役員報酬の株主総会議事録テンプレート|取締役と監査役の2議案と一任の2枚目
役員報酬(取締役・監査役)を決める株主総会議事録のテンプレート(Word)を無料・会員登録不要でダウンロード。取締役は会社法第361条、監査役は第387条で条文が分かれます。総額だけ決めて取締役会に一任した場合の2枚目と、監査役の協議書も同梱しました。
執筆: ムスビサイン編集部/公開日: (更新: )
無料ダウンロード
役員報酬の株主総会議事録テンプレート
- ファイル形式
- Word
- 料金
- 無料
- 更新日
- 2026-10-16
- 会員登録
- 不要
ダウンロードした時点で「契約書ひな形ダウンロード利用規約」に同意したものとみなします。
この役員報酬の株主総会議事録、印刷・郵送・押印なしでそのまま送れます。
ムスビサインを無料で始める「取締役の報酬と監査役の報酬を、同じ議事録の第1号議案と第2号議案にしてよいのか分からない」 「株主総会では総額だけ決めればよいのか、各人別の金額まで書くのか決められない」 「去年と同じ額で据え置く年も、議事録を作り直さないと否認されるのか分からない」
法務の専任がいない経営者と、総務・経理の方に向けて書いています。
配布するのは、役員の報酬等の額を決めた記録を残す株主総会議事録のWordテンプレートです。第1部が株主総会議事録、第2部が取締役会議事録、第3部が監査役の協議書で、3つが1つのファイルに入っています。
会員登録もメールアドレスの入力も要りません。使わない部と選ばなかった□の行を削れば、自社用の1枚になります。
対象は株式会社です。合同会社で業務を執行する社員の報酬を決める場合は、社員総会議事録テンプレートをご覧ください。
この記事の結論
- 取締役の報酬等は会社法第361条、監査役の報酬等は第387条。条文が分かれています。
- 取締役分は、総額だけ定めて個人別を取締役会に一任すると2枚目の取締役会議事録が要ります。
- 監査役分は第387条第2項が監査役の協議を挙げており、2枚目は協議書になります。
- 議案を相当とする理由の説明(会社法第361条第4項)は、非上場の会社でも省けません。
- 監査役が報酬について意見を述べたら、その概要が議事録の記載事項です(会社法施行規則第72条第3項第3号)。
- 「3か月」の出所は法人税法施行令第69条第1項第1号イ。会社法第296条第1項は「一定の時期」とだけ定めています。
- 据置きの年は、通常改定の時期が慣行から確認できる場合について、国税庁が同額改定の決議があったときと同様に扱うのが相当としています。
決めるべきことは3つだけです。どれも配布物の□で選べるようにしてあります。
| 先に決めること | 選ぶ場所 | 決まること |
|---|---|---|
| 監査役を置いているか | 第1部の1 | 第2号議案(第1部の16から20まで)を使うか |
| 取締役の報酬額を誰が決めるか | 第1部の12 | 第2部(取締役会議事録)を作るか |
| 各監査役の報酬等を誰が決めるか | 第1部の18 | 第3部(監査役の協議書)を作るか |
目次
- 役員報酬の株主総会議事録テンプレートの無料ダウンロード
- 取締役と監査役を1枚に書くか、分けるか|条文が分かれている
- 取締役の報酬等を株主総会でどこまで決めるか|確定額・算定方法・金銭でないもの(会社法第361条第1項)
- 取締役の報酬を総額だけ決めて個人別を取締役会に一任する場合の2枚目(取締役会議事録)
- 監査役の報酬を取締役会に一任してよいか|条文が挙げているのは協議
- 報酬の議案でだけ必要になる欄2つ|説明義務と記載義務
- 使用人兼務の取締役がいる会社の金額欄
- 議事録の日付が税務の期限を動かす|3か月の出所は会社法ではない
- 役員報酬を据え置く年に議事録を作るか|毎年作り直す必要があるか
- 役員報酬の議事録を今まで作っていなかった場合にできること
- 役員報酬を下げるときに本人の同意が要るか
- 株主総会議事録を紙のままで残す場合と電子で残す場合|押印と備置き
- ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
- よくある質問(FAQ)
- まとめ:自社の機関構成から使う部を決める
1. 役員報酬の株主総会議事録テンプレートの無料ダウンロード
配布しているのは、役員の報酬等の額を決定(改定)した記録を残す議事録です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書式 | Microsoft Word(.docx) |
| 書類名 | 役員報酬決定(改定)株主総会議事録(取締役・監査役) |
| 構成 | 第1部 株主総会議事録(21項)+第2部 取締役会議事録(9項)+第3部 監査役の協議書(6項) |
| 対象 | 株式会社の取締役と監査役の報酬等 |
| 議案 | 第1号議案 取締役の報酬等/第2号議案 監査役の報酬等 |
| 第2部を使う条件 | 第1部の12で取締役会への一任を選んだとき |
| 第3部を使う条件 | 監査役が二人以上あり、第1部の18で監査役の協議を選んだとき |
| 会員登録 | 不要 |
| メールアドレス入力 | 不要 |
埋める順序は決まっています。第1部の1(機関構成の確認)、12(取締役の報酬額の決め方)、18(各監査役の報酬等の定め方)を先に決めてください。ここが決まらないと、第2部と第3部を作るかどうかも、金額欄に各人別の額を書くか総額を書くかも決まりません。
ここで1つ、先に確認することがあります。株主が家族だけで、株主総会を実際には開いていない会社があります。総会を開かずに決議を省略するなら、第1部はそのまま使えません。
決議を省略したときの議事録の記載事項が、会社法施行規則第72条第4項第1号に別に定められているためです。この場合に使う様式は、臨時株主総会議事録テンプレートに入れてあります。リンクは14章のQ5に置きました。
💡 自社の機関構成に合わせて削るだけのWordです
会員登録もメールアドレスの入力も要りません。監査役を置いていない会社は第1部の16から20までと第3部を、一任しない会社は第2部を削除すれば、そのまま使えます。
2. 取締役と監査役を1枚に書くか、分けるか|条文が分かれている
監査役を置いている会社は、取締役と監査役を1枚にまとめるかどうかを先に決めます。判断の材料は、条文がどこに置かれているかです。
取締役の側は会社法第361条第1項です。原文は「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。」となっています。
監査役の側は別の条文に置かれています。会社法第387条第1項は「監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。」と定めるだけの短い規定です。
