤去して清掃することも義務にしてあります。

契約不適合責任は、法律の側から来ます。

第28条第1項は、目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しないときに、甲が履行の追完・請負代金の減額・損害の賠償・契約の解除をすることができるとしています(建設業法19条1項13号)。

外構で何が不適合に当たるかも、書き出してあります。第28条第2項が挙げているのは次の7つです。

  1. 別紙1に記載した製造所名・品番・数量・寸法・仕上げと異なる施工
  2. 塀の高さ・壁の厚さ・鉄筋の径や間隔・控壁・基礎が別紙1の記載と異なること
  3. 擁壁の水抜穴または裏込めが別紙1の記載と異なること
  4. 水勾配の方向が別紙1と異なること、または排水先に雨水が流れないこと
  5. 雨水が隣地または道路に流出すること
  6. 土間コンクリート・舗装・塀の基礎の沈下
  7. 第11条第1項により定めた設置位置と異なる位置への施工

別紙1が埋まっていれば、1から4は「書いてあるものと違う」で言えます。第6章の工程写真は、そのまま2と3の証拠になります。

期間の考え方も押さえてください。民法637条1項は、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を通知しないときは、追完・減額・損害賠償・解除を請求できなくなるとしています。

ただし、引渡しの時に請負人が不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、この1年の制限は適用されません(民法637条2項)。第28条第3項のただし書がこれを書いてあります。

第28条第4項は、この民法の期間のままにするか、引渡しの日から何年以内に発見して通知したときに限るとするかを選ぶ形にしてあります。年数を書く側を選んだ場合も、同項のただし書により、乙が知りまたは重大な過失によって知らなかったときは期間の制限を適用しません。

ここで、外構に品確法の10年が及ぶかを片づけます。

住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項は、住宅を新築する建設工事の請負契約において、請負人が引渡しから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分の担保の責任を負うとしています。

条文の主語は「住宅を新築する建設工事の請負契約」です。同法2条1項は、住宅を人の居住の用に供する家屋または家屋の部分と定義しています。門・塀・カーポート・土間コンクリートは、これに当たりません。

したがって、外構だけの工事の請負契約に品確法94条1項は適用されません。第28条第5項は、この結論を条文に明記してあります。「工事だから10年の保証がある」は、外構では成り立ちません。保証が要るなら、次の第29条で作ります。

ひび割れの数値基準も、外構には無いのです。

住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準は、その適用範囲を、新築時に建設住宅性能評価書が交付された住宅で、指定住宅紛争処理機関にあっせん・調停・仲裁の申請が行われた紛争に係るものとしています。外構の土間コンクリートは、この範囲に入りません。

第28条第6項は、その代わりに判断の基準を別紙1に記載した仕上げの程度と別紙6の確認の項目に置いています。別紙6の4には、土間コンクリートと舗装について、厚さ・目地の位置・表面の仕上げが別紙1のとおりであり、ひび割れ・欠け・段差の状態が別紙1の記載に照らして許容される範囲であることという項目があります。

保証は、5つの欄を埋めて初めて意味を持ちます。

第29条第1項は、次の5つを書く形にしてあります。

保証の欄 空欄のまま締結するとどうなるか
保証の対象となる部位 塀は対象で土間は対象外、といった線が引けない
保証の対象となる現象 沈下・ひび割れ・ぐらつき・排水不良のどれが入るかが決まらない
保証の期間 口頭で聞いた年数が、どこにも残らない
保証の内容 無償で直すのか、材料だけ出すのかが決まらない
免責となる事由 天災・第三者の行為・甲の管理上の事由・植栽の枯死の扱いが決まらない

配布テンプレートは、期間の年数を空欄にしてあります。外構工事の保証について、業界に共通する標準の一次資料が確認できないためです。だから、年数の目安をここに示すことはできません。

そのかわり、決め方は1つに絞れます。対象となる部位と、免責となる事由を、乙に文字で書かせてください。「塀と擁壁と土間コンクリートを対象とし、植栽の枯死・第三者の行為・甲の管理上の事由は免責」と書いてもらえば、期間が1年でも2年でも、どこまでが約束かは決まります。

逆に、年数だけを聞いて対象と免責を空欄にすると、沈下が起きたときに「これは対象外です」と言われる余地が残ります。第29条第1項の5つの欄のうち、先に埋めさせるのは対象となる部位と免責となる事由の2つです

紙で残す仕掛けも入れてあります。第29条第2項は、乙が引渡しの日から決めた期限までに保証書を交付するとしています。第8条第4項で、保証書の交付を受けるまで請負代金の一部の支払を留保するかどうかを選べます。留保するとした場合、第29条第6項により、保証書が交付されるまで留保した額の支払を拒めます。

