このページの目次
- 提案数と修正回数の決め方
- 追加料金が発生する境目を書面に書く
- ロゴの著作権を譲渡するとどうなるか
- 採用しなかった案の扱い
- 元データ(編集可能データ)を納品するか
- 実績としての公表(ポートフォリオ掲載)
- 着手金と分割払いの書き方
- 制作が途中で止まったときの扱い
- よくある質問
1. 提案数と修正回数の決め方
デザインの業務委託でもっとも作業量が動きやすいのは、提案する案の数と修正の回数です。書面に書くのは次の2つです。
| 項目 | 書き方 |
|---|---|
| 提案する案の数 | 初回に提出する案を何案にするか |
| 無償で対応する修正の回数 | 何回までを報酬の範囲に含めるか |
回数に決まりはなく、当事者が自由に定められるとされています。数を決めておく意味は、回数を超えたときに追加の話をしてよい状態を作ることにあります。書面に何も書かれていないと、追加の作業なのか範囲内なのかを毎回その場で判断することになります。
本ツールでは、STEP2で提案する案の数、STEP4で無償の修正回数を入力できます。
2. 追加料金が発生する境目を書面に書く
「修正3回まで」と書いてあっても、何を1回と数えるのかで受け取り方が変わります。実務でよく分けられているのは次の2つです。
- 決めた方向の中での調整(色を少し変える、文字の大きさを変える)
- 方向そのものの変更(別の案に作り直す、コンセプトを変える)
1を回数に数え、2は業務の内容の変更として扱う形にしておくと、作り直しが発生したときに報酬を改めて定めることができます。本ツールの書面では、検査の結果として行う修正は無償の範囲とし、業務の内容の変更を伴う修正は協議して定める形になっています。
方向の変更が起きやすい案件では、提案の段階(ラフ)と仕上げの段階で修正回数を分けて決める形も使われます。
3. ロゴの著作権を譲渡するとどうなるか
ロゴやシンボルマークは、納品後に名刺・看板・商品・広告など多くの場所で使われます。発注者がこれらを自由に使える状態にするために、著作権を譲渡する形が多く使われます。
譲渡型の条項では、次の2つを書くのが一般的です。
- 著作権(著作権法第27条・第28条の権利を含む)が、検収の完了と報酬の支払をもって発注者へ移ること
- 受注者が著作者人格権を行使しないこと
第27条・第28条の権利は、翻訳・翻案などを行う権利と、二次的著作物の利用に関する権利です。これらを含めると明記しないと譲渡の対象に入らないと解釈されることがあるとされているため、条文に書き込む形が一般的になっています。
なお、商標の登録は著作権とは別の制度です。ロゴを商標として登録するかどうか、誰の名義で登録するかは、書面の権利の条項とは別に決めることになります。制度の詳細は特許庁の資料をご確認ください。
4. 採用しなかった案の扱い
複数の案を提案したうち、採用されなかった案の権利をどう扱うかは、書面で決められます。
| 扱い | 内容 |
|---|---|
| 受託者に権利が残る | 不採用案は受注者のものとして残る |
| 採用案と同じ扱いとする | すべての案を譲渡の対象に含める |
| 別途協議する | 必要が生じたときに決める |
不採用案を他の案件で使う可能性がある場合や、逆に発注者が他社に使われたくない場合に、この点が問題になります。本ツールでは3つから選べます。
5. 元データ(編集可能データ)を納品するか
書き出した画像だけを納品するのか、編集できる元データまで納品するのかで、納品後に発注者が自分で修正できるかどうかが変わります。
デザインの制作では、納品するデータの形式が実務上の論点になります。書き出した画像(PNG・JPEG・PDFなど)だけを納めるのか、レイアウトやパスを編集できるファイルまで納めるのかで、発注者が自分で修正できる範囲が変わります。ロゴのように後から拡大して使うものは、拡大しても輪郭が崩れない形式のデータを納品するかどうかも、成果物の欄に書いておく形が使われます。
元データを納品しない形を選ぶ場合でも、書面に「納品しない」と書いてあれば、あとから求められたときの判断がしやすくなります。納品する場合は、どの形式のデータを納めるかを成果物の欄に書いておく形が使われます。
6. 実績としての公表(ポートフォリオ掲載)
制作した成果物を自分の実績として紹介できるかどうかは、発注者の公表の時期や秘密保持の取り決めと関わります。
本ツールでは、受注者が成果物を自らの業務実績として公表できる条項を任意で入れられます。公表の時期や範囲について発注者が別に指定した場合はそれに従う、という形の条文です。未公開の製品やサービスに関わる制作では、公表できる時期を特記事項に書いておく形も使われます。
7. 着手金と分割払いの書き方
制作期間が長い案件では、報酬を一括ではなく分けて支払う形が使われます。書面では、各回の金額と支払の時期を書きます。
| 分け方の例 | 内容 |
|---|---|
| 着手時と納品時 | 着手の段階で一部、検収の完了後に残りを支払う |
| 段階ごと | ラフの提出時・仕上げの提出時・検収完了時で分ける |
本ツールでは、固定報酬を選んだうえで分割払いにすると、回数(2回から12回)と各回の金額を入力できます。各回の合計が総額と一致していない場合は先へ進めないようにしてあるため、書面の金額が食い違うことはありません。
支払の時期は、締日と支払日で定める形(毎月末日締め・翌月末日払いなど)と、日付を指定する形のどちらも選べます。
8. 制作が途中で止まったときの扱い
発注者側の事情で制作が止まることがあります。書面で確認しておくことは2つです。
- 解除の条件(違反があったときに催告してから解除するのか、直ちに解除できるのか)
- 途中までの報酬の扱い
本ツールの書面には、違反があり催告しても是正されないときの解除と、支払の停止や破産手続の開始などが生じたときの解除が既定で入ります。途中までの報酬の扱いは、進み方によって事情が異なるため定型の条項にはしていません。着手金を設定しておく形や、段階ごとに分割払いにしておく形が、実務では使われています。