ここで先に誤解を外します。第387条に「取締役と区別して定めなければならない」という文言はありません。「区別して定めなければならない」と書かれているのは第361条第2項で、監査等委員会設置会社において監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別する場合の規定です。
では1枚にまとめてよいのか。両方向の材料を並べます。
1枚(同じ議事録の第1号議案・第2号議案)に寄せられる材料。
- 会社法第318条第1項と会社法施行規則第72条第3項は、議案の数で議事録を分けよとは定めていない
- 監査役の意見の概要(会社法施行規則第72条第3項第3号)も、「株主総会の議事録」の記載事項として並んでいる
- 最高裁判所平成17年の判決は、参照法条に商法第269条(取締役の報酬)と商法第279条第1項(監査役の報酬)の両方を掲げ、同じ事案として扱っている
議案を明確に分けるべき材料。
- 条文が第361条と第387条に分かれている
- 株主総会参考書類の規定も、取締役は会社法施行規則第82条、監査役は同規則第84条と条レベルで分かれている
- 決め方の仕組みが違う。取締役は配分を取締役会に一任する形があるが、監査役は第387条第2項が監査役の協議を挙げている
- 税務上、監査役は使用人兼務役員にならない(法人税法施行令第71条第1項第4号)ので、使用人分給与の欄は取締役の議案にしか付かない
配布物はこの両方を踏まえて、1ファイルの中で第1号議案と第2号議案に分ける形にしました。
開催の日時や定足数といった議案以外の枠の書き方は、株主総会議事録テンプレートで詳しく扱っています。
3. 取締役の報酬等を株主総会でどこまで決めるか|確定額・算定方法・金銭でないもの(会社法第361条第1項)
「いくらにするか」を書く前に、何を定める議案なのかを選びます。会社法第361条第1項は、定める事項を号ごとに書き分けているためです。
配布物では第1部(株主総会議事録)の8にこの3つの□を置きました。
| 選ぶ号 | 定める事項 | 議案文に書くこと |
|---|---|---|
| 会社法第361条第1項第1号 | 報酬等のうち額が確定しているもの | その額 |
| 同項第2号 | 報酬等のうち額が確定していないもの | その具体的な算定方法 |
| 同項第6号 | 報酬等のうち金銭でないもの | その具体的な内容 |
毎月同じ額を支払う普通の役員報酬なら、1つめを選びます。歩合や業績に連動させるなら2つめで、議事録に算定方法そのものを書くことになります。社宅や社用車を報酬として与えるなら3つめです。
なお、業績に連動する給与の税務上の取扱いは、配布物では扱っていません。募集株式や募集新株予約権を報酬等とする場合の号も、同じく範囲外です。
号を選んだら、次は金額の書き方です。第1部の12で、本総会で各取締役の報酬額まで確定するか、総額(限度額)だけを定めて個人別の決定を取締役会に一任するかを選びます。
記入例は、各人別まで確定する場合が「氏名 ◯◯/役位 代表取締役/報酬額 月額金[各取締役の報酬額]円」の3行です。総額だけ定める場合は「取締役の報酬等の総額(限度額) 月額金[取締役の報酬等の総額(限度額)]円」の1行になります。
総額の形を「限度額」としたのには理由があります。法人税法施行令第70条第1項第1号ロが、株主総会の決議で定めた限度額等を超えて支給した部分を過大な役員給与として損金不算入にしているためです。議事録に書いた金額が、そのまま計算の基準になります。
配布物の金額欄は、どれも「月額金◯円」の形です。顧問税理士から年額で聞いている会社は、ここで手が止まります。
会社法第361条第1項第1号は「報酬等のうち額が確定しているものについては、その額」とだけ定めており、月額か年額かを限定してはいません。国税庁の質疑応答事例にも、創立総会で役員給与の年額を総額で定め、各人別内訳は役員会で決定する旨を決議した、という設問があります。創立総会・役員会という旧い用語の事例ですが、年額での総額決議を前提に置いたものです。
ただし、総枠に収まっていれば足りるという話ではありません。同じ事例の回答は、創立総会で総枠を定めて各人ごとの支給限度額の決定を役員会に一任したのだから、役員会決定による各人ごとの支給限度額を基準として判定する、としています。一任を受けた側が決めた各人ごとの額が、そのまま判定の基準になります。
年額に書き換えるときは、支給の仕方まで年1回にしないでください。法人税基本通達9−2−12は、非常勤役員に対し年俸又は事業年度の期間俸を年1回又は年2回所定の時期に支給するようなものは、たとえその支給額が各月ごとの一定の金額を基礎として算定されているものであっても、定期同額給与には該当しないことに留意する、としています。総額を年額で決議することと、支払いを年1回にまとめることは別です。
各人別の額まで書くか、総額だけにするかは、誰に見られるかも踏まえて決めてください。株主と債権者には閲覧又は謄写の請求権があります(会社法第318条第4項第1号)。報酬額を書いた議事録が株主に見られる場面がある、という前提で作ります。
あわせて第1部の9に、対象となる取締役の員数と算定の基準の欄を置きました。会社法施行規則第82条第1項第1号が算定の基準を、同項第3号が二以上の取締役についての定めであるときの員数を、株主総会参考書類の記載事項として挙げているためです。同条は参考書類についての規定であって、参考書類を作らない会社に議事録の記載を命じるものではありません。
役員が退任するときに支払う退職慰労金の決議は、配布物の範囲外です。役員退職慰労金支給決議議事録テンプレートを別に用意しています。
4. 取締役の報酬を総額だけ決めて個人別を取締役会に一任する場合の2枚目(取締役会議事録)
第1部(株主総会議事録)の12で一任を選ぶと、書類が2枚になります。総会が決めたのは総額までなので、誰にいくら払うかを決めた記録が別に要るからです。
配布物の第2部が、その2枚目にあたる取締役会議事録です。第1部との違いは4つあります。
| 違い | 第1部(株主総会議事録) | 第2部(取締役会議事録) |
|---|---|---|
| 署名又は記名押印 | 法令上の要求なし | 出席した取締役と監査役が必要(会社法第369条第3項) |
| 定足数 | 議決権の過半数(会社法第309条第1項) | 議決に加わることができる取締役の過半数(会社法第369条第1項) |
| 議決に加われない者 | 条文上の欄なし | 特別の利害関係を有する取締役(会社法第369条第2項) |
| 日付 | 先 | 第1部の決議より後(同じ日でもよい) |
反対した取締役がいたら、第2部の9にその氏名を書き残してください。会社法第369条第5項は、決議に参加した取締役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定するとしています。
自分の報酬額を決める取締役会で、その取締役が会社法第369条第2項の特別の利害関係を有する取締役に当たるかどうかは、事案ごとの判断になります。配布物では欄を置くにとどめました。顧問弁護士にご確認ください。