製造所の保証と、植栽の保証は、別の欄です。

第29条第3項は、製品の製造所の保証を付すかどうかを選び、付す場合は名義人・対象・期間・条件を書かせています。そのうえで第29条第4項は、甲に対する保証の責任は乙が負うとしています。メーカー保証があっても、施主の相手方は施工業者のままです。

第29条第5項は、植栽の枯死および活着について保証するかどうかを分けてあります。生き物なので、保証する場合の対象・期間・条件は別に書きます。別紙1の10には、引渡し後の灌水および管理を行う者を書く欄があります。水をやる人を決めていない植栽は、枯れたときの話が進みません。

15. 揉めたときに何ができるか|解除・違約金・建設工事紛争審査会(第30条〜第34条・第39条)

工事が止まった、別紙1と違うものが積まれた、代金が払われない。そうなったときに何ができるかは、契約書のうしろ半分に書いてあります。ここを読んでから締結すると、途中の交渉の言い方が変わります。

遅れたときは、率で決めます。

第30条第1項は、乙の責めに帰すべき事由で工期内に完成しないときに、甲が請負代金の額に年何パーセントかの割合を乗じて遅延日数に応じ計算した額の違約金を請求できるとしています(建設業法19条1項14号)。第30条第2項は、逆に甲が支払を遅延したときの遅延利息です。

率は空欄にしてあります。外構工事の違約金について標準の一次資料が確認できないので、当事者が年率を書く欄にしました。第30条第4項は、境界の確認待ちで工期に算入しない期間と、不可抗力で変更した日数を遅延日数に算入しないと書いてあります。

甲が催告なしで解除できる場合は、5つです。

第31条第1項が挙げているのは、着手しない・完成の見込みが明らかにない、別紙1と異なる施工を催告しても是正しない、許可を受けなければならない工事について許可がないことが判明した、一括下請の禁止に違反した、反社会的勢力の排除の条項に違反したときです。

2つめは、別紙1が埋まっていて初めて使えます。品番と寸法が書いてあるから、「異なる施工」だと言えます。「一式」の契約書では、この解除事由が事実上使えません。

第31条第3項は、民法641条を書いてあります。請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できます。ただし損害には、乙が既に支出した費用が入ります。製品の発注、資材と重機の手配、労務の手配その他の準備に要した費用です。気が変わったから止める、という解除は無料ではありません。

乙の側の解除も、対称に置いてあります。

第32条第1項は、代金の支払を催告後も払わない、境界が確定せず着工できない状態が相当の期間を経過しても解消しない、許可や承認や確認が得られず目的を達することができない、正当な理由なく立入りや搬入を拒まれた、反社の条項に違反したときを挙げています。

境界と許認可で止まった場合の費用も決めてあります。第32条第3項は、既に支出した費用の範囲で甲に負担を求められるとしています。第5章と第9章を先に片づける理由が、ここにもあります。

途中で終わったときは、出来形で精算します。

民法634条は、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときに、その部分を仕事の完成とみなし、請負人が利益の割合に応じて報酬を請求できるとしています。第33条第1項がこれを置き、第33条第2項で、解除後直ちに出来形部分を確認して別紙3の内訳を基礎に額を協議すると書いてあります。

内訳がある意味が、ここで出ます。工種ごとの数量と単価があれば、「塀まで済んで土間は未着手」を金額に直せます。第33条第4項は、解除の日から決めた期限までに仮設物・機械・資材を撤去し、掘削した部分の安全を確保したうえで引き渡すとしています。穴が開いたまま現場を離れられません。

損害賠償の範囲と上限は、第34条で選びます。範囲は通常の損害に限って逸失利益を含まないか、当事者が書くか。上限は定めないか、請負代金の額とするか、金額を書くかです。故意または重大な過失による場合と、第三者に対する損害には、この制限は当たりません(同条4項)。

許可を持たない業者との紛争でも、審査会は使えます。

建設業法19条1項15号は、契約に関する紛争の解決方法を書面の記載事項としています。第39条第1項は、建設工事紛争審査会のあっせんまたは調停によるか、甲乙の協議によるかの2択です。

建設工事紛争審査会は、建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るために設置され(建設業法25条1項)、紛争についてあっせん・調停・仲裁を行う権限を有します(同条2項)。

管轄は、許可の有無で分かれます。いちばん多い組合せは、許可を持たない施主と、都道府県知事の許可を受けた業者です。建設業法25条の9第2項2号は、当事者の一方のみが建設業者であって当該都道府県の知事の許可を受けたものであるときを、当該都道府県の建設工事紛争審査会の管轄としています。

