建物使用貸借契約書テンプレート・雛形|無償で貸すときの期間・費用・返還の書き方
建物使用貸借契約書テンプレートを無料ダウンロード(会員登録不要・Word形式)。無償で貸すときの期間・使用目的・費用負担・原状回復の書き方から、書面にする意味を定めた民法第593条の2、収入印紙が不課税である根拠まで解説します。
公開日: (更新: )
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建物使用貸借契約書テンプレート
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- Word
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- 無料
- 更新日
- 2026-09-08
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この建物使用貸借契約書、印刷・郵送・押印なしでそのまま送れます。
ムスビサインを無料で始める「息子夫婦を空き家に住まわせることになった。家賃は取らないが、何を紙に残せばいいのか分からない」 「知人に事務所の一室を無料で使わせている。出ていってほしくなったとき、こちらから言えるのだろうか」 「無償で貸すだけなのに、契約書に収入印紙は貼るのか」
この記事では、建物を無償で貸すための建物使用貸借契約書のWordテンプレートを配布します。
賃料欄は置いていません。いつ返してもらうか、費用は誰が持つか、返還時にどこまで直させるか。迷うところは□にチェックを付けるだけで決められる形にしてあります。
会員登録もメールアドレスの入力も不要です。
この記事の結論
- 民法第593条の要件は、無償であることです。対価を定めると民法第601条の賃貸借に変わるため、テンプレートには賃料欄そのものを置いていません。
- 書面にする法的効果は民法第593条の2にあります。口約束だと貸主は引渡し前に解除できますが、書面ならできません。
- いつ返してもらえるかは、テンプレートの〈使用目的〉と〈使用貸借の期間〉の2つの□で決まります(民法第597条・第598条)。
- 通常の必要費は借主が負担するのが民法第595条第1項の既定値で、賃貸借の感覚とは向きが逆です。
- 建物の使用貸借契約書は不課税です。非課税とは別の扱いです。
- 返還時の原状回復は、民法第599条第3項に通常損耗を除く括弧書きが置かれていないため、契約書で範囲を決めます。
- 無償でも税務は別問題です。親族間の家屋の無償貸与には相続税法基本通達9-10があり、社宅を無償で貸すと賃貸料相当額が給与として課税されます。
目次
- 建物使用貸借契約書テンプレートの無料ダウンロード
- 使用貸借と賃貸借はどこで分かれるか|民法第593条の要件は「無償」であること
- 口約束と何が違うのか|書面にすると貸主は引渡し前に解除できなくなる
- 「いつ返してもらえるか」は〈使用目的〉と〈使用貸借の期間〉の埋め方で決まる
- 費用は誰が負担するか|固定資産税相当額を借主に負担させてよいか
- 終わらせ方の設計|解除・借主の死亡・貸主に相続が生じた場合
- 返還時にどこまで直させるか|通常損耗と経年変化の書き分け
- 建物使用貸借契約書に収入印紙は必要か|不課税と、課税されてしまう2つの書き方
- 無償で貸すと贈与税がかかるのか|土地(宅地)の取扱いと、家屋の無償貸与
- 場面別の埋め方|親子間・知人間・社宅・社長と自社
- 紙のままで足りる場合と、電子契約にしたほうがよい場合
- ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:空欄を3か所決めれば、返してもらえる形になる
1. 建物使用貸借契約書テンプレートの無料ダウンロード
「無償で貸す」という一点だけで、賃貸借の書式は使い回せなくなります。
賃料、敷金、更新料、保証金。賃貸借契約書の中心にある欄を、使用貸借では1つも使いません。
代わりに埋めるのは、次の4つです。何のために使わせるか。いつまで貸すか。費用は誰が持つか。返すときにどこまで直させるか。
| 決めること | テンプレートの条 | 決め方 |
|---|---|---|
| 何のために使わせるか | 〈使用目的〉 | 5つの□から1つ選ぶ |
| いつまで貸すか | 〈使用貸借の期間〉 | 日付を入れるか、「期間を定めない」を選ぶ |
| 固定資産税・都市計画税 | 〈費用の負担〉 | 相当額をもらうか、もらわないかの2択 |
| 解除の予告 | 〈解除〉 | 予告する月数を入れるか、定めないか |
| 返還時にどこまで直させるか | 〈明渡し、原状回復及び収去〉 | 通常損耗を除くか、含めるかの2択 |
なお、この記事では民法の条文を「民法第597条第1項」のように番号で書き、テンプレート側の条は〈使用貸借の期間〉のように条名で書きます。契約書の条番号と法律の条番号が並ぶと、読み違えるためです。
テンプレートは貸主を「甲」、借主を「乙」と表記します。この記事で甲とあれば貸主、乙とあれば借主のことだと読んでください。
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2. 使用貸借と賃貸借はどこで分かれるか|民法第593条の要件は「無償」であること
「家賃は取らないけれど、光熱費くらいはもらおうか」。この一言で、契約の種類の話が始まります。
民法第593条は、使用貸借を「相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約する」ことによって効力を生ずる契約と定めています。無償であることが、条文に書かれた要件です。
一方、民法第601条の賃貸借は「その賃料を支払うこと」を約する契約です。2つの条文を並べると、文言のうえでの分かれ目は賃料の有無です。
だから配布するテンプレートには賃料欄がありません。欄が無いのは、省略ではありません。欄を作らないこと自体が、無償という要件を保つための手段です。
〈無償による貸与〉の条には、賃料、使用料その他名目のいかんを問わず対価を請求しない、と書いてあります。