第2部で埋める欄は9つです。第1部を埋め終えてから、上から順に記入してください。
| 第2部の項 | 書くこと |
|---|---|
| 1 | この第2部を使う条件(第1部の12で一任を選んだ場合に限る) |
| 2 | 開催の日時及び場所並びに出席の方法 |
| 3 | 出席取締役及び監査役、議長並びに定足数 |
| 4 | 特別の利害関係を有する取締役の有無 |
| 5 | 株主総会の決議の引用(総会の日、総会が定めた総額(限度額)、一任を受けた事項) |
| 6 | 使用人分給与の取扱いの引用(第1部の11で付した□に合わせる) |
| 7 | 取締役の個人別の報酬額の決定と合計、限度額の範囲内であることの確認 |
| 8 | 支給の時期及び方法の決定 |
| 9 | 議事の経過の要領及びその結果、署名又は記名押印 |
一任という形そのものについては、現行法の下での裏づけが限られています。書けるのは次の3つです。
- 国税庁の役員給与に関するQ&AのQ1は、定時株主総会で支給限度額の決議をし、その範囲内で総会後の取締役会が各人別の支給額を決定する形を、設問の前提に置いている
- 最高裁判所令和6年の判決は、内規に従って決定することを取締役会に一任する旨の株主総会決議がされた事案を扱い、参照法条に会社法第361条第1項第1号を掲げている
- 最高裁判所昭和31年の判決には、総額を決めて配分を取締役会に一任した決議に基づく配分について、商法第265条に触れるところはないとされた事案がある
3つめの判決は、判示事項・裁判要旨・参照法条の欄が空欄で、争点は利益相反の有無でした。一任の方式が適法であることを正面から示したものではないので、根拠としての強さは期待しないでください。
では一任を選んでよいのか。出所の弱さが気になるなら、一任しない形を選べばこの論点ごと避けられます。第1部の12の1つめ、本総会で各取締役の報酬額まで確定する形です。
この形なら第2部は作りません。取締役会の定足数も、特別の利害関係の判断も出てきません。
取締役会を置いていない会社で取締役が二人以上あるときは、第2部の表題を「取締役の決定書」と読み替えます。ただし、ここは弁護士の確認が入る場所です。第2部の3は取締役会の定足数の欄、第2部の4は取締役会の決議についての欄なので、取締役会がない会社で記入が要るかどうかを配布物では判断していません。
取締役の過半数への一任そのものも、取締役会への一任より裏づけが薄くなります。先に挙げた3つの材料は、いずれも取締役会に一任した場合のものだからです。取締役会を置いていない会社は、第1部の12で各取締役の報酬額まで確定させる形を先に検討してください。
取締役が一人だけの会社は、第1部でその取締役の報酬額を確定させれば足りるので、第2部を削除します。
取締役会議事録そのものに書くべき事項の全体は、取締役会議事録テンプレートで扱っています。一任を受けた取締役会を実際には開かず書面で決議する場合は、取締役会書面決議同意書テンプレートをご覧ください。
💡 一任するなら2枚目まで入ったWordが要ります
第2部には、株主総会の決議の引用欄、個人別の額と合計欄、合計が限度額の範囲内であることの確認欄、出席者ごとの署名欄まで入れてあります。会員登録は不要です。
5. 監査役の報酬を取締役会に一任してよいか|条文が挙げているのは協議
取締役の分を取締役会に一任したのだから、監査役の分も同じでよいはずだ。そう考えて進めると、2枚目の書類の種類を間違えます。
会社法第387条第2項の原文はこうです。「監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。」
この項が挙げているのは監査役の協議だけで、取締役会は出てきません。配布物の第1部(株主総会議事録)の18に取締役会への一任の□を置かなかったのは、このためです。
とはいえ「取締役会に一任できない」と断定することもできません。そう明示した条文や判例を確認できていないからです。一任したい事情があるなら、記入を進める前に弁護士にご確認ください。
よく引かれる最高裁判所昭和31年の判決も、ここでは使えません。昭和27年の事案で、取締役と監査役の報酬総額を一括で決め、監査役分の配分まで取締役会に一任していました。監査役の報酬を取締役と区別する規定が入る前の旧商法の下での話です。
第1部の18で監査役の協議を選んだ会社は、第3部の協議書を作ります。6項だけの短い書面です。
| 第3部の項 | 書くこと |
|---|---|
| 1 | この第3部を使う条件(監査役が二人以上あり、第1部の18で協議を選んだ場合に限る) |
| 2 | 協議の日及び場所(第1部の決議より後。同じ日でもよい) |
| 3 | 監査役の総数と、協議に加わった監査役の氏名 |
| 4 | 株主総会の決議の引用(総会の日と総会が定めた総額) |
| 5 | 各監査役の報酬等の額と合計、総額の範囲内であることの確認 |
| 6 | 作成及び署名又は記名押印 |
3に書くのは、監査役の総数と、協議に加わった監査役の氏名です。何人の賛成で協議が成立するのかは書きません。
協議の成立に必要な人数を定めた条文は確認できていないため、配布物では人数の要件に踏み込んでいません。誰がいつ協議したかを残すことに絞っています。
監査役が一人だけの会社は、第1部の18でその監査役の報酬等の額まで定め、第3部を削除してください。
なお、監査等委員会設置会社には同じ形の規定が会社法第361条第3項に置かれています。監査等委員である各取締役の報酬等に定款の定めも株主総会の決議もないときは、監査等委員である取締役の協議によって定めます。
6. 報酬の議案でだけ必要になる欄2つ|説明義務と記載義務

汎用の株主総会議事録のひな形を流用すると、報酬の議案でだけ必要になる欄が2つ抜け落ちます。1つは法令が株主総会での説明を求めているもの、もう1つは法令が議事録への記載を求めているものです。
1つめは、議案を相当とする理由の説明です。会社法第361条第4項は「第一項各号に掲げる事項を定め、又はこれを改定する議案を株主総会に提出した取締役は、当該株主総会において、当該事項を相当とする理由を説明しなければならない。」と定めています。
会社法施行規則第72条第3項第3号が議事録の記載事項として名指ししているのは第361条第5項・第6項と第387条第3項で、第361条第4項は入っていません。説明した事実は、同項第2号の「議事の経過の要領及びその結果」として残す形になります。
この規定には会社の規模や上場しているかどうかによる限定がありません。非上場の中小企業でも省略できない説明です。同じ第361条でも、第7項の報酬決定方針は第7項第1号・第2号の会社に限られており、ここが限定の有無で分かれます。
配布物では第1部(株主総会議事録)の14を独立した欄にしました。
