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三者間業務委託契約書テンプレート・雛形|丙を名指しにしない条文

三者間業務委託契約書テンプレートを無料ダウンロード。会員登録不要のWord形式です。甲乙丙の割り当てとお金の流れ、丙を名指しした書面にしない条文の組み方、フリーランス法の支払期日、3者を1通に載せたときの印紙の通数と合算と連帯まで解説します。

公開日: (更新:

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三者間業務委託契約書テンプレート

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更新日
2026-09-10
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「発注元から、自社と、自社が仕事を出している事業者との3者で、1通の契約書にしてほしいと言われた」 「甲乙丙の並べ方は決まったが、誰が誰に払うのか、丙は誰に請求するのかが決まらない」 「何通作るのか。印紙は誰が貼るのか」

三者間の契約書は、2者の契約書を2本作るのとは別の書面です。1通にまとめた瞬間に、真ん中に立つ自社が抱えるものが変わります。印紙の数え方が変わり、自社が支払う額は発注元にも見えるようになり、発注元が実際に動く事業者を名指しした書面ができあがります。

この記事は、真ん中に立つ乙(エージェント、SES事業者、制作会社)の立場で書いています。委託者(甲)、受託者(乙)、業務受託者(丙)の3者が1通の書面に署名または記名押印して交わす三者間業務委託契約書のWordテンプレートを、会員登録不要で配布しています。

この記事の結論

  • 甲=委託者、乙=受託者(元請)、丙=再委託を受けて実際に業務を行う事業者。丙は作業者ではなく事業者として置きます。
  • 三者間にしないほうがよい場合が3つあります。埋める前に読んでください。
  • 三者間契約書は、甲が丙を名指しした書面です。名指しは偽装請負の判断材料になります。
  • だから業務従事者を決めるのは丙(第7条)、甲は指名しない(第8条)。要員は別紙2の要件で特定します。
  • 甲乙間の額と乙丙間の額が同じ号の課税事項に当たるなら、2つは合算されます。課税文書に当たるなら、3通作れば3通が課税されます。
  • 乙が丙に払う額は甲と同じ書面に載ります。取り分を見せたくないなら、額を個別契約に逃がしてから送ります。
  • 誰が印紙を負担するかを決めても、税務署に対しては3者が連帯して負います。
  • 丙が特定受託事業者なら、3つの事項を明示したうえで、支払期日を元委託支払期日から30日以内にできます。

目次

  1. 三者間業務委託契約書テンプレートの無料ダウンロード
  2. 三者間にすべきでない3つの場合
  3. 甲・乙・丙の割り当てと、お金の流れを決める
  4. 丙を名指しした書面になっていないかを条文で確かめる
  5. 丙が誰を業務に充てるかで、見る法律が変わる
  6. 報酬の支払期日と明示事項をどこに置くか
  7. 個人データが甲から乙、乙から丙へ流れるときの委託の連鎖
  8. 成果物の権利を誰に集めるか
  9. 直接取引の禁止(引き抜き防止)の期間と範囲を決める
  10. 3者を1通に載せたときの印紙(通数・合算・連帯)
  11. 一方が抜けたときに、残り2者をどうするか
  12. 配布テンプレートの条文構成(全30条+別紙3本)
  13. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
  14. よくある質問(FAQ)
  15. まとめ:三者間の形を選んだ帰結を、契約書の空欄で決める

1. 三者間業務委託契約書テンプレートの無料ダウンロード

配布しているのは、Word形式の三者間業務委託契約書の雛形です(全30条+別紙3本)。甲から乙への委託と、乙から丙への再委託を、1通の書面で定める形にしてあります。

乙はエージェント、SES事業者、制作会社のような元請を、丙はそこから再委託を受けて実際に業務を行う事業者を想定しています。丙が法人でも個人事業主でも、そのまま使えます。

以下、本文で「第◯条」とあるのは、この配布テンプレートの条です。Wordを開いたまま、同じ番号の条と突き合わせてください。

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前文から署名欄まで3者分 — 甲乙丙が1通に署名または記名押印する形です

第7条(業務従事者を決めるのは丙)と第8条(甲は指名しない)を対で収録

別紙2 要員要件書つき — 氏名を書かずに要員を特定する様式です

フリーランス法の明示事項と、元委託支払期日を書く欄

個人データが甲から乙、乙から丙へ流れる場合の別紙3つき

委託料・支払期日・権利の帰属・解除の連動を、選択肢に印を付けて決められます

紙3通、紙1通と複写した写し、電磁的記録のどれで作るかを選べる末尾書式

👉 三者間業務委託契約書テンプレートを無料ダウンロード(会員登録不要)

2. 三者間にすべきでない3つの場合

3者を1通に載せれば、書面は1つで済みます。ただし、書面が1つになった代わりに背負うものがあります。次の3つに当たらないかを先に確かめてください。

2本立てで足りるなら、そのほうが軽い

甲が丙の名前を自分の契約書に書かずに済むなら、契約は2本に分けたほうが安全です。三者間にすると、印紙の通数と記載金額の問題と、甲が丙を名指しした書面になる問題を、同時に抱えることになります。

乙にとって、もう1つ重い帰結があります。第13条は、甲が乙に払う額と、乙が丙に払う額を同じ書面に並べます。甲は、その差額として乙の取り分を計算できます。2本立てなら、甲が見るのは甲乙間の額だけです。

取り分を見せずに1通にしたいなら、額の置き場所を先に決めてください。第5条で個別契約を締結する形を選び、第13条第2項の欄を「乙丙間の個別契約に定める額とする」と書き換えれば、乙丙間の額は本書に載りません。

ただし、この書き換えをすると、フリーランス法の明示(第15条)は個別契約の側で行うことになり、本書の記載金額の扱いも変わります。印紙の側の影響は、税理士または所轄の税務署に確認してください。

2本に分けるなら、甲乙間は業務委託契約書テンプレート、乙丙間は再委託契約書テンプレートを使ってください。

それでも三者間にする理由があるとすれば、次の3つです。乙丙間を準委任で組むときに再委託の許諾を1通で取り付けたい(民法第644条の2第1項)、丙の要員要件や秘密保持を甲に対しても直接に負わせたい、丙への支払期日を甲が把握したうえで自分の支払期日を決めたい。

建設工事は、元請と下請が縦に並ぶ構造なので、三者を横に並べにくい取引です。継続的に下請へ出すなら工事下請基本契約書テンプレートのほうが形に合います。

産業廃棄物の処理委託には向かない

環境省の通知は、排出事業者は委託する処理業者を自らの責任で決定すべきものであり、処理委託の根幹的内容は排出事業者と処理業者の間で決定するものであるとしています。

同じ通知は、排出事業者はこれらの決定を第三者に委ねるべきではないとしています。委ねた結果として、第三者への仲介料が発生し、処理業者に適正な処理費用が支払われなくなる状況が生じるおそれも挙げられています。

廃棄物処理法施行令第6条の2も、運搬と処分をそれぞれ許可を有する業者に委託する建て付けをとっています。あっせんや仲介をする者を当事者に加えるこの書面は、廃棄物の処理委託には使わないでください。

