このページの目次
- 準委任と請負のどちらで結ぶか
- SES契約と呼ばれる形の一般知識
- 稼働時間と超過分の精算の書き方
- ソースコードの権利とOSSの扱い
- 明示事項のチェックで抜けやすい項目
- 途中で終わらせるときの扱い
- 損害賠償の上限を定めるかどうか
- よくある質問
1. 準委任と請負のどちらで結ぶか
システム開発の業務委託では、成果物の完成を引き受けるのか、稼働を提供するのかで契約の型が変わります。
| 成果物の完成型(請負に近い形) | 稼働の提供型(準委任に近い形) | |
|---|---|---|
| 報酬の対象 | 決めた成果物の完成 | 一定の時間・体制での業務の遂行 |
| 検収 | 納入後に検査を行い、合格で検収完了 | 業務の完了を報告して区切る |
| 報酬の方式 | 固定報酬が多い | 時間単価・月額が多い |
| 仕様変更 | 範囲の変更として扱い、報酬を再度定める形が多い | 稼働の中で対応し、時間で精算する形が多い |
要件が固まっていない段階で固定報酬の請負型にすると、仕様が動いたときに「範囲内か追加か」の判断が毎回必要になります。逆に、納品物が明確に決まっている業務を稼働の提供型にすると、完成の責任の所在が書面から読み取りにくくなります。
本ツールでは、STEP2で契約の性質を選ぶと、報酬の方式と検収の初期値が切り替わります。あとから変更もできます。
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2. SES契約と呼ばれる形の一般知識
システムエンジニアリングサービス(SES)は、技術者の稼働を提供する形の業務委託を指す実務上の呼び名です。契約の型としては準委任として整理されることが一般的です。
書面を作るときに確認されることが多いのは次の点です。
- 稼働の単位(1ヶ月あたりの想定時間、精算の幅)
- 作業の場所(在宅か、委託者の指定する場所か)
- 稼働の報告方法(月次の報告書を出すかどうか)
- 再委託の可否(協力会社に入ってもらう場合があるか)
作業の進め方や勤務時間を委託者が細かく指示する運用は、働き方の実態として労働者性や労働者派遣との関係が問題になることがあるとされています。本ツールは、その該当性を判断するものではありません。実態についての判断が必要な場合は、労働基準監督署・専門家にご確認ください。
3. 稼働時間と超過分の精算の書き方
時間単価で結ぶ場合、書面に書く項目は3つあります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 単価 | 1時間あたりの金額(税抜か税込かも明記する) |
| 想定稼働時間 | 1ヶ月あたりの時間 |
| 超過分の扱い | 同じ単価で精算する/事前に協議して定める |
想定時間だけを書いて超過分の扱いを決めずにおくと、稼働が増えた月に請求できるかどうかが書面から読めません。本ツールでは、超過分を単価で精算するか、都度協議するかを選べます。
稼働の報告書を出す取り決めを入れておくと、請求の根拠を月ごとに残せます。STEP4の任意条項で選べます。
4. ソースコードの権利とOSSの扱い
成果物としてソースコードを納める場合、権利の扱いは次の3つから選ぶ形が一般的です。
- 譲渡:検収の完了と報酬の支払をもって著作権が発注者へ移る
- 利用許諾:著作権は受注者に残し、発注者は決めた範囲で利用できる
- 定めない:知的財産についての条項を置かない
エンジニア向けの書面では譲渡を初期値にしていますが、譲渡する場合でも、成果物に含まれるオープンソースソフトウェアなど第三者が権利を持つ部分は、その第三者の定める条件によるという注記が入ります。ライブラリを使った開発では、成果物全体の権利を一括して移せるわけではないためです。
各ライブラリの条件はそれぞれの提供元が定めているため、内容は提供元の表示をご確認ください。
5. 明示事項のチェックで抜けやすい項目
従業員を使用しない個人や一人法人に委託する場合、取引条件の明示が求められるとされています。システム開発の書面で抜けやすいのは次の2つです。
- 検査を行う場合の検査完了日:納期だけ書いて検査の期間を書かないと、いつ検収が終わるのかが決まりません
- 報酬の算定方法:時間単価では、単価と想定時間、超過分の扱いまで書いて初めて算定方法が読めます
本ツールでは、入力しながらこれらに対応する入力の有無を確認できます。入力の有無の表示であり、法令への適合を保証するものではありません。項目の詳細は公正取引委員会・厚生労働省の公表資料をご確認ください。
6. 途中で終わらせるときの扱い
長く続く開発では、途中で体制が変わり、契約を終わらせることがあります。書面で確認しておくことは2つです。
- 解除の条件:違反があったときに、催告をしてから解除するのか、直ちに解除できるのか
- 途中までの報酬:成果物の完成型では、完成していない部分の報酬をどう扱うか
本ツールの書面では、違反があり相当の期間を定めて催告しても是正されないときに解除できる条項と、支払の停止や破産手続の開始などが生じたときに直ちに解除できる条項が既定で入ります。途中までの報酬の扱いは、取引ごとに事情が異なるため定型の条項にはせず、必要な場合は特記事項に書ける形にしています。
稼働の提供型では、契約期間と自動更新の有無を決めておけば、更新しないことで期間の満了により終えられます。基本契約にしておくと、個別の発注を止めることで実質的に稼働を終えられるため、継続する取引ではこの形が使われることもあります。
7. 損害賠償の上限を定めるかどうか
システム開発では、成果物の不具合によって発注者側の業務が止まることがあり、賠償の範囲が論点になります。上限の定め方は3つです。
| 定め方 | 内容 |
|---|---|
| 定めない | 賠償の範囲は法律の定めと解釈によって判断される |
| 報酬額を上限とする | 支払われる報酬の額を上限とする(故意・重過失は除く形が多い) |
| 金額を指定する | 上限の金額を書面で定める |
上限を定めるかどうか、いくらにするかは当事者の合意によります。本ツールでは3つから選べますが、どちらが有利かの推奨はしていません。