記入例は「職責の内容、在任年数、当会社の業績及び使用人の給与の支給の状況」のような形です。説明した事実と、質疑応答があればその要領を残します。
2つめは、監査役が述べた意見の概要です。会社法第387条第3項が、監査役は株主総会において監査役の報酬等について意見を述べることができるとしています。
そして会社法施行規則第72条第3項第3号は、ルにおいてこの第387条第3項を名指ししています。同号の規定により株主総会で述べられた意見又は発言があるときは、その内容の概要を議事録の内容としなければならない、という規定です。
意見が出たのに書き落とすと、法定の記載事項が欠けた議事録になります。会社法第976条は、同条が列挙する取締役・監査役などがこれに当たる行為をしたときに100万円以下の過料に処するとしており、議事録に記載すべき事項を記載しなかった場合は第7号に挙げられています(その行為について刑を科すべきときを除く)。
配布物の第1部の19は、「意見はなかった」と「意見を述べた」の□に分けました。意見が出なかった年も、出なかったという記録が残る形です。
同じ号のヘとトは会社法第361条第5項・第6項を挙げており、こちらは監査等委員会設置会社についての規定です。中小企業は通常は該当しないので、第1部の19に「該当しない」の□を添えてあります。
なお、監査役の意見の概要は株主総会参考書類の記載事項としても出てきます(会社法施行規則第84条第1項第5号)。監査役の報酬議案に固有の欄だと考えてください。
第2号議案には、相当とする理由の説明の欄を置いていません。説明義務を定めた会社法第361条第4項は取締役の報酬等についての規定で、監査役の報酬等についての第387条に対応する規定が置かれていないためです。
7. 使用人兼務の取締役がいる会社の金額欄
部長や工場長を兼ねている取締役がいる会社では、金額欄を埋める前に決めることがあります。議事録に書く報酬額に、使用人としての給与を含めるかどうかです。
含めない場合は、含めない旨を議事録に明示します。根拠は2つあります。
会社法の側は最高裁判所昭和60年の判決です。裁判要旨は「取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示して取締役全員の報酬総額を改訂する株主総会決議がされた場合において、少なくとも使用人として受ける給与の体系が明確に確立されており、かつ、使用人として受ける給与がそれにより支給されている限り、右株主総会決議は、商法二六九条に違反せず、また、同条の脱法行為に当たらない。」としています。
明示することと、給与の体系が明確に確立されていることがセットになっている点に注意してください。参照法条は商法第269条で、旧法の判決です。
税務の側は法人税法施行令第70条第1項第1号ロです。この号は、過大な役員給与の額を計算するにあたり条件を置いています。「使用人としての職務を有する役員に対して支給する給与のうちその使用人としての職務に対するものを含めないで当該限度額等を定めている内国法人については」という書き方です。
つまり、議事録で含めるか含めないかを明示していないと、計算の前提が決まりません。配布物の第1部(株主総会議事録)の11に□を置いたのはこのためです。
含めないことを選んだときは、続く3行も埋めてください。記入例は「使用人として受ける給与の体系を定めた規程の名称 給与規程」「その規程の制定年月日 ◯年◯月◯日」「支給の状況 毎月の給与計算を同規程により行っている」です。
その前に、そもそも使用人兼務役員に当たるのかを確かめます。法人税法第34条第6項は、使用人兼務役員を、部長・課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ常時使用人としての職務に従事する役員としています。
当たらない役職は政令と通達で切られています。
| 当たらない例 | 出所 |
|---|---|
| 代表取締役 | 法人税法施行令第71条第1項第1号 |
| 副社長・専務・常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員 | 法人税法施行令第71条第1項第2号 |
| 監査役 | 法人税法施行令第71条第1項第4号 |
| 総務担当・経理担当のように特定の部門の職務を統括している取締役 | 法人税基本通達9−2−5 |
使用人が少数で職制を特に定めていない会社には、別の取扱いがあります。法人税基本通達9−2−6は、常時従事している職務が他の使用人の職務の内容と同質であると認められるものについては、使用人兼務役員として取り扱うことができるものとするとしています。
監査役は税務上そもそも使用人兼務役員になりません。だから配布物でも、この欄は第1号議案にだけ置いて、第2号議案には置いていません。
8. 議事録の日付が税務の期限を動かす|3か月の出所は会社法ではない
「役員報酬は事業年度の開始から3か月以内に決めないといけない」という説明をよく見かけます。ここで取り違えが起きています。
会社法第296条第1項の原文は「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。」です。この条文に「3ヶ月以内」という文言はありません。
3か月の出所は法人税法施行令第69条第1項第1号イです。定期同額給与に含まれる通常改定として、当該事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から三月を経過する日までにされた定期給与の額の改定が挙げられています。国税庁もタックスアンサーNo.5211で同じ数え方を示しています。
2つの違いを押さえておいてください。
| 会社法第296条第1項 | 法人税法施行令第69条第1項第1号イ | |
|---|---|---|
| 何を定めているか | 定時株主総会を招集する時期 | 定期同額給与に含まれる通常改定の期限 |
| 期間の定め | 「一定の時期」とあるだけ | 会計期間開始の日から三月を経過する日まで |
| 対象 | 定時株主総会の招集 | 定期給与の額の改定 |
同号イは改定についての規定です。設立したばかりの会社が初めて報酬等を定める場合について、3か月という期間を定めたものではありません。
三月を経過する日の後に改定する年もあります。毎年所定の時期にされる改定が三月経過日等の後になることについて特別の事情があると認められる場合は、その改定の時期までにされたものが通常改定に含まれます(法人税法施行令第69条第1項第1号イ)。法人税基本通達9−2−12の2は、親会社の役員給与を参酌して決める常況にあるため親会社の定時株主総会の終了後でなければ決議できない事情を、その例に挙げています。
期中に改定するときの区分は2つです。法人税法施行令第69条第1項第1号ロの臨時改定事由と、同号ハの業績悪化改定事由。配布物の第1部(株主総会議事録)の10で□を選びます。