借地借家法の条文が相手にしているのは誰か
正当事由や法定更新の話が使用貸借の解説に出てこないのはなぜか。
| 条文 | 条文が適用の対象として書いているもの |
|---|---|
| 借地借家法第1条(趣旨) | 建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等/建物の賃貸借の契約の更新、効力等 |
| 借地借家法第2条(定義) | 借地権=建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 |
| 借地借家法第26条(法定更新) | 建物の賃貸借について期間の定めがある場合 |
| 借地借家法第28条(正当事由) | 建物の賃貸人による第26条第1項の通知/建物の賃貸借の解約の申入れ |
| 借地借家法第31条(引渡しによる対抗力) | 建物の賃貸借 |
いずれも、条文が名指ししているのは地上権・土地の賃借権・建物の賃貸借です。使用貸借でこれらの規定をあてにできるかどうかは、この主語から出発して考えることになります。
個別の事案での結論は、弁護士にご確認ください。
貸している建物を売ったとき
民法第605条は「不動産の賃貸借は、これを登記したときは」と書いています。借地借家法第31条は「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは」と書いています。
どちらも、対抗力を認める相手として賃貸借を挙げています。
テンプレートには〈本件建物の譲渡等〉の条を置いてあります。
第三者への譲渡や担保権の設定の前に借主へ通知し、〈協議〉の条で話し合うと決めているのは、この書きぶりを踏まえたものです。
- 賃料を受け取るなら、それは賃貸借です → 賃貸借契約書テンプレート・雛形
- 建物の所有権そのものを無償で渡すなら、それは贈与です → 贈与契約書テンプレート・雛形
3. 口約束と何が違うのか|書面にすると貸主は引渡し前に解除できなくなる

「口約束でも成立するなら、契約書は要らないのでは」と考えたなら、民法第593条の2を読んでください。
条文はこうです。「貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。」
鍵を渡すまでの間、口約束のままなら貸主のほうから解除できます。書面による使用貸借は、その例外とされています。
書面にすることで変わるのは、まさにここです。「後で揉めたときの証拠になる」という一般論とは別に、条文が名指しで効果を与えている場面があります。
借りる側から見ると、意味が反転します。
貸してもらえる前提で引っ越しの手配を進めたのに、引渡しの前日に「やっぱりやめた」と告げられる。書面が無ければ、条文の本文がそのまま働きます。
誰に、どの範囲を、いつまで貸すのかを決めてから署名してください。
2020年4月1日施行の民法改正で、条番号が動いている
古いひな形を拾ってくると、条番号が合いません。
民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)による改正は、2020年4月1日に施行されました。このとき、使用貸借の条文は組み替えられています。
| 2020年3月31日までの民法 | 現行の民法 |
|---|---|
| 第593条「無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる」 | 第593条「ある物を引き渡すことを約し……返還をすることを約することによって、その効力を生ずる」 |
| 2020年3月31日時点の条文には、借用物受取り前の貸主による解除を定めた条が見当たらない | 第593条の2(借用物受取り前の貸主による使用貸借の解除) |
| 第596条 見出し「貸主の担保責任」 | 第596条 見出し「貸主の引渡義務等」 |
| 第597条「借用物の返還の時期」 | 第597条(期間満了等による使用貸借の終了)と第598条(使用貸借の解除)に分かれた |
| 第598条「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる」 | 第599条(借主による収去等) |
| 第599条「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う」 | 第597条第3項 |
手元のひな形に「民法第599条により、本契約は乙の死亡によって終了する」と書いてあったら、それは2020年3月31日までの条番号です。現行では民法第597条第3項です。
配布するテンプレートは、現行の条番号で作ってあります。
4. 「いつ返してもらえるか」は〈使用目的〉と〈使用貸借の期間〉の埋め方で決まる
使用貸借で最後に揉めるのは、返してもらう場面です。
そして返してもらえる時期は、テンプレートの〈使用目的〉と〈使用貸借の期間〉という、離れた2つの条の組み合わせで決まります。片方の答えが、もう片方の意味を変えます。
| テンプレートの埋め方 | どうやって終わるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 〈使用貸借の期間〉に日付を入れる | その期間が満了することによって終了する | 民法第597条第1項 |
| 期間は「定めない」を選び、〈使用目的〉で目的を選ぶ | 借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。終える前でも、目的に従い使用収益をするのに足りる期間が経過したときは貸主が解除できる | 民法第597条第2項・民法第598条第1項 |
| 期間も目的も「定めない」を選ぶ | 貸主はいつでも契約の解除をすることができる | 民法第598条第2項 |
3つのうち、どれを選ぶか
返してもらう日がすでに決まっているなら、〈使用貸借の期間〉に日付を入れます。
「□ [YYYY年MM月DD日]から[YYYY年MM月DD日]まで」にチェックを付け、始期には引渡日を、終期には「長男が高校を卒業する年の3月末日」のように先に合意した日を西暦で書きます。