処理委託の書面をどの形で作るかは、所轄の自治体の担当窓口にご確認ください。

丙が甲の指揮命令下で働くなら、必要な書面は別にある

厚生労働省と都道府県労働局のガイドは、請負形式の契約であっても、注文主と労働者との間に指揮命令関係がある場合には労働者派遣事業に該当し、労働者派遣法に違反する偽装請負となるとしています。

甲の担当者が丙の作業者に直接指示を出す形をどうしても崩せないなら、必要な書面はこの契約書ではありません。労働者派遣契約か雇用契約です。派遣で組み直すなら労働者派遣契約書テンプレートを見てください。

配布テンプレートは、この状態になったときの手順を第12条(労働者派遣及び労働者供給に該当しないことの確認並びに是正)に置いています。実態が定めと違うと気づいた当事者が書面で通知し、協議して実態を戻すか、契約の形態を変えるかを選ぶ形です。

3. 甲・乙・丙の割り当てと、お金の流れを決める

前文と第3条|3者が1つの契約関係に立つことを最初に書く

配布テンプレートは、甲を委託者、乙を受託者、丙を業務受託者と呼びます。前文に、丙は甲および乙から独立した事業者であり、甲または乙に雇用される者ではないと書いてあります。

丙を「協力事業者」や「作業者」と呼ばないでください。丙の中で実際に手を動かす人は「業務従事者」と呼び、丙とは別の言葉で扱います。この2つを混同すると、書面の上で甲が特定の個人を名指ししたことになります。

第3条では、甲乙間の委託と乙丙間の再委託を1通で定めること、甲と丙との間の権利義務は本契約に明示的に定めるものに限ることを、先に宣言します。契約の類型は、甲乙間と乙丙間のそれぞれについて、請負(民法第632条)か準委任(民法第656条)かを選びます。

記入例:システム開発の要件定義を甲が乙に頼み、実装を乙が丙に頼むなら、甲乙間を準委任、乙丙間を請負と書き分ける形になります。同じ類型に揃える必要はありません。

第13条|委託料は2本、支払義務も2本

第13条は、甲が乙に支払う額(第1項)と、乙が丙に支払う額(第2項)を、別々の項に書きます。それぞれについて、定額にするか実績に応じて精算するかを選びます。

そのうえで、第4項に、甲は乙に対してのみ委託料の支払義務を負い、丙に対しては負わないと書いてあります。逆に第5項では乙は、甲から委託料の支払を受けたかどうかにかかわらず、丙に対する支払義務を負います。

この2文はセットで意味を持ちます。甲からの入金が遅れたことを理由に丙への支払を止められる、という読み方を封じるためです。丙がフリーランス法の特定受託事業者に当たる場合は、支払期日そのものが法律で縛られます。

第28条|丙が甲に直接請求できるかを、ここで選ぶ

丙が甲に報酬を直接請求できるかどうかは、第28条第2項の選択肢に印を付けて決めます。1つ目の選択肢が「できない」で、第13条第4項もこれを前提に組んであります。どちらにも印を付けないまま送らないでください。

「できる」を選ぶなら、第三者のためにする契約として組みます。民法第537条第1項は、契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有するとしています。

同条第3項は、第三者の権利はその第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生するとしています。第28条第3項は、この意思表示と、甲が丙に払った額の限度で甲乙間と乙丙間の債務が消滅することを、あわせて書く形にしてあります。

「できない」を選んだ場合でも、乙が支払を怠ったときに丙が甲へ事実を通知することはできます。第28条第4項は、この通知が甲に対する請求権を生じさせるものではないと明記しています。伝える手段と請求権を、書面の上で切り分けておくためです。

上流と下流をそろえる|ずれた分を被るのは乙

甲乙間と乙丙間を1通にまとめても、期日や期間や上限まで自動でそろうわけではありません。ここがずれると、差は真ん中に立つ乙に残ります。同じ構造の欄が、3つあります。

検査を完了する期日(第17条第3項)。乙が丙の給付を検査する期日と、甲が乙の給付を検査する期日を、別々に書く欄です。2つを同じ日にすると、丙の直しが終わらないうちに甲の検査日が来ます。しかも第17条第4項は、期日までに合否の通知がなければ合格したものとみなします。

記入例:甲が乙の給付を検査する期日を「納入の日から◯営業日以内」と決めたなら、乙が丙の給付を検査する期日はそれより手前に置き、第17条第5項の修補の期限をそのあいだに収めます。

契約不適合を通知することができる期間(第18条第2項)。甲が乙に通知できる期間と、乙が丙に通知できる期間を、それぞれ書きます。2つを同じ期間にすると、甲から最終日に通知が来た時点で、乙が丙へ通知できる期間も終わっています。

第18条第3項に、乙が丙に通知できる期間を甲乙間より長くする選択肢を置いてあるのは、このためです。同じ期間にするか、長くするかを選び、長くするならどれだけ長くするかを書き込みます。

賠償の額の上限(第24条第4項)。上限の欄は1つで、甲乙間と乙丙間に分けて書く欄はありません。第24条第2項で「乙が甲に対して責任を負う」を選ぶと、乙が甲に払う額の上限と、乙が丙に求償できる額の上限が、同じ定めから決まります。

記入例:上限を「当該損害の原因となった業務に係る委託料の額に相当する額」にするなら、甲乙間では甲が乙に支払う委託料、乙丙間では乙が丙に支払う委託料を指すことを、欄の中に書き足しておきます。2つの委託料は別の額なので、どちらを指すかで結果が変わります。

4. 丙を名指しした書面になっていないかを条文で確かめる

電子契約の法的有効性のイメージ

三者間業務委託契約書には、他の契約書にはない事故があります。この書面は、その形からして、甲が丙を名指しした書面になります。丙の欄に商号や氏名を書くのが三者間契約書だからです。

ただし、書面に丙の名前が載ること自体が違法になるわけではありません。そこに、乙の従業員や丙の要員を個人として書き込むと、甲がその人を指名したという事実が書面に残ります。

名指しと就業拒否は、配置等の決定への関与と判断される

厚生労働省の疑義応答集(第2集)の問13は、発注者が請負労働者の職務経歴書を求めたり事前面談を行ったりする場合について、一般的にはその行為が請負労働者の配置決定に影響を与えるので、労働者派遣事業または労働者供給事業と判断されることがあるとしています。

続けて、職務経歴書の提出や事前面談の結果、発注者が特定の者を指名して業務に従事させたり、特定の者について就業を拒否したりする場合は、発注者が請負労働者の配置等の決定及び変更に関与していると判断されることになるとしています。

疑義応答集(第3集)のA7も、システム開発について同じ結論を示しています。発注者が特定の者を指名して業務に従事させたり、特定の者について就業を拒否したりする場合は、適正な請負等とは認められない、という書き方です。A8は、この考え方がアジャイル型開発以外のシステム開発にも当てはまるとしています。

もとをたどると、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)の第2条第1号が、請負として扱われる条件の一つに、労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うことを挙げています。

第7条|業務従事者を決めるのも変えるのも丙

第7条第1項は、業務従事者の決定及び変更は丙が自ら行うと定めています。第2項は、乙がその権限を制約しないと書いています。

そのうえで第3項が、業務従事者は氏名により特定しない、と明記しています。丙が本業務に充てる要員は、別紙2に定める技術及び技能の水準と、その技術及び技能に係る経験年数の要件で特定します。