臨時改定事由の例として、法人税基本通達9−2−12の3は、社長の退任に伴い臨時株主総会の決議により副社長が社長に就任する場合を挙げています。この形で期中に報酬を変えるなら、臨時株主総会を招集します(会社法第296条第2項)。
業績悪化改定事由の欄には、書いてはいけない理由があります。法人税基本通達9−2−13は、一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことはこれに含まれないことに留意する、としています。この2つを理由欄に書くと、選んだ区分と合わなくなるのでご注意ください。
では、三月を経過する日の後に、臨時改定事由にも業績悪化改定事由にも当たらない増額改定をしたらどうなるのか。「全額が損金否認される」という説明を見かけますが、国税庁の質疑応答事例はそこまで述べていません。
法人税法施行令第69条第1項第1号が置いているのは、イ・ロ・ハの3つだけです。どれにも当たらない改定は、そもそも同号の給与改定になりません。配布物の□にも、この場合に選ぶ区分は置いていません。
国税庁の説明では、判定は期間を区切って行います。改定の前後で期間を区分し、それぞれの期間ごとに、その期間中の各支給時期において支給される定期給与の額が同額であるかを判定することとなります、というものです。そのうえで、事業年度の開始から通常改定の前までに支給した給与は定期同額給与に該当する、と答えました。期首の分まで巻き添えになるわけではありません。
増額した場合についても、増額改定前の定期給与の額に相当する部分が引き続き定期同額給与として支給されているものと考えられます、としています。損金不算入額は、増額改定後の定期給与の額のうち増額改定前の支給額に上乗せして支給した部分の金額、という答えです。断定ではなく「考えられます」という書き方で、増額改定後の各支給時期における支給額が同額であるときなど、という前提も付いています。
条文の文言は「定期同額給与に該当しない」までです。損金不算入はそのあとの話で、法人税法第34条第1項が定期同額給与などに当たらない役員給与の額を損金の額に算入しないとしている結果になります。2段階で読んでください。
期首にさかのぼって差額を後から一括支給する方法も、逃げ道になりません。国税庁は、一括支給する増額分は、定期同額給与に該当しないため、損金の額に算入されません、としています。既に終了した職務に対して「事後」に給与の額を増額して支給したものは、損金に算入される役員給与の範囲に当たらないためです。
事前確定届出給与を併せて決議する場合は、議事録の日付が届出の期限そのものを動かします。国税庁はタックスアンサーNo.5211で、期限となる日の1つとして、株主総会等の決議によりその定めをした場合におけるその決議をした日から1か月を経過する日を挙げ、もう1つとして会計期間開始の日から4か月を経過する日を挙げています。
日付を決める前に、第1部の7(本議案が対象とする職務執行期間)を埋めておいてください。国税庁は、一般には定時株主総会でその開催日から開始する新たな職務執行期間に係る給与の額を定めることになる、としています。いつからいつまでの分かが書かれていないと、改定なのか据置きなのかを議事録から判定できません。
期中に臨時株主総会で決議する場合の招集手続は、配布物では扱っていません。定款と会社法の定めを確認してください。役員の交代そのものの議事録は、役員辞任の株主総会議事録テンプレートをご覧ください。
3か月の起点になる事業年度そのものを変える場合は、事業年度変更の株主総会議事録テンプレートをご覧ください。定款変更の特別決議から異動届出までを1本にまとめています。
💡 日付が決まったら、あとは埋めるだけです
配布物には、改定の区分を選ぶ6つの□と、業績悪化を選んだときの客観的かつ特別の事情の記入欄まで入れてあります。会員登録もメールアドレスの入力も要りません。
9. 役員報酬を据え置く年に議事録を作るか|毎年作り直す必要があるか
去年と同じ額を払い続ける年に、議事録を作り直す必要があるのか。「毎年作らないと否認される」という説明もありますが、国税庁の文書はそこまで述べていません。
国税庁は、この場面を正面から扱っています。役員給与に関するQ&AのQ4は、定時株主総会で任期の中途である役員の給与の額を据え置くこととし、議案に役員給与の額に関する事項を盛り込まなかった、という事例を設問に取り上げています。
回答にあたる部分を引きます。前年の決議額を引き続き支給することとして、改めて決議を経ないといった企業慣行も見受けられるとしたうえで、こう続けています。
「このように過去の改定実態等その法人の慣行等からその法人の通常改定の時期が確認できる場合には、前年の通常改定(例えば、定時株主総会)で決議された支給額を当年も引き続き支給することとしたため、改めて当職務執行期間に係る支給額についての決議を経ないといったようなときであっても、当年の通常改定において、同額改定の決議があったときと同様に取り扱うことが相当と考えられます。」としています。
「決議を経なければ直ちに否認される」という書き方は、この説明と合いません。判断の分かれ目は、過去の改定実態などから自社の通常改定の時期が確認できるかどうかです。
会社法の側も、毎年の決議を命じてはいません。会社法第361条第1項は、定款に定めていないときは株主総会の決議によって定める、としているだけです。
では据置きの年に何もしないのが正解かというと、そうとも言えません。通常改定の時期が確認できる状態を自分で作っておくほうが、後から説明しやすくなります。
配布物では、据え置く年にも1枚残せるようにしました。第1部(株主総会議事録)の10の□で「改定ではなく、前年の決議と同額で据え置くことを決議するものである」を選んでください。第1部の7に職務執行期間を書けば、どの期間の分を据え置いたのかが記録に残ります。
10. 役員報酬の議事録を今まで作っていなかった場合にできること

設立から何年も、役員報酬を決める議事録を一度も作っていない。この状態から何ができるのかを、先に見ておきます。
最高裁判所平成17年の判決が、この場面を扱っています。裁判要旨は「株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合には,当該決議の内容等に照らして商法(平成14年法律第44号による改正前のもの)269条及び商法279条1項の規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められない限り,当該役員報酬の支払は株主総会の決議に基づく適法有効なものになる。」としています。
条件が2つ付いています。事後に株主総会の決議を経ていること。そして、規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められないこと。
この判決が判断したのは平成14年法律第44号による改正前の商法で、現行の会社法第361条・第387条について示されたものではありません。参照法条には商法第269条(取締役の報酬)と商法第279条第1項(監査役の報酬)の両方が入っています。