ここが埋まっていれば、返還の話は日付の確認だけで済みます。
期間は決められないが用途は決まっている、という場合。〈使用目的〉で目的を選び、期間は「期間を定めない」を選びます。記入例は「□ 乙の事業の用(業種:学習塾)」です。
この形なら、目的に従い使用収益をするのに足りる期間が経過したときに、貸主から解除できます。
どちらも決めないと、貸主はいつでも解除できます。
テンプレートの〈使用貸借の期間〉の第2項に、この確認をわざわざ条文として置いてあるのは、選ばなかった結果が読み取れる形にするためです。
借主の側は、民法第598条第3項でいつでも解除できます。
急に出ていかれると困るなら、〈解除〉の末尾にある□を使ってください。「[予告する月数]か月前までに、書面により相手方に通知して解除する」を選び、月数を入れます。「6」と入れれば、解除の6か月前までに書面で伝える約束になります。
「使用収益をするのに足りる期間」は、どのくらいで経過するのか
期間を定めない選び方には、返してもらえる時期が読みにくいという裏側があります。「足りる期間」が何年なのかは、条文には書かれていません。
裁判所の判断を3つ挙げます。いずれも旧民法第597条第2項ただし書、いまの民法第598条第1項に対応する規定についてのものです。
まず、建物の事案です。
建物の使用貸借が借主とその家族の長期間の居住を目的とするものであっても、借主が使用を始めてから約32年4か月を経過したときは、特段の事情のない限り、その目的に従った使用収益をするのに足りる期間は経過したものと認めるべきだとされました。
土地の事案では、逆向きの判断が出ています。
木造建物の所有を目的とする土地の使用貸借について、契約締結後に約38年8か月が経過し、その間に貸主と借主の人的つながりの状況が著しく変化しているという事実関係の下でのことです。借主に他に居住する所がないというだけでは、足りる期間の経過を否定することはできないとされました。
年月だけが手がかりになるわけでもありません。
親子間の土地の使用貸借で、当事者間の信頼関係が失われたという事実関係を理由に、旧民法第597条第2項ただし書を類推適用して貸主から解約できるとされた例もあります。
3つに共通しているのは、「何年たてば返してもらえる」という線が引かれていないことです。判決自身が「特段の事情のない限り」と条件を付けています。
期間を定めずに貸すなら、返還までに長い年月がかかりうることを承知したうえで選んでください。返す時期をはっきりさせたいなら、〈使用貸借の期間〉に日付を入れるのが確実です。
💡 期間と使用目的の□を選ぶだけで、返してもらう時期が決まります
建物使用貸借契約書テンプレートは、会員登録もメールアドレスの入力も不要です。民法第597条と第598条が定める3つの分かれ道を、そのまま□に落としてあります。選んだ行を残して不要な行を消せば、そのまま署名まで進めます。
5. 費用は誰が負担するか|固定資産税相当額を借主に負担させてよいか
電球が切れた、給湯器の点検時期が来た。こうした日常の費用でどちらが払うかを迷ったら、民法第595条第1項が既定値です。
「借主は、借用物の通常の必要費を負担する」。賃貸借の感覚のまま読むと、向きが逆に見えるはずです。
無償で使わせている以上、日常の維持費は使っている側が持つ。そういう組み立てになっています。
通常の必要費を超える支出については、民法第595条第2項が民法第583条第2項を準用しています。そして同項が、民法第196条に従って償還すると定めています。
テンプレートの〈費用の負担〉の第4項は、この流れをそのまま条文として書いたものです。台風で壊れた屋根の修理のように、借主が立て替えることがある費用のためです。
電気・ガス・水道は〈費用の負担〉の第1項で借主負担と書いてあります。通信費や町内会費のように建物ごとに違うものは、同じ項の[ ]に足してください。
固定資産税相当額を借主に負担させてよいか
テンプレートの〈費用の負担〉の第2項には、「乙は、これらに相当する額を甲に支払う」と「乙は、これらを負担しない」の2択を置いてあります。
相当額を受け取ると、賃貸借になってしまうのか。判断材料は3つあります。
1つめは民法第601条です。賃貸借は「その賃料を支払うこと」を約する契約だと書いてあり、条文の文言としての分かれ目は賃料の有無です。
2つめは、国税庁の通達「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」です。
この通達は使用貸借を民法第593条に規定する契約と定義したうえで、「土地の借受者と所有者との間に当該借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものはこれに該当し、当該土地の借受けについて地代の授受がないものであっても権利金その他地代に代わるべき経済的利益の授受のあるものはこれに該当しない」としています。
ただし、この通達が定めているのは土地についての相続税・贈与税の取扱いです。民事上どちらの契約に当たるかを決めた文書ではありません。
3つめが判例です。
建物の借主が、その建物を含む貸主所有の不動産に賦課された固定資産税等の公租公課の支払を負担していた、という事案があります。最高裁は、その負担が建物の使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特段の事情のないかぎり、当該貸借関係は使用貸借であると認めるのが相当だとしました。
土地の事案でも、借主が金銭を支払っていたにもかかわらず、その使用関係は賃貸借ではなく使用貸借と認めるのが相当だとされたものがあります。
分かれ目は、金銭を払ったかどうかではありません。その金銭が対価の意味をもつと認めるに足りる特段の事情があるかどうかです。
テンプレートの〈費用の負担〉の第3項には、「前2項により乙が負担し、又は甲に支払う金銭は、本件建物の使用及び収益の対価ではない」と書いてあります。
「対価の意味をもつか」という問いに対して、当事者がどういうつもりでその金銭を動かしたのかを、あらかじめ書面に残しておくためです。