許可を持つ側が誰もいなくても、行き先はあります。建設業法25条の9第2項3号は、当事者の双方が許可を受けないで建設業を営む者である場合でも、紛争に係る建設工事の現場が当該都道府県の区域内にあるときを都道府県の審査会の管轄としています。同項4号は、一方のみが許可を受けていない場合も同じです。当事者は双方の合意によって管轄審査会を定めることもできます(同条3項)。

配布テンプレートは、仲裁を選択の対象に置いていません(第39条第4項)。仲裁の合意をすると裁判ができなくなるので、選ぶなら別に合意する形にしました。

裁判になったときの管轄も決めてあります。第39条第5項は、甲の住所地(甲が法人である場合は本店所在地)、乙の本店所在地、当事者が合意する裁判所の3択です。施主の立場なら、甲の住所地に印を付けてください。

催告を書面で残したいときは、内容証明郵便の形が使えます。第31条第2項の「相当の期間を定めて催告」を、配達の記録と日付が残る形で出せます。

16. 空欄の埋め方|必ず決める欄と、使わないなら閉じてよい欄

配布ファイルには、角括弧の記入欄と、どれかを選ぶチェックボックスが入っています。全部を埋めなければ締結できないわけではありません。欄の性質が4つに分かれるので、その順に片づけてください。

(1)必ず決める欄。空欄のままでは契約が動きません。

決める場所 何を決めるか 記入例
前文・署名欄 甲乙の氏名または商号、乙の建設業許可 「○○県知事許可(般-00)第000000号 とび・土工工事業」。無ければ「なし」
第2条/別紙1 工事名・施工場所・工事の範囲・工種ごとの品番と数量と寸法 乙が第4章のとおり記入し、甲が確かめる
第3条/別紙2 工種ごとの建設工事の種類、主たる工事と附帯工事の別、施工者 乙が記入し、甲は附帯工事の行と専門技術者の欄を見る
第4条/別紙3 請負代金の額と消費税額等、その内訳 乙が記入し、別紙3の合計と第4条の額が一致することを甲が確かめる
第5条(工期) 工事着手・工事完成・引渡しの時期 完成は清掃と撤去を終えた時期にする
第10条第3項/別紙4 境界標が無いとき、認識の相違があるときの取扱い 3択から1つに印(第5章)
第11条第1項 境界線上に設けるか、敷地内に控えるか 控えるなら距離をミリメートルで書く
第16条/別紙1 水勾配の方向と勾配、排水先 「道路側へ、排水先は道路側溝」
第17条/別紙5 手続の名義人・申請者・費用の負担者・取得の期限 該当しない行は「該当なし」
第27条第2項 検査を完了するまでの日数 現地に行ける日程から決める
第29条 保証の対象部位・現象・期間・内容・免責 対象部位と免責事由を乙に文字で書かせる(第14章)
第40条第1項 紙で交わすか、電磁的記録にするか どちらかに印

(2)取引の実態に合わせて決める欄。見積りの中身や現場の条件が固まってから埋めます。

決める場所 何を決めるか 記入例
第6条(工事を施工しない日又は時間帯) 施工しない曜日・時間帯、養生中の駐車場所 「日曜日は施工しない」「養生中は近隣の月極駐車場を甲が手配」
第7条(前払金及び出来形部分に対する支払) 前払金や出来形払を行うか。行うなら割合と期限 「定めを置かない」
第8条(工事完成後の請負代金の支払) 支払日・支払方法・振込手数料の負担者 「引渡しの日の翌月末日払い」
第9条(現場代理人及び監督員) 現場代理人を置くか、甲が監督員を置くか 「監督員は置かない。甲が自ら乙との連絡に当たる」
第18条第2項 建設発生土を搬出するか。体積・搬出先・場内利用 第10章のとおり
第21条 甲が資材を出すか、製品を指定するか 「指定しない。乙が別紙1のとおり選定する」
第23条第5項 不可抗力による損害の負担 2択のどちらかに印
第25条第1項 近隣への事前周知を誰が行うか 「乙が行う。甲は必要に応じて同行する」
第26条第6項 乙が損害保険に加入しているか 加入しているなら保険会社名と種類
第28条第4項 契約不適合の通知期間 民法の期間によるか、年数を書く
第30条 違約金の率と遅延利息の率 年率で書く
第39条第1項・第5項 審査会によるか協議によるか、合意管轄 施主なら甲の住所地に印