要員を交代させるときは、丙が乙に通知し、乙は変更後の要員が別紙2の要件を満たすことを確認します(第4項)。この通知と確認は別紙2の項目で行い、個人を特定できる情報を用いません(第5項)。

記入例:区分の名称は「サーバーサイド開発」、担当する業務の範囲は「APIの設計・実装・単体テスト」、求める技術及び技能の水準は「Javaによる業務システムの設計および実装」。経験年数の欄には年数だけを書き、誰がその年数を満たすのかは書きません。

第8条|甲は指名しない、就業を拒否しない、事前面談もしない

第8条(甲による指名等の禁止)は、第7条と対で置いてあります。甲は個々の業務従事者を指名しない(第1項)、特定の業務従事者について就業を拒否しない(第2項)、職務経歴書その他個人を特定できる書面の提出を求めず事前の面談も行わない(第3項)。この3つが並んでいます。

交代や増員を求めたくなったときの逃げ道も、第4項に用意してあります。個人を特定して求めるのではなく、要員の数または要件の見直しとして、第7条第6項により別紙2の変更を協議する形です。

甲がまったく口を出せなくなるわけではありません。第5項により、甲は乙に対し、丙が充てる要員が別紙2の要件を満たすことの説明を求められます。この説明は技術及び技能の水準と経験年数の記載で行い、個人を特定できる情報を含めません。

情報の保全のための誓約書についても、逃げ道があります。疑義応答集(第2集)の問13は、請負事業主が労働者の決定を自ら行っている場合は、発注者が誓約書の写しを求めても、そのことのみをもって労働者派遣事業または労働者供給事業と判断されることはないとしています。

同じ問答は、個人情報を提供する際には本人の同意を得るなどの適正な取扱いが求められるとしています。第8条第6項は、誓約書の写しの提出を本人の同意を条件にしてあります。

第7項は乙にあてたものです。甲が第8条に反する求めをしたら、乙はそれを丙に取り次がず、条文を示して是正を求めます。取り次いだ時点で、甲の指名が事実として動き出すためです。

別紙2|氏名の代わりに、技術・技能の水準と経験年数で書く

疑義応答集(第3集)のA7には、続きがあります。発注者が受注者に対しスキルシートの提出を求めたとしても、それが個人を特定できるものではなく、指名や就業拒否ができるものでなければ、配置等の決定及び変更に関与しているとまではいえない、という部分です。

別紙2の要員要件書は、この範囲に収まるように作ってあります。区分の名称、人数、担当する業務の範囲、求める技術及び技能の水準、経験年数、使用する言語やツール、資格、作業場所、稼働の形態の欄があり、氏名・生年月日・所属・職務経歴の欄はありません

この欄を足さないでください。足した瞬間に、別紙2はスキルシートではなく名簿になります。

条文を整えれば安全になる、という話でもありません。37号告示の第3条は、各号に該当する事業主であっても、法の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであるときは、労働者派遣事業を行う事業主であることを免れることができないとしています。書面と実態の両方を合わせてください。

💡 氏名を書かずに要員を特定する別紙が、Wordのまま手に入ります

会員登録もメールアドレスの入力も要りません。業務従事者の決定と変更を丙に置く条、甲が指名も就業拒否も事前面談もしない条、氏名欄のない別紙2の3点がそろっています。ダウンロードしたら、別紙2を丙に渡して要員の要件を書いてもらい、乙がその要件で本業務を回せるかを確認してください。

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5. 丙が誰を業務に充てるかで、見る法律が変わる

同じ三者間の形でも、丙が自ら雇用する労働者を本業務に充てるのか、丙自身が個人事業主として動くのかで、当てはまる法律が変わります。

厚生労働省と都道府県労働局のガイドは、請負業者が注文主から請け負った事業がフリーランス等に再委託されるなど、請負業者と再委託された者との間に雇用関係がない限りは、労働者派遣法との関係で問題となることはないとしています。

ただし、同じガイドは続けて、フリーランス等であっても、契約の名称にかかわらず実態から労働者性があると認められる場合は労働基準法等が適用される労働者となるとしています。そして、その労働者が注文主からの指揮命令を受けている場合には、労働者派遣事業に該当し偽装請負となるとしています。

丙の立場 甲の指揮命令があるとき、見る法律
丙が法人で、自ら雇用する労働者を本業務に充てる 労働者派遣法(丙が派遣元、甲が受け入れる側になる)
丙が個人事業主で、乙にも甲にも雇用されていない 職業安定法(労働者供給)
丙が個人事業主だが、実態から労働者性が認められる 労働基準法等が適用され、そのうえで労働者派遣法

丙が個人事業主で、甲の指揮命令下に入るとき|職業安定法第44条は「何人も」

職業安定法第4条第8項は、労働者供給を、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることと定義しています。労働者派遣に該当するものは含みません。

同法第44条は、何人も、労働者供給事業を行い、またはその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならないとしています。主語は「何人も」です。供給する側だけでなく、受け入れて指揮命令する甲も、違反の主体になります。

罰則は同法第64条にあります。掲げられた違反について、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定められており、第44条違反は同条第10号で対象に挙げられています。

判定が形式でなく実態で行われる点も同じです。職業安定法施行規則第4条第2項は、契約の形式が請負契約であっても、各号のすべてに該当する場合を除き労働者供給事業を行う者とするという建て付けをとっています。同条第3項は、要件を形式的に満たしていても偽装であれば免れられないとしています。

丙が自ら雇用する労働者を充てるとき|労働契約申込みみなしが甲に向く

労働者派遣法第2条第1号は、労働者派遣を、自己の雇用する労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることと定義しています。ここでいう「自己」は丙です。丙が自ら雇う人を甲の指揮命令の下に置けば、契約の名前が業務委託でも、この定義に当たります。

同法第24条の2は、派遣元事業主以外の労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受けてはならないとしています。

甲にとっていちばん重いのは、同法第40条の6です。掲げる行為があったときに、役務の提供を受ける者から派遣労働者へ労働契約の申込みをしたものとみなす、という条文です。同条第1項第5号は、法の規定の適用を免れる目的で請負その他の名目の契約を締結し、同法第26条第1項各号の事項を定めずに役務の提供を受けた場合を挙げています。

丙の欄に乙の従業員個人が入る形、つまり丙が乙の雇用する労働者である場合は、配布テンプレートを使いません。第12条第5項に、その旨を書いてあります。必要な書面は業務委託の契約書ではなく、労働者派遣契約書テンプレートのほうです。

第9条から第11条|告示の各号を、条文に割り付けてある

配布テンプレートは、37号告示第2条の各号を、第9条から第11条までに割り付けています。偽装請負の類型そのものの解説はSES契約書テンプレートにあるので、ここでは対応関係だけを示します。

告示が求めていること 割り付けた条
業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行う 第9条(指揮命令及び連絡体制)
業務の遂行に関する評価等に係る指示その他の管理を自ら行う 第9条第2項
始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇に関する管理を自ら行う 第10条(就業時間等の管理)
時間外・休日の労働に関する管理を自ら行う 第10条第2項
業務の処理に要する資金を自ら調達し支弁する 第11条(事業者としての独立処理)
機械・設備・器材・材料により、または企画・専門的な技術や経験に基づいて処理する 第11条第3項・第5項

