このページの目次
- 文字単価と記事単価の書き分け
- 修正が終わらない状態を書面で防ぐ
- 著作権と署名記事(記名・無記名)
- 二次利用の範囲をどこまで書くか
- 取材・資料の用意と実費の扱い
- 書面がないまま受注してしまった場合
- 毎月続く依頼は基本契約にする
- よくある質問
1. 文字単価と記事単価の書き分け
執筆の報酬は、記事単価(1本あたり)と文字単価(1文字あたり)のどちらかで定められることが多いとされています。同じ金額でも、分量が変わったときの扱いが変わります。
| 単位 | 分量が増えたとき | 書面に書くこと |
|---|---|---|
| 記事単価 | 報酬は変わらない(範囲の変更として協議する形が多い) | 1本あたりの金額と、想定する分量 |
| 文字単価 | 文字数に応じて増える | 1文字あたりの金額と、対象となる文字の数え方 |
記事単価で結ぶ場合、想定する分量を書いておくと、依頼の途中で分量が大きく増えたときに範囲の変更として話しやすくなります。文字単価では、見出しや注釈を字数に含めるかどうかで数え方が変わるため、対象の決め方を書いておく形が使われます。
報酬の額は、金額そのものではなく算定方法による記載でもよいとされています。文字単価は算定方法として書くことになるため、単価と数え方の両方を書面に残しておくことになります。
本ツールでは、STEP3で単価の単位(記事単価・文字単価・一式)を選べます。
2. 修正が終わらない状態を書面で防ぐ
執筆の業務でもっとも相談が多いのが、修正が何度も続いて終わらない状態です。書面で決められることは2つあります。
- 検査の期間:納品から何日以内に確認して結果を知らせるか
- 無償で対応する修正の回数:何回までを報酬の範囲に含めるか
期間内に発注者から連絡がないときは合格とみなす定めを置く例が多いとされています。これがないと、納品したのに確認されず、報酬の支払時期も決まらない状態が続くことがあります。
無償の修正の回数を決めたうえで、構成や方向性の変更を伴う修正は範囲の変更として扱う形にしておくと、作業量が大きく増えたときの線引きがしやすくなります。本ツールの書面では、検査の結果として行う修正は無償の範囲とし、業務の内容の変更を伴う修正は協議して定める形になっています。
3. 著作権と署名記事(記名・無記名)
記事の著作権は、定めがなければ原則として書いた側に発生するとされています。発注者が自由に編集・転載できる状態にする場合は、著作権を譲渡する形が使われます。
ここで分けて考える必要があるのが、著作権と著作者人格権です。
| 権利 | 内容 | 譲渡できるか |
|---|---|---|
| 著作権 | 複製・公衆送信・翻案などの財産的な権利 | 譲渡できるとされている |
| 著作者人格権 | 氏名表示・同一性保持・公表に関する権利 | 譲渡できないとされている |
譲渡型の契約では、著作者人格権を行使しないと定める例が多いとされています。ただし、記名記事として執筆者名を出すかどうかは、これとは別に決められることが実務では多く、本ツールで譲渡を選ぶと「氏名または名称の表示については別途合意した方法による」という注記が条文に入ります。
記名・無記名・都度協議のいずれにするかは、STEP4の入力欄で書面に残せます。
4. 二次利用の範囲をどこまで書くか
納品した記事が、当初聞いていた媒体とは別の場所で使われることがあります。書面で確認しておくと行き違いを防げるとされているのは次の点です。
- 掲載する媒体(自社サイト・オウンドメディア・紙媒体など)
- 他の媒体への転載を行うか
- 書籍化やまとめ記事への収録を行うか
- 執筆者名を出すか
著作権を譲渡する形では、譲渡後の利用の範囲に制限はかからないのが通常です。範囲を限定したい場合は、利用許諾の形にして範囲を書面に書く方法があります。どちらを選ぶかは当事者の合意によります。
5. 取材・資料の用意と実費の扱い
取材を伴う執筆では、誰が取材先の調整や資料の用意を行うかで作業量が変わります。本ツールでは、取材・資料の用意をどちらが行うかを選べます。
交通費や資料代などの実費は、報酬に含めるのか、別に精算するのかを決めておく形が使われます。定型の条項にはしていないため、実費を別に精算する場合は特記事項に書いておくと書面に残ります。
6. 書面がないまま受注してしまった場合
執筆の依頼は、チャットやメールのやりとりだけで始まることがあります。フリーランス新法では、従業員を使用しない個人や一人法人への業務委託について、発注する事業者が取引条件を書面または電磁的方法で明示することとされています。
書面が来ないときに、受注する側から契約書を作って送ることもできます。本ツールは受注する側からの作成にも対応しており、条項の内容はどちら側で作っても同じです。すでに口頭で決まっていることを書き出し、決まっていないこと(検査の期間・修正の回数・支払期日)を相手に確認する形で進められます。
なお、すでに報酬の不払いなどの問題が生じている場合は、本ツールではなく弁護士等の専門家、またはフリーランス・トラブル110番などの公的な相談窓口にご相談ください。
7. 毎月続く依頼は基本契約にする
同じ発注者から毎月続けて依頼を受ける場合、1件ごとに契約書を取り交わすと、秘密保持や著作権の条項を毎回結び直すことになります。
継続する取引では、共通の条件を基本契約で決めておき、1件ごとの業務の内容・本数・納期は発注書で確定する形が使われます。基本契約にすると、毎回のやりとりは発注と受注だけになります。
ただし、基本契約で業務の内容を「個別契約で定める」とした場合、その内容は個別の発注のときに明示することとされています。基本契約を結んだだけでは明示が済んだことにはならない点に注意が必要です。
本ツールでは、STEP1で個別契約と基本契約を選べます。基本契約を選ぶと、契約期間・自動更新・個別契約の成立方法の条項が入ります。使い分けの考え方は業務委託契約書の書き方(ハブ)にまとめています。