(3)使わないなら、使わない側に印を付けて閉じる欄。消し込むのではなく、選択肢を選びます。

決める場所 使わない場合
第3条第7項 一括下請を認めないなら「承諾しない」に印
第6条第1項 施工しない日を決めないなら「定めを置かない」に印
第7条第1項 前払金も出来形払も行わないなら「定めを置かない」に印
第8条第4項 支払を留保しないなら「保証書の交付を支払の条件としない」に印
第11条第4項 隣人と共同で囲障を作らないなら「共同で設けない」に印
第12条第3項 既存の塀の上に載せないなら「行わない」に印
第17条第5項 盛土規制法の許可が要らないなら「該当しない」に印
第18条第5項 計画の作成の基準に達しないなら「該当しない」に印
第21条第1項・第2項 支給しないなら「行わない」、指定しないなら「指定しない」に印
第29条第3項・第5項 製造所の保証を付けないなら「付さない」、植栽を保証しないなら「保証しない」に印
第37条第2項 訪問販売に当たらないなら、該当しない側の2択のどちらかに印

(4)乙が記入し、甲が内容を確かめる欄。現場を見て単価を持っていないと書けないので、書くのは乙です。読むのが甲の仕事になります。

別紙1の全体、別紙2の建設工事の種類と請負代金の額、別紙3の数量と単価、別紙4の既存の塀の点検の結果が、これに当たります。

甲が見るのは4点です。別紙3の合計が第4条第1項の額と一致しているか、別紙1の数量と別紙3の数量が食い違っていないか、建設発生土の処分費が独立の項目になっているか、別紙2の附帯工事の行に専門技術者または許可の状況が書かれているかです。

17. 印紙税|第2号文書としていくら貼るか、甲と乙のどちらが貼るか(第40条)

紙で締結するなら、印紙が要ります。金額は契約金額で決まり、負担は当事者の取決めで決まります。

この契約書は、第2号文書です。

国税庁は、請負についての契約書が第2号文書「請負に関する契約書」に該当するとし、その具体例として工事請負契約書や工事注文請書などを挙げています。印紙税法別表第一の第2号は、契約金額の記載のある契約書の本則の税率を次のとおり定めています。

契約書に記載された契約金額 本則の印紙税額
100万円以下のもの 200円
100万円を超え200万円以下のもの 400円
200万円を超え300万円以下のもの 1,000円
300万円を超え500万円以下のもの 2,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 10,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 20,000円

契約金額の記載のない契約書は、一通につき200円です。契約金額が1万円未満のものは、同号の非課税物件欄により非課税です。

軽減措置が使えるかどうかは、2段で確かめます。

租税特別措置法91条2項の軽減措置は、印紙税法別表第一第2号の請負に関する契約書のうち、建設業法2条1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるものを対象としています。

そして建設業法2条1項は、建設工事を別表第一の上欄に掲げるものと定義しています。第3章のとおり、その別表第一には、とび・土工・コンクリート工事、石工事、タイル・れんが・ブロツク工事、舗装工事、造園工事、管工事が並んでいます。国土交通省の業種区分は、とび・土工・コンクリート工事の例示に外構工事を挙げています。

したがって、外構工事の請負契約書も、契約金額が100万円を超えるなら軽減措置の対象になります。この軽減措置は、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される契約書に適用されます。

契約書に記載された契約金額 軽減後の印紙税額
100万円を超え200万円以下のもの 200円
200万円を超え300万円以下のもの 500円
300万円を超え500万円以下のもの 1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 10,000円

契約金額が100万円以下のものは軽減措置の対象にならず、税額は200円です。本則でも100万円以下は200円なので、小さい工事では軽減の有無で金額が変わりません。

判定に使う金額は、消費税額等を抜いた額です。

国税庁は、消費税額等が区分記載されているときなどには、その消費税額等を印紙税の記載金額に含めないとしています。この取扱いが適用される課税文書は3つに限られており、第2号文書はその1つです。

配布テンプレートの第4条第1項は、請負代金の額とあわせて「うち取引に係る消費税及び地方消費税の額」を書く形にしてあります。この一行があるかどうかで、貼る印紙が変わる場面があります。

例えば、区分して記載した消費税額等を除いた額が180万円だとします。この場合は上の表の「100万円を超え200万円以下」の帯で判定し、軽減後の税額は200円になります。

誰が貼るかは、契約書で決めます。

第40条第1項で甲乙が各1通を保有する形を選ぶと、課税文書は2つになります。第40条第5項に、各通に貼り付ける収入印紙の負担者を書く欄を置いてあるので、締結の前にどちらが持つかを決めて記入してください。

電磁的記録として作成する場合は、この章の話とは別になります。国税庁は、印紙税の課税対象は課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれないとしています。第40条第6項が、この点を書いてあります。

印紙の要否と税額の最終的な判定は、税理士または所轄の税務署にご確認ください。第2号文書以外の号も含めた税額は、印紙税額の一覧表にまとめてあります。工事のほかに土地の売買や賃貸借の書類も交わすなら、そちらで号を確かめてください。