第9条は、甲の連絡を乙の窓口責任者にあて、乙が丙へ伝達する形にしてあります。打合せでの甲の発言は乙および丙への要望の伝達であって、業務従事者への指揮命令ではないとも書いてあります。

例外は第6項に1つだけ置いてあります。事故や災害で人の生命または身体の安全を確保する必要がある範囲では、甲が業務従事者に直接指示できます。この場合は、甲が事後速やかに乙と丙へ内容を通知します。

第10条は、始業・終業・休憩・休日・休暇と、時間外や休日の労働の管理を丙に置いています。そのうえで第3項で、甲と乙が進捗の確認や費用の精算のために作業時間を把握することはある、と書き分けてあります。

告示が受注者に求めているのは、始業・終業の時刻や時間外の労働についての「指示その他の管理」を自ら行うことです。

甲の施設で作業する場合の入退館可能な時間帯を書く欄も、第4項にあります。これは施設の管理上の制約であって業務従事者の労働時間を定めるものではない、と条文に添えてあります。

第11条は、丙が使う機械・設備・器材・材料を、丙が自ら調達するか、甲または乙が貸与するかを選ぶ形です。貸与を選ぶなら、何を貸すのかを別紙1に書きます。

第12条|実態が定めと離れたときに、何をするかを先に書く

条文をどれだけ整えても、実態が離れれば意味を失います。

そこで第12条第3項は、実態が定めと異なるおそれがあると認めた当事者が、他の当事者へ書面で通知する手順を置いています。通知を受けたら期限までに協議を開始し、実態を定めに合わせるか、第4項により適法な形態へ変更するかを選びます。変更ができないときは、いずれの当事者も解除できます。

6. 報酬の支払期日と明示事項をどこに置くか

丙がフリーランス法の特定受託事業者に当たるなら、乙が丙に払う期日は自由に決められません。同法第2条第1項は、特定受託事業者を、従業員を使用しない個人と、代表者以外に役員がなく従業員を使用しない法人としています。

第14条|60日以内か、元委託支払期日から30日以内か

フリーランス法第4条第1項は、報酬の支払期日を、給付を受領した日から起算して60日の期間内において、かつできる限り短い期間内において定めなければならないとしています。起点は受領した日です。

同条第3項は、これとは別の扱いを用意しています。元委託者から業務委託を受けた特定業務委託事業者が特定受託事業者に再委託をした場合について、一定の事項を明示したときに限り、支払期日を元委託支払期日から起算して30日の期間内において、かつできる限り短い期間内において定めなければならない、という条文です。

この扱いを選んだ場合は、同条第1項の60日の期間によりません。起点が受領した日から元委託支払期日に変わります。

配布テンプレートの第14条第2項は、この2つを選択肢として並べています。甲が乙に払う日(元委託支払期日)を先に書き、乙が丙に払う日を60日以内で決めるか、30日以内で決めるかに印を付けます。

記入例:甲が乙に払う日を「毎月末日締め、翌月末日払い」と書いたなら、乙が丙に払う日は「翌々月◯日払い」のように受領日から数えて決めるか、明示をしたうえで「元委託支払期日と同日」のように元委託支払期日から数えて決めます。

前払金の扱いも第14条第4項に置いてあります。甲が乙に前払金を支払ったときは、乙は丙に対し、着手に必要な費用を前払金として支払うよう配慮します(同法第4条第6項)。

第15条|30日特例を使うなら、中心の3つを明示する

30日の期間で決めるための条件が、明示です。三者間契約書は、この明示を1通の中で完結させられる書面です。再委託である旨、元委託者の名称、元委託支払期日という中心の3つが、同じ書面に載るからです。

配布テンプレートは、この3つを第15条第2項にまとめてあります。同項には、このほかに公正取引委員会規則で定める事項があるときはその事項も明示する、という号を置いてあります。3つ書けば足りる、と読まないでください。

2者の契約書で組むと、乙は甲から聞いた元委託支払期日を丙の契約書に転記することになります。三者間なら、その日付は甲自身が署名して合意した日付になります。乙丙間だけで組む場合の書き方は再委託契約書テンプレートにあります。

第15条第1項は、フリーランス法第3条第1項の明示事項を各号に並べたうえで、本契約書と別紙1の交付をもって明示に代えることができると書いています。明示事項は、当事者を識別できる名称や符号、業務委託をした日、給付または役務の内容、受領または提供を受ける期日等と場所、検査を完了する期日、報酬の額、支払期日、現金以外の方法で支払う場合の事項です。

内容が定められないことに正当な理由があるものは、明示を要しません(第15条第3項)。この場合は、内容が定まった後に直ちに明示します。

明示義務を負うのは乙であって、甲ではない

三者が1通に署名するので、義務まで3者で分け合うように見えます。分け合いません。明示義務を負うのは、丙に業務委託をした乙です。

配布テンプレートは、この点を第15条第4項に書いています。明示義務を負うのは乙であり、甲は丙に対してこの義務を負わない。そのうえで第5項で、甲は乙が明示を行えるように元委託支払期日その他の必要な事項を乙に通知する、という組み立てです。

「三者間にしたから乙は仲介にすぎない」という理解も通りません。フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインは、仲介事業者であっても、利用者から役務等を受注したうえで特定受託事業者に発注するなど実質的に発注事業者に該当する場合には、特定業務委託事業者となり得るとしています。

甲が大きな会社で、乙がその子会社であるような場合は、中小受託取引適正化法第2条第10項も見てください。親会社に支配された会社が受けた業務を再委託する場合について、再委託をする事業者を委託事業者と、再委託を受ける事業者を中小受託事業者とみなすとしています。間に会社を挟んでも適用は外れません。

丙が個人のフリーランスで、乙丙間だけを2者で組むならフリーランス業務委託契約書テンプレートも使えます。

7. 個人データが甲から乙、乙から丙へ流れるときの委託の連鎖

甲の顧客名簿を乙が預かり、その一部を丙が触る。

第21条|丙は乙の再委託先として、甲の個人データを取り扱う

個人情報保護法第27条第5項第1号は、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いを委託することに伴って提供される場合の提供先を、第三者に当たらないとしています。丙を独立した当事者として並べただけでは、この「委託に伴う提供」の連鎖に丙が入っているかが決まりません。

そこで配布テンプレートは、第21条第1項に、丙は乙の再委託先として甲の個人データを取り扱う、と書いています。丙が取り扱う項目・利用目的・取扱いの範囲は、第2項により別紙3に書きます。

承認と報告と監査を、3者の書面で固定する

個人情報保護法第25条は、個人データの取扱いを委託する者に対し、委託を受けた者への必要かつ適切な監督を義務づけています。

個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、委託先が再委託を行おうとする場合について、委託元は、再委託する相手方、再委託する業務内容、再委託先の個人データの取扱方法等について、委託先から事前報告を受けまたは承認を行うことが望ましいとしています。

同じガイドラインは、委託先を通じてまたは必要に応じて自らが、定期的に監査を実施すること等により、委託先が再委託先に対して監督を適切に果たすことを十分に確認することが望ましいともしています。三者間契約書は、この承認を締結の時点で書面に固定した形になります。

書いておけば済む、という話ではありません。同ガイドラインは、契約の中に委託元が再委託の実施状況を把握することが盛り込まれているにもかかわらず、委託先に対して報告を求めるなどの必要な措置を行わなかった場合を、監督を行っていない事例として挙げています。