いくらにするかは税理士に、その金額を受け取っても使用貸借のままといえるかは弁護士にご確認ください。
親族のあいだで別に金銭の貸し借りがあるなら、それは使用貸借とは切り離して書面にしてください。
6. 終わらせ方の設計|解除・借主の死亡・貸主に相続が生じた場合
使用貸借の終わりは、3つの方向から来ます。約束を破ったとき、借主が亡くなったとき、そして貸主のほうに相続が起きたときです。
約束を破ったとき
民法第594条第1項は、用法に従った使用収益を求めています。同条第2項は、貸主の承諾なく第三者に使用収益させることを禁じています。
そして同条第3項が、「借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、貸主は、契約の解除をすることができる」と定めています。
テンプレートの〈解除〉の第1項は、借主が〈使用目的〉・〈用法の遵守〉・〈転貸及び権利譲渡の禁止〉・〈増改築及び造作の設置〉のいずれかに違反したときに、貸主が解除できると書いてあります。無断の転貸や権利の譲渡については、〈転貸及び権利譲渡の禁止〉の第3項でも、催告を要せず直ちに解除できるとしています。
ここで効いてくるのが〈使用目的〉です。「居住の用」で貸した部屋が民泊に使われていた、という話は、目的を書いていなければ違反かどうかを判定できません。
解除の予告についても、区別してあります。
〈解除〉の第5項の予告がかかるのは、足りる期間の経過による解除、期間も目的も定めなかった場合のいつでも解除、そして借主からの解除の3つです。違反による解除には、〈解除〉の第6項により予告が要りません。
用法違反や無断転貸が起きているのに、予告した月数だけ待たなければならない。そういう契約にならないようにしています。
借主が亡くなったとき
民法第597条第3項は、「使用貸借は、借主の死亡によって終了する」と定めています。
テンプレートの〈借主の死亡による終了〉は、借主の地位と使用収益する権利が相続人に承継されないことを、当事者に確認させる条です。
相続人が住み続ける前提で話が進んでいるなら、相続人との間で新しい使用貸借を結び直すか、賃貸借に切り替えるかを決めることになります。
「そのまま住んでいる」という状態を放置すると、何の契約に基づいて住んでいるのかが分からなくなります。
貸主が亡くなったとき
条文を読み比べると、終了事由として挙げられているのは借主の死亡です。貸主側については、民法第896条の原則に戻ります。
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」
一身に専属したものといえるかどうかは、事案によります。条文だけで「貸主が死んでも契約は続く」と決め切ることはできません。
だからテンプレートには〈貸主に相続が生じた場合の取扱い〉を置いてあります。相続人が甲の地位を承継すること、借主から相続人へ存続か終了かの協議を申し入れられることを書いた条です。
話し合いの入口を、あらかじめ契約書のなかに作っておく形です。
相続人が複数いて建物の帰属が決まっていないなら、遺産分割の話と並行します。
明渡しの時期や条件を話し合いで決着させるなら、合意の書面を別に交わします。
7. 返還時にどこまで直させるか|通常損耗と経年変化の書き分け
返してもらった部屋の壁紙が日に焼けている。これを借主に直させられるかどうかは、2つの条文を読み比べるところから始まります。
民法第621条(賃借人の原状回復義務)は、こう書いています。
「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。」
括弧書きで、通常損耗と経年変化が外れています。
民法第599条第3項(使用貸借)は、こう書いています。
「借主は、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、使用貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」
同じ括弧書きは、置かれていません。
この違いを踏まえて、テンプレートの〈明渡し、原状回復及び収去〉の第3項は2択にしてあります。
| テンプレート〈明渡し、原状回復及び収去〉第3項で選ぶ□ | 借主が直す範囲 | 選ぶ場面 |
|---|---|---|
| 通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化を除き、乙が原状に復する | 通常損耗と日焼け・色あせは借主に求めない | 身内や知人に住まわせる。関係を壊さずに終わらせたい |
| 通常の使用及び収益によって生じた損耗及び経年変化を含め、乙が原状に復する | 通常損耗と経年変化も借主が直す | 事業の用に使わせる。返還後にすぐ別の用途に回す予定がある |
無償で住まわせた身内に壁紙の張り替えまで求めるのかどうかは、法律の問題である前に関係の問題です。
だから条文で決め切らず、□で選ばせる形にしました。
収去のほうは、民法第599条第1項と第2項です。附属させた物を収去する義務と、収去することができる権利の両方が定められています。借用物から分離することができない物、分離するのに過分の費用を要する物は、義務から外れます。
テンプレートの〈増改築及び造作の設置〉で事前の承諾を求めているのは、後から収去の対象を数えられるようにするためです。
そして、判定の基準になるのは引渡しのときの状態です。
テンプレートの〈引渡し及び現状有姿〉の第2項では、別紙または写真による記録を相互に確認し、その記録を〈明渡し、原状回復及び収去〉の第3項の判断基準にすると書いてあります。民法第596条は民法第551条を準用し、同条は「贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する」と定めています。
鍵を渡す日に、部屋の写真を撮ってください。返還のときに何を直すかの話は、その写真があるかどうかで長さが変わります。
返してもらったあとにも、期限があります。