💡 印紙の額を確かめてから、紙か電子かを決められます

会員登録は不要です。配布テンプレートは、第4条で消費税額等を区分して書く形にし、第40条で紙と電磁的記録のどちらで作成するかを選ぶ形にしてあります。ダウンロードしたら、まず別紙3の合計を出して、上の表で税額を確かめてください。

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18. 100万円以下なら紙で足りる|電子を選ぶ意味がある4つの場合(第40条)

紙の契約から電子契約への移行イメージ

電子で交わすかどうかは、契約の中身が固まってから決める話です。先に、電子にしなくてよい場合を挙げます。次のどれかに当てはまるなら、紙のままで足ります。

  • 契約金額が100万円以下。軽減措置の対象にならず、税額は200円です。電子にして浮くのは200円なので、金銭の面だけで切り替える理由にはなりません
  • 相手が承諾しない。建設業法施行令5条の5第1項は、電磁的措置を講じようとするときに、あらかじめ相手方に電磁的措置の種類および内容を示して承諾を得なければならないとしています。承諾するかどうかは相手の判断で、こちらから強制できません
  • 承諾が撤回された。建設業法施行令5条の5第2項は、相手方から承諾を撤回する旨の申出があったときに、書面に代えて電磁的措置を講じてはならないとしています。いったん承諾を得ても、撤回されれば紙に戻ります
  • その場で図面を広げて決める工事。境界と水勾配は、現地で立会って決めます。立会いの日に紙で署名するほうが早い場面があります

逆に、次のどれかに当てはまるなら、電子を選ぶ意味があります。

  • 契約金額が100万円を超える。第17章の軽減後の税額が、そのまま浮きます
  • 着工日までに、契約書の郵送が往復で間に合わない。許認可の取得の期限が迫っている工事では、ここが効きます
  • 甲と乙が離れていて、署名のために会う日程が取れない。相続した実家の外構を遠方から発注する場合などです
  • 別紙1や別紙3の差し替えが何度も起きる。第22条第8項の変更後の別紙を、同じ流れで交わせます

電子にするなら、技術的基準は3つです。

建設業法施行規則13条の4第2項は、電子契約の技術的基準として、次の3つを定めています。

  1. 相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること
  2. ファイルに記録された契約事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること
  3. 相手方が本人であることを確認することができる措置を講じていること

配布テンプレートの第40条第4項は、この3つを条文に書いてあります。第40条第2項に、あらかじめ相手方に電磁的措置の種類と内容を示して承諾を得ることも書いてあります。承諾を得た記録を残しておいてください。第40条第3項は、承諾の撤回があったときの扱いです。

ムスビサインは立会人型(事業者署名型)の電子契約サービスです。締結時にPDF全体へAATL証明書による電子署名と総務大臣認定タイムスタンプを付与し、受領者はアカウント登録なしで署名できます。施主にソフトを用意してもらう必要はありません。建設業法施行規則13条の4第2項の3つの技術的基準と、建設業法施行令5条の5第1項の承諾の手順に照らして、自社の運用に合うかどうかを判断してください。

19. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順

使い方は、自分が契約書を用意する側か、渡された契約書を確かめる側かで変わります。どちらの立場かを決めてから、片方だけを読んでください。

A:自分で作って相手に渡す場合

ステップ1:甲が、塀の位置と排水先と手続の担当を決める

決めるのは甲です。塀を境界線の真上に積むか敷地内に控えるか(第11条第1項)、水勾配の方向と雨水の排水先(第16条)、名義人が甲になる手続を自分で申請するか乙に委任するか(第17条・別紙5)。この3つは、単価も品番も要らないので、見積りを待たずに決められます。

決めた内容は、あとから乙が別紙1と別紙5に写します。先に決めておくと、別紙が一度で埋まります。

ステップ2:別紙4を持って、着工前に現地で立会う

現地では、境界標の有無を境界点ごとに書き、既存の塀を点検し、越境物を確認します。写真の番号まで書ける欄があります。ステップ1で決めた第11条第1項の選択を、別紙4の記載と一致させます。

境界標が無いなら、配布テンプレートの第10条第3項の3択を選びます。着工しないと決めた場合は、その旨を工程表にも反映します。

ステップ3:別紙2で、工種を建設工事の種類に割る

書くのは乙です。工事を構成する部分を行に分け、建設工事の種類、主たる工事と附帯工事の別、請負代金の額、施工者を埋めます(第3章)。附帯工事の額が500万円に届く行があれば、専門技術者を置くか許可業者に出すかを選び、第3条第4項の該当する側に印を付けます。

ステップ4:別紙1を埋めて、工事の内容を特定する

書くのは乙です。工種ごとに図面番号、製造所名と品番、数量、寸法、仕上げを記入します。塀・擁壁・カーポートの欄は、第6章と第7章の数値の項目まで埋めます。図面が無い工種は、図面番号の欄に文章で書きます(第4章)。