第21条第5項は、丙が乙へ取扱状況を報告し、乙がその内容を甲へ報告する形にしてあります。報告の頻度は空欄です。埋めたうえで、実際に受け取ってください。第6項により、甲は、乙を通じて、または必要に応じて自ら、丙の取扱状況を監査できます。

事故が起きたときの経路も同じ順です。第7項により、丙は直ちに乙へ通知し、乙は直ちに甲へ通知します。そのうえで、個人情報保護委員会への報告と本人への通知について3者が協力します。

第20条には、三者間ならではの項を1つ足してあります。丙が乙を通じて甲の秘密情報を受け取る場合、丙は甲に対して直接に秘密保持義務を負う、という第5項です。秘密情報の範囲を細かく決めるなら秘密保持契約書テンプレートを別に結ぶ方法もあります。

💡 個人データの委託の連鎖を、1枚の別紙で書き切れます

会員登録は不要です。別紙3には、取り扱う項目、本人の範囲と件数、利用目的、取扱いの場所、持出しの可否、保管期間、再々委託の可否、安全管理措置、報告と監査、事故時の連絡先、終了時の返還または廃棄の欄を用意してあります。ダウンロードしたら、丙が触るデータの項目から埋めてください。

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8. 成果物の権利を誰に集めるか

三者間で困るのは、成果物を作るのが丙だという点です。甲は乙にお金を払い、乙が丙に払います。しかし著作権は、お金の流れとは無関係に、作った側から動きます。

第19条|丙から甲へ直接譲るか、丙から乙、乙から甲へ順に譲るか

権利の移転の経路は、第19条第1項の2つの選択肢に印を付けて決めます。丙から甲へ直接譲渡し乙がこれに同意する形と、丙から乙へ譲渡し乙から甲へ順次譲渡する形です。

直接譲渡は経路が短く、権利が途中で止まりません。順次譲渡は、乙が成果物を自社の実績や再利用の対象として扱いたいときに選びます。どちらを選んでも、乙が甲に対して負う責任は変わりません。

権利が移転する時期も第3項で選びます。甲が検査に合格したことを通知した時か、甲が乙に、かつ乙が丙に委託料の全額を支払った時かです。後者を選ぶと、乙が丙に払うまで甲は権利を得られません。甲乙間の支払だけを見ていると気づけない場所です。

譲渡の目的として特掲する文言を削らない

著作権法第61条第2項は、著作権を譲渡する契約において同法第27条または第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定するとしています。

第19条第2項は、譲渡する著作権にこの2つの権利を含め、譲渡の目的として特掲されたものとして取り扱う、と書いています。翻案や二次的著作物に関わる部分なので、この一文を削ると、甲は納品物を作り替えられない状態で受け取ることになります。

丙が法人の場合は、その前に確かめることがあります。著作権法第15条第1項は、法人等の発意に基づきその業務に従事する者が職務上作成する著作物で、法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者を、別段の定めがない限りその法人等とするとしています。

プログラムの著作物は、この第15条第1項から除かれていて、同法第15条第2項によります。第2項には「自己の著作の名義の下に公表するもの」という要件が付きません。丙の名義で公表しない受託開発のプログラムは、こちらで判定します。

第19条第5項は、丙が法人である場合に、この職務著作で丙が著作者になるかどうかを、プログラムとそれ以外に分けて確認する項です。要件を満たさない成果物については、丙があらかじめ業務従事者から著作権の譲渡を受けたうえで、甲または乙へ譲渡する順序になります。

著作者人格権については、丙が甲と乙に対して行使しないこと、業務従事者にも行使させないことを第4項に書いてあります。丙が従前から持っていた知的財産権や汎用的な技術・ノウハウは第6項により丙に留保し、成果物を使うために必要な範囲で無償の利用許諾を出す形です。

9. 直接取引の禁止(引き抜き防止)の期間と範囲を決める

第22条|期間も範囲も代償も、空欄にしてある

配布テンプレートは第22条(直接取引の禁止)を置いていますが、期間も範囲も代償も空欄にしてあります

空欄にしてあるのは、抽象的なまま置いておくほうが危ないからです。公正取引委員会競争政策研究センターの報告書は、義務の内容や期間自体は通常のものと比べて乖離がなく直ちには過大とはいえないものであっても、規定内容が具体的・限定的でなく抽象的であるため拡大解釈される余地がある場合には、独占禁止法上の問題が起こり得るとしています。

第22条第3項は、対象となる業務の範囲と相手方の範囲を記載しないまま締結した場合には、第1項が効力を有しないと書いています。空欄のまま送らないでください。

独占禁止法から見ると、これは専属義務にあたる

フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインは、専属義務を、他の発注事業者に対するフリーランスの役務等の提供を制限し、自己とのみ取引をする義務と定義しています。

同ガイドラインは、取引上の地位がフリーランスに優越している発注事業者が、一方的に合理的に必要な範囲を超えて専属義務を課す場合であって、フリーランスが今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には、優越的地位の濫用として問題となるとしています。

合理的に必要な範囲を超えるかどうかの判断要素も示されています。義務の内容や期間が目的に照らして過大であるか、与える不利益の内容、補償金等の有無やその水準、他の取引の相手方の取引条件と比べて差別的であるかどうか、通常の義務の内容や期間との乖離の状況等を勘案して総合的に判断する、という並びです。

この判断要素が、そのまま空欄の一覧になっています。第22条は、期間(第1項)、対象業務の範囲と対象となる甲の部門や関係会社の範囲(第2項)、代償の有無と額(第4項)を、それぞれ書き込む形にしてあります。

代償を支払わないことも選べます。その場合は、代償がないことを踏まえて期間と範囲を定める、と条文に添えてあります。前出の報告書は、専念させる目的や育成費用を回収する目的のために合理的に必要な範囲で専属義務を課すことは、直ちに独占禁止法上問題となるものではないとしています。

何年なら過大でないかを示した資料はありません。決め方は、代償を払うかどうかと組み合わせて考えてください。

記入例(代償を支払わないとき):対象となる業務の範囲は「別紙1に定める本業務と同一の業務」、対象となる相手方の範囲は「甲の◯◯本部及び同本部が発注する業務」のように、別紙1と部門名で線を引きます。期間は、代償がないことを踏まえて、本業務が終わってからの短い期間にとどめます。

記入例(代償を支払うとき):第22条第4項に、代償を支払う期間、支払時期、額を書きます。代償を払うなら範囲を広げたくなりますが、広げた範囲と期間が目的に照らして過大であれば、第7項によりその超える部分は効力を失います。代償の額は、制限を受けるあいだに丙が失う取引の見合いとして書いてください。

甲と乙が組んで丙を縛る形にしない

同じ報告書は、複数の発注者が共同して役務提供者の移籍・転職を制限する内容の取決めを行うことは、人材獲得競争を停止・回避するものであることから独占禁止法上問題となることがあるとしています。

三者間契約書は、甲と乙が同じ書面に署名する形です。放っておくと、この「共同して制限する取決め」に近づきます。第22条第8項は、甲と乙がこの条を丙の取引先の選択を共同して制限する目的で用いない、と定めてこれを外しています。