民法第600条第1項は、契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償と、借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならないと定めています。民法第600条第2項は、この損害賠償の請求権について、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は時効は完成しないとしています。
テンプレートの〈損害賠償及び費用の償還の請求期間〉は、この第1項をそのまま条文にしたものです。鍵を受け取ったら、その場で室内を確認してください。
8. 建物使用貸借契約書に収入印紙は必要か|不課税と、課税されてしまう2つの書き方

先に結論を書きます。建物の使用貸借契約書に、収入印紙は要りません。不課税です。
根拠は2つあります。
1つめは、課税物件表に建物が掲げられていないことです。
国税庁のタックスアンサーで第1号の2文書として掲げられているのは「地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書」です。建物は、ここに出てきません。
2つめは、国税庁の印紙税法基本通達です。土地の使用貸借権の設定に関する契約書について、「使用貸借に関する契約書に該当するのであるから課税文書に当たらない」としています。
土地の賃借権と使用貸借権の区分は対価を支払うものかどうかで決まる。この考え方も、国税庁の質疑応答事例に書かれています。
課税物件表に掲げられていないので課税の対象にならない。これが不課税です。「非課税」と書いてある解説を見かけたら、そこは区別してください。
同じ国税庁のタックスアンサーで第1号文書の税額表を見ると、契約金額が1万円未満のものは「非課税」と書かれています。こちらは課税物件表に掲げられたうえで税額が生じない扱いで、不課税とは別のものです。
国税庁は、賃貸借に関する事項のみが記載されている建物賃貸借契約書についても「不課税文書」という語を使っています。
自分の書類がどの号に当たるかを通しで確かめたいときは、号数の判定を一覧で見るのが早いです。
課税文書になってしまう2つの書き方
不課税という結論は、書いてある内容次第で崩れます。配布するテンプレートに保証金の条項と金銭の受領文言を置いていないのは、次の2つを避けるためです。
1つめは、金銭を受領した旨の文言を書き加えた場合です。
国税庁は、契約書の中に金銭の受領文言等の記載のあるものは金銭の受取書(第17号文書)に該当することになる、としています。「保証金として金◯円を受領した」と1行足すだけで、扱いが変わり得ます。
2つめは、保証金等を受領して据置き後に返還すると約した場合です。
印紙税法基本通達は、貸ビル業者等がビル等の賃貸借契約または使用貸借契約(その予約を含む)をする際等に、当該ビル等の借受人等から建設協力金・保証金等として一定の金銭を受領し、契約期間に関係なく一定期間据置き後に一括返還または分割返還することを約する契約書を、第1号の3文書(消費貸借に関する契約書)として取り扱うとしています。
通達が使用貸借契約を明文で挙げている箇所です。
金銭の授受があるなら、この契約書とは別の書面で処理してください。
💡 収入印紙を貼らずに済む形のまま配布しています
保証金の受領文言も据置き返還の条項も置いていないので、不課税の前提を崩さずに使えます。会員登録不要・Word形式で、ダウンロード後は当事者の表示と□を埋めるだけです。
9. 無償で貸すと贈与税がかかるのか|土地(宅地)の取扱いと、家屋の無償貸与
無償で貸すと贈与税がかかるのではないか。この心配には、建物と土地で答えの出どころが違うという事情があります。
「使用権の価額はゼロ」という国税庁の取扱いは、土地(宅地)についてのものです。建物(家屋)を無償で貸す場面には、別の通達があります。
土地(宅地)についての取扱い
国税庁の通達「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」は、「当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱う」としています。ここでいう使用貸借は、民法第593条に規定する契約です。
タックスアンサー「親の土地に子供が家を建てたとき」は、「使用貸借により土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われていますので、この場合、子供が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはありません」と書いています。
相続の場面については「相続税の計算のときのこの土地の価額は、他の人に賃貸している土地ではなく自分が使っている土地として評価されます」としています。「使用貸借に係る土地を贈与により取得したとき」でも、「その敷地の贈与を受けたときは、貸家建付地ではなく自用地の贈与を受けたことになります」と書かれています。
質疑応答事例(財産評価)も、「使用貸借により貸し付けている宅地の価額は自用地価額で評価する」としています。その理由として国税庁は、使用借権を「対価を伴わずに貸主、借主間の人的つながりのみを基盤とするもので借主の権利は極めて弱い」と説明しています。
評価の場面で述べられた説明であって、民事上どこまで守られるかを述べたものではない点に注意してください。
土地そのものを無償で貸す契約書が必要な場合は、書式も論点も別になります。
家屋を無償で貸したときは、別の通達がある
ここまでの取扱いを、建物にそのまま持ってくることはできません。通達もタックスアンサーも質疑応答事例も、対象は土地(宅地)です。
家屋については、評価ではなく、みなし贈与の側に国税庁の文書があります。
相続税法第9条は、対価を支払わないで利益を受けた場合においては、その利益を受けた時に、その利益の価額に相当する金額を贈与により取得したものとみなすと定めています。
そして相続税法基本通達9-10は、夫と妻、親と子、祖父母と孫等特殊の関係がある者相互間において、無償又は無利子で土地、家屋、金銭等の貸与があった場合には、相続税法第9条に規定する利益を受けた場合に該当するものとして取り扱う、としています。