甲は、埋まった別紙1を見積書と並べて読みます。埋まっていない欄が、そのまま乙への質問リストになります。

ステップ5:別紙5と別紙3を埋め、金額を一致させる

別紙5は、該当しない行に「該当なし」と書きます。名義人が甲になる行は、ステップ1で決めたとおりに申請者を書き、委任するなら委任状の交付の年月日を書きます(第9章)。取得の期限を書き忘れないでください。

別紙3の数量と単価を入れるのも乙です。建設発生土の運搬および処分、がれき類等の運搬および処分、仮設、手続に要する費用は、独立の項目として書きます。小計・消費税額等・合計を出し、合計を第4条第1項の請負代金の額と一致させます。

ステップ6:残りの欄を3つの順で埋め、紙か電子かを決めて締結する

必ず決める欄、取引の実態に合わせる欄、閉じてよい欄の順です。分類と記入例は第16章の表にあります。最後に第40条第1項で紙と電磁的記録のどちらで作成するかを選び、電子を選ぶなら相手の承諾を先に取ります(第18章)。

B:業者が持ってきた1枚を検算する場合

こちらは、相手に何かを足してもらう交渉です。相手が許可を持たない小規模の業者なら、断られることもあります。だから先に優先順位を決めておきます。1つしか通らないなら別紙4の現地立会い、2つ通るなら別紙1も足してもらう、という順です。

ステップ1:第13章の対照表で、1号から15号までを上から突き合わせる

見当たらない行に印を付けます。印が付いた号を、そのまま乙に伝えます。ここは相手に何かを求める前の、手元の作業です。

ステップ2:着工前の現地立会いを求め、別紙4を1枚渡す

境界標の有無、越境物、既存の塀の点検を、着工前に1枚で残す紙です。塀を積み直す事態と、隣地との揉め事の火種は、この立会いで着工前に見えます。求めるものを1つに絞るなら、これにしてください。

立会いの日までに、法務局で地積測量図を取っておきます(第5章)。境界標の種類と位置が図面にあるので、現地で「境界標はありません」と言われたときに突き合わせられます。

ステップ3:工事の内容が「一式」になっていないかを見る

品番、数量、寸法、仕上げ、図面番号のどれかが書かれていないなら、配布ファイルの別紙1を印刷して、これを埋めて添付するよう求めてください。別紙だけを足す形なら、業者の契約書を作り直させずに済みます。

ステップ4:塀の位置と寸法が書いてあるかを見る

境界線の真上に積むのか敷地内に控えるのか、高さ・厚さ・鉄筋・控壁・基礎の根入れが書かれているか。書かれていなければ、配布ファイルの第11条と第14条と別紙4を渡して、着工前に埋めてもらいます(第5章・第6章)。

ステップ5:水勾配の方向と排水先、許認可の担当を見る

「排水は適切に処理する」という書き方は、方向も排水先も決めていない状態です。第16条と別紙1の12を足してもらいます。許認可は、別紙5の名義人と申請者と費用の負担者の3列が埋まっているかを見ます。

ステップ6:処分費が独立の項目になっているかを見る

残土とがれきの処分費が「諸経費」に含まれているなら、別紙3の形に分けてもらってください。体積が増えたときに検算できるのは、単価と数量が別に書いてある場合だけです。

断られたときは、断られたこと自体が材料になります。

別紙4の立会いを断る業者は、境界の確認をしないまま塀を積むということです。別紙1の記入を断る業者は、品番と数量を書面に残せないということです。どちらも、着工前に分かったほうがよい情報です。

見積りを取り直す判断は、着工前ならまだ選べます。土間コンクリートを打ってしまったあとでは選べません。

20. よくある質問(FAQ)

Q1. 「外構工事一式」と書かれた契約書に署名してしまいました。もう遅いですか?

A. 着工前なら、別紙を足す形で特定できます。配布ファイルの別紙1を印刷し、工種ごとに図面番号・品番・数量・寸法・仕上げを記入して、契約書の一部として双方が署名または記名押印すれば、工事の内容が特定されます。すでに着工しているなら、配布テンプレートの第20条の工程写真だけでも先に約束してもらってください。基礎と配筋を、あとから確かめる手がかりが残ります。

Q2. 業者が建設業の許可を持っていません。契約して大丈夫ですか?