丙の側にも受け皿を用意しました。第6項は、第22条が丙の甲および乙以外の者への役務提供を制限するものではないとしています。第7項は、目的に照らして合理的に必要な範囲を超える部分は効力を有しないとしています。

甲にも同じ制限をかけてあります。第5項の、甲は乙を通じないで丙に同一または類似の業務を直接に委託することを申し入れない、という定めです。片側だけを縛る書面にしないためです。

報告書は、義務の内容について実際と異なる説明をする、またはあらかじめ十分に明らかにしないまま受け入れさせている場合は、競争手段の不公正さの観点から問題となり得るともしています。丙に説明せずに署名だけ求める形にしないでください。

10. 3者を1通に載せたときの印紙(通数・合算・連帯)

電子契約で注意すべき点のイメージ

この書面が印紙税法別表第一の何号の課税文書に当たるか、税額がいくらになるかは、契約の内容によって変わります。号の判定は業務委託契約書の印紙税にまとめてあるので、ここでは三者間に固有の3点だけを扱います。

通数|課税文書に当たるなら、3通作れば3通が課税される

印紙税法基本通達第19条は、契約当事者間において同一の内容の文書を2通以上作成した場合において、それぞれの文書が課税事項を証明する目的で作成されたものであるときは、それぞれの文書が課税文書に該当するとしています。

国税庁も、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合であっても、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、すべて印紙税の課税対象となるとしています。3者が1通ずつ持てば、3通が対象です。

「丙の分は当事者以外に渡す控えだ」という整理も通りません。基本通達第20条は、課税文書に当たらない文書として契約当事者以外の者に提出または交付する文書を挙げていますが、その括弧書きは、当該契約に参加する者を含まないとしています。丙を当事者にした以上、丙は契約に参加する者です。

減らす余地は、写しの側にあります。国税庁は、契約書の正本を複写機でコピーしただけのもので、署名もしくは押印または証明のないものは、単なる写しにすぎないから課税対象とはならないとしています。

第29条第1項は、これを踏まえて、3通を作る形と、1通を作って甲が原本を保管し、乙と丙が原本を複写した写しを持つ形を、選択肢にしてあります。この写しには新たに署名も記名押印もせず、原本と相違ない旨の証明も付さない、と条文の側で言い切ってあります。どちらにするかの判断材料は契約書の原本と写しにまとめてあります。

記載金額|同じ号に当たるなら、甲乙間の額と乙丙間の額は合算される

課税物件表の適用に関する通則4イは、当該文書に2以上の記載金額があり、かつこれらの金額が同一の号に該当する文書により証されるべき事項に係るものである場合には、これらの金額の合計額を当該文書の記載金額とするとしています。

三者間契約書は、甲が乙に払う額と、乙が丙に払う額を、同じ書面に並べて書く形です。この2つの額がどう扱われるかは、国税庁自身が例を出しています。

印紙税法基本通達第45条は、一の文書に同一の号の課税事項が2以上記載されている場合には、当事者がそれぞれ異なるものであっても、当該文書はこれらの当事者の全員が共同して作成したものとするとしています。

その例として挙げられているのが、一の文書に甲と乙、甲と丙および甲と丁との間のそれぞれ200万円、300万円および500万円の不動産売買契約の成立を証明する事項を区分して記載しているものです。これは記載金額1,000万円の第1号文書に該当し、甲、乙、丙および丁は共同作成者となるとしています。

例に使われているのは不動産の売買なので、業務委託の書面がどの号に当たるかはこれとは別に判定します。ただし「区分して書けば別々に数えられる」という読み方は、この例に否定されています。第13条に2本の額を並べて書くときは、この取扱いに当たるかどうかを税理士または所轄の税務署に確認してください。

納税義務|第29条で負担者を決めても、税務署には3者が連帯して負う

印紙税法第3条第2項は、一の課税文書を2以上の者が共同して作成した場合には、当該2以上の者は連帯して印紙税を納める義務があるとしています。

印紙税法基本通達第47条は、この場合の納税義務は文書の印紙税の全額について共同作成者全員に対してそれぞれ各別に成立し、そのうちの1人が納税義務を履行すれば全員の納税義務が消滅するとしています。

第29条第2項には、印紙税の負担者を甲・乙・丙・等分から選ぶ欄があります。あわせて第3項に、この欄は当事者間の内部の負担を定めるものであって連帯を免れさせるものではない、と書いてあります。乙が貼ると決めていても、乙が貼らなければ甲と丙に義務が残ります

電磁的記録で作る場合の但し書き

福岡国税局の文書回答事例は、注文請書について、その現物の交付がなされない以上、電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信しても課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考えるという回答を示しています。

ただし、同じ回答には但し書きが付いています。電子メールで送信した後に現物を別途持参するなどの方法により相手方に交付した場合には、課税文書の作成に該当し、現物に印紙税が課されるものと考える、という部分です。

電磁的記録で締結してから、あとで紙に出力して押印し直す運用をとると、この但し書きに当たります。電子で交わすなら、そのまま電子で保存してください。

💡 3通作るか、1通と写しにするかを、末尾の欄で選べます

会員登録は不要です。第29条は、作成の方法を紙3通・紙1通と複写した写し・電磁的記録の3択にし、印紙税の負担者と、対外的には3者が連帯して義務を負うことを条文に書いてあります。ダウンロードしたら、委託料の欄を埋める前に、この第29条を先に読んでください。

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11. 一方が抜けたときに、残り2者をどうするか

三者間の契約書は、1本の糸で3者をつないだ形です。どこか1か所が切れたときに残りをどうするかは、法律が決めてくれません。契約書で決めておく事項です。

第26条|解除は誰から誰へ行い、他の2者にどう及ぶか

配布テンプレートは、第26条第3項に解除の相手方を書いています。甲は乙に対し、乙は甲または丙に対し、丙は乙に対して、それぞれ解除の意思表示を行う形です。契約の構造どおり、甲が丙を直接に切ることはしません。

そのうえで、連動を第4項と第5項の選択肢で決めます。甲乙間の委託が終了したときに乙丙間の再委託も同時に終了するのか、乙丙間は存続するのか(第4項)。乙丙間が終了したときに甲乙間も終了するのか、乙が自ら、または甲の承諾を得た他の再委託先で業務を続けるのか。

甲乙間だけを終わらせて乙丙間を残す形を選ぶなら、甲は乙が丙に対して負う債務の履行について責任を負わない、という一文が付きます。丙にとっては、支払を受ける相手が乙だけになることの確認です。

甲乙間または乙丙間を請負で組んでいる場合は、民法第641条も関係します。請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる、という条文です。連動の選択肢をどちらにするかで、この解除が下流に及ぶ範囲が変わります。

第27条|乙が抜けるときの承諾を、先に取り付けておく

三者間契約書にしかできないことが1つあります。契約上の地位の移転の承諾を、乙が抜けると決まる前に取っておけることです。

民法第539条の2は、契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位はその第三者に移転するとしています。2者の契約書を2本作っていると、この承諾は乙が抜けると決まった後で集めることになります。

第27条第2項は、承継する者を先に書き込んでおけば、甲と丙がその移転についてあらかじめ承諾を与える形にしてあります。承継させたい相手が決まっているなら、締結の時点で欄を埋めてください。