家屋が名指しされています。
同じ通達には、ただし書があります。「その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、強いてこの取扱いをしなくても妨げない」。
したがって、「建物を無償で貸しても贈与税はかからない」とは言えません。かといって「必ず課税される」とも言えません。
どこからが少額なのか、どういう場合に課税上弊害がないと認められるのか。金額の基準は、国税庁の文書に示されていません。
親族に家を無償で貸すことが決まっているなら、契約書を作る前に税理士に相談してください。相談のときは、使用目的・期間・固定資産税相当額の3か所を仮に選んだ状態のファイルを持っていくと、話が早く済みます。
小規模宅地等の特例をあてにしているなら
貸付事業用宅地等は、相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等をいいます。ここでいう貸付事業は、不動産貸付業・駐車場業・自転車駐車場業および準事業に限られます。
この準事業は「事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの」と定義されています。
無償で貸している状態がこの定義に当てはまるかどうかは、相続の設計そのものに関わります。契約書を作る前に、税理士に確認してください。
10. 場面別の埋め方|親子間・知人間・社宅・社長と自社
同じテンプレートでも、□の選び方は場面で変わります。
| 場面 | 〈使用目的〉 | 〈使用貸借の期間〉 | 固定資産税・都市計画税の相当額を借主から受け取るか | 〈解除〉の予告 | 原状回復の範囲 |
|---|---|---|---|---|---|
| 親が所有する家に子を住まわせる | 乙及び同居の親族の居住の用 | 期間を定めない | 受け取らない | 月数を入れる | 通常損耗・経年変化を除く |
| 知人に部屋や倉庫を一時的に使わせる | 物品・車両の保管の用 など具体的に | 日付を入れる | 受け取らない | 予告期間を定めない | 通常損耗・経年変化を除く |
| 会社が社員に社宅として住まわせる | 乙及び同居の親族の居住の用 | 期間を定めない | 受け取らない(賃貸料相当額の給与課税を別に検討する) | 月数を入れる | 通常損耗・経年変化を除く |
| 社長個人の建物を自社に使わせる | 乙の事業の用(業種を記入) | 日付を入れる | 税理士に確認のうえ決める | 月数を入れる | 通常損耗・経年変化を含める |
親子間では、期間を切りにくい代わりに目的がはっきりしています。〈使用目的〉で居住の用を選んでおけば、期間を定めなくても「いつでも解除できる」状態にはなりません(民法第597条第2項・民法第598条第1項)。
使わせる範囲が家の一部なら、〈本件建物の表示〉で「本件建物の一部」を選び、階数と部屋名を書きます。
知人間では、逆に期間を入れてください。関係が近くない相手ほど、終わりの日付があると話が早く済みます。予告期間は置かないほうが、期日どおりに終われます。
社宅では、在職と居住が連動します。
〈使用目的〉で居住の用を選び、期間は定めずに、〈解除〉の予告に月数を入れておくと、退職や異動に合わせて動かせます。会社が貸主、社員が借主という向きです。
ただし、社宅には税務の分岐が付いてきます。
国税庁は、使用人に社宅や寮などを貸与する場合、使用人から1か月当たり賃貸料相当額の50パーセント以上の家賃を受け取っていれば給与として課税されないとしています。裏返せば、無償で貸与する場合は賃貸料相当額が給与として課税されます。役員に無償で貸与する場合も、同じく賃貸料相当額が給与として課税されるとされています。
例外はあります。看護師や守衛など、仕事を行う上で勤務場所を離れて住むことが困難な使用人に、仕事に従事させる都合上貸与する場合は、無償で貸与しても給与として課税されない場合があるとされています。
ここが設計の分かれ目です。家賃を受け取れば、対価を支払う契約になります。民法第601条の賃貸借となり、このテンプレートの前提が崩れます。
社宅は「無償で貸して賃貸料相当額の給与課税を受け入れる」か「家賃を受け取って賃貸借契約書に切り替える」かの二択です。賃貸料相当額をいくらと見るかを含めて、税理士にご確認ください。
社長と自社は、契約書より先に確認することが2つある型です。
1つは税務です。
国税庁の通達は、当事者のいずれか一方が法人である場合のその一方の個人については、法人税の取扱いに準拠して取り扱うとしています。個人間を前提にした取扱いを、そのまま当てはめることはできません。
固定資産税相当額を会社から受け取るかどうかも、通達の線引きだけでは決められません。顧問税理士に確認してください。
もう1つは会社側の手続です。
会社法第356条は、第1項第2号で、取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするときは、株主総会において当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならないと定めています。会社法第365条により、取締役会設置会社ではこの「株主総会」が「取締役会」に読み替えられます。
無償で貸すことがこの「取引」に当たるかどうかを述べた公的な文書は、見つけられませんでした。社長個人と自社のあいだで契約書を交わすなら、承認の要否を弁護士にご確認ください。
💡 4つの場面のどれでも、使うファイルは同じ1つです
親子間・知人間・社宅・社長と自社のいずれも、変わるのは□の選び方だけです。会員登録不要でダウンロードして、この章の表のとおりに選んでください。
11. 紙のままで足りる場合と、電子契約にしたほうがよい場合

先に、紙のままで足りる場合を書きます。
同居の親族に貸すだけで、当事者が同じ場所に集まって署名できるなら、紙で足ります。印刷して、記名押印して、それぞれが原本を持てば終わりです。
この契約書は不課税なので、紙にしたからといって印紙代がかかるわけでもありません。無理に電子化する理由はありません。