A. 許可が無いこと自体は違法ではないので、契約できます。軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、許可の対象から外れています(建設業法3条1項ただし書)。その軽微な建設工事を、建設業法施行令1条の2が、工事1件の請負代金の額が500万円(建築一式工事は1,500万円)に満たない工事などと定めています。

ただし、施主が材料を支給すると、その市場価格が判定額に加算されます(同条3項)。門扉やカーポートを自分で買って支給する予定があるなら、加算後の額で500万円を超えないかを確かめてください。許可を持たない相手との紛争でも、工事現場のある都道府県の建設工事紛争審査会は使えます(第15章)。

Q3. 隣との境界線の真上にブロックを積む、と言われました。何が問題ですか?

A. 民法229条は、境界線上に設けた境界標・囲障・障壁・溝および堀を、相隣者の共有に属するものと推定しています。共有になると、将来の修繕・変更・撤去に隣人との協議が必要になります。配布テンプレートの第11条第1項は、境界線上に設けるか、甲の敷地内に何ミリ控えるかを選ぶ形にしてあります。控えるほうを選べば、その塀は甲のものとして扱えます。どちらにするかは、隣人との関係と敷地の余裕から決めてください。

Q4. 境界標が見つかりません。工事は進められますか?

A. まず法務局で地積測量図を取ってください。不動産登記規則77条3項により、境界標の種類と位置が図面に記録されているので、何がどこにあるはずかが分かります。それでも現地に無いときは、配布テンプレートの第10条第3項の3択で決めます。立会いで確認するまで着工しない、筆界特定の結果が出るまで着工しない、甲の責任で位置を指示する、のどれかです。

筆界特定の申請ができるのは土地の所有権登記名義人等であり(不動産登記法131条1項)、施工業者は申請人になれません。手数料も申請人が納付します(同条4項)。測量の費用と標準処理期間は第5章にあります。境界が確定しないため着工できない期間は、配布テンプレートの第5条第4項により工期に算入しません。

Q5. カーポートに確認申請は必要ですか。「10平方メートル以下ならいらない」と聞きました。

A. 2つの条件をどちらも満たす場合だけ、6条1項の適用が外れます。床面積だけでは決まりません。建築基準法6条2項は、防火地域および準防火地域外において建築物を増築・改築・移転しようとする場合で、その部分の床面積の合計が10平方メートル以内であるときに、6条1項を適用しないとしています。

施工場所が防火地域または準防火地域内であるとき、および新築に当たるときは、床面積が10平方メートル以内でも6条1項の適用があります。申請の名義人は建築主、つまり請負契約の注文者である施主です(建築基準法6条1項・2条16号)。個別の判定は、建築主事等または特定行政庁にご確認ください。

Q6. 雨水が隣に流れると言われました。契約書に書けることはありますか?

A. 書けます。屋根の勾配の向きと雨水の排水先を、別紙1に書いてください。根拠は民法218条で、土地の所有者が直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならないとしています。

配布テンプレートの第16条第1項は、屋根の勾配の向き・雨水の受け方・排水先を別紙1のとおりとし、直接に雨水を隣地に注ぐ構造としないと書いてあります。土間コンクリートの水勾配も同じ扱いです。完成検査では通水して確かめます(別紙6)。逆に、隣地から自然に流れて来る水を塀の基礎や擁壁で妨げることもできません(民法214条)。

Q7. 役所への手続は業者がやってくれるのですか?

A. 手続によって名義人が違います。次の4つは、施主が名義人です。

宅地造成及び特定盛土等規制法の工事主は請負契約の注文者であり(同法2条7号)、許可を受けるのも工事主です(同法12条1項)。排水設備の設置義務者は、建築物の敷地である土地についてはその建築物の所有者です(下水道法10条1項1号)。

建築物と擁壁の確認の申請の名義人は建築主で、建築主とは請負契約の注文者です(建築基準法6条1項・2条16号)。対象建設工事の届出義務者は発注者で、着手する日の7日前までに届け出ます(建設リサイクル法10条1項)。

一方、道路交通法77条1項1号は、工事もしくは作業をしようとする者または請負人を許可を受けるべき者としているので、生コンクリート車のための道路使用は業者が申請します。名義人が甲でも、甲が乙に委任して乙が申請できます。別紙5で、名義人・申請者・費用の負担者を分けて書いてください。

Q8. 残土の処分費を、あとから追加で請求されました。

A. 別紙3で独立の項目にしてあるかを見てください。指定副産物に係る省令3条の2は、建設工事事業者が請負契約を締結するに際して指定副産物を搬出する予定があるときに、その運搬費その他の処理に要する経費の見積りを適切に行うよう努めるものとしています。この定めに工事の規模の下限はありません。配布テンプレートの第18条第3項は、この費用を諸経費その他の項目に含めて記載しないことを乙の義務にしています。増額を請求するには、第22条第6項により書面または電磁的記録の合意が必要です。

Q9. 「10年保証します」と言われました。外構でも品確法の10年が効くのですか?