欄を空けたまま締結したときは、第3項により、乙が抜ける時点で3者の書面による合意が必要になります。移転の条件も、その合意で決めることになります。

移転を行わない場合の帰結は、第4項の選択肢にしてあります。本契約を甲と丙との間の業務委託契約として存続させるか、本契約を終了させるかです。存続を選ぶなら、そのときの委託料の額と支払期日を書く欄があります。

どちらが正しいかを決めた法令はありません。乙が抜けても丙の作業が止められない取引なら存続を、乙がいなくなれば甲が丙を直接管理することになって指揮命令の問題が出る取引なら終了を選ぶ、という判断になります。第4章の名指しの論点は、ここでもう一度出てきます。

ここで、第22条(直接取引の禁止)との関係を決めておいてください。第22条第1項は丙が乙を通じないで甲と契約することを禁じ、第27条第4項の1つ目の選択肢は、乙が抜けたあとに本契約を甲丙間の契約として存続させます。乙が外れる形を、自分で用意していることになります。

しかも第26条第7項により、第22条は本契約の終了後も効力を有します。第22条の期間と範囲を書き込んだうえで第27条第4項の存続に印を付けると、乙を通さない甲丙間の取引を禁じたまま、乙を通さない甲丙間の契約へ切り替える定めが残ります。どちらが優先するかは、条文の側では決まっていません。

直接取引を止めたいなら、第27条第4項は「本契約は終了する」に印を付けます。乙が抜けても丙の作業を止められない取引なら、存続に印を付けたうえで、第22条第1項の欄に「第27条第4項により本契約が甲丙間で存続する場合を除く」と書き足して、例外を先に開けておきます。

丙が抜ける場合は、第6項により、乙が甲の承諾を得て他の再委託先を選ぶか、自ら業務を遂行します。このときの要員の要件も別紙2によります。氏名で引き継がず、要件で引き継ぐためです。

離脱の時までに生じた委託料・費用・損害の清算は、第5項により3者が協議して定めます。地位の移転や離脱を行ったときは、内容を書面に記録して各自が保存する、という第7項も置いてあります。

12. 配布テンプレートの条文構成(全30条+別紙3本)

配布テンプレートの並びです。

  1. 目的(甲乙間の委託と乙丙間の再委託を1通で定めること)
  2. 定義(本業務・成果物・業務従事者・個別契約・元委託支払期日・秘密情報)
  3. 三者の関係及び契約の構造(請負か準委任かを甲乙間・乙丙間それぞれで選ぶ)
  4. 委託業務の内容(別紙1で特定する)
  5. 個別契約(締結するかしないか、本契約と個別契約のどちらを優先するか)
  6. 再委託の承諾及び再々委託の制限(民法第644条の2第1項の許諾を兼ねる)
  7. 業務従事者の決定及び変更(決めるのは丙。氏名では特定しない)
  8. 甲による指名等の禁止(指名しない・就業を拒否しない・事前面談をしない)
  9. 指揮命令及び連絡体制(窓口を一本化し、緊急時の例外を1つだけ置く)
  10. 就業時間等の管理(管理は丙。甲と乙は単なる把握にとどめる)
  11. 事業者としての独立処理(資金・機材・企画または専門的な技術)
  12. 労働者派遣及び労働者供給に該当しないことの確認並びに是正
  13. 委託料(甲から乙、乙から丙の2本。定額か実績精算かを選ぶ)
  14. 支払期日(元委託支払期日と、乙が丙に払う日)
  15. 取引条件の明示(再委託である旨・元委託者の名称・元委託支払期日を含む)
  16. 費用の負担(委託料に含めるか、甲乙丙で分けるか)
  17. 納入及び検収(納入の経路と、検査を完了する期日、みなし検収)
  18. 契約不適合責任(甲乙間の期間と乙丙間の期間の関係を決める)
  19. 成果物の権利の帰属(移転の経路と時期、特掲、職務著作)
  20. 秘密保持(3者相互。丙は甲に対して直接に義務を負う)
  21. 個人情報の取扱い(再委託先としての位置づけ、報告と監査、別紙3)
  22. 直接取引の禁止(期間・範囲・代償を書き込む)
  23. 反社会的勢力の排除(3者それぞれが表明保証する)
  24. 損害賠償(丙の行為で甲に損害が出たときの責任の分配)
  25. 契約期間及び更新(自動更新にするかどうか)
  26. 解除(解除の相手方と、他の2者への連動)
  27. 当事者の離脱及び契約上の地位の移転(民法第539条の2の承諾を先取り)
  28. 権利義務の譲渡禁止及び丙の直接請求(民法第537条を使うかどうか)
  29. 本書の作成通数及び印紙(3通・1通と写し・電磁的記録の3択と、連帯の確認)
  30. 協議及び合意管轄(甲乙間・乙丙間・甲丙間のいずれの紛争にも同じ裁判所を使う)

別紙は3本です。別紙1は委託業務明細書で、業務の内容、成果物、履行場所と期間、甲が提供する資料、貸与する機材、検査の基準、精算の方法を書きます。

別紙2は要員要件書です。氏名を書かずに、区分・人数・担当範囲・技術及び技能の水準・経験年数・使用する言語やツール・資格・作業場所・稼働の形態で要員を特定します。

別紙3は個人情報及び秘密情報の取扱条件です。個人データを扱わない取引なら、各欄に「該当なし」と書いて残しておけば、後から扱いが始まったときに追記できます。

空欄には、必ず決めるものと、使わないなら閉じてよいものがあります。

区分 該当する欄
必ず決める 委託料の2本(第13条)、支払期日の2本(第14条)、窓口責任者(第9条)、検査を完了する期日(第17条)、契約不適合を通知することができる期間(第18条)、秘密保持の存続期間(第20条)、賠償の額の上限(第24条)、契約期間(第25条)、合意管轄(第30条)
実態に合わせて選ぶ 請負か準委任か、個別契約の要否、成果物の権利の経路と移転時期、解除の連動、作成通数
使わないなら閉じる 直接取引の禁止の期間と範囲(未記載なら効力を有しない)、丙の直接請求(できないを選ぶ)、別紙3(該当なしと記入)

13. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順

電子契約の手順(アップロード→署名→送信)のイメージ

上から順に埋めると手戻りが出ます。

ステップ1:三者間にすべきかを確かめる

第2章の3つに当たらないかを見ます。

ステップ2:甲・乙・丙を決めて、前文と署名欄を埋める

発注する会社が甲、間に立つ元請が乙、実際に業務を行う事業者が丙です。丙が個人事業主なら、署名欄の代表者の欄は記入不要です。丙の欄に、丙で働く人の氏名を書かないでください。

ステップ3:別紙1と別紙2を先に埋める

別紙1は業務の内容、別紙2は要員の要件です。別紙2は丙が書き、乙がその要件で本業務を回せるかを確認します。甲は要件の説明を求められますが、個人を特定できる情報は求めません。

別紙2は丙の手が要る欄なので、ここで止まります。先に丙へ渡してしまい、返事を待つあいだにステップ4から6を進めてください。

ステップ4:委託料と支払期日の4つの欄を埋める

甲が乙に払う額、乙が丙に払う額、元委託支払期日、乙が丙に払う日の4つです。丙が特定受託事業者なら、60日以内にするか、明示をしたうえで元委託支払期日から30日以内にするかを選びます。