税務の側はどうか。「議事録がないと必ず損金否認される」と国税庁が述べた文書は確認できていません。確認できるのは、議事録に書いた金額が計算の基準になるという仕組みのほうです。
法人税法施行令第70条第1項第1号ロは、株主総会の決議で限度額等を定めている会社について、支給した給与の額の合計額が限度額等を超える部分を過大な役員給与として損金不算入にしています。これが形式基準です。
同号イには実質基準があります。役員の職務の内容、会社の収益と使用人に対する給与の支給の状況、同種同規模の法人の支給状況などに照らして相当と認められる金額を超える部分も、過大な役員給与になります。
次にすることは2つです。直近の株主総会で決議して、配布物の第1部(株主総会議事録)を使って記録を残すこと。そのうえで、過去分の扱いを弁護士と税理士に相談すること。
過去にさかのぼって日付を書いた議事録を作ることは勧められません。第1部の10では「改定ではなく、新たに報酬等を定めるものである」を選び、これからの分として決議してください。個別の事情で結論が変わる領域なので、過去分は専門家にご確認ください。
11. 役員報酬を下げるときに本人の同意が要るか
業績が落ちて役員報酬を下げる。このとき、株主総会の決議だけで下げられるのかという問題があります。
最高裁判所平成4年の判決の裁判要旨は「取締役の報酬につき、株主総会がこれを無報酬に変更する旨の決議をしても、当該取締役は、右変更に同意しない限り、報酬請求権を失わない。」としています。無報酬への変更についての判断ですが、減額の議案を作るときの出発点になります。
参照法条は商法第269条です。現行の会社法第361条について判断したものではありません。
近い場面を扱ったものとして、最高裁判所昭和31年の判決があります。取締役会の決議に従って社長が一営業期間内に自己の受くべき報酬額を正当に決定した後は、社長の同意がないかぎり取締役会といえどもその報酬額を変更することはできない、とした原判決の判断を正当としています。
ただしこれは旧商法の下での事案で、争点も取締役会が決定後の額を変更できるかという点でした。株主総会の決議で減額する場面について判断したものではありません。
配布物では、第1部(株主総会議事録)の10の末尾に同意の□を3つ置きました。
- 減額する議案ではない
- 対象となる取締役から同意を得ている(氏名の記入欄つき)
- 対象となる取締役の同意は得ていない(この場合は記入を進める前に弁護士に確認する)
減額に本人の同意が必要かどうかの個別の判断は、配布物では行っていません。同意が得られていないまま進めるのであれば、弁護士にご確認ください。
減額の理由も書き残してください。業績悪化改定事由を選んだ場合は、第1部の10の「減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情」の欄を埋めます。
ここは同族会社ほど丁寧に書く必要があります。国税庁が挙げているのは、株主が少数の者で占められ役員の一部が株主である場合や、株主と役員が親族関係にあるような会社です。こうした会社については、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要があることに留意してください、としています。
記入例は「主要取引先の撤退により当期の売上高が前期を大きく下回り、金融機関への返済計画の見直しを求められているため」のように、何が起きて何を迫られているかまで書く形です。
12. 株主総会議事録を紙のままで残す場合と電子で残す場合|押印と備置き

議事録を電子にすべきかを先に答えます。株主総会議事録については、紙に記名して本店に置けば足ります。
会社法施行規則第72条第2項は、株主総会の議事録は書面又は電磁的記録をもって作成しなければならないとしています。どちらでもよい、という規定です。
署名や押印を求める規定もありません。会社法第318条にも会社法施行規則第72条第3項にも、署名又は記名押印の要求はなく、求められているのは議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名だけです。法務局が公開している記載例の末尾も「議長及び出席役員がこれに記名する。」で、押印ではありません。
なお、役員報酬の議事録そのものについての公的な記載例は確認できていません。法務局が記載例を出しているのは登記の申請書に添付する議事録で、役員報酬は登記事項ではないためです。
配布物の第1部(株主総会議事録)の21に「押印しない」の□を置いたのは、この整理によります。定款で押印を定めている会社は、もう一方の□を選んでください。
扱いが違うのは第2部(取締役会議事録)です。会社法第369条第3項が、取締役会の議事録を書面で作成したときは出席した取締役及び監査役の署名又は記名押印を求めています。電磁的記録で作る場合は、同条第4項により署名又は記名押印に代わる措置をとることになります。
備置きの場所は、作る前に決めてください。会社法第318条第2項は「株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。」としています。支店がある場合は、同条第3項により写しを「株主総会の日から五年間」支店に備え置きます。
ただし議事録を電磁的記録で作成し、支店で閲覧又は謄写の請求に応じるための法務省令で定める措置をとっているときは、支店への備置きは要りません(同項ただし書)。
電子契約サービスの守備範囲も、ここで線を引いておきます。
- 議事録は相手方と取り交わして合意を成立させる書類ではないので、電子契約サービスで締結する対象ではありません
- 会社法第318条第2項の10年の備置きは、会社側で行います。ムスビサインは議事録の備置き先ではありません(保存期間はフリーとスターターが締結後1週間で自動削除、ビジネスが7年)
13. ダウンロードしたテンプレートの使い方手順
ファイルを開いたら、まず分岐を決めます。先に分岐を閉じるほど、あとの欄は機械的に埋まります。
手順1. 定款に報酬等の定めがあるかを確認する
会社法第361条第1項は、定款に当該事項を定めていないときは株主総会の決議によって定める、としています。定款で報酬額そのものを定めている会社は、この決議自体が要りません。第1部(株主総会議事録)の8にも、定款に報酬等についての定めを置いている場合はその定めによる、と書いてあります。
手順2. 自社の機関構成を確認する(第1部の1)
記憶で答えずに、定款と登記事項証明書を手元に置いてから始めてください。取締役会や監査役を置くかどうかは定款の定めによるもので(会社法第326条第2項)、置いていることは登記事項でもあります。会社法第911条第3項は、第15号で取締役会設置会社であるときはその旨を、第17号で監査役設置会社であるときはその旨を挙げています。