電子契約にしたほうがよいのは、当事者が離れているときです。遠方に住む子ども、単身赴任中の社員、県外の知人。
郵送で往復させると、署名が揃うまでに日数がかかります。返してほしい日が決まっている書類ほど、締結が後ろにずれるのは困ります。
ムスビサインは立会人型(事業者署名型)の電子署名で、電子署名法第3条に対応しています。締結時にPAdES B-LTA署名・AATL証明書・総務大臣認定タイムスタンプを付与します。
そして、受領者はアカウント登録が不要です。使用貸借の相手は親族や知人になりやすいので、「そのためにサービスに登録して」と頼まずに済むことは、この書類では効きます。
電子契約で締結した使用貸借は「書面による使用貸借」に当たるか
ここは断定を避けます。
民法第593条の2のただし書は、「書面による使用貸借」を例外としています。
消費貸借については、民法第587条の2第4項に「消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する」というみなし規定が置かれています。
この記事で参照している使用貸借の条文(民法第593条・民法第593条の2)には、同じ形の定めが見当たりません。
したがって、電子契約で締結した使用貸借が民法第593条の2のただし書に当たるかどうかは、条文からは決められません。
引渡し前の解除を確実に封じておきたい取引、金額や期間の重い取引では、弁護士にご確認ください。
引渡しを済ませたあとで合意の内容を残すという意味であれば、電子でも紙でも同じように残せます。
印紙の扱いを電子契約と紙で比べたいときは、こちらを参照してください。
12. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
Wordファイルを開いたら、触るのは2種類だけです。黄色くハイライトされた [ ] と、行頭の □ です。
それ以外の条文は、そのままで構いません。
前で決めたことが、そのまま次の判断材料になります。
- 〈本件建物の表示〉 — 登記事項証明書のとおりに、所在・家屋番号・種類・構造・床面積を書き写します。使わせるのが建物の一部なら「本件建物の一部」を選び、階数と部屋名を入れます。
- 〈使用目的〉 — 5つの□から1つ選びます。ここで「使用及び収益の目的を定めない」を選ぶと、次の3の意味が変わります。
- 〈使用貸借の期間〉 — 日付を入れるか、「期間を定めない」を選びます。2と3の両方で「定めない」を選ぶと、貸主はいつでも解除できます(民法第598条第2項)。
- 〈費用の負担〉の固定資産税・都市計画税 — 相当額を受け取るか、受け取らないかを選びます。受け取る側にするなら、税理士に確認してからにしてください。
- 〈解除〉の予告 — 予告する月数を入れるか、「予告期間を定めない」を選びます。
- 〈明渡し、原状回復及び収去〉の原状回復の範囲 — 通常損耗と経年変化を除くか、含めるかを選びます。
手順1は、登記事項証明書が手元にない段階で止まります。親名義の家だから自分では取れない、と思っているなら、取れます。
不動産登記法第119条は、その第1項で「何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(以下「登記事項証明書」という。)の交付を請求することができる」と定めています。所有者本人でなくてよい書き方です。
さらに同条第5項は、法務省令で定める場合を除き、不動産の所在地を管轄する登記所以外の登記所の登記官に対しても請求できるとしています。遠方の実家の分を、近くの法務局で受け取れます。
手数料の額は改定されることがあるので、法務省のホームページで確認してください。
□ の消し方には、決まりがあります。選ばなかったほうの行は、まるごと削除してください。
□ を残したまま渡すと、どちらで合意したのかが読み取れません。チェックの印を付けるより、選んだ行だけを残すほうが確実です。
最後に締結日と当事者の住所・氏名を入れ、記名押印または電子署名をします。
〈合意管轄〉には、地名を書き込む欄を置いていません。「甲の住所地(甲が法人である場合は本店所在地)を管轄する地方裁判所」と書いてあるので、引っ越しても書き直さずに済みます。
電子で締結するなら、埋め終わったファイルをPDFに書き出してください。ムスビサインはPDFをアップロードして相手に送る形なので、そのまま署名の依頼に進めます。
13. よくある質問(FAQ)
Q1. 貸主が亡くなったら、使用貸借は終わりますか?
A. 民法第597条第3項が終了事由として挙げているのは、借主の死亡です。貸主側については民法第896条の原則に戻り、相続人が権利義務を承継します。
ただし「被相続人の一身に専属したもの」に当たるかどうかは事案によるため、条文だけで結論は出せません。テンプレートには〈貸主に相続が生じた場合の取扱い〉を置き、相続人と借主が存続か終了かを協議できる形にしてあります。個別の判断は弁護士にご確認ください。
Q2. 契約書を作っていません。いまから作る意味はありますか?
A. あります。いつまで貸すのか、費用は誰が持つのか、返すときにどこまで直すのかは、書面にしないと後から確かめようがありません。
すでに住んでいる相手と結び直すときは、テンプレートの〈引渡し及び現状有姿〉の記録を「現時点の状態」として残しておくと、返還時の基準がはっきりします。
なお、民法第593条の2の効果は借主が借用物を受け取るまでの解除に関するものなので、引渡しが済んでいる場合には、その場面だけは過ぎています。
Q3. 期間を書かないと、ずっと返してもらえないのですか?
A. 期間も使用及び収益の目的も定めなかったときは、貸主はいつでも契約を解除できます(民法第598条第2項)。期間を定めず目的だけを定めたときは、目的に従い使用収益をするのに足りる期間が経過したときに解除できます(民法第598条第1項)。
返してもらう時期をはっきりさせたいなら、テンプレートの〈使用貸借の期間〉に日付を入れるのが最も確実です。
Q4. 固定資産税・都市計画税の相当額を、借主から受け取ってもよいですか?