ステップ5:選択肢に印を付ける

契約の類型(第3条)、個別契約の要否(第5条)、成果物の権利の経路と移転時期(第19条)、丙の直接請求の可否(第28条)、解除の連動(第26条)、離脱時の扱い(第27条)、作成通数と印紙の負担者(第29条)です。第12章の表の分類に沿って、上から決めていきます。

ステップ6:乙だけで案を書ける欄を、まとめて埋める

甲や丙の返事を待たなくても、乙が案を書いて示せる欄があります。残しておくと最後に効いてくるので、ここでまとめて埋めます。

  • 乙の窓口責任者と打合せの頻度の案(第9条第4項・第5項)、甲の施設に入退館できる時間帯(第10条第4項)
  • 是正のための協議を開始する期限(第12条第3項)
  • 検査を完了する期日(第17条第3項)と、契約不適合を通知することができる期間(第18条第2項)
  • 秘密保持義務が存続する期間(第20条第7項)と、賠償の額の上限(第24条第4項)
  • 契約期間と更新しない旨を申し出る期限(第25条)、終了時の精算の方法(第26条第6項)、合意管轄(第30条第3項)
  • 個人データの取扱状況を報告する頻度(第21条第5項)と別紙3。個人データを扱わないなら各欄に「該当なし」と書きます

ステップ7:紙で回すか、電子で回すかを決める

3者が1通に署名する書面なので、紙で作ると甲・乙・丙のあいだを郵送で往復させることになります。課税文書に当たる場合、3通作れば3通が課税文書になる点も、ここで効いてきます。

電磁的記録で作る形を選ぶなら、第29条第1項の3つ目の選択肢に印を付けます。作成後に紙へ出力して交付する運用に切り替えるなら、第10章の但し書きに戻ってください。

3者を1通で回すときの電子契約

ムスビサインは、順次署名(複数の署名者が定めた順に1人ずつ署名する方式)に対応していて、三者間・多者間の契約を1通で回せます。複数人が同時並行で署名する並行署名には対応していません。甲・乙・丙の署名の順番を決めてから送ってください。

締結時には、PDF全体にAATL証明書による電子署名と総務大臣認定タイムスタンプを付与します。立会人型(事業者署名型)の電子署名で、電子署名法第3条に対応しています。料金は料金ページを見てください。

14. よくある質問(FAQ)

Q1. 三者間で業務委託契約を結ぶこと自体に、法的な問題はありますか?

A. 三者が1通の書面で合意すること自体を禁じる規定はありません。問題になるのは形ではなく中身です。この記事で扱った3つ、つまり甲が丙を名指しした書面になっていないか、丙が甲の指揮命令下に入っていないか、印紙の通数と記載金額を把握しているかを確かめてください。個別の取引が適法かどうかは実態で決まるので、迷うときは弁護士または所轄の労働局にご確認ください。

Q2. 三者間契約と、再委託(第三者への委託)は別物ですか?

A. お金と業務の流れは同じで、書面の形が違います。再委託は甲乙間と乙丙間の2本の契約で組み、甲は乙丙間の当事者になりません。三者間契約は同じ内容を1通にまとめ、甲も署名します。違いが出るのは、甲が丙に対して直接に義務を課せるか、元委託支払期日が甲自身の合意になるか、印紙をどう数えるかです。2本で組む場合は再委託契約書テンプレートを使ってください。

Q3. 三者間契約にすれば、再委託の承諾を別に取らなくてよくなりますか?

A. 甲が同じ書面に署名するので、承諾を別の書面で取る必要はありません。第6条第1項は、甲が本契約の締結をもって乙から丙への再委託を承諾する、と書いています。乙丙間を準委任で組む場合、この承諾は民法第644条の2第1項の許諾に当たります。ただし承諾したのは丙への再委託だけです。丙が第三者へ再々委託するには、第3項により、あらためて甲の書面による承諾が要ります。

Q4. 三者間契約書にすると、偽装請負と判断されやすくなりますか?

A. 判断材料になるのは、甲が個々の業務従事者を指名したり、就業を拒否したりしている状態です。疑義応答集(第3集)のA7は、個人を特定できず指名も就業拒否もできない書き方であれば、配置等の決定及び変更に関与しているとまではいえないとしています。配布テンプレートが第7条第3項で氏名による特定をやめ、別紙2に氏名欄を作っていないのは、この範囲に収めるためです。

Q5. 産業廃棄物の処理委託を三者で結びたいのですが、使えますか?

A. この配布テンプレートは向きません。環境省の通知は、排出事業者は委託する処理業者を自らの責任で決定すべきものであり、処理委託の根幹的内容は排出事業者と処理業者の間で決定するものであって、これらの決定を第三者に委ねるべきではないとしています。廃棄物処理法施行令第6条の2も、運搬と処分をそれぞれ許可を有する業者に委託する建て付けです。

15. まとめ:三者間の形を選んだ帰結を、契約書の空欄で決める

三者間業務委託契約書は、2者の契約書を2本作るより手軽な書面ではありません。1通にまとめた代わりに、決めておく事項が増えます。埋める前に、次の順で確かめてください。

  • 2本立てで足りないかを先に見る。足りるなら、そのほうが軽い
  • 産業廃棄物の処理委託には使わない。丙が甲の指揮命令下に入るなら、必要なのは派遣契約か雇用契約
  • 甲が丙を名指しした書面にしない。業務従事者の決定と変更は丙に置き、別紙2は氏名ではなく技術・技能の水準と経験年数で書く
  • 丙が自ら雇用する労働者を充てるのか、丙自身が個人事業主として動くのかで、見る法律が労働者派遣法か職業安定法かに分かれる
  • 丙が特定受託事業者なら、60日以内か、3つの事項を明示したうえで元委託支払期日から30日以内か
  • 検査を完了する期日、契約不適合を通知することができる期間、賠償の額の上限は、甲乙間と乙丙間でずれた分を乙が被る
  • 委託料の2本は、同じ号の課税事項に当たるなら合算される。課税文書に当たるなら3通で3通が課税され、負担者を決めても対外的には3者が連帯する
  • 乙が抜けたときに甲丙で続けるか終わらせるかを、締結の前に選んでおく

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甲=委託者、乙=受託者、丙=業務受託者の3者が1通に署名する形 — 前文と署名欄まで3者分です

第7条(業務従事者の決定及び変更は丙が行う)と第8条(甲は指名しない)を対で収録

別紙2 要員要件書 — 氏名・生年月日・所属・職務経歴の欄を作らず、技術及び技能の水準と経験年数で要員を特定します

フリーランス法の明示事項を条文化 — 再委託である旨・元委託者の名称・元委託支払期日を1通に書けます

別紙3 個人情報及び秘密情報の取扱条件 — 報告・監査・返還または廃棄まで書けます

成果物の権利は2つの経路から選択 — 著作権法第27条・第28条の特掲つき

直接取引の禁止は期間・範囲・代償を書き込む形 — 未記載なら効力を有しないと明記してあります

解除の連動と、乙が抜けたときの扱いを選択肢で用意

作成通数は紙3通・紙1通と複写した写し・電磁的記録の3択 — 印紙の負担者と連帯の確認つき

別紙1 委託業務明細書つき — 業務の内容と検査の基準を特定できます

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