登記は現在の状態を示します。会社法第915条が、第911条第3項各号に掲げる事項に変更が生じたときは二週間以内に変更の登記をしなければならないとしているためです。登記簿に記録されている事項を証明した書面が登記事項証明書で、誰でも交付を請求できます(商業登記法第10条第1項)。
ここに落とし穴が1つあります。登記簿に「監査役設置会社」と出ていても、会社法第2条第9号でいう監査役設置会社とは限りません。同号は、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある会社を除いています。一方、登記事項を定める第911条第3項の第17号は、括弧書きでその会社を含めています。
会計限定かどうかは定款で確かめてください。ここを取り違えると、第2号議案と第3部を作るかどうかをまるごと間違えます。
そのうえで、監査役を置いているか、取締役会を置いているか、監査役と取締役が何人いるかを□で選びます。会社法第361条第7項第1号・第2号の会社に当たらないことも、ここで確認してください。選び終えたら、この1の欄は削除してかまいません。
手順3. 取締役の報酬額の決め方を選ぶ(第1部の12)
本総会で各取締役の額まで確定するか、総額(限度額)だけを定めて取締役会に一任するかを選びます。ここで第2部(取締役会議事録)を作るかどうかが決まります。
手順4. 各監査役の報酬等の定め方を選ぶ(第1部の18)
本総会で各監査役の額まで定めるか、総額だけを定めて監査役の協議に委ねるかを選びます。ここで第3部(監査役の協議書)を作るかどうかが決まります。
手順5. 使わない部と選ばなかった□の行を削除する
監査役を置いていない会社は、第1部の16から20までと第3部を削ります。一任しない会社は第2部を削除してください。この時点で、ファイルが自社の形になります。
手順6. 第1号議案の中身を埋める(第1部の8から11まで)
定める事項の号、対象となる取締役の員数と算定の基準、改定の区分とその理由、使用人分給与を含めるかどうかの順です。減額する議案なら、10の同意の欄も埋めます。
手順7. 支給の時期、理由の説明、決議の結果(第1部の13から15まで)
毎月同額で支給するのか、事前確定届出給与を併せて決議するのかを選び、14に議案を相当とする理由を書きます。15は決議の結果です。
手順8. 第2号議案を埋める(第1部の16から20まで)
監査役の員数と算定の基準、各監査役の報酬等の定め方、監査役が述べた意見の有無を記入します。19の意見の欄は、意見が出なかった場合も□で残してください。
手順9. 開催事項と職務執行期間を埋める(第1部の2から7まで)
日時と場所、議決権の数、出席役員、議長と議事録作成者、招集の手続、成立と開会、職務執行期間です。
5の招集の手続は、通知を発したか株主全員の同意で省略したかの□だけです。招集の通知を発する期間と、その期間を短縮できる場合は配布物では扱っていないので、定款と会社法の定めを確認してください。
手順10. 閉会と作成(第1部の21)
閉会の時刻を入れ、押印するかどうかを□で選びます。日付と会社の商号、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を記入してください。
手順11. 2枚目を作る
一任を選んだ会社は第2部(取締役会議事録)を、監査役の協議を選んだ会社は第3部(監査役の協議書)を作ります。どちらも日付は株主総会の決議より後で、同じ日に続けて開いたなら同じ日を書きます。株主総会より前の日付にはしません。第2部には出席した取締役と監査役の署名又は記名押印が要ります。
支給の時期及び方法は、第1部の13と第2部の8のどちらで決めたのかを□でそろえてください。両方で決めると、支給日の記載が食い違います。
手順12. 本店に備え置く
完成したら、株主総会の日から10年、本店に置きます(会社法第318条第2項・第3項)。支店がある会社は写しを5年です。保管場所を決めてから印刷してください。
14. よくある質問(FAQ)
Q1. 役員報酬の株主総会議事録に収入印紙は必要ですか?
A. 必要ありません。印紙税が課税されるのは課税文書に限られ、国税庁は課税文書を3つの要件すべてに当てはまる文書としています。役員報酬の議事録は、印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられた20種類の文書のどれにも当たらず、当事者の間において課税事項を証明する目的で作成する文書でもありません。
この結論は3要件と印紙税法基本通達第2条の定義からのあてはめで、「議事録は不課税」と名指しした国税庁の文書は確認できていません。なお、課税物件表に掲げられたうえで印紙税を課さないこととされている非課税文書とは、別の整理です。
Q2. 株主総会議事録に押印は必要ですか?
A. 法令上は求められていません。会社法第318条にも会社法施行規則第72条第3項にも署名又は記名押印の要求はなく、求められているのは議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名です。法務局の記載例の末尾も「記名する」となっています。定款で押印を定めている場合は、その定めに従ってください。署名又は記名押印が必要なのは、書面で作成した取締役会の議事録です(会社法第369条第3項)。
Q3. 取締役が一人だけの会社でも議事録は要りますか?
A. 要ります。会社法第361条第1項は、定款に定めていないときは株主総会の決議によって定めるとしており、取締役の人数による例外を置いていません。配布物では第1部(株主総会議事録)の12で「当会社の取締役は1人であるため、本総会においてその取締役の報酬額を確定する」を選び、第2部を削除します。
ただし、決議が要ることと、総会を実際に開くことは別です。総会を開かずに決議を省略するなら、議事録の様式が変わります。下のQ5をご覧ください。
Q4. 役員報酬を決めたら登記は必要ですか?
A. 必要ありません。会社法第911条第3項が列挙する登記事項に、報酬が入っていないからです。登記の添付書面にもならないので、登録免許税も発生しません。
Q5. 株主総会を開かずに決議を省略した場合も、このテンプレートを使えますか?
A. 第1部をそのまま流用しないでください。決議を省略した場合の議事録の記載事項は、会社法施行規則第72条第4項第1号に別に定められています。決議があったものとみなされた事項の内容、提案をした者の氏名又は名称、決議があったものとみなされた日、議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名を書く形です。開催の日時や議事の経過を書く第1部とは形が違います。詳しくは臨時株主総会議事録テンプレートをご覧ください。
Q6. 取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針は、自社でも決めなければいけませんか?