A. 効きません。住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項の10年の担保責任は、住宅を新築する建設工事の請負契約について定められたものです。同法2条1項は、住宅を人の居住の用に供する家屋または家屋の部分と定義しており、門・塀・カーポート・土間コンクリートはこれに当たりません。

外構の保証は、契約で作る約束です。配布テンプレートの第29条第1項の5つの欄(対象部位・対象となる現象・期間・内容・免責)を埋めて、第29条第2項で保証書を受け取ってください。先に埋めさせるのは、対象部位と免責となる事由の2つです(第14章)。

Q10. 土間コンクリートのひび割れは、何ミリまで我慢するのですか?

A. 外構に当てはめられる公的な数値の基準はありません。住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準の適用範囲は、第14章のとおり新築住宅の紛争に限られています。だから配布テンプレートの第28条第6項は、判断の基準を別紙1に記載した仕上げの程度と別紙6の確認の項目に置いてあります。許容できる範囲を、締結の前に別紙1へ書いてください。

Q11. 印紙は甲と乙のどちらが貼るのですか?

A. 配布テンプレートでは、第40条第5項の記入欄で決めます。甲乙が各1通を保有すると課税文書は2つになるので、各自が保有する1通分をそれぞれ負担するか、乙がまとめて負担して見積りに計上するかを、締結の前に決めてください。契約金額が100万円を超えるなら軽減措置の対象で、100万円以下は200円、1万円未満は非課税です。判定に迷うときは税理士または所轄の税務署にご確認ください。

21. まとめ:境界と別紙を埋めた契約書を1通、今週中に取り交わす

着工日が決まっているなら、順に確かめてください。別紙1と別紙4が埋まった契約書が1通あれば、追加費用の話も、隣地との話も、条文の番号を指して進められます。

  • 工事の内容は別紙1で特定する。図面番号・製造所名・品番・数量・寸法・仕上げの6つを工種ごとに書く
  • 別紙2で工種を建設工事の種類に割り、附帯工事の額が500万円に届くなら専門技術者か許可業者かを選ぶ
  • 塀を境界線の真上に積むかを第11条第1項で決める。真上なら相隣者の共有と推定される(民法229条)
  • 境界標が無いなら、着工を止めるか、甲の責任で位置を指示するかを第10条第3項で決める
  • 塀と擁壁の数値は別紙1に書き、第20条の工程写真11点で埋まる前の状態を残す
  • カーポートは建築物。確認申請の要否と建築面積の扱いを、着工前に第15条第8項へ書く
  • 水勾配の方向と排水先を別紙1に書き、完成検査で通水して確かめる(民法218条)
  • 許認可は別紙5で、名義人・申請者・費用の負担者・取得の期限の4列を埋める
  • 残土とがれきの処分費は、別紙3の独立の項目にする
  • 追加費用は、書面または電磁的記録の合意がなければ請求できない(第22条第6項)

まず1通を締結してしまえば、現場で「ここも直しておきますね」と言われたときに、その場で第22条を開いて話ができます。

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本記事で解説した外構工事請負契約書テンプレート(全40条+別紙6本)を、Word形式で配布しています。

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別紙1 外構工事仕様書 — 門扉・塀・擁壁・カーポート・土間コンクリート・舗装・植栽・配管・排水・仮設の14区分を、図面番号と品番と数量と寸法と仕上げで特定できます

「一式」を禁じる条文つき — 第2条第3項が、工事の範囲と仕様が特定されない記載を封じます

別紙2 工種の内訳及び建設業の種類 — 1件の工事を建設工事の種類に割り、附帯工事と専門技術者の欄まで置いてあります

別紙4 境界・隣地及び既存外構物の現況確認書 — 境界標の有無、越境物、既存の塀の点検(国土交通省のチェックポイントの項目)を着工前に1枚で残せます

境界線上に積むか敷地内に控えるかを選ぶ条文 — 民法229条の共有の推定を先に片づけます

塀と擁壁の数値を書く欄 — 建築基準法施行令62条の8・61条・142条の項目に合わせてあります

カーポートの4要件チェック欄 — 平成5年建設省告示第1437号の要件をそのまま置いてあります

別紙5 許認可及び届出の担当一覧 — 名義人と申請者と費用の負担者と取得の期限を、手続ごとに分けて書けます

工程写真11点の撮影と提出を乙の義務に — 埋まってしまう基礎と配筋を、後から検算できます

別紙3 請負代金内訳書と別紙6 完成検査チェックシート — 処分費を独立の項目にし、検査は通水と実測で行います

紙でも電子でも締結できる末尾書式つき — 電磁的措置の事前承諾と3つの技術的基準を条文化しています

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