A. テンプレートの〈費用の負担〉では、相当額を借主から受け取るか、受け取らないかを2択にしてあります。
国税庁の通達は、土地について「公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないもの」は使用貸借に該当するとしています。民事の側では、建物の借主が固定資産税等の公租公課を負担していた事案について、その負担が建物の使用収益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる特段の事情のないかぎり使用貸借であると認めるのが相当だ、とした最高裁の判断があります。
いくらに設定するかは税理士に、その金額を受け取っても使用貸借のままといえるかは弁護士にご確認ください。
Q5. 建物使用貸借契約書に収入印紙は必要ですか?
A. 不課税なので、収入印紙は要りません。第1号の2文書として掲げられているのは地上権または土地の賃借権の設定または譲渡に関する契約書で、建物は掲げられていません。国税庁の印紙税法基本通達も、土地の使用貸借権の設定に関する契約書について「使用貸借に関する契約書に該当するのであるから課税文書に当たらない」としています。
ただし、金銭の受領文言を書き加えると金銭の受取書(第17号文書)に、保証金等を据置き後に返還すると約する条項を置くと第1号の3文書として取り扱われることがあります。テンプレートはどちらも置いていません。
Q6. 社長が自分の建物を自社に無償で貸します。税務はどうなりますか?
A. 契約書の形は本テンプレートで作れます。
ただし国税庁の通達は「この取扱いは、個人間の貸借関係の実情を踏まえて定めたものであるから、当事者のいずれか一方が法人である場合のその一方の個人については、原則として、従来どおり法人税の取扱いに準拠して取り扱うこととなる」としており、個人間を前提にした取扱いをそのまま当てはめることはできません。顧問税理士にご確認ください。
あわせて、会社法第356条が定める取締役と会社の取引の承認が要るかどうかも、弁護士にご確認ください。
Q7. 電子契約で締結した使用貸借は、民法第593条の2の「書面による使用貸借」に当たりますか?
A. 条文からは断定できません。消費貸借については、電磁的記録によってされたときは書面によってされたものとみなす規定が民法第587条の2第4項に置かれています。
この記事で参照している使用貸借の条文には、同じ形の定めが見当たりません。引渡し前の解除を封じることが目的なら、弁護士にご確認ください。
14. まとめ:空欄を3か所決めれば、返してもらえる形になる
使用貸借契約書で本当に迷うのは、〈使用目的〉、〈使用貸借の期間〉、〈明渡し、原状回復及び収去〉の原状回復の範囲の3か所です。
ここが決まれば、あとは登記事項証明書の書き写しと当事者の表示で終わります。
- 〈使用目的〉と〈使用貸借の期間〉 — 両方を「定めない」にすると、貸主はいつでも解除できます(民法第598条第2項)。目的だけを定めた場合は、足りる期間が経過するまで待つことになります。返す時期を決めたいなら、期間に日付を入れます。
- 〈明渡し、原状回復及び収去〉の原状回復の範囲 — 通常損耗と経年変化を借主に負わせるかどうかの2択です。賃貸借の民法第621条には「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」という括弧書きがありますが、使用貸借の民法第599条第3項に同じ括弧書きはありません。
- 賃料欄は足さない — 対価を定めた時点で、民法第601条の賃貸借の話になります。
- 保証金の受領文言も足さない — 国税庁は、金銭の受領文言の記載があるものは金銭の受取書(第17号文書)に該当するとしています。据置き後の返還を約する条項は、印紙税法基本通達により第1号の3文書として取り扱われます。
書面にすること自体に、民法第593条の2という条文上の効果があります。
引渡し前に解除できるかどうかという論点は、口約束のままでは残り続けます。
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✅ 会員登録不要・メールアドレス入力不要 — クリックすればすぐダウンロードできます
✅ Word形式 — 条文も体裁も、そのまま編集できます
✅ 賃料欄を置かない設計 — 対価を定めると民法第601条の賃貸借になるため、欄そのものを作っていません
✅ 期間・使用目的・原状回復の範囲を□で選ぶ形式 — 迷うところだけを選択式にしました
✅ 保証金の受領文言・据置き返還条項なし — 第17号文書・第1号の3文書として取り扱われる書き方を避けています
✅ 違反による解除には予告を要しない形 — 用法違反や無断転貸のときに、予告した月数だけ待たされません
✅ 貸主に相続が生じた場合の条項つき — 民法第896条の原則に戻る場面を、協議の入口として書いてあります
✅ 合意管轄に地名を書き込まない形 — 甲の住所地を管轄する地方裁判所と書いてあるので、引っ越しても書き直さずに済みます
✅ 現行の条番号 — 2020年4月1日施行の改正後の民法に合わせています
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「遠方の子どもと使用貸借契約書を交わしたい」「社宅の書類を郵送でやり取りせずに済ませたい」という方に向いています。
※本記事は公開時点の民法・借地借家法・会社法・不動産登記法・相続税法・印紙税法および国税庁の公表資料に基づいて作成しています。法令や取扱いは変更される場合がありますので、最新の情報は e-Gov 法令検索・国税庁のホームページでご確認ください。個別事案の適法性・税務の判断については、弁護士・税理士にご確認ください。
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