A. 公開会社かつ大会社の監査役会設置会社(有価証券報告書の提出義務があるもの)と、監査等委員会設置会社のほかは、決める必要はありません。会社法第361条第7項が方針の決定を義務づけているのは、同項第1号のこの会社と、同項第2号の監査等委員会設置会社の2つだけだからです。
第1号の会社とは、公開会社であり、かつ、大会社である監査役会設置会社で、金融商品取引法第24条第1項により有価証券報告書を提出しなければならないものを指します。自社が当たるかどうかは第1部(株主総会議事録)の1で確認してください。
Q7. 役員報酬の株主総会議事録は毎年作る必要がありますか?
A. 前年と同額で据え置く年は、作らなくてもよい場合があります。国税庁の役員給与に関するQ&AQ4は、過去の改定実態等その法人の慣行等からその法人の通常改定の時期が確認できる場合には、改めて決議を経なかったときでも、当年の通常改定において同額改定の決議があったときと同様に取り扱うことが相当と考えられる、としています。
会社法第361条第1項も、毎年の決議を命じてはいません。慣行から通常改定の時期を確認できないなら、据置きの年も第1部(株主総会議事録)の10で「同額で据え置く」を選んで1枚残してください。
15. まとめ:自社の機関構成から使う部を決める
決める順序は固定されています。監査役を置いているかを確認し、取締役と監査役それぞれの報酬を誰が決めるかを選ぶ。ここまで済めば、作る書類の枚数が確定します。
- 第387条に「取締役と区別して定めなければならない」という文言は無い。それは第361条第2項(監査等委員)の文言
- 定める事項は号で選ぶ。確定額、具体的な算定方法、金銭でないものの具体的な内容
- 総額だけ決めて個人別を取締役会に一任したら、2枚目の取締役会議事録に出席者の署名又は記名押印が要る
- 使用人分給与を含めないなら、含めない旨を議事録に明示する
- 減額するなら本人の同意欄まで埋める
- 完成したら本店に10年、支店に写しを5年
まだ決め方を選んでいないなら、先にテンプレートを開いて第1部(株主総会議事録)の1と12と18の□を見てください。この3か所で、作る書類が1枚か2枚かが決まります。
役員報酬の株主総会議事録テンプレートを無料ダウンロード
本記事で解説した役員報酬決定(改定)株主総会議事録(取締役・監査役)を、Word形式で配布しています。
✅ 会員登録不要・メールアドレス入力不要 — ダウンロードしてそのまま編集できます
✅ 3つの部が1ファイル — 株主総会議事録(21項)、取締役会議事録(9項)、監査役の協議書(6項)が入っていて、使わない部を削るだけで完成します
✅ 機関構成の確認から始まる形 — 第1部(株主総会議事録)の1の□を選ぶと、使う議案と部が決まります
✅ 取締役と監査役を別の議案に — 第1号議案は会社法第361条、第2号議案は第387条に合わせて組んであります
✅ 定める事項を号で選ぶ — 確定額、具体的な算定方法、金銭でないものの具体的な内容から選べます
✅ 改定の区分は6つの□ — 通常改定、三月経過日等の後、臨時改定事由、業績悪化改定事由、新たに定める、同額で据え置く
✅ 使用人分給与の明示欄つき — 含めない場合の規程名・制定年月日・支給の状況まで書けます
✅ 相当とする理由の説明欄 — 会社法第361条第4項の説明を、質疑応答の要領と並べて残せます
✅ 監査役の意見の欄 — 会社法施行規則第72条第3項第3号ルの法定記載事項を、意見がなかった場合の□つきで置きました
✅ 減額時の同意欄 — 対象となる取締役の氏名を書く行と、同意を得ていない場合の注意つき
✅ 第2部(取締役会議事録)に出席者ごとの署名欄 — 会社法第369条第3項に対応し、反対した取締役を書く行も付けています
✅ 第3部は監査役の協議書 — 取締役会議事録ではないことを部の先頭に明記しました
✅ 注記つき — 条文・通達・国税庁の資料・判例の根拠を、テンプレートの末尾にまとめてあります
👉 役員報酬の株主総会議事録テンプレートを無料ダウンロード(Word形式)
まずは月3件、無料で電子契約を試してみませんか?
ムスビサインは、PDFをアップロードしてメールで送るだけで締結できるクラウド型の電子契約サービスです。議事録そのものは社内に備え置く書面ですが、役員の交代や報酬の見直しにあわせて結び直す業務委託契約書や秘密保持契約書は、郵送の往復なしで片付けられます。
✅ 月3件まで無料 — 1件ずつ試せます
✅ 受領者はアカウント登録が不要 — 相手にはメールのリンクを送るだけです
✅ 締結時にAATL証明書の電子署名と総務大臣認定タイムスタンプを付与 — 誰がいつ締結したかを記録に残せます
✅ 立会人型(事業者署名型) — 相手に電子証明書を用意してもらう必要がありません
対象は中小企業・個人事業主・フリーランスです。相手方と取り交わす契約書に、そのまま使えます。
本記事および配布テンプレートは一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談・税務相談に代わるものではありません。監査役の報酬等の配分方法、特別の利害関係を有する取締役の判断、減額に本人の同意が必要かどうか、過去に決議を経ずに支払った報酬の取扱いについては、弁護士・税理士にご確認ください。
関連テンプレート
- 株主総会議事録テンプレート・雛形|定時臨時・会社法318条・書き方株主総会議事録のWordテンプレートを会員登録不要・即ダウンロード。会社法第318条・施行規則第72条の必須記載事項、定時・臨時・決議事項別の書き方、書面決議(みなし決議)、オンライン株主総会対応、登記申請への活用まで経営者・法務向けに実務解説。
- 取締役会議事録テンプレート・雛形|会社法371条・書面決議・保管期間取締役会議事録テンプレートを無料ダウンロード(会員登録不要・メアド不要)。会社法第371条対応、決議事項と報告事項の書き分け、書面決議(みなし決議)、特別利害関係取締役の取扱い、10年間の保管要件まで実務目線で解説します。
- 役員退職慰労金支給決議議事録テンプレート・雛形|株主総会と取締役会の2枚と日付役員退職慰労金の支給を決議する株主総会議事録と取締役会議事録のテンプレート(Word)を無料・会員登録不要でダウンロード。総額の上限を定めて取締役会に一任する書き方と、2枚の議事録の日付が損金算入の事業年度と源泉徴収の時期を動かす仕組みまで解説します。